第二新東京市。避難警報が鳴った後で、家々はシャッターが閉められており、人の気すらない。そんな中、1人の、少年か少女か分からない顔立ちの、年は13,4に見える、碇シンジが立って――――いなかった。 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 その人は1人で立ちすくんでいた。そこに誰かいたら気づいただろう、口が開いていないのに言葉が聞こえたのを。 「・・・ここ、どこ?」 「さあ・・・。」 「・・・・・・どこの国、キ『どこの国かは分からない。ただ一つ言える事は、森を抜けると、ここに着いて、後ろにあったはずの森までない、っていう事だね。』」 そう言うと、その人は腰の辺りを探り始める。 「ねえ、何してるの、キ『うん、装備はそのままだ。盗られた様子もない。』」 「・・・・・・。ねえ?」 「何だい?」 「どうして名前を呼ばせてくれないのさ、キ『いいじゃないか。どうせすぐばれるよ。』」 「・・・。」 「とりあえず先に行くとしよう。」 いきなり、車が横に止まって、28,9ぐらいの年の女性が叫んできた。 「碇シンジ君ね!乗って!あ、バイクある?じゃ、ついて来て!』勝手に言って勝手に自己完結して去っていくミサトを見て呆れながら、『モトラド』のエンジンを入れ、 「さあ、行こうか、エルメス。」 「りょーかーい。」 ネルフ本部に着き、カードキーを渡され、時間がないからとすぐに中に連れて行かれた。一度もシンジではないと疑わなかったのは、やはりミサトらしい。 「あれえ・・・。おっかしいな・・・。確かこの道で・・・。」 (迷ってるね、完全に。) (もうここ15回目だよ。) さすがに15回も迷うと、リツコもあせったのか、すぐに迎えに来て、「ミサト!何してるの!あ、そっちがシンジ君ね。時間がないわ。ついて来て。」と、確認もせずに行ってしまった。 ケージに着いて、ライトを浴びて、「これは・・・。」と聞くと、ゲンドウがいきなり現れて、「出撃!」、ミサトが、リツコが、何やらお決まりの世まよいごとを繰り返している間、エルメスは、寝ていた。 「起きたかい?エルメス。」 「ん〜。なんだい?キ『あの人形に乗る事になったから、留守番よろしく。』」 「ふ〜ん。ま、気をつけて。」 話を少し戻すと、三人の話が止まらないが、どうやら自分を乗せるのだろうと判断し、「乗ります。」といって、今の状況になった。ちなみに、今でも、誰も気づいていない。 説明を受け、エントリープラグに入り、LCLを入れられる。 「苦いですね・・・。」 「我慢なさい!男の子でしょう!」 いやちがうって、というエルメスの言葉は、心の中にしまわれた。後しばらくやり取りがあり、 「シンクロ率、32,5%!」「司令、いいですね?」「無論だ、使徒を倒さなければ人類に未来はない。」などという言葉を聞きながら、興奮していたリツコは、ふと、『何か』が違うことに気づいた。エヴァじゃなく、何か、もっと別の・・・。 「発進!」 「まさかっ!」 やっと気づいた。そう。パイロットは『碇シンジではなかったのだ』。 地上にエヴァが出ると、リツコは回線に叫んだ。 「あなた、だ『シンジ君、歩いてみて。』」ミサトの声にかきけされた。地上ではエヴァが歩き、使徒と戦おうとしていた。 ふと、エヴァが貫手をコアに打ち込もうとしたが、赤い壁に阻まれ、届かない。 「ATフィールド!」 「あれがある限り、攻撃は届かないわ。」 (・・・もう、ばれてもいいかな?めんどくさいし・・・。) 使徒がいきなり目を光らせ、光線をうってきた。十字の爆発が広がり、発令所の誰もがやられたと思い、上の2人だけはシナリオ通りだと思った。だが、『違っていた』。 エヴァは光線を紙一重でかわし、タックルをかけて押し倒し、馬乗りになってコアを殴りまくった。フィールドを張る暇もなく、使徒は蹂躙され、止めの手刀の一撃をコアに食らい、その場に沈んだ。 「使徒、沈黙しました!」 発令所が沸く中、リツコは回線を開き、シンジだと思っていた者に呼びかけた。 「あなた、だれ?」 それを聞いたミサトが「え?シンジ君で『あなたは黙ってて、ミサト。誰なの?シンジ君じゃないんでしょう?』」 リツコの言葉を聞き、発令所の全員が凍りつく。シンジでないのなら、いったいどこの誰なのか・・・。 「やっとばれたね、キノ。」 ふいに、置きっ放しのモトラドが話をし、みんな驚く。 「そうだね。」エルメスに返事をし、それからミサトらに向き直り、 「そうです。ボクは『キノ』っていうんです。シンジという人ではありません。」 その言葉に、一度は勝利に沸いた発令所が、完全に凍りついた。 コメント:すみません。ネタパクりました。