今回の緒言:ロッテ・ファンの間ではバレンタイン監督の誕生日だとか?(そのまんまやがな) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今日は聖バレンタイン・デー。 誰が流行らせたか知らないが、女性が愛する男性にチョコレートを贈って想いを伝える日。 勿論、買った高価なものよりも、形は不恰好でも愛情込めて作ったものの方が喜ばれる。 という訳で、アスカはチョコレートを手作りしようとしていた。 「よし、このびっくりチョコレートに挑戦しよう!」 何を見て(読んで)決めたのか知らないが、アスカはトリュフチョコを作り始めた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― だが、一応2種類作ろうと考えたのが失敗で、思いのほか時間が掛かってしまった。 「よし、びっくりチョコレートの完成でぇーす!」 などと芸能界の自称三ツ星シェフのまねをしつつ、アスカはチョコレートを小鉢に入れて綺麗に ラッピングした。 「後は…これだ!」 クローゼットから取り出したのは、通販で買ったメイド服。 「これでシンジはあたしに萌え〜となってイチコロよ!」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― などと勝手な空想を繰り広げつつ、メイド服のアスカは隣のシンジ宅にやってきた。 そして、シンジにダイニングに通されると、そこには既にレイがいた。 “なんでそこにいるのよ、青毛女!” “今頃来るなんて、今まで何をしていたのかしら?どうせチョコレートが美味く出来なくて、 慌てて外に買いに行ってたんじゃないの?” “ふん、後で吠え面かかせてやる。” 睨み合いは続く。二人の間の火花でチョコレートも融けそうだ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― アスカはチョコの入った小鉢を取り出そうと袋を開けて…固まった。 “どっちだったっけ?” ピンクのリボンと赤のリボン、どっちがホンモノでどっちがニセモノかド忘れしてしまったのだ。 “こんなことなら2種類作るんじゃなかった…うーん、この際青毛女への悪戯は無しにして、 とりあえずシンジに…。” アスカは50%の確率に懸けてピンクのリボンの方をシンジに差し出した。 そしてシンジがチョコレートを口に入れると、アスカは恐る恐る訊いた。 「…どう?おいしい?」 「………お、おいしいよ………。」 「…よかったぁ!」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― さてその夜。アスカがニセモノの方をどうやってレイに食べさせてやろうかと思案していると。 「あら、おいしそうね。」 キョウコがひょいと一個摘んで口に入れてしまった。 「ママ、それは!」 「うん、とってもおいしいわよ。シンジ君も喜んでくれたんじゃないの?」 「嘘っ!?」 アスカも一個食べてみた。それは、確かにホンモノの方だった。 「じゃあ、シンジは…。」 ニセモノ(辛子明太子入り!)のチョコレートを食べたにも関わらず、シンジはおいしいと言って くれたのだ。 “シンジったら…本当にバカなんだから…。” などと思いつつも、アスカの目には嬉し涙が浮かんでいた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今回の結言:♪ホントのチョコレート見つけたよ、今すぐシンジに届けに行こう