「オハッス!」
「チワース!」
「ジャース!」
「ちょーーーー!」
「ちょんわ!ちょんわ!」
ジャングルの朝のような挨拶が、にごった曇り空に轟く。
御仏様の庭に集う野郎達が、今日も羅刹のようなむくつけた顔で、天にそびえる門をくぐり抜けていく。
手入れというものを知らない肉体を包む、濃ゆい色の制服。
正中線は乱さないように、丹田にこめた息は裏返さないように、どっしりと歩くのがここでの掟。
もちろん遅刻を恐れて走り去るなどといった、ふぬけな生徒など生存できようはずもない。
私立花寺学院。
維新後創立のこの学院は、もとは士族の令息のためにつくられたという、伝統ある仏教系若様学校である。
東京都下。武州の心意気を未だに残している謎の多いこの地区で、仏に見守られ、幼稚舎から大学までの一貫教育が受けられる漢の園。
サムライが死に絶え、元号が明治から三回も改まった平成の今日でさえ、一八年間耐え続けられれば、男の蒸し呂上がりの純粋培養大和男子が筋金入りで出荷される、という仕組みが未だ残っている貴重な学院である。
過酷な夏季練習や合宿を生き抜いた秋、一年が真の花寺男子として、二年が花寺の主流として、らしくなってくる季節。
けれどそれは、やっぱり単に甘い考えで、彼らにはこの先様々な試練が待ち受け、汗や涙や血尿を流す暇すらない。
けれどそこは、小さな風がさっと前を吹き抜けていくだけでいきりたつ高校男子。
まして相手がリリアンのお嬢様となれば、日頃の平常心もどこへやら。
どうにも浮かれてしまうようで・・・
「いよいよくるぞ学園祭!学園祭にはリリアンが来る!うほっ!楽しみだ!うほっ!いい女!うほっ!・・・・」
学園祭を間近に控えた花寺の学園祭実行委員会
大元を仕切る生徒会と共に学園祭の細かな仕事をする委員達の中で一人小躍りしているのは今年3年生の鳥蔵 櫂だった。
去年まではアメフト部のエースとして花寺を率い、国内のみならずアメリカの大学からも誘いを受けながら3年になって突然美術部に転向するという大騒ぎを起こした花寺の色々な意味での問題児。
一説ではスカウト攻勢の凄さに嫌気がさしたとも言われるが、文科系と体育会系の軋轢が厳しい花寺にとっては異色中の異色の存在だった。
「そんなにはしゃがなくてもいいんじゃないですか?あまり期待しすぎると後悔しますよ。」
そんな鳥蔵に冷たい言葉を投げかけるのは2年の愛州 忠久
美術部に所属している一見細身のカワイイ系男子だが、家は日本でも3本指に入る武術の宗家で、彼がその気になれば格闘技部の猛者でも捕まえる事はできない。
それプラス、冷徹な口調と容赦のなさで周りから恐れられていた。
花寺文化会系、いや学院全体の中でも、トップクラスの武闘派と言っていいだろう。
普通の生徒なら愛州を恐れ沈黙する所だが、さすが鳥蔵はひるまない。
「アイスに分かってたまるか!家でも親戚でも女の子に囲まれているお前に!」
「女の集団って、恐いですよ」
「何をーこのギャルゲー野郎!、俺なんかなー!俺の家系なんかな〜かわいい姉ちゃん・妹どころか、
お母ちゃんすらいない完全パーフェクトな野郎家族!一族に至っては従兄弟、従々兄弟に爺ちゃん、
曾爺ちゃんまで遡っても、女性は嫁さんまでいれてほんの数人!
ここ30年間で生まれた女の子は、たった一人、一人だけだぞー!
そんな野郎生活の・・・今年、話をした女の子の顔すべてが思い出せる虚しさがお前に分かるかー!」
サンドバック3本を吹き飛ばす迫力で鳥蔵はせまるが、愛州の方もひるまない。
「そんなに虚しいのなら、共学に進めばよかったのに・・・・」
そう愛州がつっこんだ途端、それまでイキリ立っていた鳥蔵は突然情けない顔になった。
「だって、だって、そうすると従姉妹のおねーちゃんにあえないんだもーん!」
「だ、だもーんって」
突然始まった2m近い大男の幼児化現象に愛州を除いたその場にいた全員がめまいを覚える。
「おねーちゃんって、さっきのただ一人の従姉妹?女にあうのになんで男子校にのこるんですか?」
「そのお姉ちゃんがリリアンに行っていたんだっ!
