赤い空、赤い海・・・・そして、海岸には、二人の死体が横たわっていた。 (世界は破滅を迎えた。) (碇君が望んだ世界?) (こんな物を望んでいたはずが無い、) (では何故?) (何故こうなったの?) (私の力が足りなかったの?) (かなう事なら、もう一度やり直したい) (碇君の望む世界を) 世界が暗転し、全く別の光景が目に入った。 レイは丁度、スプーンを持ってカレーを食べ様としていたようだ。 (ここはネルフ本部?) リツコとマヤが話をしている。 「で、」 「問題ありませんが・・・」 (赤木博士と伊吹1尉) 「サードチルドレンは近い内に呼び出すつもりよ。」 「でも、司令の息子さんなんでしょ」 (戻っている。間違いなく) 「ええ、司令は本気よ。サードチルドレンを使用するわ。」 レイは笑みを浮かべた。 「レイ?」 (伊吹1尉・・2尉が声をかけてきた) 「レイも微笑む事が出来たのね」 「え?」 (私、微笑んでいた・・・嬉しいのね) そして、起動実験を迎えた。 『ボーダーラインクリア!』 (起動した) (あの人が私を見ている。いえ、お母さんを見ている) 『シンクロ率、87.50%!』 『凄いじゃない!』 (・・・アスカのプライド傷つけたかも) そして、レイは先ず、手紙を書いた。 レイはマギをハッキングしている。 (碇君のIDカードを作る) レイはマギにシンジのIDカード作成命令を出した。 総司令執務室、 「司令、レイが怪しい行動をしているのですが」 リツコは報告書を見せた。 「・・・何をしているんだ?」 「それが、IDカードの作成命令のようです」 「IDカード?」 「これです」 リツコは命令を見せた。 二人の顔が歪んだ。 「シンジ君か・・・」 「シンジか・・・」 「まあ良い、今の所実害は無い」 「・・・はい」 レイはシンジに手紙とIDカードを送った。 1週間後、駅前、 (もう直ぐ碇君がやってくる。) シンジが改札口から出て来た。 「あ、綾波さんだね」 レイは頷いた。 (碇君) 「碇君、行きましょう」 「あ、うん」 ・・・・ 「綾波さん、如何して僕なんかを呼んだの?」 「貴方のお父さんに私は育てられた」 「え?」 「貴方の替わりに、お母さんの替わりに」 「・・・」 シンジはレイの顔を凝視している。 「綾波さんって、僕の母さんに似てるの?」 レイは頷いた。 「碇君には知って欲しいの」 レイのマンションについた。 「上がって」 「う、うん」 殺風景な部屋が広がっている。 「ベッドにかけて」 「うん」 シンジはベッドに座った。 「これから、貴方に貴方の情報を伝えるわ。不完全だけど」 「へ?」 レイはATフィールドを展開し、シンジとレイの心を繋いだ。 「あ・・あ・・あ・・あ・・」 シンジの頭の中に膨大な情報が流れ込んでいる。 (終わった) ATフィールドが消えた。 シンジは首を振った。 「・・・今のは?」 「貴方の歴史、直ぐに根付くわ」 「・・・綾波、僕はどうすればいいの?」 「私は貴方の望む世界を作るわ」 「・・・うん」 シンジは頷いた。 「でも、記憶が飛び飛びだね」 「仕方ない、私が知っているところしかないから」 「でも、ごめん、苦労かけて」 「気にしないで」 ネルフ本部では、警報が鳴り響き大事になっていた。 「何だったんだ今のは?」 「ATフィールドです。それもとてつもない」 「碇、拙いぞ」 「構わん、レイが使える。それに、予備もいる」 (俺は、その二人が心配なんだけどな) ネルフ本部、総司令執務室、 二人の子供が碇に会いに来ていた。 「久しぶり」 「ああ、」 「レイ、シンジに何を話した?」 「司令が私に碇君とお母さんを重ねて見ていた事です」 碇の表情に僅かな動揺が見える。 「まあ良い、赤木博士に説明させる」 「良いのか?」 「シンジ、ここに赤木博士が来る、彼女に指示に従え」 「うん」 暫くして来たリツコにシンジはケージに連れて行かれた。 「司令、」 「何だ?」 「補完計画の実行は不可能です」 「何を言っている」 「私の不審な行動、既に知っているでしょう」 「・・・どう言うことだ?」 「私は望みました。碇君の望む世界を作り直すと」 碇の眉が吊り上がった。 「今から来る歴史は既に経験しています」 「・・・シンジには言ったのか?」 「いえ」 (言ってはいないけど) 「レイ、では、私の補完計画はどうなる?」 「・・・妨害者に操作させなければサルベージは成功します」 「妨害者・・・」 「分からないのですか?」 「まさか、赤木博士か」 レイは頷いた。 ・・・ 「まだ出来ないか」 「ああ、まだ使徒がいる」 夜、レイのマンションで二人を夕食を取っていた。 「綾波って料理上手だったんだ」 「初めて」 「え?」 「初めて作ったの」 「い?」 「どうかしたの?」 「これを初めて・・・」 小さなテーブルの上には様々な料理が並べられていた。 「美味しいよ」 「・・・そう・・・」 自分でも頬が赤くなっているのが分かるほど、レイは真っ赤になった。 「綾波って、制服以外に服持ってないの?」 「寝間着はあるわ」 病院のパジャマのようなものが1着。 「明日買いに行こう」 レイは頷いた。 翌日、西武百貨店、 (服、いっぱい並んでいる) 「綾波、これなんかどう?」 ごく薄く青みを帯びた白いワンピース 「綾波のイメージって、白と青だからさ、」 一応赤もなのだろうが、赤はアスカの方がイメージが強いからかな? 「うん」 その他にも、数着買った。 (碇君に選んでもらったワンピースを着て歩いている) 誰も彼もがレイを見ている。 (皆、私を見てる) 「綾波、」 (碇君が耳元で囁いている) 「綺麗だよ」 レイは昨夜以上に赤くなった。