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                               諜報・スパイ・造反?






 空港

「来たか、タカ」

 集合場所から少し離れた所に、シンはタカヒロを呼び出していた。

「う、うん・・・」

 シンの前でタカヒロは少し沈んだ顔をしている。

「俺が言いたいこと分るか?」

「・・・・・・・・」

 シンの言葉に、ある意味、後ろめたい事のあるタカヒロは何もいえない。

「お前が何を悩み、何で隠し事をしているのかは、あえて聞かないし、
その事についても、おれは責めるつもりはない」

「・・・・・・・・」

「だが、自分で決めた事だ、確り、責任はとれよ」

「わ、分っている」

 シンの言葉に、タカヒロはそう答えるしかなかった。

「そうか・・・」

 自分の方を見ず、下を見ているだけのタカヒロに、シンは優しい声でそう言った。

「タカ」

「な、なんだい?」

「もし、自分の力だけで無理だと思う事態が起こったら、遠慮無しに助けを呼べ。
 そして、誰でもいいから、早く相談しろ」

「え?」

 シンの意外な言葉に、タカヒロは驚き、顔を上げ、シンの方を見る。

「出来れば、ネルフ内で・・・とは言わない。
 お前の信用の置ける人間でいい。
 全部、話せとも言わない。
 解決は出来ないとしても、気が楽になるハズだ」

「し、シンさん・・・」

「それと、これを渡しておこう」

 シンは、そう言って、黒い玉をタカヒロに渡した。

「これは?」

「お守りのようなものさ。
 もし、自分の力だけでは無理な事態におちいったら、
思いっきり自分の前側の地面に叩き付けろ。
 上手く行けば助けになるはずさ」

「シンさん」

「それと、これも渡しておく」

 そして、今度は何かのチケットと鍵を渡した。

「・・・5泊6日の宿泊チケット?・・・それに、鍵?」

「鍵は第一ターミナルの所にあるロッカーの鍵だ。
 そっちのチケットは、まぁ、そのロッカーの中を見れば、
多分、理解できるだろう」

「・・・??・・・」

 タカヒロは意味がわからず、首を捻った。

「もしも、シンジが第三新東京市市外に行く事になったら、
連絡が入るだろうから、その時は護衛も頼む」

「で、でも・・・」

 シンの言葉に、なにやら言い辛そうにタカヒロが呟く。

「大丈夫、1人くらい、人員が増えても、大丈夫なようにしてある。
 じゃぁ、そろそろ出発だから、俺はみんなの所にもどる」

 しかし、その呟きを遮って、シンはそう言って、集合場所のほうへ歩き出した。

「え?・・・し、シンさん?」

 その言葉に驚いたタカヒロが上げた声に反応したのか、
シンは振り向かずに、片手をあげ、そのまま、雑踏の中に消えていた。






「えっと、大丈夫だったの?」

 タカヒロが戻って来ると、
確り男装をして、深く帽子をかぶっているマナが、
心配そうな顔でそう言った。

「うん・・・でも、どうやら、あの人は、全部分っているみたいだった。
 あの人には話していた方が良かったかも・・・」

「ご、ごめんね・・・私が黙っててって言っちゃったから・・・」

 タカヒロの言葉に、マナはすまなそうにそう言った

「良いんだ、僕もそれに賛成しちゃったしね・・・」

「大丈夫、帰ってきたら、チャンと話せば良いから」

 少し沈んでいるマナを元気付けるように、タカヒロはそう言った。

 マナはハッキリしない記憶の中、うっすらと思い出した感覚で、
少し人間不信っぽいものにかかっており、
タカヒロ以外の人間のかかわりを極端に嫌っていた。

 おそらく、戦自に居た時に聞かされたネルフのイメージがあるのだろう。

 助けてもらいにきたのだが、誰にと言う所がぼやけている為、
ネルフ関係の人間とも、接触を持つのを嫌がってしまった。

 しかし、表情が暗いのはマナだけではなかった。

 タカヒロも、少し暗い表情をしていた。

 なぜなら、タカヒロがシン達に話さないのは、
マナのことだけではないからである。

 それは、自分を頼ってきている女の子を、
自分の力だけで助けたいと思うプライド、
そして、マナとシンを会わせる事に関して、
ある危機感があるからである。

 つまり、
『マナが自分ではなく、シンを好きになってしまうかもしれない』
と言う危機感があるのだ。

 シンは、成績優秀でスポーツ、家事万能、腕っ節も強く、
性格も優しく、真っ直ぐで、確り芯が通っていて、
何処となく大人の雰囲気を漂わせ、身持ちも硬い。

 つまり、男の目から見ても、素晴らしい漢である。

 だからこそ、シンは女子にモテる。

 実際、シンには、綾波レイという彼女が居おり、
彼自身、浮気をしない主義と公言しているにも関わらず、
他の女の子から、誘いとかあっている。

 勿論、彼は、チャンと、丁寧に断っている。

 それにも関わらず、いまだに、彼にラブレターを出してきたり、
告白をしてきたりする女の子はかなり多い。

 だからこそ、タカヒロはマナがシンと出会った場合を考え、
本能的に恐れているのである。

 だからこそ、隠し事をしていても、それがわかっていても、
責めず、あえて知らないようなフリをしつつ、
自分達の事を按じてくれるシンに対して、
自分の持つ嫉妬のような感情を恥ずかしく感じた。

