第3新東京市、ネルフ本部、第1発令所、 遂に、スクリーンのバルターザールの表示が全て赤色に変わった。 「来た!」 「バルターザールが乗っ取られました!」 『人工知能マギにより自立自爆が決議されました。』 リツコとマヤは全速で操作し始めた。 『起爆装置は3機一致の後、0.2秒で行われます。自爆範囲は、中緯度深度−280、−160、0フロアです。特例、582発動可の為、』 「バルタザール更にカスパーに進入!!」 「押されてるぞ」 「何て計算速度だ。」 『自爆装置作動まで後20秒』 「いかん!」 「カスパー18秒後に乗っ取られます!」 『自爆装置作動まで15秒』 「くっ・・拙い」 リツコは露骨に表情を歪めた。 『自爆装置作動まで10秒』 『8秒』 『7秒』 『6秒』 『5秒』 『4秒』 「マヤ!」 『3秒』 『2秒』 「いけます!」 『1秒』 「押して!」 『0秒』 二人のキーボードのリターンキーが同時に押された。 発令所中に緊張が流れた。 『人工知能マギにより自立自爆が否決されました。』 「「「やった!」」」 発令所が湧き上る中二人は理解できない状況に混乱していた。 マギは、完全に制圧された。 自立自爆は、使徒自身が解除したのだ。 何の為に? そして、これから何をしようと言うのか、 リリン本部、発令所、 「プログラムの発動は成功しました。」 使徒を東京システムに引きつける事に成功した。 「来ました!!ネルフ、マギからのハッキングです!!」 ジュンコは猛烈な速度でキーを叩き始めた。 「・・・早いわね・・・でも、この程度なら、」 東京システムの力が注ぎ込まれ、押し返していく。 皆モニターをじっと見詰めている。 「・・・何かおかしい・・・」 暫くしてジュンコは違和感を感じ取った。 何か単調過ぎる。 その時、突然照明が一瞬消え、直ぐに点灯した。 発令所中の者が突然の事に戸惑った。 「・・・しまった!!」 突然ジュンコは悲鳴のような叫びを上げた。 手術室、 「ん?」 照明が消え直ぐについた。 「・・・何が?」 「先生」 「ああ、」 医師は手術を再開した。 手術室の前では、4人は少し戸惑っていた。 「・・何があったの?」 「・・・電源が予備に切り替わった・・・何があったの?」 「・・・・」 「・・・・」 レイは一瞬停電した事にも気づいていない様で、一心に祈りつづけている。 東京、東京帝国グループ総本社ビル最高総司令室、 情報の収集と平行して各勢力との連絡を取っている。 大きな混乱を引き起こさないように、ゼーレ側に取り込まれないように・・・ しかし、事態の収拾は、初動が遅れたために困難となっている。 第3新東京市、リリン本部発令所、 リリン本部の4系統の電源のうち3系統を支配され、更に、一般通信回線の大半を支配されてしまった。 今は、最後の電源系統を防衛している。 「万が一に供え、手術室に発電機を」 「・・分かりました。」 一瞬、大変な事になりかけたが、何とか持ち堪えられた。 「・・そう来たか・・・」 ジュンコは袖を捲り、軽く舌なめずりをした後、今まで以上の猛烈な早さでキーボードを叩き始めた。 ネルフ本部、第1発令所、 「松代に連絡取れる?」 「あ、はい、回線繋ぎました。」 「使徒め、見ていなさいよ、」 更にリツコは松代経由で世界のネルフ支部に回線を繋いだ。 「世界中のマギで一斉制圧、見ていなさいよ」 リツコが作ったマギ・コピー、その総力でマギ・オリジナルごと制圧する。 マギ・オリジナルに最高機密は置いていない、だからこそできる事では有るが、 リリン本部、発令所、 少しずつ押されている。 「・・・ネルフ頼みになるとは・・・」 ネルフがこのまま黙っている筈が無い、世界中のマギ・コピーを総動員する筈である。 ジュンコは思いきり顔を顰めていた。 やはり、どんな場合でも負けると言う事は屈辱である。 ネルフ本部第1発令所、 「準備できました。」 