現在、第3新東京市内の公立教育施設は全て休校となっており、第3新東京市立第壱中学校も例に漏れず長期休校と成っている。殆どの者が疎開し、現在、生徒はシンジ、アスカ、レイ、カヲル、トウジの5人が在籍しているだけであり、現在のところ、再開の目処は立ってはいない。 そして、トウジとトウジの妹は別の県の総合病院に入院している。2人とも生体パーツによる治療も完了し、今は、リハビリに入っている。二人の状況は定例報告のみで伝えられている。保安上の都合から、リハビリが完了するまで・・・せめて全力疾走が出来る能力とそれが持つだけの体力が回復するまでは、チルドレン同士の接触は極力避けるようにされている。 カヲルは本部で様々な実験を受けていて、現在のところ、他のチルドレンとの接触は断たれている状態である。 4月20日(水曜日)A.M.10:01、葛城ミサト宅のリビングでアスカがテレビを見ていた。 『本日、東京帝国グループと、日本国政府の間で、東京一都市化計画が正式に合意され、これによって』 「アスカ〜」 「あに?」 シンジは、アスカの横に腰を下ろした。 『仙台市を第4新東京市とし』 「使徒戦のごたごたで実感無いけど、僕達ってもう3年なんだよね」 アスカはチーズ蒸しパイケーキカスタードクリーム&生クリーム入りを頬張っている。 「だぁら?」 「アスカは高校どうするの?」 「ふぇ〜と」 『A.S.35年までには、』 アスカは全く考えていなかった事に気づいた。 既に、飛び級で大学を卒業し、別に高校に進学する必要は無い・・・かと言って、このままと言うのもまた少し虚しい 。 「アスカ、食べながら喋らない方が良いよ」 「ゴックン・・・・そうね・・・シンジはどうするの?」 シンジの意見を聞いてみる事にした。 「消えちゃったり、残っていても休校ばかりって事も有るけど・・このあたりには手ごろな高校が無いんだよね。母さ ん達が許してくれたら、大都市辺りに出て見てもいいかもって思ってはいるんだけど・・・」 折角ユイが復活したのに・・・と後ろ髪が引かれる思いもある様である。 「ふ〜ん、東京のEコースか、第2新東京市立第弐高等学校の進学か、名古屋の進学ってとこ?」 アスカは知っている高校を並べた。 「う〜ん・・・大体その辺りかなぁ?・・・アスカはやっぱり、東京のA?」 『第6新東京市には、大規模な空港を建設し、日本の』 日本、いや、地球連邦最高峰の超進学校である。東京帝国グループに所属する高校であり、そのトップに位置するAコースは桁外れのレベルである。 「う〜〜〜ん」 過剰とも言える受験競争が起こっている日本の上位大学の入学レベルがどんなものかは知らないが、天才である自分ならば3年もあれば独学ででも上位入学できるだろう。ならば、あえて、超一流進学校に行く必要は無い。 高校生の生活を楽しむと言うのが主な目的になるであろう。その為には、シンジはいっしょにいた方が絶対的に良い。 だが、シンジにあわせて、平々凡々な進学校に進むのは流石に嫌である。 ・・・・ ・・・・ そして、暫く悩んだ結果、アスカは口を開いた。 「シンジ、名古屋の特進にしなさい、」 「はぁ?」 『では、次のニュースです。』 「一緒に名古屋の特進に行くわよ!」 「勝手に決めないでよ。て言うか、無理だよそんなの」 「男だったら偏差値の5や10上げてみせんか〜い!!」 アスカは更に強引且つ無茶な事を言い出した。 「・・なら私も名古屋の特進にするわ、」 「だあぁぁぁああああああああ!!!」 何時の間にそこにいたのか突然声を発したレイの存在に吃驚仰天した。 「あ、綾波・・」 「ファ、ファースト、どうしてアンタこんな所にいるのよ!!?」 結構うろたえているようだ。 『今日、クルノウェル火星連邦大統領が訪日し』 「・・いつも通り来ただけだけど、」 アスカは軽く深呼吸をして気持ちを落ちつかせる。 「・・そう言えば、そうだったわね・・・、」 「でも綾波・・あの名古屋って、」 「・・別に問題無いわ。」 シンジはそれが自分と同じ学校になるからだと言う事に気付き、少し顔を赤くした。 