門外不出のリリアンと言えど花寺なら年に数回は交流があるだろう?」
「年に数回の為だけに男子校に残ったんですか!?」
「ふんっ!その通りだ!
ちくしょー、あのおやじに従兄弟共、いつもいつもお姉ちゃんを、独占しやがって!
お姉ちゃんはわが一族のアイドル!喜びも悲しみも逝く年月の観音崎灯台!誰にも独り占めする権利なんかないというのにー!
たまに会える時、お姉ちゃんの側に座るのに何度血を見たことかっ!
あの戦いに比べれば、アメフトなんか子供の遊びだ!」
「うわっ、去年まで自分がやっていた競技をそこまで言う?」
「いいんだ!俺は芸術に生きるんだ!そしてお姉ちゃんと、お姉ちゃんと・・・・
畜生ー!見てろよ!金に頼るだけの親戚どもめ!てめーらが幾ら高価なプレゼント送ろうが、お姉ちゃんの側にいけるのは、もっとも年の近い俺だけだー!」
「高価なって・・・親戚の娘のプレゼントに、そんなに金つかうんですか?」
「もちろん!俺の兄ちゃんなんか結婚指輪まで質に入れてプレゼントを買った為に、新婚の嫁さんに家、車、銀行預貯金すべて取られて離婚されたんだぞ!」
「・・・・あー、頭痛い・・・・」
「そんなの一族では当たり前!ここ10年ほど、わが一族で2年以上耐えられた嫁さんは一人もいない!」
「・・・腐ってる」
「なんの!十数年前、叔母さんが結婚した時なんか、一族のいじめがひどくて新郎は半年で『さがさないでください』と書置きを残して失踪した位だ!
もっとも、そのせいで叔母さんまで家を出てしまったけど
なんでも、母校の学園長を頼って事務員として雇って貰ったらしいが、今でも一族の野郎どもとは絶縁状態で、どうしても連絡を取らなきゃいけない時も手紙かFAXのみで、絶対口きいてくれないって親父が嘆いていたな。
あー、でも、似たような立場のお姉ちゃんにはちょくちょく会って、いろいろとおせっかいを焼いているって・・」
「あーぁ、頭が・・・・」
さしもの愛州も、鳥蔵の一族の脳みそ腐り具合にめまいを覚えた。
その間、鳥蔵は文字通り舞い上がっていた。
「・・・ああ、リリアン・・現代の奇跡!最後の世界文化遺産!砂漠のDrペッパー、嵐の襟裳灯台、乙女の園に集うセラフィムな大天使様、ああ、貴女のためならばわが命すら新年大売出し!・・・・・
貴女の為なら、グランド千周も、ウサギ飛びも、重いコンダラ千トンもドンと来い・・・・」
「あのー、もしもし・・・」
愛州の問いかけも無視して鳥蔵は、周りが退きまくっている事にも気づかずに、完全にイッた目で支離滅裂な独白を続ける。
「・・・・・貴女の為なら、三千本ノックも、脳天への大上段もいといません、お気にさわるのならその白魚のような指で、この首引きちぎられても構いません・・・・・・・・・・」
「ひきちぎるお嬢様がいるかーっ!」
ついにキレタ愛州の指が鳥蔵の耳の近くに突き刺さる!
「あり?・・・」
途端、120kg近い巨体が崩れ落ちる。
「ひっ!」
周りで知らぬ顔をしていた生徒たちから悲鳴が起きた。
「まったく・・・・」
久々に見せられた愛州の点穴攻撃に怯える他生徒とは対照的に、当の鳥蔵は幸せそうな顔で失神している。
彼の息があるのを確認した愛州は「ちっ」と舌打ちすると仕方なさそうに鳥蔵を脚で転がし、うつぶせにすると背中を矯正でもするかのように重みを込めて踏んづけた。
「ふがくっ?」
タイヤが潰れて空気が漏れたような声というか、人間離れした怪音を出した鳥蔵は意識を取り戻す。
まるで冬眠から目覚めた熊のように、しばらくは視点の定まらない目をしていたが、大きく息をすうと
瞬時に復活した。
「ああ、アイスくんに逝かされちゃった・・・(ぽっ)」
「勝手に逝ってろーーーー!