「そろそろ、ココを離れないと・・・」

 気を取り直して、タカヒロはそう言った。

「うん・・・そうだね」

「じゃぁ、ロッカーの方に行ってみよう」

 頷いたマナの手を取って、タカヒロは歩き出した。

「どうして?」

 タカヒロの言葉に、マナはそう言った。

「そこにシンさんが、何かを入れていてくれているらしいから」






 そのロッカーには、Sサイズマナが着られるサイズのネルフの制服と、
写真の貼っていない身分証、それに手紙のようなものが入れてあった。

「やっぱり、完璧にバレているんだね」

「・・・そうだね」

 用意されていたものを見て、2人はそう言った。

「じゃぁ、一応、皆が帰ってくるまで、浅間山の所に行っていようか。
 一応、この宿って、ネルフ関係が強いようだから、
戦自関係の人は来ないだろうし・・・」

「そうね、戦自の人が探し回っているみたいだから、
市内に居るよりも安全かも・・・」

 実はこの間の買い物の時、
マナは戦自で知った顔教官だった男を見ていた。

 その為、外に出る時は、男装をしていたのである。

 因みに、現在、着ている服は、タカヒロのだったりするが・・・

 とりあえず、2人は、シンが旅行から帰ってきたら、
彼に相談する事に決め、浅間温泉に行く事にした。





 その頃、分析部・作業個室

「♪〜♪〜〜♪♪〜」

 そこで、シゲルは鼻歌を歌いながら、
タカヒロから預かった手紙の分析、修復をしていた。

 勿論、個室なので、他に人はいない。

 暫くして、ERRORの文字が画面に出てきた。

「あちゃ〜やっぱ、中身を見ながらじゃないと、できないか・・・
 まぁ、仕方ないよな、マギを使わずに、極秘でやるんだからな・・・
 このクラスのじゃぁ〜なぁ〜」

 この部屋は、凶悪なコンピューターウィルス等の対策研究を考えて、
ゲヒルン時代に作られていた特別隔離研究室の1つである。

 マギがリツコの手でシステムアップされ、ウィルス等の心配が無くなってからは、
当初の目的で使われる事はなくなり、殆どが、ただの分析室となっているのだが、
何故か、この部屋のコンピューターは、マギと隔離されたままであった。
(忘れられているのか、予算が足りなかったのか、手抜きなのか・・・)

 この事を知っているのは、一部の所員だけだが、
システムのバージョンアップが、マギによって、自動で行われない為、
あまり使われず、人もあまり入ってこないのである。

 それを知っているシゲルは、時々、作曲等をする為に利用したりしているのである。

 勿論、自分の手で、その方向のバージョンアップをさせて・・・

「あんまし長引かせると、鹿島二佐も帰ってくるだろうし」

 頬を掻きながら、シゲルはそう呟くと、モニターの画面を切り替え、
滲みまくった手紙の内容を、機械と自分の目で補正しながら、修正していく。

「ちょいちょいっと♪」

 その手は早く、画面の封筒の滲み、潰れた字が、ドンドン読めるようになっていく。

「♪〜♪・・・あれ、宛先は、確かに鹿島二佐なのに、郵便の印がないな〜
 直接、投函したのかな?・・・まぁ、切手もなかったけど・・・
 ♪〜♪〜・・・・・・!!・・・
 こ、これは!!」

 そして、ある程度、修復し終わったその内容を見て、
シゲルの手が止まり、その顔は驚愕の表情に変わった。

 シゲルは、画面を見ながら、暫く硬直していたが、真剣な顔付きとなり、
無言で作業を続けていった。






 ネルフ本部のどこか・・・

「やっぱり、記録は無いの?」

 端末を弄っているマコトにミサトはそう言った。

「えぇ、やっぱり、家出なんですから、普通の方法じゃ難しいですよ。
 正規のやり方で入ってきたとは思えませんし・・・
 こうなったら、マギの監視カメラを使って探してみた方が、
良いんじゃないですか?」

「で、でも・・・」

 マコトの言葉に、ミサトは難しそうな顔をする。

「大丈夫ですよ、その顔写真を元に・・・」

「だ、ダメよ!」

 マコトの言葉に、ミサトは慌ててそう言った。

「え?・・・な、何でです?」

 マコトは少し驚いたようにそう言った。

「え? だ、だって、その・・・
 そ、そう、先方から、できるだけ極秘にしてって・・・」

 あくまでもネルフの上層部には極秘で進めなければならないし、
マコトにもその事を極秘にしないといけないので、そう言った。

「あぁ、勿論、公開はしませんよ。
 ただ、マギの管理システムをチョッと借りて、探し出してもらうだけです。
 つまり、マギの監視システムのカメラで、その娘を探し出してもらい、
こっちだけに報告を入れてもらうんですよ」

