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第4話

◆アスカ降臨

太平洋艦隊旗艦オーバーザレインボー、
飛行甲板にアスカが立っていた。
「遂に戦場に来たわ、太平洋!そして日本!」
「ずいぶんご機嫌だなアスカ」
加持が艦内から現れた。
「加持さん☆」
「そんなにサードチルドレンに会いたいのかい?」
「そ、そんなじゃ有りませんよ」
ちょっと赤くなってアスカは少し慌てた。
「ははは、サードの写真見るかい?」
「え、有るんですか?」
「ああ、これだよ」
加持は写真を取り出した。
「へ〜、なかなかじゃない」
「処で横のこの女がファースト?」
「ああ、」
(ふん、1月後には貴方はそこにはいられないわよ、なんてったて、パーフェクト美少女アスカ様が来たんだから)


5日後、大型輸送ヘリ、
「何で私が同伴しなきゃいけないのよ〜」
ミサトが愚痴っていた。
「良いじゃないですか、大きい船でクルージング」
「ただの老朽艦よ」
「そんな事は有りませんよ、趣があって良いじゃないですか」
「はぁ〜」
そして、オーバーザレインボーに着艦した。
タラップで3人は降りた。
「ヘロ〜ミサト」
「ヤッホー、アスカ久しぶり、貴方背伸びたんじゃない?」
「身長だけじゃなくて他の所もちゃんと大人らしくなってるわよ。」
シンジはアスカに微笑み掛けた。
「サードね」
「うん」
「で、そっちがファースト?」
「綾波レイ、宜しく」
「惣流アスカラングレーよ、宜しくね」
何かアスカが嫌な笑みを浮かべている。
(何か変だぞ)
(どこか変)
「さて、行きましょうか」
「よう葛城」
ミサトが固まった。
「か、加持!」
「アスカの同伴でね、その後は、本部付きさ」
ミサトは頭を抱えた。
「又3人でつるめるな」
「うっさい・・・わたしは・・・・」
「行きましょ」
「あ、うん」
アスカは二人を連れて輸送艦に向かった。
弐号機が冷却水に浸かっている。
「どう?」
「赤、赤は、アスカの色、白と青が私の色、」
「まあ、良いわ、これこそ、エヴァンゲリオン正式機、エヴァ弐号機よ」
「工業製品?」
「・・・・」
「初号機はハンドメイド?」
「・・・・」
「零号機は?何?」
「か、変わった子ね〜」
アスカの表情は少し引き攣っている。
「う〜ん、そうかも」
「ちょっと2人で話せるかな?」
レイは頷いて出て行った。
「何なのあの子?」
「綾波って、ずっと、エヴァとかの為に実験動物みたいにされてて、最近感情を覚えたばかりなんだ」
「え?」
「だから、感情の表し方も下手なんだけど、押さえ方も下手だから、怒らせないほうが良いよ、」
「怒らせるとどうなるの?」
「前に、学校で拳銃を発砲した」
「・・・・」
「僕が玩具に摩り替えておいたから良かったけど」
「・・・怖いわね」
「でもね、綾波がいたからこそ、エヴァがあるんだよ。仲良くしてやってね」
「わ、分かったわよ」


