*「ちょっと待て!!何だこれは!?あれで終わりだった筈だぞ!!」 ※「そう言われても…なにぶん、不安定なシステムですし…。」《十年後》 【仙石原駅】 「ちょっと、荷物ちゃんとある!?」 「あるよ。でも、どうしてこんなに多いんだよ。」 「これでも減らしたの。文句言わないでよ。」 「一つくらい持てよ。」 「セカンドバッグ持ってるもの。」 成長したシンジとアスカ。でも、二人のやり取りは変わっていない。 「おー、来たで、ご両人!!」 「アスカー!」 「遅いよ、お前ら。」 「碇くん、こっち!」 改札前に成長したトウジ、ヒカリ、ケンスケ、レイがいた。 「やっほー!」 「久し振り!」 「お前らいつまで経っても変わらんのう。」 「1個貸せよ。」 「サンキュ。」 「レイ、髪の毛伸ばしてるんだ。」 「うん。似合う?」 「いいカンジ!」 「よっし!じゃあ、全員揃ったし、約束を果たしに行こうぜ!」 「荷物置きに家に帰らせてくれ。」 「シンジ!襟、曲がってる!」 アスカはシンジの襟を直してやった。 「だらしない格好しないでよ、ホント。」 「ありがとう。」 「いいの!」 「変わらないね、二人とも。」 「昔っからアツアツや、こいつらは。」 「トウジ!!」 【第壱中学校・校庭】 約束……それは離れ離れになっていた仲間が全員集合できたら、タイムカプセルを掘り出そうという事だった。 「何だ、ヒカリはそんなのを入れてたんだ。」 「だって、トウジと初めて撮った写真だし。」 「懐かしいぜ、このデジカメ。」 「昔のデータ入ってるか?」 「ちょっと待て、バッテリー……おお、残っていた!」 十年前、14歳の自分達がそこに写っていた。 「全員写ってるな。1、2、3、4、5、6、7人……。」 「……7人?」 「……この右端の人、誰?」 レイが銀色の髪の少年を指差した。 「綾波、何言ってるんだよ。カヲル君じゃないか。」 シンジは当たり前のように答えたが。 「カヲル?」 「……誰だっけ?」 「やだな、みんな。渚カヲル君だよ。6THチルドレン。」 「シンジこそ何言ってるんだ?俺が5THチルドレン、その後はいなかったぞ。」 ケンスケが不思議そうにシンジを見た。 「ちょっと待ってよ、みんな!何でカヲル君の事、覚えてないんだよ!あの時カヲル君は敵を道連れに命を投げ出してまで僕を守ってくれたんだよ!カヲル君の分までみんなで頑張って生きていこうって誓ったじゃないか!」 「シンジ、大丈夫?」 「お前、夢と現実、ごっちゃにしてへんか?」 「嘘だ!みんな知ってる筈だ!」*「おい、どうなってるんだ!」 ※「わかりません!」だが、誰もが呆然としてシンジを見ていた。 “そんな……カヲル君……君は幻だったのか?……僕の幻想に過ぎなかったのか?” シンジの脳裏には鮮やかにカヲルの事が蘇った。 “今、僕の頭の中に見えたカヲル君は、本当はいなかったというのか!?”*「おい、ちょっとやばくないか?」 ※「でも、こちらからはどうにも……システムダウンしますか?」「知らなくて当然よ。その人たちはニセモノなんだから。」 誰かの声がどこからか聞こえてきた。 それは、今までシンジを優しく見守り、導いてきてくれた声だった。 シンジは周囲を見回したが、それらしき人影は見当たらない。 「真辺先輩!?どこにいるんですか!?」*「おっ!出てきたぞ!とにかく、記録だ!」 ※「やっています。」「シンジくんがいる世界の外よ。」 「世界の外!?」*「何!?まさか、外部から干渉しているというのか!?」 ※「そんな事、システム的に不可能です!!」「後で会いましょう。じゃあ、ちょっと我慢しててね。すぐ済むから。」*「まさか!?」 ※「システムが勝手にダウンしました!」シンジのいる世界は消え、シンジは暗黒に包まれた。∇『警報!警報!何者かが侵入しました。』すぐにシンジは眠りに落ちて行った。∇『侵入者は実験室に接近中!』目覚めたシンジは何かのカプセルの中にいた。 「現実への帰還、おめでとう。」 シンジの前にいたのは………。 EXTRA HUMANOIDELIC MACHINARY EVANGERION The After 「鋼鉄の巨人」―――夢現領域 完 あとがき