 マギの都市管理システムへのハッキングとその一部の私的利用・・・

 かなり危ない橋である。

「そ、そんな事をしたら・・・」

 ミサトはばれた時の危険性を考えて、躊躇するが・・・

 名前も教えず(ミサトがマナの名前を忘れていた為)、
写真だけで探そうとしているので、それ以外方法が無いのも事実である。

「まぁ、バレなきゃ良いんですよ、バレなきゃね」

 難しい顔をしている憧れの上司に、
良い所を見せようと張り切っているマコトはそう言った。

「あ、危なくないの?」

 ミサトは心配そうにそう言った。

「大丈夫です♪」

 ある意味、自分の腕を過信しすぎているマコトはそう言った。

「悪いわね・・・
(まぁ、もしもの時は日向君が勝手にやった事だし・・・)」

 もしもの時は切り捨てる気満々のミサト・・・

「良いんですよ・・・(貴女の為なら・・・)」

 そんな事は知らないマコトは、
セリフを心の中で呟きながら、作業を進めていった。






 どこか・・・

「まだ見付からんのか?」

 ミサトに大佐と呼ばれていた男が、部下らしい男達にそう言った。

「はぁ、たったこれだけの人数で、この広いネルフのお膝元である第三新東京市を、
更に、ネルフに見付からないようにしないといけませんので・・・」

 部下の1人がそう言った。

「えぇ、おそらく、ですが、昼間はあまり出ないでしょうからね」

 別の部下がそう言った。

 しかし、マナは出かける時は、変装をしているとは言っても、
昼間に、タカヒロと一緒に出かけている。

 因みに、彼らは、孤児であり、身寄りのないマナが、
誰かと一緒に居るとは考えておらず、1人で潜伏していると決め付けていた。

 さらに言うなら、現金を持っていてもあまり持っていないだろうと、
考えている為、野宿していると考えても居た。

 さらに言うなら、集中して捜しているのはネルフ本部のゲートの付近であり、
マナが駆け込もうとしたら、取り押さえる気でも居た。

 その為、だらけきっていた買出しの者が、あまり注意を払っていなかったので、
近くに居たマナに気付かず、逆に自分達が居る事をバラしていたりもする。

「ところで、あの女からはどうです?」

 部下の1人がそう尋ねた。

「うむ、手掛かりはまだ見付かって無いらしいな。
 そろそろ、次の報告があるが・・・」

 大佐はそう答えた。

「しかし、大丈夫ですか?
 確かに戦自時代の記録では、トップクラスの成績がある事になっているとは言え、
アイツの同期の連中から聞いた噂には、
『あの女には、そんな実力は無い』
『裏で水増しされた成績なんだ』と言う類のが、かなりありましたけど?」

 不安そうに、部下の1人がそう言った。

「そ、それはやっかみじゃないのか?(汗)」

 その報告を聞いて、驚きながらも、大佐はそう言った。

「でも、最近のというか、ネルフのデータを見てみると、
勤務評価はK-でしたよ」

 付け加えるように、別の部下もそう言った。

「わははは、嘘付け、
ネルフの勤務評価の最低ランクはF-だろうが」

 それを聞いて、大佐はホッとしたようにそう言い返すが・・・

「いえ、それが、アレ専用に次々、出来たようで、
今は-まで、あるんですよ。
 勿論、-以下はあの女しか居ないようですけど・・・
 大体、それ、国連に正式に出されていた資料ですし、備考も、
『実務能力の有無を議論する以前に、仕事を全くしない、邪魔する人間』
『仕事をするという事を他人の仕事の邪魔をする事と勘違いしている無能以下の者』
『常時遅刻早退当たり前どころか、職務中に飲酒を平気な顔でしている』
『邪魔をする為か、厄介払いの為に軍部がおしつけて来た存在としか思えない』
『本部内では、普通の場所に居るより、独房に居る時間の方が長い』
『人類の命運のかかっているネルフを都合の良い厄介払いの場所にしないでくれ』
『求む、引き取り先』
等いう事が提出される書類毎に手法を変えて、書いてありましたし・・・」

 現在のネルフの査定は+-である。
(特別優秀の+飛ぶなら飛べでなければ去れ左遷か辞職しろ-辞めるなら辞めろでなければ死ねネルフに存在するな!-

 因みに、-になると手取りの給与は殆ど0であるが、
ミサトは日向にたかっている為、気にしてないのかもしれない。
(最初は文句を言ったが、『じゃぁ、辞めてくれ』とアッサリ言われたらしい)

「・・・・・・(汗)」

 それを聞いて、冷や汗を流しながら黙り込む大佐。

 知らなかったらしい。

「しかも、最近じゃ、ネルフ本部だけでなく、
噂を聞いた各支部からも、解任を求める声が上がって・・・」
(ミサトの勤務態度が流れたらしい・・・)

「まさか・・・」

「し、知らなかったんですか?」

「我々の間でも、似たような話が、結構有名でしたけど・・・」

「いや、俺は奴の教習時代の対人戦闘技能訓練しか、
直接見てなかったからな(汗)」

 どうやら、ミサトのそう言う教官だったようだ。

「そう言えば、大佐は我々と出身が違いましたっけ・・・」

 因みに、今彼のそばに居る部下は、ある意味、技術畑な連中だったりする。
(まぁ、あの秘密基地の連中だろうし・・・)

「確かに、アレの格闘能力、射撃能力等の、
個人戦闘能力は“-”、生存能力は“+”と、
かなり、目を見張るものがあったらしいですが、普段の授業等の様子から、
あっち関係指揮官としての技能が、何でそんな成績になっているのかが、
同期の連中が不思議がってたくらいでしたよ」