甲板、
(アスカ・・・羨ましい存在)
(私に無いものを持っている)
(あんたバカ?・・・アスカの口癖)
(碇君・・・私の存在意義)
(碇君はアスカとどう言う関係を望むの?)
(アスカ、貴女は私とどう言う関係を望むの?)
(貴女の記憶・・・渡すべき?)
(渡すとしたら、最初だけの方がいい、そうでないと)
「ファースト」
レイはアスカを振り返った。
「何?」
「仲良くしましょ」
今回は普通に握手を求めてきた。
「貴女、歴史を知りたい?」
「は?」
「知りたいの?」
「歴史、くらい習ったわよ」
馬鹿にすんなといった感じでアスカは言った。
「違う、2015年の歴史」
「・・・予言?」
「似ているけど違う」
「わけわかんない事言わないでよ」
「あなたにも教える」
ATフィールドがアスカの心を接続した。
・・・
・・・
「・・・これ・・・どう言うこと?」
「私はサードインパクトから戻って来たの」
「起こってしまったというのサードインパクトが?」
レイは頷いた。
「でも、記憶は途中で止まってるわよ」
「止めたの、あなたにとって嫌な記憶だから、それに、歴史は変わってきている、先の記憶は意味をなさない」
「あんたなりの配慮?」
レイは頷いた。
「そう」
「・・あと、気になったのだけど、アスカの性格変わってない?」
「え?」
アスカは考えた。
「ん?そう言えば・・・違うわね、ファーストが、私を偏見の目で見ていただけよ」
「そう?」
「そうよ」
レイは少し首を傾げた。
「そういや、サードインパクトってどんなんだったの?教えて」
「サードインパクトは、エヴァ量産機によって発生したアンチATフィールドに、リリスのコピーたる初号機にロンギヌスの槍を突き立てることによって生み出されたアンチATフィールドを共鳴させて、人と人とを分かつATフィールドがすべて消滅し、結果、人は、碇君とアスカしか生き残らなかったわ」
「私が?シンジと?でもファーストは?」
「私は人ではないから」
「・・・・へ?」
「私は人ではないから」
「じゃ、じゃあ、何なのよ」
「第弐使徒リリス、」
「・・・・は?」
「私は、第弐使徒リリスと第拾八使徒リリンの遺伝子を組み合わせて作られた。」
「あんたが使徒?」
「ええ、アスカも」
「は?」
アスカは一瞬、凄く間抜けな顔をしてしまった。
「人類は第拾八使徒リリンなのよ」
「・・・・だったら、私達のしてる事は何なのよ」
「ただ、人類に害を成す邪魔な兄弟を消し去っているだけ」
「兄弟って・・・」
「第参使徒から第拾八使徒までで未来が与えられる種族は1つだけ、その一つになりたいがために争う。それが、この戦い」
「何で?」
「宇宙が何故存在するかと同じ、そう決まっている。」
「・・・・じゃあ、どうすれば良いの?」
「私は碇君の望む世界を作るために戻って来た。だから、それを邪魔する使徒は消す。そして、補完委員会、ゼーレも・・・もし、碇君が望むならあなたも消す」
「な」
アスカはレイの視線に絶句した。
本気だ。
「少しだけ力を見せるわ」
「使徒で試す気?」
レイは頷いた。
「ガギエル、来なさい」
イージス艦が吹っ飛んだ。
「来たわ!」
シンジも走って出て来た。
「碇君、私が倒す」
「え?」
レイは水中に飛び込んだ。
「綾波!」
(ガギエル、こっちにいらっしゃい)
レイはATフィールドを張り、ガギエルを引き寄せながら艦隊を離れた。
「貴方も私を見ようとはしない、私はアダムではないわ」
レイの背中から12枚の純白の翼が現れた。
「さよなら」


艦隊、
水平線が光った。
「うわ!!」
「きゃ!!」
衝撃波が艦隊を揺らした。
「きゃああ!!」
「うわあああ!!!」
大波が更に激しく艦隊を揺らし小さな船が沈んだ。
水平線に宇宙空間まで伸びる水蒸気の茸雲が出来ていた。
「何よ・・・なんて力なのよ・・・」
「綾波・・・」
ちゃぽんと言う音がしてレイが水面から飛び出した。
「綾波!」
シンジはレイの手を掴んで引っ張り上げた。
「碇君の邪魔をするものを消したわ」
シンジは茸雲を見ている。
「レイ・・・やりすぎは良くないよ」
「ごめんなさい」
「・・・ファースト、凄い力ね・・・」
「碇君、アスカをどうしたい?」
「へ?」
「え・・・」
「アスカとは、前みたいに楽しく暮らせたら良いと思うけど、」
レイはアスカをじっと見た。
「御願い、シンジ君の願いをかなえて上げて」
「なははは、良いわよ、私もそのつもりだから」
アスカの回答は半分は恐怖からだったのかもしれない。


人類補完委員会
「碇、これはどう言うことだ?」
「さあ、自ら命を絶つ者の気持ちは分かりませんが」
「破壊力が強すぎる」
「爆心地から100キロも離れていたにも関わらず、太平洋艦隊の1割強の船が沈んだ」
「いったいなんだ?」
「さあ、水爆でも食べたんでしょうか・・・」
「とぼけるな」
「いえ、私も、分からないんです」
碇の雰囲気がいつもと極端に違う。
「いったい、何なんでしょうなあ〜」
(こ、これは、間違いなく、私への警告だ、お、恐ろしい)
「アダムはどうなった?」
「無事に本部に届きました。」
「そうか、では、補完計画を全力で推進せよ」
「はい」


総司令執務室、
碇は何か落ち着いていない。
「葛城1尉です。セカンドチルドレン惣流アスカラングレーを連れて参りました。」
二人が入ってきた。
「アスカ君、」
「はい?」
アスカは戸惑った。
「君は、エヴァ弐号機のパイロットとして、十分な存在価値を持っている。だが、その前に、一個人として、存在があることを、忘れてはいけない。特に、君は、私の息子達と、年も同じだ、仲良くしてやってくれ」
「は、はい」
((いったい何があったのかしら?))
ミサトとアスカが同じことを考えていた。
そして、二人が出て行った。
「冬月、」
「何だ?」
「これで良いと思うか?」
「良いとは思うが、どうした?」
「あの爆発を見ただろ」
「ああ」
「あれは間違いなく、レイが起こしたものだ、私への警告として」
「つまり、邪魔をするなら事故に見せかけて殺す事ぐらいわけも無い、それに、通常兵器は勿論、弐号機でも止められない、そう言いたかったと言うのか」
「そうだ・・・俺は怖い」
「そうか、今晩は一杯飲みにいくか」
「ああ」