Retrogression
 
第二話 出会い
 
 
 
クスン・・・
 
クスン・・・
 
どこかで誰かの泣き声が聞こえる・・・
 
「う〜ん・・・ここは・・・どこ?」
シンジは目を覚ました・・・脳が刺されたと認識したショックで気絶していたわけだが・・・それはさておき、シンジとりあえず辺りを見回した・・・そこは何もない部屋だった。
この部屋には明かりがなくただ床がぼんやりと青く光っていた・・・
 
「ここは過去・・・じゃないのかな?こんな部屋見たことないけど・・・」
 
                  クスン・・・
 
                        クスン・・・
「!?泣き声が聞こえる・・・誰かいるのかな?」
シンジは辺りを見回したが、誰かがいる気配はない。
 
                  クスン・・・
 
                        クスン・・・
しかし確かに泣き声はする。
「やっぱり誰かがいるんだ・・・」
シンジは部屋の中を注意深く見回してみた
すると部屋の隅のほうに何かがぼんやりと見えた
「あれはなんだろう?」
シンジは近づくにつれそれが何なのかわかった。
「牢屋だ・・・」
それは大きな石を削って作った粗末な牢屋だった
 
             クスン・・・
 
                 クスン・・・
泣き声は確かにこの牢屋から聞こえる
そしてその牢屋の中にいたのは・・・シンジと同じか一つ下くらいに見える
女の子だった・・・
 
彼女はこちらに気づき話しかけてきた
「・・・あなたは誰?」
 
「僕は碇シンジ。君は?」
 
「・・・ミンミ。」
 
「ミンミか・・・じゃあミンミはどうしてここにいるの?」
 
「昔ね、お父さんとお母さんと弟と一緒に暮らしてたの。でもある日テンカイの人が来てそれから・・・」
 
「それから?」
 
「・・・だめ、思い出せない。とにかく気づいたらここにいたの。」
「お父さんとお母さんに会いたい・・・」
 
クスン・・・
 
                 クスン・・・
「そっか・・・」
(何とかここから出してあげたいな・・・)
シンジの父親はあの通りまったく父親やってない髭指令だし
母親は死んではいないがエヴァの中にいるため実質死んでるようなものなので
シンジにはなんとなく彼女の気持ちがわかった。
 
そのとき後ろで声がした
「よく来たな、碇シンジ」
シンジが振り向くとそこには4人の男が立っていた。
 
「あなたたちは一体?」
 
「我々はその娘を監視している者だ。」
 
「ここは一体どこなんです?僕は過去に戻ってきたはずなんだけど・・・」
 
「ここに名はない。ここは時の狭間のような場所。」
 
「我々がお前をここに呼んだ」
 
「シンジ君、君にはここで修行して強くなってもらいますよ。」
 
「そんなこと急に言われたって・・・なんで修行なんかしなくちゃいけないんだよ!!」
 
「シンジ、なぜ君は過去に戻る?」
 
「それは・・・以前の世界で起こったサードインパクトを防ぐため」
 
「そのサードインパクトはどうして起きたかわかるか?」
 
「父さんやゼーレと呼ばれる組織が母さんに会いたいだの、永遠の命だのとか言う理由で起こしたんだよ。」
 
「もしそれが他の者のたくらみによって起こったと言ったら?」
 
「え!?」
 
「実はですね、我々の関係者に反逆者がいましてそいつがどうやら裏で手を回したみたいなんですよ。」
「じゃ、じゃあ・・・」
 
「そう、過去から来たことがわかれば君をほおってはおかないだろう」
「おまえは殺される。なす術もなく」
「だからここで修行をしてもらう」
「シンジ君に死なれては困るんですよ。我々は大きな動きができないので君に頼るしかないんです」
 
「・・・・」
 
「考える時間は与える。しかし自分の世界を何とかしたいのだったら自分で何とかするしかないだろう。」
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シンジはアレからずっと顔を伏せてじっとしている
それまで黙ってみていたミンミが、
 
「ねえシンジ?」
 
「・・・・・」
 
「シンジ?」
 
「・・・、あ、ごめん。なにミンミ?」
 
「シンジは何でここにいるの?」
 
「・・・どうしてだろうね?僕にもわかんないや・・・」
 
「ふ〜ん。」
「まあいっか。私もわかんないし・・・これでおあいこだね。」
 
「そうだね・・・」
「そうだ!シンジの話し聞かせてよ。」
 
「僕の話なんか聞いても面白くないよ。」
 
「何でもいいから話して。私ねここにきてからずっと一人ぼっちだったの、だからシンジとこうして話してるのがすごくうれしいの。」
 
「僕と話すのがうれしい?」
 
「うん!だからもっとシンジと話がしたい、話が聞きたい・・・」
 
「・・・わかった。じゃあ僕の家族の話をしてあげる。家族といってもみんな血は繋がっていないんだけど・・・
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・・・でその人が味音痴で料理下手なもんだから・・・
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・・・その女の子がこれまた自分かってでさ・・・
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シンジはいつの間にか家族の話にとどまらず自分の知っていることをすべてミンミに
聞かせた。
 
「あーおもしろかった。」
 
「そうかな?いつの間にか余計な話までしてたけど」
「すっきりした?」
「え?」
「だってシンジ今笑ってるもん。」
「あ、・・・あはは、そうだね。なんかすっきりしたよ。ありがとうミンミ。」
 
「どうだシンジ?答えは出たか?」
 
振り向くとまた4人の男が立っていた
シンジはまっすぐに向き直ると
「はい!・・・僕は自分のために・・・義理の家族でもいい。みんなで笑ってすごせる日々を取り戻すために・・・やります!!
 
 
 


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