背徳 逆行編

第9話

◆導かれる答え

ネルフ本部、ジオフロント降下エスカレーター、
アスカが4段抜かしでエスカレーターを駆け下りている。
もし足を滑らせたらただでは済まない。
しかし、無事降り切り、エレベーターに乗りケージに向かった。
「・・・ゼーレ・・・絶対に許さない・・」
アスカは拳を強く握り締めた。


その後、搭乗し、待機に入った。
「・・・作戦は?」
『今、暫く待ってくれ』


発令所、
「目標、動きませんね、」
「・・とすると、ここを直接攻撃する能力を持ち、その機会を窺っていると見るべきだな・・・有効な攻撃方法は?」
ミサトならば、エヴァを射出してから考えていた事だろう。
「・・出力から考えても、ヤシマ作戦の数倍のエネルギーが必要かと・・・」
「初号機以外には無理か・・・初号機は?」
「完全に沈黙を守っています。」
「・・・手は無しか・・・対宇宙用の指向性NNミサイルは?」
「まだ、未完です」
加賀は腕を組んで考え込んだ。
「セカンドチルドレン」
碇が呼びかけた。
『・・はい』
「ドグマを降りて槍を使え」
「「な!!ロンギヌスの槍を!?」」
ロンギヌスの槍に関して知っている、冬月や日向が驚きの声を発した。
「碇、ロンギヌスの槍は拙いぞ!」
委員会の許可無くロンギヌスの槍を使用したとなると、一体どれほどの問題に発展するやら、委員会、そしてゼーレへの反逆と取られる可能性が高い。今、マヤもいなく、零号機も初号機も使えず、ダミーシステムも当然使えない、そのような展開になって果たして良いものか・・・
「倒す手段があるならば出し惜しむわけにはいかん、そうだろう?」
加賀はレベル5で閲覧できるロンギヌスの槍に関する情報を思い出し、判断を下した。
しかし、実際に正しい判断を下すにはレベル6以上の情報も判断には必要なのだが、
「その通りであります。」
「弐号機をターミナルドグマに下ろせ!!」
碇はにやりと笑った。


セントラルドグマ、メインシャフト、
弐号機が下ろされていた。
閉鎖隔壁が開放されターミナルドグマまでの道が開いた。
「・・・ターミナルドグマ・・・」
やがて、弐号機はターミナルドグマに入った。
弐号機は最深層へと進みリリスの前に立った。
アスカはリリスをじっと見詰めた。
「・・これが、アダム・・そして、ロンギヌスの槍・・」
弐号機はロンギヌスの槍に手をかけ、そして引き抜いた。
「目標は・・・・」
アスカの瞳は怒りに満ちていた。


地上、
弐号機がロンギヌスの槍を構えた。
望遠映像に映るアラエルの大きさは、そんなに大きくは無い。とは言え、直接の光学望遠ではこれが限界である。
『弐号機投合体勢に入りました』
アラエルが精神攻撃を掛けてきた。
「きゃああああ!!!!!!!」
深層心理にまで干渉し自我を崩壊させようとする強力な精神攻撃である。
「くおおおおおお!!!!!」
弐号機はロンギヌスの槍を投射した。
しかし、全く的外れな方向に飛んで行った。
「いやあああああ!!!!!」
アスカは頭を抱えて全身を激しく動かした。


上空、
ロンギヌスの槍は突然向きを変え、アラエルを目指した。
アラエルはそれに気付き、精神攻撃を止め全てをATフィールドに回した。
しかし、ATフィールドは、紙屑の様に貫かれ、アラエルは宇宙の塵になった。


ネルフ本部発令所、
「パイロットは生存を確認」
「しかし、精神パルスがかなり乱れています!」
「弐号機の回収を急げ!!」
「了解!!」
「・・槍はどうなった?」
「はい・・何!!」
青葉が叫んだ。
「どうした!?」
「はい!!、ロンギヌスの槍は地球引力に引き戻され、高度を下げています」
「・・碇・・」
「・・むうぅ・・」
「どこに落ちる?」
「少しお待ちを」
「ロンギヌスの槍加速しています!!現在高度120万!!」
「速度は、秒速800キロメートル!!」
「早過ぎるぞ!!」
「更に加速しています!!ありえません!!加速し過ぎです!!」
「高度85万!!」
「日本上空を通過!!」
「出ました!!ヨーロッパのどこかです!!」
そして、ドイツ南部に着弾し、ヨーロッパ中央部を抉り取った。