・・・とにかく、私たちの仕事はそのリリアンの生徒に失礼が起きないようにする事もあるんです。
先輩が彼女等を崇拝するのは構いませんが、度が過ぎるようでしたら、完全に裏方に回します!」
「そ、そ、それは困る!ただでさえ生徒会のやつらにおいしい所を持っていかれているんだ。せめてそれだけは・・・」
「だったら、大人しくして下さい。実際気位の高い娘程扱いの難しいものはないんですから、特に今年は気を引き締めた方がいいですよ。なにしろ今期のリリアンにはあの柏木先輩をうならせた人物がいるそうですから。」
「なにー!、あの柏木先輩がうなる女生徒だとー!!」
「ええ、アレがですよ、確か・・・なあヘイゾー、お前が聞いたんだよな?」
愛州が側にいた生徒に声をかけると、それまで知らぬ顔をしていた生徒の一人が答えた。
「えっ!ああ・・確かこの前の休み明けだったかな、例によって突然出没した柏木先輩が『紅薔薇のつぼみは大したものだ』って言ったんですよ・・・・」
「なんとっ!、自己中心的で、気障でナルで、本当は東大に行けるのに『共学なんかイヤだね』とか言ってうちの大学に進んだ柏木先輩が、よりにもよって女を誉めた〜!?」
(何者なんだ?紅薔薇のつぼみ・・・・)
その場にいた生徒の間で動揺が走る。
ざわめきが起こる中一人の生徒がおずおずと声を出した。
「あのー」
「んっ、どうした?」
「・・・じつは口止めされてたんすけど・・・」
「何だ!一体何があった。」
「・・去年の今ごろなんすけど、リリアンに行った柏木先輩が、ほほを腫らして帰ってきたことがあったんす。
しかも、手にはすり傷、体中から銀杏の臭いをまきちらして・・・
俺が『どうしたんすか?』って尋ねたら『いや、何、ちょっと、おふざけをね。
まあ、男にとってレデイの平手打ちの一発くらい、勲章のようなもの、ハハハ・・・・
しかしこれじゃあ、いい男が台無しだ。キミィーどうか黙っていてくたまえよ。』って
今考えると、もしかしたら先輩をぶったのって紅薔薇のつぼみかも・・・・」
「なに!そんな事っ・・・・・・柏木先輩なら納得だな」
鳥蔵の言葉に愛州もうなづく。
「そうですね、唯我独尊な柏木先輩のことです。大方、おふざけが過ぎて、リリアン生徒の怒りを買ったんじゃないですか?」
「だと、思いますけど・・平手一発で銀杏にまみれる程地面に叩きつけられるって、凄くないすか?」
「確かに!地上最強のビンタ・・・・」
そういう生徒の頭の中に、『このふらち物!』と言って柏木を張り倒す、マッスルな女生徒のビジョンが浮かんだ。
「うーん、紅薔薇のつぼみ、どうやら計り知れない生徒のようだな。」
「調査の必要がありそうですね。」
そして実行委員の調査の末に幾つかの証言が集められた。
リリアンに姉がいる生徒Aの証言
「姉がおかしいって言っていた。なんでも本当は紅薔薇のつぼみの妹には別の子がなる筈だったって。
所が普通ありえない筈の山百合会の中での取り合いが起こって結局、まったくノーマークだった今のつぼみが妹になったって・・・」
「それ以前に二人のつながりはなかったのというのか?」
「ノーマークもノーマーク、かけらもなし、ある日、いきなりつぼみ候補になってそのまま姉妹になったんです。
それ以前は、一緒の活動どころか、二人が会っている所すら見た人はいなかったのに絶対おかしいって、もっぱらの噂だったそうです。」
「うーむ、陰謀のにおいが・・・」
リリアンに妹がいる生徒Bの証言
「そういえば、俺の妹から聞いたんですが、紅薔薇のつぼみが鍵がかかった部屋から忽然と姿を消したことがあるらしいです。」
「ほんとか?」
「ええ、薔薇のつぼみがまだ薔薇のつぼみの妹だった頃の話ですが、なんでも当時の薔薇のつぼみ様たちからスペッシャルなサービスを受ける為に薔薇のつぼみの妹達を追いかけ回したそうなんです。」
「スペッシャルなサービスって?」
「うーん、良く聞いていなかったんですけど、半日つっききりで何かしてくれるそうです。」
「うーん、そこの所もっと詳しく・・・」
思わず身を乗り出す鳥蔵を愛州が冷たく制した。
「それは、いいから!薔薇のつぼみ様からのサービスでなんでその妹を追い掛け回すんだ?」
「いや、それも余り、詳しくは・・・」
「も、もしや、妹さん達は妹を誘拐して、薔薇様の妹に妹なサービスを強要しようと!」