そして、一方のアスカはどこか不愉快そうだった。 A.M.11:00、ネルフ本部技術棟のとある実験室、 LCLと思われる液体に満たされたカプセルの中にカヲルが裸で入っている。 「第16回解析開始」 「データー抽出開始します。」 ・・・・ ・・・・ マヤはモニターから顔を背けている。 それに気付いたリツコは歩みより耳元でそっと囁いた。 「どうしたの、マヤ?」 「だって・・・」 マヤは俯いた。 「単なる蛙の解剖だと思えば良いのよ、」 「私・・解剖・・全部欠席してます・・・気分が悪くなるから・・」 「別に血が出たりするわけじゃないわよ」 「そう言うのじゃなくて、・・あの、その・・・」 少し表情を赤くしている。 その意味が分からず、リツコは軽く首を傾げて考え始めた。 「・・・・・なるほどね。分かったわ、ルイと変わって良いわ。」 「じゃあ、お言葉に甘えて、」 そそくさとマヤは部屋を出て行った。 「ルイ、マヤの代わりして、」 「はい」 碧南が先ほどまでマヤが座っていた席につき、機器を操作し始めた。 「さて、皆、実験の数は沢山あるんだから、急いで、」 「「「「「「はい」」」」」」 時期はわからないが、本部での実験が終了した後、第1支部移送と言う事も考えれば、カヲルがシンジ達と同じ学校に進学すると言う事は無理であろう。 夕方、アスカはある番組をじっと見ていた。 旅行の番組のようだ。 番組を見ている間にだんだん旅行に行きたく成ってきた。 そして、去年使徒戦に備える待機で行く事ができなかった修学旅行の事を思い出した。 (・・・そうね、うん、そうよ!) 何かを考え、自分の頭の中だけで結論を出したアスカは立ち上がった。 「シンジ!!レイ!!」 「・・何?」 「なに〜?」 レイは読んでいた文庫本から視線をアスカに移し答え、又キッチンからはシンジの声が返って来る。 「ゴールデンウィーク旅行に行くわよ!!」 「はぁあ!?」 「・・・なぜ?」 「修学旅行の代わりよ!!使徒のせいで潰されたんだから今年行ってやるのよ!!」 「・・・どこへ?」 「ふ、日本縦断の旅よ!!」 その後色々とあって、最終的にはユイに許可を取る、ミサト等はアスカが捻じ伏せると言う事に決まった。ある意味シンジとレイもアスカに捻じ伏せられたとも言えるかもしれないが 4月21日(木曜日)、夜、ネルフ本部、総司令執務室、 「で、どうだったんですか?」 「う、うむ・・それがな・・やはり、と言うか、途中で話を切り上げられてしまってな」 ユイは軽くこめかみを押さえた。 「まあ、ある意味当然とも言えますね・・」 「で、ちゃんと謝ったんですか?」 「ああ、謝ったには謝ったんだが・・・その後は、話を聞こうとしなくてな・・」 軽く溜息をつく、 「話を聞いてくれるように粘るつもりではいるが、」 「・・そうですか、」 「うむ・・」 「難しいですね・・・」 「・・・ああ、」 4月22日(金曜日)、ネルフ本部副司令執務室、 3人は、ユイの執務室にやってきて紅茶を飲みながら色々と話をしていた。 「・・ところで、貴方達は志望校どうするの?」 「はい、3人揃って、名古屋学園高等部特別進学科の予定です。」 シンジも名古屋学園高等部特別進学科を受験する事が決定しているようで、少し眉を顰める。 アスカの発言にユイは少し驚いたようだ。 「名古屋学園・・・特別進学科・・・か・・・」 何か、或いは誰かを思い出して呟いたようでもある。 「母さん、どうかしたの?」 「ん?いえ、貴方達3人の事想像してたの・・・で、シンジ、」 「うん」 「レイの事を名前で呼びなさい」 ユイはいきなり突飛な事を言い出した。 「「へ?」」 「いつまでも苗字で呼んでいては駄目よ、大体レイはシンジの事を名前で呼んでいるのに、不自然よ」 「え、で、でも・・」 突然の事に戸惑う他無い。 「昔はレイってちゃんと呼んでたのに・・・」 「「・・・覚えてない・・」」 「・・レイ・・綾波って苗字で呼ばれるのとレイって名前で呼ばれるのどちらが良い?」 レイは少し考えた。 一般には、名字で呼ぶ仲よりは、名前で呼び合う仲の方が親密な関係である。 