ゼーレ、
モノリスの数が10に減っていた。
「碇の背任は明らか」
「国際連合軍を差し向けた」
「エヴァは?」
「全て搭載済みだ」
「後は、アルミサエルだ、タブリスは?」
「補完委員会の名の元で直接送りこんだ」
「キールと欧州本部(第3支部)を失った事は痛手だ、だが、ロンギヌスの槍が我等の手に戻った。」
「ロンギヌスの槍を宇宙に葬ろうとしたようだが、失敗に終わったな」
「約束の時は間近だ」
「補完計画の成功を祈る。」


ネルフ中央病院、
アスカは凄まじい不快感に胃の中の物を全て吐いていた。
「ぐっ・・・あうっ・・・」
「うぐっ」
アスカは胃液を吐いた。
「・・・又・・・あいつにやられちゃったわね・・・・」
小さな呟きが妙に病室に響いた。


第3新東京市市街、
爆心地付近の瓦礫の中から、殆ど無傷のレイとマヤが戦自によって救出された。
戦自は、このことを伏せ、二人を戦略自衛隊病院に運んだ。


ネルフ本部、総司令執務室、
「・・碇、どうする?」
「・・・ここに来て・・・何故だ?」
愚かにも、ここまで順調だったとでも思っていたようだ。
シンジとレイが回帰した瞬間から計画の破綻は決まっていたのに、最も、当初予想された破綻とは全く違う破綻の仕方だったが、
「零号機と伊吹博士が使えないとなると・・・初号機を考えた方が良いのではないのか?今、ゼーレと遣り合っても負けしかありえないぞ」
「・・・・むう・・・・」
碇はサルベージを命じた。
担当者は、碧南ルイ2尉。


2日後、戦略自衛隊病院、特別病室、
レイは目を覚ました。
「気がついたかね」
竹下がベッドの脇に立っていた。
「・・首相・・」
「伊吹博士も無事だ、」
レイはほっと一息ついた。
「二人の生存はネルフには伝わっていない。これからどうするかね?」
「・・・マヤさんと話し合います」
「分かった。後で呼ぼう、」


翌日、第2新東京市、新千代田区首相官邸、第1執務室、
竹下、レイ、マヤの3人が話し合っていた。
先ずは、情報交換からであった。
持っている情報を交換し合った。
最も、レイは、言えない事が多すぎたが、
「君達の存在は、対ゼーレで大きな武器になる」
「ええ、」
「対ゼーレ用の兵器の準備は?」
「進んでいる。見るかね」
「はい」
3人はヘリに乗り、戦自の基地に向かった。


戦略自衛隊基地、
ATレールガンが置かれていた。
「・・凄いですね・・」
「これも、碇ユイ博士の設計図通りに作っただけだ。」
「・・破壊力は?」
竹下の携帯が鳴った。
「ちょっと失礼」
「ああ、私だ」
「ん、そうか、」
「ああ、宜しく頼む」
竹下は携帯を切った。
「サルベージ計画が命令されたらしい」
「本当ですか?」
「・・現在の戦力から考えれば、初号機抜きではきついとの判断ね」
「やはり、SS機関かね」
「ええ、恐らくは、」
「・・碇君・・」
レイは胸の前で手を合わせ祈るような仕種をした。
「・・他の兵器も見て回るかね?」
「あ、はい」
そう答えたマヤの表情は、久しぶりに純粋な笑顔を浮かべていた。
その後、見せられた新兵器は凄まじいものばかりだった。
最も、その多くは、未来でマヤが開発したものにユイの知識と技術を加え、更に、対人用に改良されたものではあったが、


