背徳 暗黒編

◆第5話

シンジの家、リビング
リツコとミサトが来ていた。
「で、何の用ですか?」
「修学旅行に行っちゃ駄目って事を伝えに来たのよ」
「嫌です。」
ある理由から、シンジは即答した、
「嫌ですってアンタ・・・」
「使徒に備えての待機よ」
「有給使います。」
「そんなの無いわよ」
リツコはこめかみを押さえた。
「・・いえ、あるわ・・」
「え?そんなの聞いたことも無いけど」
「遅刻繰り返してるミサトに有給が与えられるとでも思って?」
「あ、あは、ははは」
「問題無いですね」
「あるわよ」
レイが目を潤ませて懇願の視線を向けた。
「う・・・」
破壊力は滅茶苦茶強い、しかも、レイの展開する精神場がその感情をそれをいっそう強烈に伝える。
「別に、嫌なら良いんですよ、エヴァに乗せられてもエヴァで使徒と戦う事は強制できないわけですから」
二人はこの前の戦闘を思い出した。
「・・・仕方ないわね・・・」
「リツコ!」
「・・司令部には有給の申請を出しておくわ・・」
二人が帰った後、二人で仲良く修学旅行の準備をした。


その後で、アスカが切れミサトがぼろくそにされた事はいうまでも無い。


数日後、第3新東京市国際空港、
シンジとレイはクラスメイトと共に飛行機に乗り込んだ。


那覇空港、
シンジは何か違和感を感じていた。
「・・・どうしたの?」
「・・なんか違和感が・・」
「・・・・そう?」
レイは首を傾げた。
レイの仕種一つ一つにクラスの男子が反応している。
シンジは何か誇らしい反面、やはり僅かな不快感も感じていた。


夜、ホテル、
未だにシンジはどこかに引っ掛かる物があった。
「・・なんかとっても大事な事忘れてる気がする。」
「・・・何かしら?」
「まあ、良いや、行こう」
レイは頷いた。


教師の部屋、
「あの・・先生」
「ん?洞木さん何かな?」
「何故、綾波さんと碇君が同室なのでしょうか?」
「ああ、それは・・・」
・・・
・・・
「不潔・・なのかしら?」


ヒカリはシンジとレイの部屋を訪れた。
しかし、留守だった。
「・・・いや〜〜!!!!不潔よ〜〜〜〜!!!!!」
何が?


ヒルトンホテル、ロビー、
時田が待っていた。
「久しぶりだね」
「ええ、今回の事、有り難う御座いました。」
「いや、構わんよ、それより、51階だ」
時田はカードキーを渡した。
「はい」


51階スイートルーム、
竹下内閣総理大臣が待っていた。
「お待たせしました。」
「いや、構わんよ」
二人はソファーに座った。
「で、話というのは?」
「ゼーレと言う組織をご存知ですか?」
竹下の眉が跳ね上がった。
「ご存知のようですね」
「ああ、国際連合を乗っ取った裏組織だ」
「ネルフは、ゼーレの計画実行のために作られた組織です」
「何?」
「E計画は、それを誤魔化す為の計画です。」
「なんと・・・」
「各国政府、特に、アメリカ政府は、エヴァを自国の軍事力として使う事を考えていますね」
「うむ、恐らくはそうだろう」
「それこそ、ゼーレの策の一つです。」
「どう言う事だ?」
「エヴァとは、使徒のコピーを元にして作られた兵器です。」
それが、未知のバリアー、ATフィールドを使える理由である。
まあ、最も、ユイにとっては未知の・・ではなかったが、
「・・・なるほど・・・しかし、それが?」
「ゼーレは、使徒を全て倒した後に、エヴァを使って自分達だけにとって都合の良いインパクトを起こそうとしているのです。」
「なんだと!」
「落ち着いてください、先ず、セカンドインパクトから説明しますが、あれは、条件が揃わなかった為に、不発に終わったインパクトなのです」
「不発?」
「インパクトでは、依代となる存在の望む世界に再構成されます。」
「依代?」
「インパクトを発生させる中心的存在です。セカンドインパクトは、他にも不充分な点はありますが、先ずこれが存在しなかった。その為、単純なエネルギーの開放になってしまいました。」
「・・・」
「ゼーレは、使徒のコピーであるエヴァを使い、自分達だけのための世界を作ろうとしているのです。」
「ゆるせん奴等だ」
「ええ、今は、使徒を倒す為にはエヴァの力は必要不可欠です。しかし、それが終われば、不用どころか危険極まりないものになってしまう。」
「エヴァは数が要るのか?」
「恐らくは、9体前後の数が必要だと思われます。」
「・・・なるほど・・・で、それを証明するものは?」
シンジは数枚のディスクを机に置いた。
「解析を、但し、ゼーレやネルフに漏れれば、日本は、核によって滅ぼされます。」
「・・・分かった。」
「それと、ネルフですが、」
「うむ」
「ゼーレと繋がりのある職員は極一部です。」
「だろうな」
「万が一の場合でも、戦自の投入による無差別殺戮は止めて欲しいのです」
前回は、それによって、ネルフ職員の9割を超えるものが一方的に虐殺された。
「当然だな」
どうやら今回は最悪の悲劇は防ぐ事が出来そうだ。
「実を言うと、ネルフ最高幹部とゼーレは、最後の目的が違います」
「どちらも自分達だけの世界と言う訳か」
「ええ、まだ、ネルフの方がマシですが、50歩100歩です。」
「で、日本政府はどうすれば良い?」
「先ずは、ゼーレをどうにかしなければいけません。恐らく、日本政府がネルフ側につけば、世界中の軍隊の一斉投入によって日本に攻め込むでしょう」
「・・・しかし、よしんば勝てたとしても」
「それは御安心を、ネルフ側のインパクトに最も重要な要素は既に欠けています。その状態でインパクトを起こしても、又不発するだけです。」
「自殺志願者ではないか」
「ええ、世界を相手にする時ですが、その時の為に、いくつかの特殊な兵器の設計図を持ってきました。」
シンジはディスクを机の上に置いた。
「これを、使ってください、尚、戦自内部には既にゼーレの息が掛かっているものがいると思われますので、先ずは大掃除から始めてください。」
「有り難う、感謝する。」
「いえ、礼を言う必要はありません」