シンジ君との関係が親密である事は、好ましい事・・・等と言う事でも考えていたのだろうか? 「・・・レイ?」 「はい、決定。シンジ、分かったわね。」 「で、でも、母さん」 「・・・・駄目?」 レイが上目づかいにシンジを見つめる。 (あ・・う・・・か、可愛い・・) シンジは又もノックアウトされそうに成っている。 (な、なんでこんな純粋無垢な表情ができるのよ) アスカは少し汗を浮かべて驚いている。 (ん〜、癖まで遺伝したかな〜) 「・・・駄目なの?」 ユイもシンジを上目遣いに見る仕種をして追加攻撃を掛けた。 口元が微妙に歪んでおり、明らかに楽しんでいるのが分かるが、破壊力はかなりのものだ。 「・・・レ、レイ・・・」 シンジは赤くなりながらレイの事を名前で呼んだ。 名前で呼ばれたレイが真っ赤になり俯き、それを見たシンジは更に真っ赤になった。 ・・・・・ ・・・・・ 「アスカちゃん、2人の事、宜しくね」 「・・は、はい・・・あの、ところで、今度のゴールデンウィークに旅行に行っても良いですか?」 「ん・・・去年行けなかった修学旅行の代わりね。もちろん良いわよ、でも、その為には、レイに私服を買ってあげて、」 「はい?」 意外な言葉にアスカは呆気に取られた。 「この子、今は私服なんか1枚も持ってないはずよ」 「・・・・」 「知識だけはあるけど、一般常識は殆ど知らない・・って訳でもないけれど、その必要性を感じてないと言った方が正確かしら?・・・、まあそう言う細かい事は置いておいて、取り敢えず服の事は貴女達に任せるわ」 「・・・・」 「カードは渡すから、アスカちゃんの服も一緒に買って良いわ」 「はいゥ」 最後の一言でアスカは笑顔を浮かべて返事を返した。 4月23日(土曜日)、ミサトのマンション アスカは、耕一に電話を掛けていた。 『はい、秘書課です。』 「あの、セカンドチルドレンの惣流アスカラングレーですけど、会長に繋いでくれますか?」 『・・・少々お待ち下さい。』 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ 『お繋ぎします。』 回線が切り替わった。 『・・アスカか、どうかしたのか?』 「あっ、会長。去年私達使徒の待機任務で修学旅行つぶされちゃったから、その代わりに、今度のゴールデンウィークに日本縦断旅行に行こうと思っているんですけど、」 『ほお、それで?』 「で、折角だったら、豪華に行きたいなぁって思って」 『ふむ、それは良いな・・・そうだな、予算は私が出そう。但し、一つだけ条件があるんだが、』 「・・条件?」 『5月4日に第2新東京市のインペリアルホテルで日本政府主催のパーティーが開かれるんだが、それに代理で出席してくれないか?』 「勿論OKよ」 『そうか、で、その旅行のコースはもう決まっているのか?』 「ちょっと案はあるんだけど、」 その後暫く二人は旅行のコースに付いて話をしていた。 ネルフ本部、技術棟、赤木研究室、 「あの子達、ゴールデンウィークに旅行に行くのね・・」 「ちゃんと保安部に言っておいたわよ、司令部には、ユイさんへ直接言って許可を取ったみたいなんだけどね」 「良いんじゃないですか?」 マヤはコーヒーが入ったカップを、二人の前に置いた。 「ありがと」 「悪いわねぇ」 「いえ、」 「使徒戦で潰してしまったからね・・・せめて、今くらいは自由に何でもさせてやれば良いんじゃないかしら?」 (何?その良い方・・・まるで、自由に何でも出来なくなるって言ってるみたいじゃないのよ) 「・・リツコ、」 リツコはハッと気付いて二人の表情を見た。 同じような表情でじっとリツコの顔を見詰めている。 使徒再来の事は、レベル6の機密事項である。 「・・・ネルフの存続が決まった理由、覚えている?」 「あ、はい」 「その中にあったでしょう、使徒の襲来を予言しエヴァの建造、ネルフ設立の切欠になった予言書、死海文書。・・その死海文書に全ての使徒が記述されているとは限らない、又死海文書自体その全てを発掘しているとは限らない・・・つまり、使徒が漏れている可能性がある。