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第1話

◆回帰

赤い空、赤い海・・・・そして、海岸には、二人の死体が横たわっていた。
(世界は破滅を迎えた。)
(碇君が望んだ世界?)
(こんな物を望んでいたはずが無い、)
(では何故?)
(何故こうなったの?)
(私の力が足りなかったの?)
(かなう事なら、もう一度やり直したい)
(碇君の望む世界を)
世界が暗転し、全く別の光景が目に入った。
レイは丁度、スプーンを持ってカレーを食べ様としていたようだ。
(ここはネルフ本部?)
リツコとマヤが話をしている。
「で、」
「問題ありませんが・・・」
(赤木博士と伊吹1尉)
「サードチルドレンは近い内に呼び出すつもりよ。」
「でも、司令の息子さんなんでしょ」
(戻っている。間違いなく)
「ええ、司令は本気よ。サードチルドレンを使用するわ。」
レイは笑みを浮かべた。
「レイ?」
(伊吹1尉・・2尉が声をかけてきた)
「レイも微笑む事が出来たのね」
「え?」
(私、微笑んでいた・・・嬉しいのね)


そして、起動実験を迎えた。
『ボーダーラインクリア!』
(起動した)
(あの人が私を見ている。いえ、お母さんを見ている)
『シンクロ率、87.50%!』
『凄いじゃない!』
(・・・アスカのプライド傷つけたかも)


そして、レイは先ず、手紙を書いた。
レイはマギをハッキングしている。
(碇君のIDカードを作る)
レイはマギにシンジのIDカード作成命令を出した。


総司令執務室、
「司令、レイが怪しい行動をしているのですが」
リツコは報告書を見せた。
「・・・何をしているんだ?」
「それが、IDカードの作成命令のようです」
「IDカード?」
「これです」
リツコは命令を見せた。
二人の顔が歪んだ。
「シンジ君か・・・」
「シンジか・・・」
「まあ良い、今の所実害は無い」
「・・・はい」


レイはシンジに手紙とIDカードを送った。


1週間後、駅前、
(もう直ぐ碇君がやってくる。)
シンジが改札口から出て来た。
「あ、綾波さんだね」
レイは頷いた。
(碇君)
「碇君、行きましょう」
「あ、うん」
・・・・
「綾波さん、如何して僕なんかを呼んだの?」
「貴方のお父さんに私は育てられた」
「え?」
「貴方の替わりに、お母さんの替わりに」
「・・・」
シンジはレイの顔を凝視している。
「綾波さんって、僕の母さんに似てるの?」
レイは頷いた。
「碇君には知って欲しいの」
レイのマンションについた。
「上がって」
「う、うん」
殺風景な部屋が広がっている。
「ベッドにかけて」
「うん」
シンジはベッドに座った。
「これから、貴方に貴方の情報を伝えるわ。不完全だけど」
「へ?」
レイはATフィールドを展開し、シンジとレイの心を繋いだ。
「あ・・あ・・あ・・あ・・」
シンジの頭の中に膨大な情報が流れ込んでいる。
(終わった)
ATフィールドが消えた。
シンジは首を振った。
「・・・今のは?」
「貴方の歴史、直ぐに根付くわ」
「・・・綾波、僕はどうすればいいの?」
「私は貴方の望む世界を作るわ」
「・・・うん」
シンジは頷いた。
「でも、記憶が飛び飛びだね」
「仕方ない、私が知っているところしかないから」
「でも、ごめん、苦労かけて」
「気にしないで」


ネルフ本部では、警報が鳴り響き大事になっていた。
「何だったんだ今のは?」
「ATフィールドです。それもとてつもない」
「碇、拙いぞ」
「構わん、レイが使える。それに、予備もいる」
(俺は、その二人が心配なんだけどな)


ネルフ本部、総司令執務室、
二人の子供が碇に会いに来ていた。
「久しぶり」
「ああ、」
「レイ、シンジに何を話した?」
「司令が私に碇君とお母さんを重ねて見ていた事です」
碇の表情に僅かな動揺が見える。
「まあ良い、赤木博士に説明させる」
「良いのか?」
「シンジ、ここに赤木博士が来る、彼女に指示に従え」
「うん」
暫くして来たリツコにシンジはケージに連れて行かれた。
「司令、」
「何だ?」
「補完計画の実行は不可能です」
「何を言っている」
「私の不審な行動、既に知っているでしょう」
「・・・どう言うことだ?」
「私は望みました。碇君の望む世界を作り直すと」
碇の眉が吊り上がった。
「今から来る歴史は既に経験しています」
「・・・シンジには言ったのか?」
「いえ」
(言ってはいないけど)
「レイ、では、私の補完計画はどうなる?」
「・・・妨害者に操作させなければサルベージは成功します」
「妨害者・・・」
「分からないのですか?」
「まさか、赤木博士か」
レイは頷いた。
・・・
「まだ出来ないか」
「ああ、まだ使徒がいる」


夜、レイのマンションで二人を夕食を取っていた。
「綾波って料理上手だったんだ」
「初めて」
「え?」
「初めて作ったの」
「い?」
「どうかしたの?」
「これを初めて・・・」
小さなテーブルの上には様々な料理が並べられていた。
「美味しいよ」
「・・・そう・・・」
自分でも頬が赤くなっているのが分かるほど、レイは真っ赤になった。
「綾波って、制服以外に服持ってないの?」
「寝間着はあるわ」
病院のパジャマのようなものが1着。
「明日買いに行こう」
レイは頷いた。


翌日、西武百貨店、
(服、いっぱい並んでいる)
「綾波、これなんかどう?」
ごく薄く青みを帯びた白いワンピース
「綾波のイメージって、白と青だからさ、」
一応赤もなのだろうが、赤はアスカの方がイメージが強いからかな?
「うん」
その他にも、数着買った。
(碇君に選んでもらったワンピースを着て歩いている)
誰も彼もがレイを見ている。
(皆、私を見てる)
「綾波、」
(碇君が耳元で囁いている)
「綺麗だよ」
レイは昨夜以上に赤くなった。