「先輩、自分の言っている意味、わかっています?」
「わからん!」
「今度、話の腰折ったら、逝って貰いますからね!」
「・・・では、真面目に話をしようかね。で、その消えた状況は?」
「はい、とにかく妹がクラスメートと一緒になって薔薇のつぼみの妹をある部屋に追い詰めたんです。出入り口以外は窓のみ、その出入口をしっかりと確認していて、その部屋から出ていない筈なのに、いざ中に踏み込んだ時には窓にはしっかり鍵がかかり紅薔薇のつぼみの姿は消えていたそうです。」
「それは密室殺人だっ!」鳥蔵が叫ぶ
「誰も死んでいませんよ。」愛州の冷たい視線が飛ぶ。
「いや、なんとなく。」
「そうですか、では、先輩が死人になってください。」
愛州の指が延髄を直撃した。
リリアンに従姉妹がいる生徒Cの証言
「紅薔薇のつぼみについては知らない、ただそのお姉さまの紅薔薇さまの家が並大抵じゃないことは確かだな。」
「何かしっているのか?」
「ああ、夏休みのことだが、俺の従姉妹が山百合会の追っかけみたいな事をやって、紅薔薇様の別荘を見に行ったんだ。
ところが、出かける前は気力満点だった従姉妹が、帰って来た時はまるで遭難でもしたかのように疲れ果て、そのままぶっ倒れたんだよ。
その時のうわごとで「高圧電流の鉄条網」とか「衛兵」とか「ボデイガードはメンズモデル」とか何度もつぶやいていた・・・・」
「すごい話だな・・・」
「それだけじゃない、紅薔薇さまが並じゃないもう一つの噂がある」
「なんだそれは?」
「薔薇さまの座を狙い、山百合会に敵対したある女生徒が、今は海外に逃亡しているって・・・」
リリアンに彼女がいる生徒Dの証言
「なんだとー!!貴様、リリアンに彼女だとー!覚悟はいいか!このヤローっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・証人、不慮の事故により証言不能
そして再び学園祭実行委員会
「紅薔薇のつぼみに関する新しい情報が入りました。」
「何!話してみろ。」
「生徒の一人が、親戚の会話を横から聞いたものだそうですが、夏休みにあるグループが、紅薔薇さまを狙ったそうです。」
「なにーっ!?そっ、それでどうなったんだ?」
「・・・相手は様々な装備を駆使して紅薔薇様とつぼみに迫ったそうですが、紅薔薇のつぼみは身一つで立ち向かい、見事、相手の企みを阻止した・・・・との事です。」
「なんとっ!・・素手でだとー!?」
「ええ、その通りです。他にも国際的超A級スナイパーの血を引いているとか、反転すると髪が赤くなるとか、400年間換生しているとか色々、噂があるらしいです。」
「・・・これで紅薔薇のつぼみは並の女生徒ではないと決まりましたね。」
「並みの戦闘力ではない!気をつけないとな。」
「ええ、細心の注意を払わないといけませんね・・・・」
その後、生徒会と各部・各委員会の代表を集めた会議でリリアン山百合会に対して一つの提案が実行委員会からなされた。
他生徒からは行き過ぎではないかの声も上がったが、この件に関しては、普段優柔不断な生徒会長が人が変わったような指導力を発揮、絶対的賛成を支持した為、程なく全会一致で可決された。
翌日、一つの通告が全校生徒に行き渡った。
「リリアンの女生徒には決して失礼を働いてはならない、もし失礼を働くような事態が起こった場合、その者の所属している部活動の廃部もありえる。
追記
特に紅薔薇のつぼみには絶対に触れるな!紅薔薇のつぼみに手を出した場合・・・命の保証はない!」
あとがき
・・そして学園祭後、紅薔薇のつぼみに接触したある同好会がいた。
彼らは頬を腫らしながら
「あの人はすばらしい人です。」
と言うだけで、決して細かくを語ろうとはしなかった・・・・・・
えー、再度登場のお目汚し野郎、ユッケです。
念の為言うと
原作は薔薇の花がゆっくりと回り、桜が粉雪のようにちらちらと振り、銀杏が愛でられるという美し〜ソフトな百合の世界です。
なのにそれを元になんで超兄貴たちのかなり過激な学園コメデイを書いてんだオレ。
原作の雰囲気を出すとまでも行かないまでも、せめて「最強!!体育会系王花学院」(細倉ゆたか)くらいの華やかさは欲しいと思うんですが・・・・
やっぱり縦ロールくらいつけるかな?