「まさしく、『順位を逆さまにしたのではないか』って位らしいです」

 バックにゼーレが居た為、指揮官というか、
士官になる為に必要な技能などは水増しされた成績だったらしい。

 呆然とする大佐・・・

 どうやら、自分の受け持っていたところ一兵士となる関係の成績がよかった為、
その成績を信じていたらしい。



 更に嫌な汗が流れ、沈黙が続いた。



「まぁ、まぁ、兎も角、もしもの時は奴に押し付け、バックレれば・・・
 いや、いつでも、バックレられるように、準備を確りして置け」

 かなり沈黙が続いた後、やっと気を取り直した大佐がそう言った。

「「そ、そうですね・・・」」

「「「「「(大丈夫かなぁ〜)」」」」」

「「「・・・(汗)」」」

 大佐の言葉に、部下達は一抹の不安を感じた。

 しかし、一番、不安を感じ始めたのは大佐であったりもするのだが・・・

「・・・(俺だけでも撤退しとくか)」

 すでに、自分以外のトカゲの尻尾きりを考えているようだ。






 司令執務室

 そこにはゲンドウ、冬月、ユイ、それに、青葉が居た。

 因みに、ユイは、ゲンドウとは冬月を挟んで、反対の位置に居る。

 マジで半径50cmの範囲には、入ってくれないのである。

「・・・・・・・」

 そして、ゲンドウは難しい顔をしながら、報告書らしきものを読んでいる。

「これは事実かね?」

 同じようなものを読んでいた冬月が青葉にそう言った。

「ハイ、おそらく・・・
(タカ、ごめん・・・でも、このままだと、
お前も彼女も取り返しがつかなくなるんだ)」

 青葉も難しい顔をしつつ、そう答えながら、心の中でタカヒロに謝っていた。

「戦自の状態を考えられんような事態ではないな」

 ゲンドウは、報告書を机の上に置いて、そう呟いた。

「まぁ、過去のネルフの行動とかを考えれば、
警戒するのも判らないではないですけど・・・」

 何故かジト目でゲンドウを見るユイ・・・

 勿論、手には同じ報告書がある。

「と、兎も角、何かしらの行動をとるべきだな(汗)」

 ゲンドウは冷や汗を流しながら、そう言った。

「・・・で、碇司令、どうなさるの?」

「あぁ〜ユイ、できれば・・・」

「だったら、早くレイちゃんに心から『お父さん』って呼ばれなさい。
 それに私の事は『朋意科学技術部門特別顧問』と呼ぶように」

「・・・・・・・・」

 ユイにピシャリと言われて、
机の上に“の”の字を書き始めるゲンドウ・・・

 因みに、シンの場合、ネルフでは『特別顧問』のみか、名前で呼ばれる。

 実は、ユイの正体は、ミサト、加持を除く上層部及び、
副司令たる冬月直属の青葉、リツコの直属であるマヤは知っていた。

 最も、日向マコトはあまりにもミサトに近いと言う事で、
ハブにされているが・・・(機密を漏らしそうだし・・・)

「コホン・・・まぁ、碇は置いておいて、この一件は・・・」

「はい、彼には悪いですが連絡を取ろうと思います」

 冬月の言わんとすることを判っている青葉はそう言った。

「任せる」

 何時の間にか復活したゲンドウがそう声をかけた。

「は!」

 青葉は敬礼をして、早速出て行った。





 さらに次の日・・・司令執務室

 そこには、ソファーセットがあり、ゲンドウ、冬月、シンジ、ユイが座っていた。

「浅間の火口奥深くに不審な影ですか?」

 シンジは確認を取るように訊いた。

「あぁ、現在、調査団を向かわせている」

 己の膝に肘をあて、いつものゲンドウポーズをとりながら、ゲンドウはそう答える。

「そうですか」

「そこで、シン達も呼び戻そうかと」

「ダメです!
 皆、修学旅行を楽しんでいるんですよ!」


 冬月の言葉に、シンジはハッキリそう言った。

「い、いや、しかしだな、この場合」

 何故かゲンドウが後押しをするような態度をとる。

「使徒でなかったら、どうするんですか?
 例え、使徒であっても、刺激しないので、
今は監視に留めるだけにしておいた方がいいです」

「そうね・・・折角の旅行だしね」

 ユイは、シンジの後押しするようにそう言った。

「「・・・(汗)」」

「「どうしたんですか?
 父さん司令副司令冬月先生・・・」」

 2人して、冷や汗を流しているので、
疑問に感じたシンジとユイがそう訊いた。

「余計な・・・刺激を与えるかも・・・しれない(汗)」

「い、いや、その、なんと言うか、その調査団に、葛城(仮)作戦部長が、
勝手についていってしまっていて・・・」

「「はぁ?」」

 ゲンドウと冬月の言葉を、
一瞬理解できなかったシンジとユイが首をひねる。

「いや、最初は、日向二尉と数名の作戦部員だけに行って貰う予定だったんだが、
どこで聞きつけたか、それが使徒らしいと言う事を知った葛城(仮)作戦部長が、
勝手に憑いて行ってしまったんだよ。
 困った事に・・・」(心情的に誤字にあらず)

 冬月が言い難そうにそう言った。

 因みに、その情報をリークしたのはマコトである。

「な、何で、アレを野放しにしているんですか?」

 呆れたようにユイが言った。

「いや、『行くな』と言う命令を口頭で出す前に、
さっさと行ってしまって・・・」

「あの色魔狐加持リョウジみたいに、ずっと独房に入れておくわけには行かないんですか?」

 ユイがそう訊いて来た。

 因みに、加持の監禁?は続いている。

 ゼーレはアダムを紛失した失態があるので、助けようとせず、
ネルフ内では、ある事ない事、特に女性関係の悪い噂が、
大げさに流布されている為、誰も出そうとしていなかった。
(一番そう言う噂を流したのがミサトだったりする)

 最も、外にでていた短い時間で、色々な部署の女子所員に声やコナを掛け捲っていた事実があり、
その噂にかなり拍車をかけることになっていたが・・・
(情報収集に託けていて・・・)

 因みにゲンドウ達は、忘れているわけではない。

 だが、今の状況で、加持を外に出したら、
性格上、余計な事を嗅ぎ回ろうとするだろうし、
下手にミサトと組まれたら、色々と問題が出るだろうと考えて、
タイミングが取れないでいるだけである。

