断罪

◆中編

シンジは使徒侵攻の中、いつまでたってもケージから全く反応が無く、混乱の極みにある発令所へと入った。
「碇は!?・・・シンジ君・・・」
皆の視線がシンジに集中する。
「くくく、自らのために妻と再会を果たすためだけに、悪魔の計画、補完計画を実行し、そして、これから世界を破滅させる奴は処刑したよ」
シンジが何を言ったのか理解できず、反応できない、
「・・冬月コウゾウ」
「なんだね?」
少し不機嫌な声で返してくる。
「色ボケ爺が・・・唯一制止出来る立場にいたにもかかわらず、制止しなかった、いやあえてしなかった。その結果、これから世界を破滅に導く」
「何を言っているんだね?」
「到底許されることではない、判決は死刑だ。」
サキエルの攻撃か、施設が揺るがされる。
「むぅ・・」
「くくくくく」
皆これはもうだめだとでも思ったのか悲壮な顔をしている。
シンジはひょいと司令塔に飛び上がった。
「な!!?」
突然目の前に上ってきたシンジに冬月は驚いた。
「苦しめ」
シンジはATフィールドでロンギヌスの槍を形作り、冬月の胸を貫いた。
悲鳴が発令所に木霊する。
「くくく、どうだ、だがお前が愚かな行動を取ったためにこれから苦しむも者の苦しみはこれよりも遥かに大きい。」
冬月も含め発令所の皆はいったい何が何なのか理解できない。
「な・・にを・・」
血を吐きながら何とか言葉を紡ぎ出す。
「死ね、」
もう一本形作り今度は正確に心臓を貫き、再び悲鳴が響き渡る。
「くくく、次は、」
シンジはメインフロアに目を向けた。
メインフロアでは3人のメインオペレーターたちが半ば呆然と司令塔を見上げている。
余りの事で思考が停止してしまったのかもしれない。
「くくく、」
シンジは司令塔から飛び降り、メインフロアに着地する。
施設がゆれる。
「・・サキエルか、僕の邪魔をするな。」
再び施設がゆれる。
「サキエル・・・裁判の妨害は重罪だぞ。」
しかし、サキエルの攻撃による施設のゆれは収まらない。
「・・・裁判を妨害した。判決は死刑だ。・・・暫くそこで待っていろ」
シンジは発令所の空間を切り離して地上へと向かった。


地上に到着すると、サキエルがゆっくりと近づいてきた。
「裁判の妨害により死刑だ。己の罪を後悔して死ね」
シンジはATフィールドで、ロンギヌスの槍を次々と13個形作った。
「はっ」
それをサキエルのコアに向かって飛ばす。
ATフィールドを突き破り次々にコアへと突き刺さる。
「とどめだ」
一際大きい槍を作り出してコアに向けて飛ばす。
コアと、サキエルの体を貫通し、そのまま宇宙へと上っていった。
「ふん。」
シンジは再びネルフ本部へと向かった。
サキエルが崩れ落ち轟音が辺りを包む。


本部に入ると保安部、警備課、諜報部、戦闘局の部隊が次々に襲いかかってきた。
「裁判を妨害するつもりか、お前達も死刑だ。」
銃弾や砲弾はATフィールドで防ぎ、ATフィールドの内側からATフィールドで作った無数の弾を放つ。
見る見る死体の山ができ、通路が血の川へと変わる。
「くくくく、」
シンジは死体を乗り越え、逃げる者たちを追った。
「おとなしく処刑されろ、逃げても無駄だぞ」
追いかけ、一人一人殺していく、
エレベーターホールでエレベーターのドアを叩いている。
「無駄だ。逃げることはできないんだよ」
シンジに気づき再び逃げようとした者をATフィールドの弾で撃ち殺す。
女性職員がエレベーターのドアに背中を付け小水を漏らしている。
「た、たすけて!!」
「だめだ。死ね。」
ATフィールドでロンギヌスの槍を作り出し、女子職員を貫いた。
「くくく、」
シンジは到着したエレベーターに乗って発令所に向かった。


発令所に到着すると、皆恐怖に包まれた表情でシンジを見た。
「くくく、さあ、裁判の再開だ。」
「裁判なんていったい何を言っているの!?」
マヤの悲鳴のような声が漏れる。
「ふん、似非潔癖者のレズ女め」
「な、何を言っているのよ!?」
「うるさい、黙れ、ダミーシステムに罪を感じながらも結局はその開発に荷担し、妙な言葉で自らの行為を正当化する。偽善者め」
何を言っても聞いてくれない・・・マヤは天を仰いだ。
「判決は死刑だ。」
銃声が響いた。
銃弾はシンジに当たる前にATフィールドによって弾かれた。
日向が震える手で拳銃をシンジに向けていた。
「・・・この僕に銃を向けたな」
「あ、ああ・・」
「死ね、」
シンジは無数のATフィールドの弾を作り出し日向に向け放った。
瞬時に日向の体が蜂の巣になって吹っ飛んだ。
「さて、元に戻ろう、」
ATフィールドでロンギヌスの槍を形作りマヤに向ける。
マヤはもうどこか諦めたような目をしている。
「死ね、」
マヤの胸に槍を突き刺した。
発令所に悲鳴が響き渡る。
「・・・次は?」
青葉に視線を移した。
「お、俺っすか!?」
「・・・・青葉シゲル。」
「お、俺は何も!」
「・・・・」
シンジは青葉の罪を考えた。
直ぐには思いつかない。
「・・・・」
「・・・・」
「・・お、おれは・・・」
補完計画中に流れ込んできたイメージを思い出す。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・そうだ、普段影が薄いからって目立つ僕たちのことを羨んでいただろ」
「な、何を言ってるんすか!!??」
「人の気も知らないで、許さない」
シンジはATフィールドでロンギヌスの槍を形作って青葉に向かって歩み寄った。
「ちょ、ちょちょちょっと!!」
「・・・・死ね、」
槍で青葉の体を切り裂き、発令所に再び悲鳴が木霊した。