黄薔薇放送局 番外編
由乃 「(駆け足で来る)はぁ、はぁ…… 令ちゃん! 黄薔薇さまは何処!」
令 「なにも、そこまで急いでこなくても、まだ始まってないんだしさ」
由乃 「なに言ってるのよ! あの黄薔薇さまが有料救急車事件ぶりに困ってそうじゃない!
そんな機会を逃したら次はいつ言い負かせるか分らないのよ!?」
令 「はぁ……」
乃梨子「ご苦労様です」
令 「ありがとう…… お姉さまもお姉さまだけどねぇ……」
乃梨子「そういえばまだいらっしゃりませんね?」
由乃 「きっと、楽屋に閉じこもっているのよ! 私が引きずり出してくるわ!」
令 「あ、由乃待ってぇ……ってもう行っちゃった。 ごめん、私も行ってくるわね」
乃梨子「お疲れ様です」
……
……
乃梨子「さて、今回は江利子さまのご親戚の暴走ぶりをこれでもかと見せつけて頂きました。
祐巳さまも花寺では凄いことになってますね。弟さんはうまく利用されたようですが」
乃梨子「祐巳さまがこれを知られたらどう思うのでしょう、と考えなくもないですが
それは私のキャラじゃないので、他の方にお任せするとしましょう」
乃梨子「それでは、また次回お会いしましょう」
乃梨子「(私一人で良いのだろうか……)」
……
……
江利子「(たれぱんだのようにたれている)あぁ、もう勘弁して……」
蓉子 「さすが、江利子のご親戚の方々ね」
聖 「そうそう、変わりっぷりが並じゃない!」
江利子「あなた達、親友の私が困っているっていうのになによ、その態度は……」
蓉子 「あら? 散々ここでおもちゃにしてくれたのは誰だったかしら?」
聖 「戯れ言でも好き放題やってくれたよねぇ〜」
江利子「な、なによ…… ひょっとして今日わざわざ楽屋まで来てくれたのはそのためなの!?」
蓉子 「もう少し、自分の行動を振り返ってみることね」
聖 「そうそう、少し反省が必要なんじゃないかな〜」
蓉子 「……それは貴方もね(ギロリ)」
聖 「_| ̄|○ 」
江利子「あぁ、もう!分ったわよ! 今まで…… うん?」
蓉子 「な、何よ?」
聖 「誰か来るねぇ。 この足音は……」
江利子「由乃ちゃんだわ!(復活)」
蓉子 「あ……」
由乃 「(扉を叩く音)黄薔薇さま! もう時間ですよ! 早くいらしてください!」
江利子「あらまぁ。 私を凹ませられると思って自信たっぷりねぇ。 からかいがいがありそう〜♪」
令 「由乃〜 待ちなさいって!」
江利子「令も来たのね。 行ってきますかね。 ではお二人様また後でね♪」
……
……
聖 「後少しだったのにねぇ〜」
蓉子 「どこまで寵愛受ければ済むのよ…… 出てきなさいへっぽこ作者!!」
聖 「おぉ、怖い怖い」
蓉子 「なんか言ったかしら?」
聖 「何も言ってないってば! て、暴力反対、ちょ、ちょっとぉ〜〜〜〜〜〜……」