松代、実験場付属空港、
ウイングキャリアーが着陸した。
「参号機が着いたわ、明日起動実験よ」
「・・・・わかっとります・・・」
トウジはウイングキャリアーから下ろされる参号機を見詰めた。
前回同様、妹、鈴原ナツのネルフ中央病院入院が引き換え条件である。


ネルフ本部、総司令執務室、
「碇、レイのガードが又瀕死で入院したらしい。」
「・・・何を企んでいる?」
「それと松代からだ。無事、参号機はケージに拘束したそうだ。」
「そうか」


ホテル、シンジの部屋、
ケンスケがコンクリートマイクでシンジの部屋の音を集音した。
・・いやっ・・・
・・・あんっ・・・
・・・もっと〜・・・
ケンスケは心の中で絶叫を上げた。
(うれるぞおおおおおおおお〜〜〜〜!!!!!!!)
ケンスケは、正面に回り、カードキーの代わりに特殊な工具を指し込んだ。
ノートパソコンには様々な文字が踊っている。
「げへへ、もうちょっとだ」
軽く音がしてロックが外れた。
ケンスケは工具を抜き取り、そ〜っと、部屋を開け、ビデオカメラを構え中に入った。
「ねぇ、相田だっけか」
ケンスケは後ろから声をかけられ、恐る恐る振り向いた。
其処には、中にいるはずの、シンジとレイの他、ヒカリや数人の女子が立っていた。
「・・・・」
「・・貴方・・自分が何をやっているのか分かっているの?」
レイの凍て付く視線がケンスケの心臓を鷲掴みにした。
一同は中に入った。
部屋の中央のテーブルの上のレコーダーからループで音声が再生されていた。
シンジはボタンを押し再生を止めた。
「・・さて、どうすれば良いのかな?」
ケンスケは、停学処分と相成った。


翌日、自由行動中、
シンジとレイは浜辺にやって来た。
「う〜ん、良い天気だな〜」
「ええ」
シンジはビーチパラソルを立ててマットを敷いた。
「行こうか」
レイは頷いた。
二人は海に入った。
海中、
魚の群れが泳いで来た。
魚はレイの周りに集まって来た。
(心が綺麗なのが分かるんだね)
レイはポッと顔を赤くした。
シンジはポシェットから餌の袋を取り出した。
(綾波、これを)
レイは餌の袋を受け取り、中身を掌に乗せた。
魚達はレイの掌に集まって餌を食べている。
(ふふふ)
レイは笑顔を浮かべた。


松代、実験ケージ、
参号機が何事も無く起動した。
司令室、
「シンクロ率は32.5%か、3人には遠く及ばないわね・・・」
「そうですね」
ネルフ本部内では階級は余り大きな意味は持たないが対外的なものとなると異なる為、作戦副部長3佐が、作戦部の代表として来ている。


