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第3話

◆使徒襲来

発令所、
第参使徒サキエルが襲来し、国際連合軍が交戦中である。
(結局、極秘扱い)
(確かに、今、ゼーレに勘繰られるのは拙い)
「何故きかん!!」
「全弾直撃のはずだぞ!」
(碇君との同時出撃、参号機の時以来・・・)
「出し惜しみは無しだ!」
(歴史は、碇君の為に作る)
モニターが眩しく光った。
レイはしかめっ面をした。
「はははは!!どうだね、我々の切り札NN兵器は!」
「無駄、利いてない」
「は?」
「あの爆発だ、蹴りはついている。君達の気持ちはわからんでもないが、自分達に都合のいい妄想を押し付けないでくれないか、御嬢さん」
「あんたバカ?」
(一度言ってみたかった)
(3人が固まってる・・・3人だけじゃない?)
「え、えっと、爆心地にエネルギー反応!」
「「「なにぃ!!」」」
(知ってるから)
「映像回復します」
「化け物が」
レイは発令所を抜け出して控え室に向かった。


控え室
シンジはレイがどこと無く嬉しそうな事に気付いた。
「どうかしたの?」
「どうして?」
「いや、なんか嬉しそうだから」
「一度、言ってみたかった事を言ったの」
「どんな事を?」
「あんたバカ?」
(あ、碇君が黙ってしまった)
「・・・アスカが羨ましかったの?」
「うん」
「私には無いものを持っていたから」
「今はそうじゃないよ」
「うん」
レイは笑みを浮かべた。
『パイロット両名はエントリーを始めてください』
二人は控え室を出た。


零号機、
『エヴァ両機射出口へ』
・・・
『発進!!』
「碇君、射出と同時に、挟み撃ちで」
『うん、分かった』
『エヴァ両機最終安全装置解除!』
『何をする気!?』
そのまま空中に飛び出した。
空中でプログナイフを抜く、
(碇君も同じ風に動かしている)
零号機は、使徒のコアにプログナイフをつきたてた。
そして、使徒に回し蹴りを叩き込んだ。
同時に初号機が背後から回し蹴りを叩き込み、
使徒のコアは粉砕された。


総司令執務室、
「レイ、シンジには話していないのではなかったのか?」
「話してはいません」
「では、シンジも戻ってきたのか?」
「いえ、」
「では何故だ」
「こうして伝えました。」
レイはATフィールドを碇の心に接続した。

