今回の緒言:ケンスケはサバイバル・ゲームも趣味だったと思う。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 修学旅行、体育祭と来たら、お次は当然文化祭。 という事で、今日は第壱中学校の文化祭。 初日は各学年ごとにクラス対抗となる合唱コンクール。 二日目はテーマは自由。2−Aは演劇<白雪姫>を上演する事になっていた。 だが、例によって断りきれない性格のシンジは三つの部に属していたので劇には参加できなかった。 その三つの部とは音楽部と、バスケット・ボール部と、映像研究会である。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― まずは音楽部のクラシック・コンサート。シンジの担当は勿論チェロだ。 演奏曲は<KANON>(パッヘルベル)、<G線上のアリア>(バッハ)、 <アダージョ>(アルビゾーニ−ジャゾット)の三曲。 続いてバスケット・ボール部で花寺学院中等部と親善試合。シンジは後半から活躍だ。 最後に映像研究会…であるが、その前にシンジは女子バレーボール部の模擬店に顔を出した。 何故、自分と関係ない部の模擬店に赴いたのか?勿論それにも理由があった。 ちなみに女子バレーボール部の模擬店はメイド喫茶であった…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 初めまして、ヒカリの姉の洞木コダマです。 あ、あの、初めまして、僕は―。 ああ、自己紹介はいいわ。君はこの学校じゃ有名だからね、碇シンジ君。 えっ?有名って、あの、どんな風に…。 ああ、エヴァンゲリオンのパイロットという事でよ。心配しないでいいわ。 シンジは何を心配したのか。それはヒカリがコダマに何を話したのか、という事だ。 体育祭の時はヒカリを助けてくれてありがとう。 お礼に、文化祭の私達の模擬店で御持て成しさせて貰うわね。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― という事で、シンジはやってきたのである。 勿論、飲食代はタダだからで、ここに来てメイド喫茶と初めて知ったのだから、他意はなかった。 「あ、キャプテン、シンジ君が来てくれました。」 「今はキャプテンじゃなくてチーフ! そんな事より、ちょうどいいところに来てくれたわ、シンジ君。こっちに来て。」 「はい?」 「調理のコが包丁で指切っちゃって使えなくなったの。 それで、ヒカリからシンジ君も結構料理が上手だって聞いてたから…。」 「ま、まさか、僕もメイドの格好をして料理を作れと!?」 「…いいわね、それ!本当は調理だけだったんだけど、この際それもお願いするわ! 誰か、あのバカから衣装ひん剥いて持ってきて!」 口は災いの元。墓穴を掘ったシンジは、昼食時の繁忙時のみという条件で手伝わされる事になった。 メイド服に着替え、カチューシャとリボンで頭を飾ったシンジ、いや、シーナは彼女達に言った。 「こうなったら、もう自棄だ…じゃなくて、自棄だわ。 皆さん、今から私の事はシーナって呼んで下さいネ。」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そして13時からはメイドから戻って、約束どおり公認無銭飲食を満喫したシンジは、 お菓子のお土産を貰って店を出た。 目的地はケンスケ主催の映像研究会の上映会場。行事は勿論ケンスケ脚本・監督・主演の映画上映。 まあ、映写装置の扱いもケンスケがやってるので、シンジがやる事は展示しているケンスケ愛用の 小道具その他の監視ぐらいだ。 で、シンジがそこに入ろうとすると、中からミサトの声が聞こえた。 「シンジくんを女装させて映画撮ってみない?白雪姫とかどうかしら?」 「やっぱり、死んでください。」 シンジはケンスケ愛用の銃を構えてミサトの後頭部に突きつけた。 「シンジくん、冗談はやめて。」 「意外とミサトさんも甘いようで。」 シンジは引鉄を引いた。ミサトは後頭部を真っ赤に染めて倒れた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今回の結言:女装シンジは今回を持って打ち止めとなります。