翌日、浅間山、
ミサトと日向が調査にやって来ていた。
「ぎりぎりですが、間に合いました。パターンブルー、間違いなく使徒です。」
ミサトは所長の方を振り返った。
「以後、この件に関する一切の指揮権はネルフが取ります。尚、過去24時間の一切の情報を封鎖します。」
一般職員を退室させると日向は直ぐに映像などの分析に掛かった。
「・・・葛城さん、これを」
モニターには微弱なATフィールドに身を包んだ使徒の幼体らしきものが映っていた。
「・・・日向君、使徒捕獲の最優先の特令何だっけ?」
「え?確か、A−17だったと思いますが・・・あれは、」
「そっ、ありがとね」
笑顔で礼を言いミサトは電話を掛ける為に部屋を出て行った。


ネルフ本部、総司令執務室、
「葛城准尉から、A−17の発動要請が来ましたが、いかがなさいます?」
「・・・だめだ、これ以上日本との関係を悪化させるわけにはいかん」
「では、いかがなさいますか?」
「・・・仕方が無い、呼び戻せ」


数時間後、ネルフ本部、作戦会議室、
「・・休暇返上でお仕事か・・まあ、仕方ないですね、で、使徒は?」
使徒の映像やデータが表示された。
「・・・困りましたね、」
「どうする?」
「NN爆雷を使いましょう」
「し、しかし、それでは環境に与える影響が余りにも」
職員が反論した。
「エヴァ3機を火口に配置、爆発エネルギーをATフィールドによって上空に逃がします。」
リツコは直ぐにマギにアクセスした。
「作戦成功率は、90.88%よ」
「問題ありませんね、使徒が羽化する前に直ぐに出ましょう」
ミサト以外の職員が一斉に立ち上がった。
一方、独断によるA−17の発令要請を出し却下され、尚且つ、勤務状況、特令の内容を把握していなかった件、A−17の発令を通常回線で要請した為に盗聴され、株価の下落を招いた事などで、曹長に降格に成ったミサトは屈辱に拳を震わせていた。


総司令執務室、
「伊吹1尉入ります。」
マヤが執務室に入った。
「なんだね?」
「いえ、坑ATフィールド兵器が出来ましたので、報告に」
「何!!」
「どうぞ」
データでは、日重の坑ATフィールド兵器よりも優秀のようである。
「・・・伊吹君、早速作り給え」
「はい!」
マヤは小走りに駆けて行った。
「碇、どうする?彼女は、赤木博士よりも遥かに優秀だぞ」
「・・・計画担当者を変えるか?」
「しかし、彼女が計画に賛同するかね」
「・・・問題無い・・・」
碇はにやりと笑った。


伊吹研究室、
『私だ』
碇の突然の訪問に驚いたが、マヤは直ぐに扉を開けた。
「はい、っ」
碇はスプレーのガスをマヤの顔に吹き付けた。
「な・・あ・・・ぁ・・・」
マヤは直ぐに気を失い倒れた。
碇はマヤを抱き抱え、どこかへと運んだ。


浅間山、司令所、
「嫌よ!!どうしてこんな奴の作戦に従わなきゃなんないのよ!!」
「作戦なのしょうがないじゃない!!」
「どうして末端のパイロットなんかが作戦の立案権を持ってんのよ!!」
それは自分も末端のパイロットだと認めているわけで?
「司令との交渉なんだからしょうがないじゃない!!」
「へん!!司令の息子だからって事でエヴァに乗ってるようなボンボンに従えるわけ無いでしょうが!!」
「私だってしたがいたきゃ無いわよ!!大体私が作戦部長なのよ!!」
「だったらミサトが有効な案出しなさいよ!!」
ミサトとアスカの言い争いが続いていた。
「葛城曹長、セカンドチルドレンの両名を拘束せよ」
「「「はっ」」」
黒服がシンジの命令で両名を拘束した。
「「離しなさいよ!!」」
「葛城曹長、上司侮辱罪に加え、根拠も無しに作戦部としての決議に反対し組織の根底を覆すような行為、君の作戦指揮権を一時的に停止し、処分は司令部に任せる。」
「セカンドチルドレンも、同様の罪である。」
アスカは太平洋艦隊の時の表情に匹敵する表情でシンジを睨み付けた。
ミサトも凄まじい表情で睨んでいる。
シンジは流石に視線を逸らした。
シンジの後ろからその顔を見てしまった職員は失禁した。
「両名を連行せよ」
「きいい〜〜〜!!!」
「離しなさいいい!!」
二人は連行されて行った。
「殺してやる〜〜!!!」
シンジはその言葉に顔を顰めた。
後には気絶した黒服が30名ほど転がっていたそうな・・・
「あの・・・2機で大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫です。ね、綾波」
「ええ」
レイが浮かべる笑みは男女を問わず職員達を魅了した。