・・・だめ、碇君が呼んでる・・・ ・・・私は貴方の人形じゃない・・・ ・・・はい・・・ ・・・了解・・・
碇の意識が戻った。 「今のは断片的、でも、碇君には、私の知るところを全て伝えました」 「レイ、お前は私を拒絶するのか?」 「司令が、私を綾波レイとして見てくれるならあるいは、でも、碇ユイとして見ているなら、拒否します。そして、私がサルベージを妨害します。勿論、リリスが綾波レイに組み込まれた今、司令の補完計画は発動しません。」 碇の目が大きく開かれたと思う。 「レイ、碇は寂しかったのだ。それだけは、分かってやってくれ」 「分かっています。司令も碇君と同じだから・・・」 レイは執務室を出て行った。 「冬月、弐号機をここに持ってくる必要はあると思うか?」 「分からんな、だが、アダムがドイツにあるのは拙い、」 「そうだな・・・近い内に輸送させるか・・・」 「委員会にはどう報告する?」 「・・・問題・・・あるな・・・」 「・・変わったな」 「ああ」 「部分的に混ぜて報告すればよかろう、初号機パイロットは反抗的、レイは補完計画の準備に忙しい、戦力の安定の為に、弐号機を召喚すると」 「そうだな」 碇は執務室を出て行った。 「レイ、碇に何を見せたんだ?」 マンション、 二人で夕食を食べていた。 「碇君の作る料理は美味しい」 「そ、そうかな〜」 シンジは頭を掻いて照れてた。 2週間後、 第四使徒シャムシェルが襲来した。 「多分、トウジとケンスケが出て来ている筈だ。」 レイは頷いた。 (そう、あの二人は興味本位で戦場に足を踏み入れたの) 「綾波は、二人を守って」 レイは頷いた。 そして、射出、案の定二人が出て来ていた。 「お〜!すげー!」 「これぞエヴァ!!」 零号機、 「一時戦場を離脱します」 『えっ、ちょっと待ちなさいレイ!!』 零号機は二人に近付いた。 外部スピーカーを入れた。 「ここで何をしているの?」 二人は零号機に乗っているのがレイである事に気付いたようだ。 「早くシェルターに戻りなさい」 トウジは戻ろうとしたがケンスケは手を振ってカメラを回している。 「早く!!」 しかし、ケンスケはそれでも戻ろうとはしなかったので、レイはケンスケに腹が立った。 零号機は二人から少し離れた地面を殴った。 衝撃波が撒き散らされ、クレーターが出来た。 二人は直ちにシェルターに戻って行った。 「戦場に戻ります」 零号機は使徒の背後に回り込んだ。 『綾波!』 零号機はプログナイフを後ろからコアに突き刺した。 戦闘後、ネルフ本部某所、 「レイ、如何して戦場を離れたの?」 「クラスメイトが危険だったからです」 レイは思い出して不機嫌になった。 「あの場所なら危険は無かったはずよ、貴方の言う通り、戦場ではなかったんですから」 「使徒に人質をとるという考えが有るかどうかは分かりませんが、実質的にそうなると、パイロット両名に戸惑いが生まれ、反応の鈍化とシンクロ率の不安定化で敗因になりかねません。」 「可能性に過ぎないわ!」 「葛城1尉、」 「何?」 「葛城1尉が、パイロットで、赤木博士があそこにいたらどうしました?」 「え?」 「どうしました?」 ミサトはリツコの方を見た。 リツコはなんて言うか楽しみのようだ。 唇が僅かに歪んでいる。 「・・・何らかの方法で避難させたわね」 「私の行動は問題行動ですか?」 「・・・もう良いわ」 「はい」 レイは部屋を出て行った。 「ミサト、さっきの本音?」 「え、も、勿論そうに決まってるじゃない!」 「どもってるわよ」 「あは、あは」 翌日、第3新東京市立第壱中学校2−A、 レイは登校すると、ケンスケとトウジの方に歩み寄った。 「あ、綾波、昨日は」 レイは思い切りケンスケの頬を殴りつけた。 ケンスケは壁まで吹っ飛び倒れた。 「貴方のせいで、人類を危険に晒した。貴方は、非戦闘民にも関わらず、自分の興味だけで、シェルターを抜け出し、戦場に足を踏み入れた。それがどう言う意味を持つかも考えずに、結果、碇君を危険に晒し、人類全てを危険に晒した。例え、未遂であっても許される罪ではない、」 「あ、綾波」 シンジ以外は完全に絶句している。 レイは怒りの視線でケンスケを睨んでいる。 ケンスケは、完全に怯え切っている。 レイは拳銃を抜いた。 「ひっ」 ケンスケの眉間にねらいをつけて撃鉄を起こした。 そして、引き金を引いた。 ポンッ 拳銃からテープが飛び出した。 「「「「へ?」」」」 テープがケンスケの顔に掛かっている。 シンジは鞄の中に入っているレイの拳銃を見た。 (やっちゃうと思ったんだよな、日向さんから借りといて良かった) 「レイも、これだけやったんだから気が済んだだろ、」 (・・・どうして?・・・・) 「ケンスケを許してやってよ」 (碇君の願い・・そう、彼は必要なのね) 「分かったわ」 レイは玩具の拳銃をしまった。 「やり過ぎたんだから、ケンスケに謝らなきゃいけないよ」 (謝る、分かった) 「相田君、ごめんなさい」 「あ、こっちの方が悪かったんだし、ごめん!」 (これで、いつものメンバーは問題ないけど、綾波がずいぶん過激になってる。感情が押さえきれないのか) レイは席に座った。 クラスメイトの頭の手帳には、二人がパイロットであると言う事項と併せて、レイを怒らせてはいけないと付け加えられた。 「綾波もずいぶん過激な事しよるな〜」 「貴方達が悪いのよ、分かってる?」 「わかっとるわ」 一時は死を覚悟したケンスケが首を捻っている。 「どうしたんや?」 「いや、何で綾波は知ってたんだ?って思って」 「どう言うことや?」 「俺達の言い訳は、逃げ遅れただろ」 「せやな」 「それが嘘ってくらい調べればわかるけど、何故俺が原因だってわかったんだ?トウジかも知れないのに」 「言われてみればせやな」 「そんなの、相田の性格考えれば分かるでしょ」 「せやな」 それ以前に行動を見ていたら分かる。 「つまんない事言ってないで、鈴原も綾波さんに謝りなさい」 「・・・せやな」 トウジがレイに近付いた。