White Moon and Black Moon

◆プロローグ



ザー・・・ザザー・・・ザー・・・・・・・・・・・・ザザー・・・・・・・・・・・
赤い色をした海が、寄せては返していく。
浜辺に、一人の少年と少女がいた。少年は少女の上に乗って、首を絞めている。

ふと紅いスーツを着た少女が目を覚ました。少年は首から手を離し、押し殺した声ですすり泣く。少女は、少年をじっと一瞥し、
「気持ち悪い」




「にょ〜〜〜〜〜!!!意味分からんにょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「まあ子供には分からないかもね。お子様のあんたには、ね。」
「ほ〜う?この星まで女優の仕事をしに送ってきてやったのはどこのどなた様にょ?」
「へ〜え?仕事を見つけたのはどこの誰でしょうかね〜?」
相変わらずの調子でけんかを始める二人。人はこれをじゃれあい、だの仲がいい、だのと言う。
「いつものことゲマ。」「二人ともバカにゅ。」とはかの2人(?)の弁である。
「ところでにょ、いいことをおもいついたにょ。」
「何よ、どうせくだらないことでしょうけど。」
「くだらないこととは何にょ!まあ、この大ヒロインになれるチャンスを捨てると言うのなら話は別にょ。好きにするがいいにょ。」「どういうこと?」
大女優を目指すうさだにとってでじこのはなしはいつもつまらないネタだったが、今回はなぜか無視できなかった。
「ふっふっふ・・・。この世界へ行くにょ!」「「「はあ?」」」
3人(?)は突拍子もない言葉に何もいえなかった。
「だからにょ、私の『目からビーム』で穴を開けてこの世界に行くにょ。使徒なんざおとといきやがれ、にょ!!それで私(達)は地球を救ったヒロインにょ!!テレビ出ほうだい、大女優間違いなしにょ!!!」
何かしら間違っているところがあるような気がするが、まったく気にしない4人(?)であった。
「なるほど、いいじゃないの。」「やるにゅ。」「じゃあ準備するゲマ。」

三分後・・・。
「じゃあ行くにょ!目から『見つけたぞ、デジキャラット!!!』」突如叫び声とともに現れた黒い集団。
「ぴよこ!?どうしてこの星に!?」「あとPKOにゅ。」「ついでにゲマもゲマ。」
「でじこお姉ちゃんを営利誘拐して金儲けぴょ!」「デジキャラット、覚悟!!!」PKOが突っ込んでくる。そんなやり取りを無視して目からビームを打つ。
「GWWWAAAAAAANNNN!!!!!」
轟音とともに黒い穴が開く。ちょうどそのときPKOが飛びかかり、8人(?)が絡まりあいながら穴に吸い込まれていく。」
「「「「「「「「うわあああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」」」」」」」」


「ああああああっ!最後まで情けないわねっ!」「ど、どうしたんだい、蘭花、ミルフィ?」
何かテレビを見ている4人にフォルテが声をかける。
「ああ、フォルテさん、今『新世紀エヴァンゲリオン』を見てたんです。」ミルフィーユが答える。
「確か、クロノクエイク以前の作品だよねえ。」
「全く、シンジが情けないったらありゃしないわ。私達がいたら使徒なんか・・・。」言い終わらないうちにミントが意見を言う。
「それは名案かもしれませんわね。」「どういうことだい、ミント?」
ミントがフォルテの疑問に対して詳しく説明する。「つまり、この世界に行きますの。現在私達はシヴァ皇子をかくまって、エオニア軍から追われていますから。」「つまり、逃げるってこと?」
「ありていに言えばですが。幸い、つい前にミルフィーユさんが強運で手に入れたロストテクノロジーの異次元転移装置がありますし、あくまで『強運で』ですけど、それを使えばしばらくは安全ですし。それに紋章機は見たところ使徒にも引けをとりませんわ。」
「私たちはいいけど、ヴァニラとノーマッドはどうすんの?」
「問題ありません。」「私はヴァニラさんのいるところ火の中水の中ですから。」
「んじゃ、タクトに言ってみるよ。」

説明後・・・。
「いいんじゃないか、レスター?」タクトの問いにレスターも同意する。「ああ、おもしろそうだ。」
「けど、中佐には話したのか?」「あ・・・忘れてた。」(まあ、言わなくてもいい気がするけどね。)
フォルテが口を濁らせると、ちょうど4人がブリッジに入ってきた。
「先に聞いておきましたわ。付いてきますけど。」
「イオギ博士も、『面白そうだぜ。』ってついてきますよ。」
心配要素が無いことを確認したタクトは号令をかける。「よし、全艦内に通達後、準備に取り掛かってくれ!」

三日後・・・。
「早いわねえ。」「小説ですから。」「ちょっと、どういうことだい?」「秘密ですわ。」
意味深なことをいうミント。「まあ、いいけどね。」あまり気にしない2人。
「それでは、作戦を開始する。ジャンプフィールド、展開。到達年、西暦2014年。ジャンプ開始一分前。」
「そういえば、このジャンプって『そういう突っ込みは禁止ですわ、蘭花さん。わからない人もいるのですから。』」
「その『人』って、誰?」「さあ、誰でしょう?」
「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0!ジャンプ開始!」
エルシオールは光に包まれ、その場には何もなくなっていた・・・。