今回の緒言:教官はチャック・ノリス!? ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ある日突然、第三新東京市全域が停電した。 勿論、その地下のNERV本部もである。 ゲンドウ、冬月、リツコのトップ3が対応策を協議した。 このジオフロントは外部から隔離されても、自給自足ができるコロニーとして作られた。 その全ての電源が落ちるという状況は理論上在り得ない、という事は…。 復旧ルートから本部の構造を推察する為に誰かが故意に電源を落としたとしか考えられない。 リツコはMAGIにダミー・プログラムを走らせる。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― だが、問題が解決した訳ではない。 もしこんな時に[使徒]が現れたら、EVAの出撃さえできない。 「その点はご安心下さい。こんな事もあろうかと、緊急発電システムを開発済みです。」 「そうか。早速準備に取り掛かってくれ。」 そして、技術部のスタッフが発令所に持ってきたのはケーブルと自転車数台。 「…これは何だね?」 ゲンドウと冬月は嫌な予感がしながらも訊かずにはいられなかった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「私は職員の日頃の運動不足をどうすれば解消できるか模索していました。 そこでこの発電システムを考案したのです。」 「まさか、その自転車を漕いで発電するのかね?そんな古典的な人力発電では大した電力は…。」 そこがリツコの天才なところ。小型で超高性能のダイナモやコンデンサを組み合わせただけでなく、 車輪の回転による電磁誘導発電も備えたスグレモノだ。 「それでは、お二人ともお願いします。」 「何?」 「当然でしょう。お二人が一番運動不足ですし、それで糖尿病などで倒れられたら大変ですから。」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そして、ゲンドウと冬月は渋々サドルにまたがってペダルを漕ぎ始めた。 「何で私までこんな事しなくちゃならんのだ?」 「喋っている暇があったらペダルを漕げ。」 ぶつくさ言う冬月、必死にペダルを漕ぐゲンドウ。 発令所だけでなくあらゆる所でこの人力発電が行われ、NERV本部の主要部の電力は確保された。 「予想以上の効果ね。やはり人力発電は成功だったわ。」 御満悦のリツコだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今回の結言:人力発電で動くエヴァ。時田が知ったら大笑いするだろう。