だから、って事ね」 「・・つまり、何時又、脅かされるか分からないって事・・」 ミサトは顔を顰める。 「あくまで、可能性、だけれどね・・・」 研究室に妙な沈黙が訪れてしまった。 ・・・・・ ・・・・・ 『私だけど、ちょっと良いかしら?』 「あ、はい」 リツコはドアを開いて、ユイを迎えた。 「あら、ミサトちゃんにマヤちゃん」 二人はユイに軽く頭を下げた。 「どうぞ、」 リツコはユイに椅子を進めた。 そして、マヤがコーヒーを持ってきた。 「ありがとうね」 「・・で、今日は何でしょうか?」 マヤやミサトがいるこの場では、まさか碇の話は出ないだろうから、リツコはそれなりに余裕があるようだ。 「ええ、零号機のコアの修復と、初号機のコアの交換についてちょっと詰めたかったのと、マギ・・・いえ、新しいスーパーコンピューターについて話したかったんだけど・・」 「新しい、スーパーコンピューターですか・・・」 「ええ、前にも言ったけれど、弐号機のサルベージをするにはマギでは処理能力が足りないわ、」 リツコとマヤは頷いた。 「それを解決する事もあるけれど、処理能力が上がれば様々な面で役に立つわ」 「ええ、」 「そこで、リツコちゃんにその開発を御願いしたいのよ」 「私に・・ですか?」 「ええ、そんなに急ぐわけでもないけれど、それなりに構想を考えておいて欲しいのよ」 「なるほど・・」 マギを超えるスーパーコンピューターの開発・・・嬉しさを感じつつも、大きな戸惑いも感じていた。 ユイは時計に目をやった。 「・・・そうね・・ちょっと早いけど、これから食堂で夕飯にしない?おごるわよ」 「本当ですか♪」 「ええ、」 マヤも笑みを浮かべているが、リツコはやはり複雑な表情をしている。 「そんな顔しないで、さっ、一緒に行きましょ」 「あ、はい、」 職員食堂は時間帯が早いこともあって結構空いていた。 ユイは唐揚げセット、ミサトはサーロインステーキセット、リツコはシーフードカレー、マヤはグラタンセットを頼んだ。 「ミサト・・・いくら驕りだからって・・・」 友人の行動に軽く呆れ、対して本人は苦笑している。 「ふふ、全然構わないわよ、」 ユイはプリペイドカードを提示して会計を済ませた。 そして、窓際の景色の良い席に陣取った。 後から来る職員達は、4人の席の周りには座りづらいようである。 いくらかなりの美女4人とは言え、副司令、技術部部長と副部長、作戦部部長と揃っていては、その近くには座り辛い様だ。 窓の外に見えるジオフロントのゼルエル戦で被った大きな被害もほぼ修復されている。 4人は、色々と話をしながら食事を取った。 夜、第3新東京市、リツコのマンション、 リツコはブランデーが入ったグラスを軽く振って中に入っている液体を見詰めた。 「・・どう言うつもりなのかしら・・・」 しかし、新しいスーパーコンピューターの開発・・それも急がないと言う事は、リツコがネルフを追われると言う事は無い・・・ オフィシャルだけでなくプライベートでも関わろうとする事から、リツコの事を悪くは思っていないと言うことか・・・ ・・・・・ ・・・・・ 暫くしてバスルームからマヤが出てきた。 「・・マヤ、貴女も飲む?」 「あ、はい、お願いします。」 リツコは別のグラスにブランデーを注いだ。 4月24日(日曜日)、新横須賀市、第4帝国百貨店、婦人服売り場、 レイの服を買うために、シンジ、レイ、アスカの3人は電車に乗ってここまでやって来た。 アスカは売り場を見渡した。 「さてと、レイにはどんな服が似合うかしら?」 ちょっとレイの私服のイメージを思い浮かべてみる 「う〜ん、イメージしにくいなぁ・・・制服とプラグスーツと水着と裸しか見たこと無いからな〜」 「そうね〜・・・・・」 どうも、アスカもシンジと似たような物らしい。 「・・・・・・ん?シンジ、今、なんて言った?」 「あ・・・・」 シンジは凄まじい失言に気付いた。 「どう言う事よ!!」 「あ、あの、あれは、そ、そその、」 完全にうろたえきっている。 