EPILOGUE 爽やかな風が駆け抜ける緑の高原にシンジとネネはいた。 「ここがかつてのハイランド…僕が生まれた場所さ。」 「いい所ね。」 「ああ。」 シンジは組んだ両手を枕にして寝転がった。すると、ネネもシンジに寄り添うように寝転がった。 「ねえ、どうして私をここに連れてきたの?」 「…誰も居ないからね。大事な事を言う為に、二人きりになりたかったんだ。」 「大事な事?」 「ネネ…僕と結婚して欲しい。」 「ええっ!」 ネネは驚いて身を起こした。まさか、シンジからそんな言葉が飛び出してくるとは想像していなかった。 少し考えてネネは答えた。 「…答えを言わなくても、私の心はわかるんでしょう?」 すると、シンジも起き上がり、左右の手をネネとつないだ。 「…少し、不安を感じているね。でも、大丈夫。すぐに慣れるよ。」 二人はどちらからとも無く目を瞑り、キスをした。 全ての戦いを終えてシンジが手にしたのは何だったのか? それは、全ての人の心を理解する力。 プロフェッサー・キールを倒した事により、シンジは全ての人々の心と通じる能力を得ていたのだ。 シンジが架け橋となれば、人々の間に争いはなくなる…平和の為に役立つであろう。 そしてもう一つ…それはネネという、自分を理解してくれる伴侶だった。 だが………。 時は過去から戻って現在。 時の流れに普通の人は抗えない。愛する人とは死に別れ、墓標の前に佇むシンジの胸に去来するのは無限の寂しさなのだろうか? 超人機エヴァンゲリオン3 「妖夢幻想譚」第五章 人造人間達の宴 完 あとがき