「ココのところ、大人しかったから、拘束し続ける理由もなく、
下から抗議もあって・・・」

 因みに、ミサトを出すように抗議したのも、マコトだったりする。

「仕事をロクにしないという理由だけでは・・・
 ゼーレの目もあることだし、下手な事は・・・」

「アレみたいに大きなミスでもすれば、良いと思うのだが・・・」

 疲れたように冬月がそう言った。

「そういえば、最近、彼女に関して、
よからぬ噂があるのをお聞きになって?」

 ユイがそう呟いた。

「どんな噂だ?」

 ゲンドウが興味深そうに訊いてくる。

「たしか、『外の所属らしき人物と密会している』とか・・・
『日向二尉を使って、マギの監視システムに、
 ハッキングをかけ何かを探している』
とか・・・
 まぁ、今は泳がして、事実関係を調べさせていますけど・・・」

 ユイはそう言った。

「・・・それが事実なら、使えるな、
いくらゼーレでも『シナリオの害』と判断して・・・」

 冬月が腕を組みながら呟く。

「あぁ・・・」

 ゲンドウがニヤリとしながらそう言った。

「こちらでも調べさせよう」

 冬月がそう言った。

「もう直ぐ、彼も戻ってくるしな」

「で、僕はどうするんですか?」

 話から外されていたシンジがそう言った。

「もし、火口にいる存在が使徒だった時を想定し、
もしもの時の時間稼ぎもしくは、殲滅の為の作戦を考えて欲しい」

「そうですね・・・あれを使えば、十二分に足止めを・・・
 しかし、下手?をすれば、そのまま殲滅も可能かも知れませんね」

「あ、アレを使うのか?(汗)」

「元々、アレも使徒殲滅を前提に作られた事になっていますから・・・(汗)」

「本気かね?(汗)」

「い、言わないでください。
 一番気にするのは、僕なんですよ(汗)」

「「そうだな(汗)」」

 冷や汗を流しながらそう言う男性陣。

「それって、どう言う意味ですか?」

「「「あ・・・(汗)」」」

 ユイにじと目で睨まれつつ、硬直する男性陣・・・

 何故かユイはアレを気に入っているらしい。

「いや、そのな・・・(汗)」

 ゲンドウが言い辛そうに言葉を濁そうとすると・・・

「僕は、もしもの時のための準備を始めるよ・・・(汗)」

「そう言えば、まだ未決済の書類が・・・(汗)」

 シンジと冬月はそう言って、席を立った。

「ず、ずるいぞ・・・(汗)」

 そんな2人の態度に、ゲンドウはそう言うが・・・

「あら、じゃぁ、私も仕事が残っていますから・・・」

 ユイもそう言って、席を立ち、さっさと部屋から出て行った。

「は?」

 呆然となるゲンドウ・・・

「マジで約束が果たされるまで、
2人っきりにもなってあげないんだね・・・(汗)」

「ユイ君は自他共に厳しいからな・・・(汗)」

 ユイの出て行ったドアの方を呆然と見ているゲンドウを見ながら、
シンジと冬月はそう呟いた。





 その頃・・・

「そう言えば、まだ監視に引っかからないの?」

 観測所で、火口の調査の準備を手伝っているマコトに、
ミサトは後ろから声をかけた。

「専用の端末が無いココからじゃ、詳しく現状は分りませんが、
この間ご報告したやつだけですよ・・・」

 マコトは、回りを気にしつつ、そう言った。

「この間って・・・なんだっけ?」

 忘れているのか、ミサトはそう言った。

「え?・・・ほら、一週間ほど前に、それらしい娘が、
トウキョー3デパートの監視カメラにチラリと映っていたって・・・(汗)」

 ハッキリ言って、邪魔をされているのだが、
それでも、マコトは、文句を言わず、観測機の準備を手伝いながら、そう答えた。

「えぇ! あのデパートに居たの?!」

 ミサトは驚いたようにそう言った。

「いえ、それらしい娘が、ですよ。
 だって、その娘、第三新東京には、知り合いは居ないんでしょ?
 それなのに、真っ昼間から、友達らしい子と一緒に買い物を・・・」

「それはこっちで出来た友達に決まっているでしょ!」

 ミサトは憤慨したようにそう言った。

「え?・・・でも、あの時、報告を聞いて、葛城さんは、
『彼女は、この第三には、友達が居ないし、行動するのは夜だろうから』って、
言って、パスしたじゃないですか・・・」

 マコトは驚いたようにそう言った。

 ミサトも、戦自の連中と同じように、そう言う考えに硬直していたので、
その時は気にもとめず、マコトに奢らせたえびちゅを片手にそう言ったのだが・・・

「そ、そんなの関係ないじゃない!」

 しかし、そう言う事は遥か高い棚の上に追いやって、ミサトはそう言った。

 じつは、昨日、大佐と連絡を取ったとき、かなり急かされたので、
あの時よりも情報に餓えていたからである。

「はぁ、でも、相手の子は、知っている子でしたし・・・」

「へ?」

 その言葉に、ミサトは驚く。

「ほら、保安部長の・・・」

 因みに、そんな会話をしている2人の周りのネルフ職員は、
何故か耳をダンボに状態にしていた。






 暗い部屋・・・

 そこで、補完委員会に呼び出されたゲンドウが会見を行なっていた。

『碇君、第八使徒が見付かったそうだね?』

「いえ、現在調査中で、よくわかっておりません」

 ゲンドウはそう返した。

『いまだS2機関のサンプルが手に入っておらんと聞く』

「仕方ありません、対外的にも、内部的にも、
使徒との戦いには必ず勝たなければなりません。
 それなのに、使徒の生命活動を司っているとも言えるコアを、
出来るだけ無傷で手に入れるのは、かなり困難なのですから・・・」

 事実、ゼーレには、コアは劣化が激しく、
サンプルになりえないと言う報告を入れ、
それらしい証拠を作り、手に入ったものでも、処分し、
劣化の激しい部分だけをゼーレに提出していた。
(シンの判断で・・・)