「8月1日土曜日の事ね、」 「詳しく説明してもらいましょ〜か」 ぐぅ〜っと顔をシンジに近付けて迫る。 凄い迫力である。 「で、でも、ここじゃ、」 アスカは周囲を見まわした。 超美少女2人を連れた少年、そして、痴話喧嘩?・・・周囲の客の視線を一手に集めている。 どんな内容かは良く分からないが、ここで話すのは流石に辛いだろうし、内容によっては自分も辛くなりそうである。 「後で、た〜っぷり白状してもらうわ」 シンジはカクッとうな垂れた。 ・・・・ ・・・・ 10分後、シンジは飾り気の無いシンプルな、薄く青みがかった白いワンピースを見詰めていた。 「綾な・・・レイに似合うかな?」 「・・・そう?」 「多分・・・着て見る?」 レイは軽く頷き、そのワンピースを持って試着室に入って行った。 ・・・・ ・・・・ 暫くして、レイが試着室から出て来た。 予想を上回るその可憐さにシンジとアスカの二人は言葉を失った。 「・・・どうしたの?」 「・・・・・・・・あ・・あの・・・その・・・き・・・綺麗だ・・・・・」 (こ、これは予想以上だわ・・) 今まで見慣れていたのが、と言う反面もあるのであろうが、 「・・・・・こんな時、どんな顔をすればいいの?」 「・・・笑ってみたら?」 シンジの言葉に従いレイは微笑みを浮かべた。 「・・・あ・・・」 「うぐ・・・・・」 その純粋な微笑の破壊力にアスカも多少ダメージを受けた物の堪え、レイの微笑みに魅入っているシンジの耳を引っ張った。 「いたたた!」 「何ぼうっとしてんのよ、さっさと次を選ぶわよ!」 ちょっと苛立つ。 その後アスカによって、様々な衣服が選ばれた。 その際、初回ほどのインパクトは無いもののシンジは少し見惚れてしまうような事があり、アスカに耳を引っ張られる結果と成った。 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ 選ばれた服を見てみると、インパクトをつけるために敢えて派手目な服も中にはあるものの、全体的にレイの雰囲気にあわせて落ち着いた服が殆どであり、又皆良く似合っており、アスカのセンスの良さが窺わさせられる。 レイの服を選び終って、その後アスカの買い物をして、今はそれも終わって3人は昼食を取る為に展望レストランにやってきている。 「レイってさ・・・凄いよね」 レイはシンジの左でホットケーキを食べている。 「ん・・・まあ、確かにね。レイが凄いって事は間違い無いわね。」 「うん、」 「・・何が?」 自身のレイは良く理解できていないようだ。 まあ、ある意味当然と言えば当然なのだが、 夜、ミサトのマンション、リビング、 「さて、話を聞かせてもらいましょうか」 アスカはにたりと笑みを浮かべて、シンジに詰め寄った。 「え、あの、その・・・もじもじ・・・」 シンジは赤くなって俯いてしまった。 「シンジに聞いても無駄ね・・・レイ、説明しなさい」 「・・・A.S.15年8月1日土曜日、午前、11時40分ごろ、サードチルドレン碇シンジは、赤木リツコ博士より与えられた、ファーストチルドレン綾波レイの更新されたIDカードをファーストチルドレンに渡す任務遂行のため、ファーストチルドレン自宅、旧第3開拓団地16棟402号室を訪問、その時刻、ファーストチルドレンは、バスルームにて入浴中。サードチルドレンは室内にあった眼鏡に興味を覚え手に取る。同時刻、ファーストチルドレンはバスルームを出て部屋に向かう。その際の着衣は無し」 「わああああ〜〜〜!!!」 何だか雲行きが怪しくなってきたシンジは無理やりその先を言うのを止めさせた。 「シンジ〜それは、何かあったことを自白したみたいなもんよ、で、レイ、何があったの?」 にたにたと嫌な笑いを浮かべながらレイに尋ねた。 「い、言っちゃ駄目だ」 「・・そう・・言わない・・」 素直にシンジの言う事を受け入れたことでほっと息を吐いた。 「言いなさい!」 「・・何故?」 「え?何故って、アタシに隠し事をする事は許さないわよ!」 「・・・そう・・」 「あ、だ、駄目だよ」 レイはシンジの顔をじっと見つめた。 