「何時でも直結可能です」 「始めて!」 リツコの声と共に、世界中の支部のマギ・コピーからここ、ネルフ本部のマギ・オリジナルにハッキングが開始された。 凄まじい早さで一気に防壁を侵食する。 「行けるわね」 使徒とマギ・オリジナルは東京システムともやりあっているのだ。 そこへこれだけの物を一気に投入したのだ行ける。 リツコはにやりと笑いを浮かべた。 瞬く間にマギ・コピ−達はメルキオールを制圧した。 東京システムも侵入を開始した。 「マヤ!」 リツコとマヤは自滅プログラムを送り込む準備をした。 「何時でも行けます!」 そして、後僅かでと言うところで一気に反転した。 「え!?」 「・・・第666プロテクト・・・」 第666プロテクトを発動し、マギ・オリジナルは完全防御体制に入った。 リリン本部発令所、 ジュンコは色々と裏コードを試していたが、既にリツコによって粗方潰されている様である。 「第666プロテクトか・・・まともに破るには・・・最低20時間は掛かりそうね・・・」 「でも、自己進化する使徒相手にそんな時間は待てないか・・・」 「そうね・・・結局私の切り札って、皆途中で使われちゃうのね」 少し愚痴を言う。 東京、東京帝国グループ総本社ビル最高総司令室、 早速ゼーレが動き始めていると言う事が確認された。 ゼーレはアメリカを失った。これは間違いなく大きな痛手である。 しかし、東京帝国グループがアメリカを手に入れたわけではない、そして東京帝国グループは皇耕一と皇ルシアの二人を失った。これだけでも信じられないほどの損失である。 だが、その混乱に乗じてゼーレが様々な手を仕掛けてきた。 間違いを起こせばわずかな時間で勢力比が一気に傾きかねない、 技術部長執務室、 ジュンコとリツコが対面していた。 「今回の事は、私のミスよ」 「そんな事は無いわ、使徒がこのような行動に出ると言う事は予測できる事ではないわ」 リツコは軽く息をついた。 「肝心なこれからの事だけど、」 「従来の裏コードは殆ど潰した様ね」 「ええ、かなり大変だったけれどね、」 ファイルをジュンコに渡す。 「これが、今のコード」 「最高機密は置いてないとは言え良いのかしら?」 「司令の許可は取っているわ、」 「そう、じゃあ第666プロテクトを無効化するプログラム、これを今のマギにあわせて組み直すわ」 「無効化する?」 「ええ、第666プロテクトには穴があるのよ、一応ね」 ジュンコは微妙な表情を浮かべて言った。 「・・・」 「東京システムには対マギ用として、東京システムにとって第666プロテクトを無効化する事ができるのよ」 「それって、」 「ええ、東京システムと使徒の一騎討ちに成るわ、但し、マギのシステムを完全に解読しているし、最初の時よりも強くなっているわ」 使徒は自己進化する。 リツコは眉間に皺を寄せた。 「これが、東京システムのコードとか設定とか」 ジュンコはファイルをリツコに渡し、リツコはファイルをぱらぱらと捲った。 15分後、リリン本部技術部会議室、 リリンとネルフの技術部の精鋭が集まった。 今リツコが説明を行っていて、ジュンコは東京システムの環境の設定を行っている。 「以上よ、理解したかしら?」 一旦息を吐く、 「使徒は自己進化を続け強く成っていく・・いい、これは、時間との戦いになるわ、では、急いで!」 リツコも含め一斉に会議室を出てそれぞれの配置に向かう。 発令所、 グランドフロアに機器が導入されてネルフ側の職員がキーを叩いている。 中央サブフロアには、ジュンコ、リツコ、マヤの3人の姿があった。 今は、プログラムを組み直している段階である。 「かなりの物ですね」 「ええ、第666プロテクトを破るには一筋縄では行かないわ」 「こっちは大体終わったわね・・リッちゃんは?」 「後少しって所ね」 「こっちは終わりました。」 数分後プログラムが完成し、チェックを行いそれも終わった。 