シンジは一通り処刑して職員食堂でコーヒーを飲んでいた。
「ふぅ・・・次は、ゼーレだな。」
ゼーレの最高委員の居場所はわかっている。
「・・・こちらから行くのは面倒だな・・・」
通信会議室に向かうことにする。
通信会議室に入るとゼーレの通信会議に繋げる。
人類補完委員会ではなく、ゼーレの最高委員会が開かれていた。
12枚のモノリスの中央にシンジが現れる。
電子回路を手繰り、12名の居所をつかむ、
「ここに来い、」
瞬間、12名が通信会議室に瞬間移動させた。
皆パニックになっている。
「くくく、お前たちが愚か極まりない計画を立て、そしてそれを実行したために僕がどれだけつらい目にあったか、」
「何を言っている?」
「大体これはいったいどういうことだ!?」
12人が同時に口々にさまざまなこと言い、聞き取れない。
「くくく、お前たちが悪いんだ。己の行為を後悔して死ね」
再び口々に激しく言ってくるが何を言っているのか分からない。
ATフィールドで12本のロンギヌスの槍を作り出し、それぞれに投げつける。
12人はそれぞれ壁に磔になり悲鳴が反響する。
「くくくく、僕の苦しみからすれば、この程度はたいしたことじゃない」
残酷な笑みを浮かべ無数のATフィールドの針を作り出しそれぞれに次々に飛ばす。
悲鳴が響きつづける。
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
どれだけの時間が経ったのか、やがてその悲鳴も小さくなり遂に途絶えた。
「もう終わりか・・・」
床は血の海になっている。
シンジはさっさとこの部屋を出ることにした。


通路を歩きながら考える。
「・・次はアスカだ・・徹底的に僕を拒絶しつづけたアスカだ。」
「どうするかな?」
「・・・・仕方ない、こちらから行くか、」
シンジはディラックの海を作り出し、それを通ってドイツに飛んだ。


ドイツ第3支部も大混乱になっていた。
当然といえば当然であるが、
シンジは第3支部の正面に降り立った。
警備員たちが突然現れたシンジに驚く、
シンジは、支部内に入ろうとしたが、警備員に止められた。
「・・僕の邪魔をするな」
ATフィールドの剣を作り出して警備員を切り刻む。
警備員たちの屍を乗り越え、支部の中に入った。
警報が鳴り響き、戦闘員が次々に出てくる。
無数の銃弾が放たれるが、全てATフィールドで弾く、
「ちょろちょろと、鬱陶しい!」
無数のATフィールドの弾を作り出して撃つ。
一瞬にして死体の山と血の川が出来上がった。
「ふん」
死体を踏み越えて、奥へと進む。
大きな空間で弐号機がソニックグレイブをもって待ち構えていた。
「弐号機か・・・丁度良い」
『でえやあああ!!!』
弐号機が襲い掛かってくる。
「くくく、そんな人形では意味が無いぞ」
ATフィールドでソニックグレイブを弾く、
『なっ!!??』
「アスカ、僕を拒絶しつづけたアスカ・・・その行為を後悔しながら死ぬがいい」
『な、何わけわかんない事いってんのよ!!??』
「言い訳はいい、死ぬんだ」
ATフィールドで無数のロンギヌスの槍を形作る。
そしてそれを弐号機に向かって放つ、
『きゃあああああああああああああああ!!!!!!』
アスカの絶叫が大音量で響き渡る。
「五月蝿い、黙れ!」
更に作り出して打ち込む、
再び凄まじい悲鳴が響く、
「やかましい!!」
ATフィールドの剣を作り出し弐号機の首を斬った。
悲鳴が途切れ頭部が床へと落ちる。
凄まじい勢いで紫色の血を噴出しながら崩れ落ちる。
「ふん、漸く静かになったか、相変わらず五月蝿い奴だ。」
弐号機の背部の装甲を破壊しエントリープラグを露にしてプラグを斬る。
中から気絶しぐったりとしているアスカを引きずり出す。
「くくく、そうだ、アスカ、今度は犯してあげるよ」
シンジはアスカのプラグスーツを乱雑に破る。


精神が壊れたアスカは、笑みを浮かべながらうわごとのようにぶつぶつと何か呟いている。
「あはは、はは・・ママ・・ははは・・」
「なんだ、この程度で壊れてしまったのか、ふっ、僕を散々苛め、拒絶し続けてきても所詮その程度なんだよ」
シンジは腕をアスカの胎内へと突き入れた。
再びアスカの口から絶叫が漏れる。
「死ね」
胎内でATフィールドの衝撃波を発生させ、アスカの体が一瞬にして消し飛んだ。
「くくくく、さて・・・日本に戻るか・・・その前に、量産機を作り出し僕を苦しめたこいつらをひどい目にあわせないとな」
今までとはけた違いのATフィールドの衝撃波を発生させた。
第3支部が崩壊する。
シンジはディラックの海を作り崩れ落ちる第3支部から脱出した。