『だが、今回の使徒はまだサナギ状態と聞き及んでいる』

「それは・・・裏死海文書からのデータですか?」

 ゲンドウはそう訊いた。

『・・・そうとってもらってもかまわん』

「ですが、最近は記述と違う事が多く・・・」

 不安そうにゲンドウはそう言った。

 事実、記述とは違う事が多く起こっている。
(起しているの間違いじゃ・・・)

『我々を疑うのかね?』

「いえ、そう言うわけでは・・・」

 ゲンドウは慌てて言い返す。

『アダムがいまだ発見できない今、使徒の捕獲は最重要課題である』

 事実、ゼーレが必死に探しているものの、
いまだ加持が失くしたとされるアダム入りのトランクは発見されてなかった。

 最も、トランクの中身は、シンの策略によって、入れ替えられ、
更に爆散し、海の藻屑となっている為、見付かりっこないのだが・・・

『今回の使徒はそのチャンスだと考えられるよ』

「つまり、今回の使徒をアダムの代わりに?」

『A−17の発令・・・こちらで準備をしておく』

「A−17ですか?・・・危険ではないでしょうか?」

 ゲンドウは日本政府との関係を考え、そう言った。

『これは必要な事だよ』

『左様、出来るだけ、無傷で使徒を捕獲して欲しい』

 だが、ネルフと日本政府の関係の事等、
知った事ではないゼーレはそう言った。

「ですが、その管理は?」

『・・・それはこちらに任せたまえ』

『出来次第報告をしてくれれば、
ドイツ支部に受け取りに行かせる』

『だが、出来るだけでよい。
 捕獲が出来なければ、殲滅してもかまわん』

 管理の指示は無く、もしもの時は殲滅と言う事は、
実際のところ、使徒の捕獲がメインではなく、
A−17を出させる事が重要なのであろう。

 つまり、それによって出る株の下落と急騰、
それによって起こる利潤を、ゼーレが求めていると言う事である。

「・・・わかりました。
 それと、ご報告しておきたい事が・・・」

『なんだ』

 キールがそう言った。

「葛城ミサトが、他組織と密に連絡を取り合っております」

『・・・どう言う事だ?』

 周りのメンバー達も騒ぎ始める。

「詳しくは分りませんが、最近はマギから、
何かのデータを抜き取ろうとしているようです」

『『『『『・・・・・・』』』』』

「最近の行動も目に余るものがあり、
表にも裏にも、悪影響を出し始めました」

『事実かね?』

 メンバーの1人がそう言った。

「はい、詳しい資料は後で送らせて頂きますが、
時がきてないのに、チルドレンの心を破壊しようとしたり、
何処かへ、連れ去ろうとしたり、
マギの防壁を一時的に無効にしたりして、
外部に流失させようとしたり、
製作中のダミープログラムに、訳の分らないバグや、
ウィルスを送り込んだりと・・・
 お陰で、ダミー開発が白紙に戻りかけるなど、色々と支障が・・・
 下手をすれば・・・このままですと、その被害で、
折角、プールした裏資金が枯渇します」

 ミサトがマギのデータでマナを探そうとしている最中に、
何かしらのミスがあって痕跡が残っていたらしい。
(チルドレンの事は主にアスカの事である)

『・・・それが事実なら、問題あるな』

 重い声でキールがそう呟いた。

「このままだと、色々と、シナリオ崩壊の危険性が高いと考えられますが・・・」

『むぅ・・・』

 ゲンドウの言葉に、キールは唸る。

『で、そのダミーの方はどうなったのかね?』

 別のメンバーが訊いて来た。

 報告では、ダミーに関しては、仲間の安全を高める為という理由で、
一番やる気があり、かなり順調だと聞いていたからである。

「八割方、出来ていて、松代で実際に実験をし、
不都合を見つけ、修正する状態まで来ていたらしいのですが・・・」

 ゲンドウがそう言った途端、感嘆の声が聞こえるが・・・

「どうも、彼女が送り込んだウィルスは、無差別に入り組んで、
崩壊させるタイプのものだったらしく、
バックアップごとやられてしまい、
機材から何から全て新しいものに換え、
一からやり直さないといけなくなったと、聞き及んでおります」

 ゲンドウが疲れたように、そう言った。

『ほ、本当かね?』

「なんでしたら、まだ物理的に処分していない機材を送りますが?
 ただ、気をつけてください。
 下手をすれば、つないだ機材ごと異常になりかねません。
 彼も、マギにつないでなくて良かったと言っているくらいですから・・・」

 勿論、そう言う風な悪質なウィルスを作り、準備をしていた。
(製作者:シン、リツコ、ユイ、マヤの技術部四巨頭・・・
 しかも、それぞれが色々と悪趣味に走ったとか・・・)

 最も、最初はミサトではなく、妨害者が送ってきた事にして、
ダミー開発の遅れの言い訳にする予定だったのだが・・・

『き、キール議長、既にアレは、
絶対にネルフに置いておくと言う様な必要性もないでしょう』

『管理でしたら、別の部署でも・・・』

 ボソボソと、他のメンバーがキールにそう言った。

『良かろう、事実なら、ネルフから放逐し、
他の部署に引き取らせる事も考えて置く・・・
 その機材は、至急、ドイツ支部に送れ、こっちで解析をしてみる』

 キールが目を光らせながらそう言った。

 しかし、その後、その機材を解析しようとして、使用したドイツの予備のマギ・コピーが、
電子的には回線を閉じていたにも関わらず、ドイツ支部やその周りを機能停止に落としこむ事になる。