「皆、いよいよよ」 皆は表情を引き締めた。 『東京システムマギシステムに直結完了、第666プロテクトを無効化プログラム発動』 メインモニターには東京システムとマギシステムの概略図が表示されている。 今は東京システムが全て青、マギシステムが全て赤である。 「行くわよ!」 ジュンコの声と共に皆一斉にキーボードを叩き始めた。 一気にマギシステムへと侵食を開始する。 瞬く間に30%ほどを制圧したが途端に抵抗が強くなった。 使徒も、防衛に必死に成ってきたようだ。 今の所一番制圧しているのはメルキオールである。 「メルキオールに集中して!」 バルタザールとカスパーへの攻撃をメルキオールに集中する。 それによってメルキオールの制圧が一気に大きくなり、カスパーとバルタザールが押し戻される。 しかし直ぐに反応して来る。 「リッちゃん御願い!」 「マヤ!」 「はい!」 リツコとマヤは席を立ち、大急ぎでネルフ本部に向かった。 ジュンコは更にキーを打つ速度を上げた。 ネルフ本部第1発令所、 3体のマギ全てが展開され、様々な機器に繋がれていた。 メインモニターにはリリンの物と同じく、勢力の概略が表示されている。 メルキオールはほぼ青、他の2体は完全に赤になっている。 リツコとマヤが到着し、メルキオールの周りに展開されている機器の最終準備をした。 今、制圧している速度は、徐々に遅くなってきている。 使徒が強くなってきているのだ。 「・・際どいわね・・」 皆、東京システムが勝つ事を祈っている。 そして、遂にメルキオールが全て制圧され、直ぐに開放された。 「行くわよマヤ!」 「はい!」 二人は猛烈な速度でキーボードを打ち始め、メルキオールがバルタザールにハッキングを仕掛けた始めた。 同様に東京システムも、 圧倒的な勢いで勢力を押し広げていく、 「行けるわ」 リツコはにやりと笑い更にキーボードを叩く速度を上げた。 そしてバルタザールも制圧したが、カスパーに侵入する頃には使徒の勢力がかなり強くなり、殆ど勢力が動かなくなった。 リツコは第666プロテクト解除のプログラムを起動させた。 『人工知能メルキオールより第666プロテクトの解除が提案されました。』 『賛成2反対1、可決されました。』 「よし!」 発令所の空気が一変してホッとしたものになる。 第666プロテクト解除と同時に世界中のマギ・コピーが一斉にハッキングを開始した。 僅かな時間で制圧しそして、マギ・オリジナルはを開放された。 その後、リツコは自滅プログラムを使徒に送り込み殲滅した。 数時間後、リリン本部、手術室前、 長かった手術が終わったのか、赤いランプが消えた。 4人は立ち上がって中から人が出て来るのを待った。 ややあって、扉が開かれて、医師達が出て来た。 そして、それに続いて医療カプセルに入れられてシンジが、 「手術は成功しました。もう、問題ありません。」 皆一斉に安堵の溜息をつき、長い緊張が解けたためが力が抜けて、座り込んでしまった。
あとがき ユイ 「う〜ん、本編とあまり変わっていないわね」 ナオコ「そうね」 リツコ「まあ、本編にも言えることだけど、私たちの活躍が書かれた話だったわね」 ナオコ「ええ、最後の二人の会話が削除されたのが残念だけれどね」 ユイ 「あまり拘っても仕様の無い事はありますからね」 リツコ「あら?でも、司令がユイさんに拘っていなければ・・・」 ユイ 「あら、私は仕様の無い事もあるといったのよ、拘るべき事も有るわよ」 ナオコ「ユイさんの事はどちらでしょうねぇ」 ユイ 「さぁ、どうでしょうねぇ」 リツコ「そうですねぇ」 3人 「「「ふふふふふ」」」 YUKI「な、なにか、異様な空気が」(汗) YUKI「と、とりあえず・・・次からは本編から分岐したストーリーを歩む事になります。」 YUKI「1周年期間中に第3話を更新できると良いなぁ・・・では」