鋼鉄の処女

第3章 恋の駆け引き

第2話

【シンジの自宅・台所】
 台所を確認するトウジ。
 「シンジの家、いろいろ揃ってんな。」
 「探し物?」
 「棚の中の金属ボウル、貸してくれ。」
 「いいよ。」

【シンジの自宅・居間】
 居間。シンジとヒカリが手早く餃子を包む横で、アスカは一人苦戦している。
 「ムムムムムッ、ムズい。」
 「皮を合わせるところを水で濡らすの。」
 「フムフム、成る程。」
 「何個ぐらい作る?」
 「みんな育ち盛りでしょ、全部包もうよ。」
 台所の方からトウジの声が。
 「ヒカリ。」
 「なあに?」
 「出来た分、持ってきてくれ。」
 「『ヒカリ』、だって、グフッ。」
 「ファースト・ネーム呼び捨て……。」
 *「お前らも同じだろ。」
 台所で仲睦まじいトウジとヒカリ。それをこっそりとのぞき見するシンジとアスカ。  「お、ええ感じ。この金魚みたいに膨らんだヤツがヒカリのやな。」  「やだ、もう。」  「トウジが台所に立って料理している……。」  「あ〜あ、私も誰かの愛で包んで欲しい。」  そんなこんなで夕食は完成した。  「今日はお祝いや!ワシら4人の友情に乾杯するで〜、シンジからどうぞ!」  「どうも……何のお祝い?」  「餃子記念日!」  「僕達の餃子記念日に……。」  「「「かんぱーい!」」」
 *「この餃子、みんながいいねと言ったから、今日はみんなの餃子記念日:田原総一郎(嘘)」  ※「♪今日は〜私の〜餃子記念日です〜。」
 テーブルに並ぶ餃子を食べる一同。  「焦げ目の部分が歯応えが軽い。香ばしくて美味しいね。」  「焼く時に片栗粉をちょっと加えるんや。んー!うまい!」  「おいしい、ドイツ人もビックリ。」
 *「♪インド人も〜びっくりだ〜。」
 「みんなで作ったから美味しさも2倍3倍なのね。」  「餃子って楽しい。」  「精もつくで!夜なんか、もうギンギン!」  「それが目的だったりしてね。」  「恥ずかしい。」  「ええやないか。これから先、何があるかわからん。こんな世の中やから、体力をつけて強く生きな。」  シンジは箸を置いた。  「アダムって知ってる?」  「アダム、光る人間のアレか。テレビでやっとるな。雪男とか、ネッシーとか、そんな話やろ、アホらしい。」  「僕は見たんだ。」  「今、考えんでええ。明るく楽しくしたら、それでええやないか!」  「何ムキになっちゃって。」  「餃子喰えや!腹減ってイライラするやろ。」  「何だか美味しくない。」  「トウジ、私が知らない話だから、気を使ってるの。」  「ええって……。」  「人造人間エヴァンゲリオン。人類の為なのよね、きっと……。」  「ヒカリは気にすんな。いつまでも笑顔でおってくれ……。」  「トウジと委員長は、この肉汁のように熱々なんだな……。」
 *「山田君、座布団一枚。」
 「よ!ご両人!お熱いでげすな!」
 *「げす!?下衆と申されたな!!」  ※「それはもうええっちゅうねん!」
 「やだな恥ずかしい。」  トウジとヒカリは顔を真っ赤にした。 【駅前通の公園】  4人が夜道を歩いている。  「ワシら、あのバケモンと戦う事になるんやろか。」  「そう考えるのが自然だろうな。」  「それがワシらの運命か。」  「まだ時間はある。」  「残された時間は、めっちゃ少ないんやろ?」  「今夜も大切な時を過ごしていると思う……。」  「そやな。何でも大人の言いなりはアホ臭いもんな……ワシとヒカリはここで帰るわ。」  「碇君、今日は色々とありがとう。」  「ごちそうさま。」  「夜はこれから。大切な時間を過ごしてね。」
 *「夜はまだまだこれからだぜえ!!」
 4人はそれぞれのカップルに別れて家路に着いた。