 そして、結局、全て回線を物理的に遮断せざるを得なくなり、
感染された全てをコンピューターを廃棄する事になり、
予備でない方のマギ・コピーも、完全にお釈迦になり、
全て新しいものに交換しなければならなくなるという恐ろしい事態を引き起こしてしまい、
機械で延命をしているキール達の精神に、かなりの恐怖と負担を与える事になるのである。
(因みに、何故か被害の殆どはゼーレ関係のコンピューターで、ドイツ支部から半径50q外には、
広まらなかったらしい)

「は!」

『では、後は、碇に任せよう』

『『『『全ては、ゼーレのシナリオの為に・・・』』』』

 そう言って、メンバー達は消えていった。

『碇、分っているな?』

 最後にキールがそう言った。

「重々、分っております」

 ゲンドウはそう言って、一礼をした。

 それを見て、キールも満足そうに消えていった。

 だが、恭しくしているゲンドウの心の中では、
舌を出しているのは言うまでも無い事であろう。







「・・・えっと、大丈夫かな?」

「多分、大丈夫と思うけど・・・」

 因みに2人はシンの用意していたらしい偽名である宿に泊まっていた。

 ピーピーピー

「あ、携帯が・・・」

 タカヒロは、携帯をとってみた。

『・・・鹿島特務一曹か?』

 重苦しいゲンドウの声が響く。

「は、はい・・・」

 タカヒロは、司令であるゲンドウの声を聞いて、ビビリながら答える。

 家族や親しい者の間ではお間抜けなところも見せるが、
そこはネルフ司令になったほどの男、威圧感などが違った。

『明日、碇特務一佐が浅間山で作戦行動を取る予定だ』

「は、はい・・・」

『貴官は部下一名と共に、護衛の任につけ』

「え?」

 部下と言う言葉に、驚いて、戸惑うタカヒロ。

『なお、任務の拒否及びエスケープは許さん、
明日、12:00に迎えにでろ、場所は追って伝える』

「あの」

『・・・以上だ・・・がちゃ・・・ツーツー

 ゲンドウはそのまま電話を切った。

「・・・・・・部下?」

「それ、もしかして・・・私の事?(汗)」

 マナは自分を指差しつつ、そう言った。

「・・・・・・全部バレてたかも(汗)」






 その頃、第三東京市のトウキョー3デパート・・・

「・・・本当に昼間、ココに居たんですか?」

 部下の1人がそう言った。

 因みにこのデパートは一部24時間である。

「分らん・・・しかし、アレの情報だと、
一週間近く前に、男とココに居たらしい」

 ミサトの情報で、見に来たらしい。

「技能も教えてないのに、男を誑かすとは・・・幸先恐ろしい娘ですな」

「イヤイヤ、そう考えると、
早く犯っておかなかった事が悔やまれますね」

「まったくですな」

「それは捕まえた後で、試せばいいことでしょう」

「そうですなぁ〜」

 トンでもない事を言っている部下達・・・
(やっぱり、こいつ等、外道・・・)

「貴様等、小声でも、外でそんな話をしているんじゃない」

「「「「「わ、分りましたよ・・・」」」」」

 大佐に睨まれて、縮こまる部下達。





 浅間山観測所

「・・・へ?・・・こっちに来るかもしれないですって?」

 マコトと密談?していたミサトが声を上げた。

「え、えぇ、碇指揮部長が来ますので、護衛に・・・」

「何ですって!
 そんなのを呼ぶよりも、チルドレン、
いえ、アスカかレイを呼び戻しなさいよ!」


 ミサトはまだアスカやレイなら、
自分の言う事を聞くと思っていたのでそう言った。

「ですが、その権限は、司令にしか・・・」

 マコトは回りを気にしながら、そう言った。

「さっさと貰いなさいよ!」

 マコトの襟首を掴んで、そう叫んだ。

「む、無理ですよ!」

 ミサトの無茶な要求に、マコトはそうこたえた。

 事実、チルドレンをまだ呼び戻さないと決定しているのは司令であり、
それを一部下の我儘で覆す事は不可能だからだ。

「クッ・・・(兎も角、大佐に連絡して・・・)」

 ミサトはそう呟くと、公衆電話に向かって、歩き出した。
(因みに、ミサトは携帯をなくしたと偽って、質に入れたいた事がバレ、
携帯を没収されている)

 そして、誰も近くにいない事を確認すると、
大佐から教えてもらった番号をおして連絡を入れた。

 そう、マギの影響下にある地域で、一般的な公衆電話から・・・

「はい、私です、実は、あの娘と接触のあった男が、
浅間山に来るようなのです。
 はい、理由は、ネルフの司令の1人息子で、
チルドレンでもある少年の護衛です。
 えぇ、どちらにしろ、戦自にとって、
重要な駒を手に入れられると・・・」

 ミサトの目はかなり濁っていた。

 自分がやっている事が、重度のスパイ行為であり、
しかも、かなり悪辣な事をやっていると言う事に、
気付かないのであろうか?