「・・・そう、極秘事項なのね・・」 多少勘違いしている部分もあるようだが、取り敢えず良い方向に動いた様で、再びシンジはほっと息を吐いた。 アスカはこのまま問い詰めても絶対に吐かないだろう事が分かり、考え、そして、レイが先ほど話していたのは、諜報部か保安部辺りの報告書の内容であろう事に気づいた。 にやり笑いを浮かべたアスカは、夜にも関わらずネルフ本部に向かった。 ネルフ本部保安部、中位レベル資料保管庫、 アスカは保管庫に入ろうとして保安部員に止められた。 「こ、困ります」 「あんたの階級は?」 「・・1曹です・・」 「アタシは、3佐、分かったわね」 アスカは保安部員を押しのけ中に入った。 中に収められていたのは物凄い量の資料だった。 「むぅ・・・」 「これは一人でやるのは大変ね・・・・2課!!」 5人ほどがどこからか現れた。 「手伝いなさい」 黒服達は泣きたくなりながらも手伝った。 いまや、階級まで遥か上になっているのだ・・・ それらしい資料を片っ端からあたった。 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ 「これね、」 アスカはお目当ての資料を探し当てた。 「ふむ・・・このディスクね。」 アスカは資料閲覧用のコンピューターにディスクを差し込んだ。 モニターにレイをモデルにしたキャラクターが表示された。 「ほえ?」 「・・・まあ、良いわ、」 そして、それらしい時間帯を選ぶ、 レイのマンションの見取り図のようなものが表示された。 レイをモデルにしたキャラクターが服を脱いでバスールームに入って、シャワーを浴びている。 暫くすると、シンジをモデルにしたキャラクターがやってきて、部屋に入ってきた。 そして、棚に置いてあった眼鏡を手にとる、一方でレイをモデルにしたキャラクターは、バスタオルを肩にかけただけで部屋に向かっていく。 「むっ」 そして、シンジの元につめより、眼鏡を奪い取る。 その際にシンジがバランスを崩して、レイを押し倒す結果になった。 「なんですってぇえええ!!」 よく見るとシンジの手はレイの胸に・・・ アスカの怒りが爆発するかと思いきや、飛び退いたシンジは真っ赤になっているが、一方のレイは平然と着替えをしている。 「ん?」 そして、シンジがなにやら言い訳をしている間に、レイはさっさと部屋を出て行った。 その後、一定の距離をとりつつ、本部に向かっている。 暫く様子を見ることにした。 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ジオフロント降下エスカレーターで、シンジがレイに声をかけた。 暫くして、レイがシンジの方を振り返り、その頬をぶった。 「おっ」 そして、不機嫌そうにエスカレーターを先に降りていった。 一方のシンジは頬を抑えて呆然としている。 そして、モニターを見つめるアスカはにたにたと笑みを浮かべていた。 4月25日(月曜日)、朝、ミサトのマンション、 3人がいつも通りの朝食を食べている。 その時アスカが不意にシンジに声をかけた。 「ねえぇ、シンジ、」 「何?」 「レイとはどこまでやったの?」 「どこまで?」 「例えば、レイの部屋で、押し倒して胸をもみしだくとかさ」 シンジは味噌汁を吹き出し、ミサトの顔に盛大に降りかかった。 「あ、あれは、事故!そう、事故なんだよ!」 「ふ〜ん、認めた訳ね」 「あ・・・」 ミサトは顔を拭いながら漸く解禁されたビールを冷蔵庫から取り出した。 良い肴を見つけた。それが、今のミサトの心情であろう。表情に良く表れている。 その後、暫くの間シンジはミサトにからかわれ続ける事になった。
あとがき 少々強引な形ではありましたが、シンジがレイの事を名前で呼び始めるようになりました。 次回から暫くゴールデンウィークの旅行の話になります。 次回予告 日本縦断旅行に出かけた3人は最初の目的地名古屋に到着する。 ホテルでのレイの告白、厄介に巻き込まれるアスカ、 少年少女は旅先で何を思い何を考え、どう行動するのか? 次回第六話 3人だけの修学旅行、名古屋で