翌日、ネルフ本部ケージ、
アスカが初号機を見上げていた。
「・・アンタが何の考えも無しに、LCLに戻るはずが無い、なんか考えがあるんでしょ」
「でも、だからと言って、レイを心配させてどうすんのよ・・・」
「・・バカシンジ・・」


総司令執務室、
「・・参号機の戦力アップをする・・」
「ん?どうやってそんな事をするのだ?」
「・・・コアにもう一つ魂を込める」
「・・・なるほど、だが・・・碇、まさか、フォースの妹を?」
「ああ、既に命令を下した」


第3新東京市上空、機動ヘリ、
トウジが、妹のナツの容態が急変したとの連絡を受け大急ぎで向かっていた。
そして、着陸すると同じにトウジは飛び出し、集中治療室に向かった。
・・・
「あれ、確か君は・・」
「鈴原ナツの兄の鈴原トウジです!妹は!?ナツは!?」
医師は目を伏せた。
「こっちだ」
医師はトウジを集中治療室に案内した。
ガラスの向こうの集中治療室には精巧な鈴原ナツの人形が寝かされている。
現在、完全面会謝絶となっている。
医師達が演技をしている。
ガラス越しに、トウジはじっと見詰めてた。
「ナツ・・」
「今夜が山場だろう、中に入る事は出来ないがここでついていて上げなさい」
「・・はい・・」
トウジは神に妹の無事を祈ったのかもしれない。
自分達が神を使いを惨殺していると言うのに、都合の良い事だ。


松代、実験場、ケージ、
カプセルと参号機のコアが様々なコードで繋がれた。
カプセルが光り始め、ナツは目を覚ました。
「な、なにこれ!」
「いや!いやああああ!!!」
「たすけてええええええええええ!!!!!」
ひときわ大きな悲鳴を上げた後、ナツは魂が抜け、生ける屍となった。


深夜、ネルフ中央病院、特別病室、
病室には、ナツの生ける屍が戻された。
「峠は越えましたが、原因が不明である以上、なんとも言えません」
トウジは医師に向かって頭を下げた。
この、医師達、そして、ネルフこそがナツの魂を奪ったと言う事は知らずに、
その夜、トウジはナツの抜け殻の手を握り締め、話し掛けつづけた。


3日後、ネルフ本部ケージ、司令室、
マヤが草案を作っていたため、サルベージが早速行われる事に成った。
作業は順調に進んでいく、
「パルス確認!!」
「え?・・・二つ?」
碧南の声に碇と冬月が勢い良く立ち上がった。
モニターにシンジとユイの姿が映った。
「ユイィイイイイイ!!!!」
「ユイ君!!」
もはや二人にはシンジなど視界に入っていない。
二人は全力でケージに向かった。
アスカはほっとした表情でモニターに映る二人を見ていた。
「・・・おかえり・・・」


ケージ、
エントリープラグがイジェクトされ、二人が運び出された。
二人はユイに付き添い、そのまま中央病院に向かった。
その直後、シンジが意識を取り戻した。
「おい、大丈夫か!?」
シンジは首を振った。
「・・・どうやら、大丈夫なようだ・・綾波はどこだ?」
医師達は、レイの主治医である。それが誰か知っている。
「・・・後で、説明する。それよりも、今は・・・」
シンジは、医師と共に歩いて中央病院に向かった。


ネルフ中央病院、特別病室、
二人はユイが目を覚ますのをじっと待っている。
11年間も待っていた、そして、この瞬間の為に、全てを差し出してきた。
その瞬間が迫っていた。
ユイがゆっくりと目を開いた。
「ユイィ!!」
「ユイ君!!」
二人は涙を流し再開を喜んだ。
だが、ユイは目を開いたり閉じたりした後に、こう尋ねた。
「・・・貴方達・・・誰・・・・」

あとがき
如何だったでしょうか?
今回は容量が少ないのですが、ここで、切りたいので、切る事にします。
こんな所で切って休載したら苦情が無数に来そうですね・・・
さて、ユイに何が起こったのでしょうか?
予想が当たった方には、掲載前に、メールで第10話を送ります。
それでは、また