 おそらく、仕方ないという理由をつけつつ、
シンジさえ居なければ、自分が指揮を執れると言う考えなのであろう。

 しかし、この事が、ある意味、彼女のネルフ人生に、
止めを刺す要因の1つになる。

                                  つづく。




 あとがき

と「まだ終わらない・・・」

鐘「ですねぇ〜」

D「マナ邂逅編、思ったより、難産みたいだな」

華「下手に端折ると訳わからなくなるだろうしね・・・」

鐘「そう言えば3位の所に、洞木ヒカリさんの名前を前回忘れていましたね」

と「うみゅ、お叱り?メールをもらって、驚いた」

D「『ヒカリちゃんが何時の間に!』って奴だな・・・」

鐘「ですねぇ〜」

華「まぁ、兎も角、現在の順位を・・・」

D「うむ!」

1位 山岸マユミ

鐘「いや〜最近、単独です」

と「強いなぁ〜」

華「ちぃ!」

2位 鈴原ミカ、シンイ=ジカーリ(ミユ)、洞木ヒカリ

D「忘れられていたから、一気に票が入ったんだよな・・・」

鐘「ミカちゃんも強いですね」

華「アスカさんファンの方!がんばるのです!」

と「なして、いまだにシンイが?」

3人「「「作者の血が見たいから?」」」

と「だぁ〜!!」

5位 上位者によるシンジ君ハーレム♪

D「これが今まで謎だったものだな・・・」

鐘「という事は、これが1位になると、2位が正妻、3位が2号さん?」

華「むぅ・・・皆、上位者だからね、アスカファンは正妻を目指すのよ!」

と「因みに、16位の所に、『作中では決着をつけない』と言うのがあったが、
  ココまでやっているのに、それはいくら何でもと思うぞ」

6位 綾波レイ&惣流アスカ=ラングレー

華「何故にボーダーのレイさんと同着?!」

D「マナの票の一部が、レイちゃんの方に流れたからだ」

鐘「死なばもろともって奴でしょうか?」

と「因みにレイちゃんがボーダーなのは、
  レイちゃんからシンジお兄ちゃんをとる?のだから、
  彼女より強く?なければならないと言う理由です。
  ハーレムの場合、彼女より上なのが条件です」

華「うぅ〜元々はLASだったのにぃ〜」

D「まぁ、自業自得だ」

鐘「うわぁ〜アスカさんピ〜ンチ♪」

と「そんな、嬉しそうに・・・」

華「あ、あんたねぇ〜!(怒)」

D「ところで、とりよ」

と「なに?」

D「まかり間違って、レイちゃんが、1位を取ったら、どうなるんだ?」

と「さぁ?・・・(汗)」

鐘「大丈夫です、もう、マユミさんがいますから♪」

華「アスカさんだって、これから巻き返すわよ!」

鐘「・・・・・・ふ」

華「あぁ〜鼻でわらったわね〜〜!!
  表に出なさい!」

と「あぁ〜また暴れている」

D「まぁ、コメントの方も荒れそうだしな・・・色んな意味で(汗)」

と「と、兎も角、~~~ヾ(○゜▽゜○) マッタネーン♪」

D「にげたな・・・」





アスカ「ついにやっちゃったわねぇ〜」
マナ 「上で『マナ邂逅編』とか言っている人もいるけれど、
    結局一番目立ってたから、やっとって感じかなぁ」
アスカ「まあ、そろそろ良いでしょ、問題はその後だけどね」
マナ 「その後………しぶとい」
アスカ「そう簡単に落ちてたまるもんですかって〜の」
マナ 「でも、あんまりしぶとすぎると、まずいんじゃないの?」
アスカ「候補が減るから?全然問題ないわよ♪」
マナ (ああ、そう言えば、アレがあったんだったっけ)
アスカ「で、ずっと謎にし続けたのがハーレムねぇ……」
マナ 「La(all)S?綾波さんより上4人しかいない気がするんだけれど、いいのかな?」
アスカ「わざわざ上と言ってアタシを抜くあたり喧嘩売っているわけ?」(▼▼)
マナ 「う、う〜ん、どうなんだろ?以上かより上か、文面はより上になってるけど」
アスカ(▼▼#)
マナ (汗)
アスカ(ぶつぶつぶつぶつ)(▼▼##)
マナ 「ま、まあ、話を変えて、ところで、ウィルスって回線切ってても広がるの?」
アスカ「……、物理的に切ってたらひろまんないと思うけど、
    色々と馬鹿やって自滅してたんでしょ、まあ仕込む方も仕込む方だけど」
マナ 「なる」
アスカ「ウィルスか……」
マナ 「どしたの?」
アスカ「大量にメールを送るウィルスあるじゃない」
マナ 「うん、それで?」
アスカ「つまり」
マナ 「ま、まさか……」
アスカ「一発逆転ね、1機1通としても1000機に感染させれば1000通、TOP間違いなしね
    ついでに、ファーストにも半分ぐらい入れておけば、他もブロックできるわ」
マナ 「……でも、文面とかどうするの?ちゃんとした内容じゃないとだめでしょ?」
アスカ「む……」
マナ (投票だけだったら迷惑なだけじゃん、そうじゃなくてもそんなに来たらアレだけど)
アスカ(ぶつぶつぶつぶつ)
アスカ「仕方ないわね、こうなったら正攻法。これ見てるみんなアタシに入れてよね!」
マナ (こうなったらって)(苦笑)
アスカ「あにか?」(▼▼)
マナ 「何でもない何でもない」


レイ 「ハーレムが一位で私が二位……楽しそうね」(くす)
カヲル「それは……どうなるんだい?」
レイ 「とりもちに聞いて」
カヲル「うん、そうだね」
レイ 「ところで、別作品のキャラがいるのに、私にまかり間違ってと修飾語をつけるのは気に入らないわね」
カヲル「まあ、いまの流れから仕方ないんじゃないのかな。
    それとも君は逆ハーレムでも狙っているのかい?」
レイ 「逆ハーレム……」
カヲル「どうしたんだい?」
レイ 「そんなに何人も必要ないわ、ただ、限られた人とともにあれればいいのだから」
カヲル「そうかい」
レイ 「そのためにも、そう望んでくれる人が多いと良いわね」
カヲル「僕も応援するよ」
レイ 「……一応、ありがとう」
カヲル「一応はよけいだけれどまあいいさ」
カヲル(アレだけはなんとか………)(滝汗)