鋼鉄の処女

第6章 大人たちの楽園

 「私はあんなヘナチョコのブラックゴッドではない!大宇宙のブラックホールからホワイトホール経由で襲来した、スペースブラックゴッドだ。我配下の[円盤使徒]を使って皆殺しにしてやる。」

【ネルフ本部・中央作戦発令所】
 「衛星軌道上に7体の未確認飛行物体が出現。」
 *「Unidentified Flying Objectか。」  ※「♪UFO!」 
           それは、ラミエル、サンダルフォン、マトリエル、サハクイエル、イロウル、レリエル、アルミサエルだった。 【ジオフロント・加持のスイカ畑】  “こういう時は加持さんに相談しよう……あれ?他に相談できる人いたっけ?”  シンジはとにかく、加持のスイカ畑にやってきた。  だがしかし、弐号機が目の前で暴れていた。  「うわあああああああああ!」  吹き飛ばされるシンジ。  必死の治療も届かず、シンジは死亡した。  だが、赤木博士を始めとするネルフのスタッフにより、彼はロボシンジとして蘇った。  新しいヒーローの誕生だ。
 *「どう見てもロボコップじゃねえか!」
【ニューヨーク・シティ】  「私はロボシンジ、ニューヨーク・シティの治安維持の為、任務を遂行します。」
 *「デトロイトじゃねえのか?」
 こうして世界は平和を取り戻した。ロボシンジ、私達は君の活躍をいつまでも忘れないだろう。」
 *「どうせなら、人造人間ならぬ新造人間シンジの方が面白かった。」
ロボシンジ「違う!こんなの僕じゃない!」 【ジオフロント・湖岸】  初号機と弐号機の模擬戦?が行われている。  「とりゃあ!回し蹴り!負けないわよ!」  「アスカ、怒らないでよ。」  「やるか!」  「さっきの事は、謝るからさ。」  「とりゃあ!巴投げ!」  背中から地面に叩きつけられる初号機。  「ううっ、一本取られた……。」 【ネルフ本部・救護室】  足を捻ったシンジ。
 *「♪魚屋の、オッサンが、捻ったよ、捻挫。」  ※「そら、足捻っとんのやがな!」
 「二人とも元気がいいのね。」  マヤが手当てをしてくれていた。  「アスカが無茶するから。」  「そっちこそ、鍛え直した方がいいんじゃないの?」  そこに、割れたスイカを携えて加持登場。
 *「多分冷やしてないからあまり美味くないと思う。」
 「やあ、ジオフロントの大きな凹みは誰のかな?」  「加持さん!来てくれたの!?」  「あの穴は僕がアスカに投げられて落ちた場所です。」  「シンジは黙ってて!」  「加持さん。」  「やあ。」  「この間は、どうもありがとうございました。」  「あれは、少し刺激が強かったかな?」  「私、好きです、ああいうの。」  「大人の会話だ。何の話だろう。」
 *「変な想像をする奴はまだまだガキって事さ。」
 「私達、戻ります!」  【ネルフ本部・移動廊下】  「何で話の途中で出て行っちゃうの?」  「……。」  「アスカは加持さんが好きなんだね。マヤさんと話しているのを、嫉妬しているんだ。」  「バカね、私の方が勝ってる。余裕を見せ付けてやったのよ。」 【ネルフ本部・V−1エレベーター内】   エレベーター内。狭い中、ゲンドウとリツコが乗っている後ろで、居心地悪そうにいるシンジとアスカ。  「警報は解除しました。MAGIの判断による、作戦の開始は72時間後。パイロットは48時間後に集合。それまで各自、待機。」  「自由時間か……最後の安息日だ。みんなにそう伝えろ。」
 *「じゃあ、それ以後は二度と安息日は無いって事か?」
 「わかりました。シンジ君、アスカ、そういう事だから。」  「はい。」  「自由時間、どうしよっかな。」  「赤木博士、君はどうする。」  「食事の時間だけ頂きます。」  「そうか……。」  「父さんは家へ帰らないの?」  「司令と呼べ。」  “(ムカッ)……。”  “恐い……。” 【国道】  ミサトとシンジが乗っているフェラーリ512BBが国道を駆け抜ける。
 *「BBと書いてベルリネッタ・ボクサーと読む!」  ※「ブリジット・バルドーじゃないヨン。」
 サングラスをかけたミサトの姿は凛々しい。  「飛ばすと気持ちいい。」  「大人は発散できるモノがあっていいですね。」  「あらら、シンジ君、溜まってるんだ。」  「溜まってるって、何がですか?」  「わかった、帰りに私の家に招待するから。そこでパーッと発散しましょ。」 【第壱中学校・職員室】  机を挟んで根府川の先生の前に立つミサトとシンジ。  「ご学友は皆、街を出て疎開してしまったよ。」  「そうですか。」  「碇君はこの街に残るんだったね。」  「はい。」  「ご両親は研究熱心でおられる。お留守番は辛かろう。」  「留守番と言うよりは……。」  「根府川の先生、碇シンジくんの件、私の方で責任を持って、お預かりします。」  「そうですか、よろしくお願いします。」 【第壱中学校・教室】  誰もいない教室にシンジとミサト。物惜しげに見回す二人。  「ここも見納めか。」  「何だか寂しいですね。」  教室の扉が勢いよく開いて、アスカが現われた。機嫌はすこぶる悪い。  「何、二人でコソコソしてんのよ!」  「アスカ!待ち伏せ?」
 *「♪好きだったのよ、貴方、胸の奥でずっと〜。」
 「あちゃー。」  「アチョー!じゃないわよ!不公平!えこひいき!公私混同!」  ひたすら叫び散らすアスカ。
 *「♪じゃ〜〜〜〜ん、じゃじゃん!アチョー!」  ※「あた〜っ!あたたたたたた、おぅわったぁ!」
【ミサトの自宅・居間】  アスカと呼び出した加持とともにミサトの自宅へ。  居間のテーブルには紅茶とケーキが並ぶ。  加持とミサトがソファに並んで座り、そのトイメンのソファでアスカは不機嫌。  シンジは隣で立場無し。
 *「ちょっと間違ってるぞ。」
 「やだやだ!私の加持さんなのに!」  「二人は大人の関係って感じですね。」
 *「でも、肉体関係は有りませんよ。:山本譲二」
 「そうだ、よく見ておくんだぞ。」  「ダメよ、私達仮面カップルだから。」  「ちょっと待ってくれ、仲いいよ、俺達。」  「どうだか。」  「まるで空気のようじゃないか。」  「意識の外だからなぁ。」  「君達も似合ってるよ。もっと寄り添ったらどうだ?」  「イヤだ。」  「まあ、こんな感じです。」  「言わばシンジは発射台。私は白いロケットなの。燃える様な情熱で全世界を2周、3周!」  「まあ……こんな感じなんです。」  アスカのつれない態度に苦笑いするシンジ。
 *「♪つれないなぁ…。」  ※「…なぁー!」