thebeautifulworld中編


「では、君は、気づいたら、別の世界からこの街にいて、それでいろいろあってここにいるというのかね?」冬月が訊ねる。

「ええ、おそらく。シンジという人はどこにいるか知りませんが。」

「そんな、非科学的よ!」異論を唱えたのはミサトだった。

「葛城一尉、発言は慎んでもらおう。」

ゲンドウが一喝する。そこへ、キノが提案する。

「では、こうしませんか?そっちも、予定のパイロットがいないんだから、ボクがパイロットになる。その代わり、条件を聞いてもらいます。」

「・・・よかろう。何だ?」

「まず、学校というものには行きません。必要ないですから。護衛も監視も要りません。次、ちゃんと貰える物は貰います。そして、一人暮らしと、パースエイダーお

よびエルメスの整備用具一式の支給をしてもらいます。最後に、戦うときは勝手にやらせてもらいます。少なくとも、戦いに関してはこちらの方がプロですから。」

「・・・よかろう。」

キノが司令室を出て行くとき、振り向いて、

「後、細かいことは後で言います。それでは。」

「碇、これはシナリオを外れるぞ。」

「問題ない。所詮は子供だ、何もできんよ。」

 しかし、この世界では、自分たちがシナリオを崩壊させる原因であることに、ネルフの人間は誰一人気づいていなかった。そして、気づいたときには、既に遅かった

ということを・・・。

三週間が経過した。

「次の使徒か・・・。」

「前は十五年、今回はたった3ヶ月のブランクか。女性に嫌われるタイプね。」

「委員会から、EVAを出せと言ってきています。」

「言われなくても分かってるわ。」

「キノくん、いいわね。中距離からのバレットライフルの一斉射撃で使徒を殲滅します。」

「キノは女なんだけど・・・。」というエルメスのツッコミは、またしても無視された。

「はい。」

「よし、エヴァ初号機、発進!」

あっというまに地上に打ち出され、使徒と対持する。

「今よ!撃って!」

毎秒何百発の火線がほとばしるが、煙があがっただけで効いた様子は無い。

「ああっ!馬鹿!見えないじゃない!」

「キノ・・・大変だね。」

(ボクもそう思うよ、エルメス。)

独り思いながら、音速で飛んでくるムチをひらりとかわしていく。

「次のライフルを拾って!」

ミサトの命令を無視し、両肩に手をやる。本来ならプログナイフが入っているところへ、特注で作らせたパースエイダーが2丁入っていた。

「さよなら。ボクたちは、人間だから。」

ドスンドスンドスンドスン!重量感のある音が4回響き、寸分の狂いなくコアに直撃する。

「使徒、沈黙しました!」

使徒は原型をとどめたまま、その場で止まっている。

「やっぱりキノは強いね。・・・どうしたの?」

「・・・一発もったいなかった。三発で倒してたのに。」

「びんぼーしょー。」

帰還後、ミサトが言った。「キノくん、どうして指示に従わなかったの!?」

どうやら自分の駒になっていない事が不満のようだ。

「司令という人に言ったでしょう。ボクは『戦う時は勝手にやらせてもらいます。』と。」

「そんなの『それと。』」

ミサトの反論をさえぎり、強い口調で言うキノ。

「君づけはやめてもらえますか。ボクは女なんですよ。以上です。」

そう言って、帰っていった。後に残されたのは、歯を食いしばり、手を握り締めて憤っているミサトだけだった。

「おかえり、キノ。」

「やあエルメス、よく寝たかい?」

「うん、存分に。」そしてエンジンを入れるキノ。

「じゃあ、行こうか。」といって、家に帰っていく。

「その後、角ばった使徒が出てきたんだよね。」

「うん、何か巨大な砲撃兵器みたいだった。」

「まずキノはやられたんだよね。あのおばさんがキノの忠告も聞かずに出したから。」

「相手はどんな力を持っているか調べたんですか、って聞いたのに、ねえ。けど、あれは痛かった・・・。」

「それで、後ろの台が壊れたから、動けるようになった、と。」

「それで、相手に素早く詰め寄って・・・。」

「撃ちまくって倒したんだよね。」

「おかげで弾を全部使っちゃった。もったいない・・・。」

「びんぼーしょー。キノが払うわけじゃないのに。」

「・・・・・・。」

「まあ、次は確か新しい仲間が来るんだよね、キノ。」

「少しはまともだといいんだけど・・・。」

「男の子がいいよね。いい加減キノもいい相手見つけなきゃ。」

「シツレイナ」


だいぶ遅くなりました。次は無理やり終わらせます。