火口、2体のエヴァはATフィールドを半円状に展開し、二つを繋げて円筒状にした。
二人だからこそ出来る展開である。
やがて、凄まじいエネルギーとマグマが吹き出したが、ATフィールドによって遮断された。


ミサトは又降格で、1曹になった。司令部は遊んでいるのだろうか?そして、指揮権の所在に関しては、司令部に判断は一任される事も発表された。つまり、まだ、ミサトに作戦指揮権を与えている。
アスカは、5日間の拘禁刑となった。


ネルフ本部、総司令執務室、
「赤木博士、間も無く第2支部で伍号機へのSS機関搭載実験が始まる。君は、その指揮を取ってもらいたい」
リツコは身体を振るわせた。
「尚、その間、E計画責任者と技術部長には、伊吹3佐を代理としておく」


ダミープラント、
冬月が素体を数体水槽から取り出し、別室の古い水槽の方に移した。
「全く・・人使いが荒いぞ」
冬月は愚痴を言ってダミープラントを後にした。


中央回廊、
リツコはとぼとぼと歩いていた。
「・・・母さん・・・・私も・・・・私も・・・捨てられたわ・・・・」
「・・・・・・うう・・・」
リツコはその場に泣き崩れた。
半時間後、リツコは、ダミープラントに向かった。


ダミープラント、
リツコは半分夢遊病者の様に危うい足取りでゲートまで辿り着いた。
リツコはレベル7の自分のIDカードをスリットに通した。
ゲートがゆっくりと開いた。
リツコは中に進み入り、コントローラーを手に取り照明をつけた。
水槽に浮かぶ素体の姿がはっきりと現れた。
「・・・ふ・・・・ふふふ・・・・」
リツコはボタンを押した。
水槽に浮かぶ素体がばらばらになって崩れていく。
「ふふふ、あはは、ははははははは!!」
「あっはっははは!!」
リツコは狂った笑いを上げ続けた。


数日後、シンジの家、
漸くシンジはリツコが飛ばされた事を知った。
「予想よりも少し早いかな?」
「・・何が?」
「リツコさんが第2支部に飛ばされた」
「用済みね」
「多分前回同様、素体を破壊したんだろうな」
「でも、今回は、予想できる行為よ」
「うん、多分対策はしてあると思うよ、それよりも、綾波は良いの?」
「構わないわ、あれは、私ではないもの」
「そうだね」
シンジは笑みを浮かべた。


半月後、第3新東京市立第壱中学校、
今日も二人はラブラブしていた。
もはやこれが通常の状態として固まったようである。
「え〜保護者懇談会の事で」
(・・マトリエルが来るな)
(停電ね)
(あれ、どこの組織がやったんだろう)
(知らない)


ネルフ本部、ジオフロントゲート、
3人が到着した。
アスカはIDカードを機械に通したが、無反応だった。
「・・・どうなってんの?」
(やられたわね)
(うん)
アスカは機械に蹴りを入れている。
「きいい〜〜〜!!!」
機械が破壊された。
「・・碇君、行きましょ」
「うん」
二人は非常通路に向かった。
「どこに行くのよ!!!」
「発令所だ。マニュアルくらい読め猿」
「きいいい〜〜〜!!!」
少し・・・いや、かなり、やり取りがあったが、分岐路まで来た。
「右ね」
「左だと思うわ」
「アタシが右って言ったら右よ!!」
「じゃあ、君は右に向かいなよ、僕等は左に行くから」
「へん!、発令所で待ってるわ!アンタ等が遅刻して、処分されるのが楽しみだわ!」
どこからそんな自信が沸いてくるのか勝ち誇ったかのような表情である。
・・・・
・・・・
(碇君、足音)
(え?)
前方から複数名の足音が聞こえる。
「・・侵入者か」
「綾波」
レイは頷き、拳銃を取り出した。
侵入者達は8名だった。
「チルドレンだな」
「・・・そうだと言ったら?」
「いっしょに来てもらおう」
レイは殺気を放った。
8人は何か言葉を漏らした後完全に硬直化した。
まさか、訓練を受けたとは言え、普通の人間が、リリスを取りこんだレイの殺気を受け止められるはずが無い。
シンジは飛び出した。
シンジは暗い事を良い事にATフィールドで拳を固め鉄拳を撃ち込んだ。
レイは殺気を放ったまま、拳銃で後ろにいた者の頭部を撃ち抜いた。
・・・
全員血と肉の塊に変わった。
「行こう」
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
「きぃやああああああああああ〜〜〜〜〜!!!!!!!」
アスカの絶叫が辺りに響き何度も反響した。


第3新東京市上空、ウイングキャリアー、
マヤがトウジに説明をしていた。
この半月で、マヤは、可愛いと言うよりも綺麗と言った方があうようになり、化粧も少し厚くなり、以前とはまるで別人である。
「準備は良いわね」
『ええです』
「本部はどう言う状況下分からないけれど、今は、サポートは無いと思って」
『わかっとります』
「ケンスケ君も良いわね」
マヤはもう一機のウイングキャリアーに搭載されている四号機に回線を開いた。
『お任せを!この相田ケンスケ3尉が目標を殲滅するであります!』
ケンスケは、エヴァを思い切り操れる。その事に歓喜を感じていた。
「ふふふ、お願いね」
マヤは回線を切った。
「投下1分前です」
マヤはモニターに映るマトリエルを睨んだ。


ネルフ本部、発令所、
「・・碇、伊吹博士と連絡が取れんぞ」
碇は眉間に皺を寄せた。
どこから持ってきたのか二人の側には氷柱が置かれ、メインフロアーで日向、青葉とマヤの後継の碧南ルイ2尉が暑さで苦しむ中、二人は涼しげだった。
「・・・しかし、伊吹君はこんな時にも役に立つな」
「ああ、婆さんは用済みだ」
碇はにやりと笑みを浮かべた。
良くは分からないが、どうやら、この氷柱はマヤが関係しているらしい。
扉が蹴破られた。
「葛城1曹、只今到着しました!」
「碇、備品を壊したぞ」
「・・まあ、仕方なかろう・・・葛城1曹、指揮を」
「はい!現状報告!」
・・・
「第45ラインに人員を派遣して!」
「復旧の際にはマギにダミーを流させなさい!」
「保安部はチルドレンの確保を最優先に!」
ミサトの指令を受けた職員が次々に発令所から走って出て行く。
数ヶ月振りにミサトが役に立つのかもしれない。
戦術作戦指揮以外で役に立つとは・・・


第3新東京市市内、
黒い参号機と白い四号機がソニックグレイブを手に飛び降り、マトリエルを串刺しにした。
マトリエルは強酸性の体液を撒き散らした。
両機は、兵装ビルを破壊し、パレットガンを取りだし全弾マトリエルに向けて放った。
マトリエルの形が少しずつではあるが崩壊していく。
マトリエルは何とかソニックグレイブを抜こうとしているが体の構造上不可能である。
酸によって溶け切るにはまだ時間が掛かる。
参号機はスマッシュホーク、四号機は円環式陽電子砲を手に取った。
参号機が足を切断し、四号機はボディを攻撃した。
殆ど動かなくなったマトリエルに四号機は接近し、零距離射撃でボディを吹き飛ばした。
凄まじい量の体液が飛び散り市街を溶かした。
両機は、ウイングキャリアーに回収された。
暫くして、射出口の蓋を蹴破り初号機が現れた。
「・・・なんだ・・これ・・・・」
肉片と化しているマトリエルと白煙を上げながら今も尚溶けている市街。
レイもシンジと同じ心境であった。


大幅に遅刻したアスカは、厳重注意を食らった。


翌日、人類補完委員会、
「碇君、先の戦闘、参号機と四号機だけで使徒を殲滅したそうだね」
「はい、報告書の通りだと思いますが、何分妨害工作を受けまして、情報は不充分です」
「サードそろそろ不用なのではないか?」
「まだそれは早計かと、使徒の戦力は個体差がかなり大きく、不安が残ります」
「サードの動きはどうだ?」
「大きな動きは、ありませんが」
「・・・今しばらく様子を見よう、」
キールが締めた。

あとがき
うわ・・・葛城1曹・・・・やり過ぎか?
マヤが髭の毒牙に掛かってしまいました。
この話は、逆行編を元に編集をしていますので、未修正の部分が残っている可能性もあります。
見つけられましたら御一報下さい。
かなりダークになりそうな予感、特に次回は壮絶です。
下書きでは、アスカは、逆行編と同じなのですが、それでもその後が心配に成るほど
これから、アスカをノーマル・・・いや、この狂気のアスカに変える訳で・・・
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