「いやぁ〜〜〜」

 その叫び声と共に、霧島マナは布団から飛び起きた。

「はぁ、はぁ・・・え?」

 叫び終えた後、マナは周りを見回して、首をかしげる。

「こ、ここは・・・」

 そこは見た事も無い部屋だった。

 ドタドタドタドタドタドタドタ・・・ガラ

「ど、どうしたの?!」

 ある少年が襖を開けて慌てて中に入ってきた。

 どうやらマナの叫び声に驚いてやってきたらしい。

「え?・・・誰?」

 マナは少年の方を見てそう言った。

「え?・・・あ、僕は・・・」

 そう言い掛けた途端、少年は顔を紅くして、後ろを向く事によって、目を逸らした。

「ご、ごめん、そ、そこにある僕の服を着ていいから、その・・・」

 慌てている少年の言葉を、マナは不思議に思って、自分の格好を見てみる。

 それは、下着姿、しかも、汗びっしょりで・・・

 それに気が付いたマナのとった行動は・・・

「・・・き、きゃぁ〜〜!!」

 バカン!

 マナが咄嗟に投げた目覚まし時計は、お約束通り、少年の後頭部に命中し、
壊れると共に少年をノックアウトした。

 これが、少年、鹿島タカヒロとの最初の出会いであった。







                                                 19
                                                接触・・・





「ご、ごめんなさい・・・」

 着替えてきたマナは、居間にやってくると、顔を紅くして下を向いて、そう言った。

「え、い、いや、良いんだ、いきなり入った僕が悪いんだし、
アレを避けられなかったのも、自分の不覚だったんだし・・・」

 タカは慌ててそう言った。

 因みにタカは氷水の入ったビニールで頭を冷やしている。

「で、でも、本当に大丈夫ですか?」

「え、大丈夫、鍛えているから、あはははは」

 心配そうなマナの言葉に、タカはカラ笑いをしながら、そう答えた。

「すいません、助けて貰ったのに・・・」

「い、いや、良いんだ、それよりも、どうして、あんな所に?」

 カズの言葉に、マナは口をつぶる。

「言い辛いのはわかるけど、少しくらい、話してくれないと、
僕もどう行動していいかわからないし・・・
 ほら、僕が良かれと思ってやった事が、
結果的に悪い状態を引き起こしたら拙いでしょ」

 タカは、そう言った。

 マナはタカをジッと見て、下を向きつつ、呟き始めた。

「・・・ある人に会わないといけなかったんです」

「ある人?」

「はい・・・でも・・・その人にあてた手紙が・・・」

 マナはそう言ってグショグショになった封筒を取り出した。

 それは水に長く浸かった所為か、ぐちゃぐちゃになり、読めなくなっていた。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 タカとマナは沈黙する。

「え、え〜っと、その・・・会う人の名前は覚えているかな?」

「・・・・・・・・・(汗)」

 マナは冷や汗を流した。

 そして、少しの間、沈黙が部屋を支配した。

「お、思いだせないの?(汗)」

 タカの言葉に、マナは頷いた。

「ど、どうするの?」

「多分、一時的に思い出せないだけだと思うから・・・その・・・」

「・・・・・・えっと、何か思い出せることは無い?」

 そして、タカがマナから色々な事情を聞く事になった。

 勿論、マナは、ところどころ、不確定名詞をつけ、
あまり詳しくは言わなかったが・・・

「成る程・・・その組織の追っ手から逃げ出しつつ、ネルフの勢力化で、
その組織が、手を出せないであろう第三新東京市に向かっていたと」

「えぇ、だから・・・」

「じゃぁ、暫くココに居ても大丈夫だね。
 じっくり、休んで、思い出せば良いよ」

 タカは微笑みながら、そう言った。

「え?」

 迷惑をかけない為にも、急いで出て行こうと考えていたマナは、
その言葉を聞いて首をかしげた。

「だって、ココが、その第三新東京市だし」

「えぇ?!」

 意外な事実だったのか、マナが驚いた声を出した。

「それと、この手紙、預かっていいかな?」

 タカはグショグショになった手紙を持って、そう言った。

「え?・・・でも、読めませんよ?」

「知り合いに頼んで復元してもらうから・・・
 そう言うのが得意な人がいるんだ」

「で、でも」

「大丈夫、その人も、ネルフ関係だし、
一見、軽薄そうに見えるかもしれないけど、義理堅いし、口も堅いから、
絶対、秘密を守ってくれるし・・・」

「えぇ!
 タカヒロ君って、ネルフの関係者なの?!」

 タカの言葉に、再びマナが叫ぶ。

「言ってなかったっけ?」

 タカが冷や汗を流しながら、そう言うと、マナは大きく頷いた。






 夕方・・・

 ミサトは、何処かの酒場のカウンターで自棄酒を飲んでいた。

「て、ばぁ〜ろぉ〜私の苦労はなぁ〜んも、しんないくせに・・・
 勝手に言ってんじゃねぇ〜つんの。
 親父、もう一杯」

 ミサトは愚痴りながら、コップをマスターの方に出す。

「お、お客さん、飲みすぎですよ。
 ペースも尋常じゃないですし、
ほら、飲み始めて、かなり時間も経っていますし・・・
(何で、無理やり早く開店させられてまで、愚痴られなきゃならんのだ。
 他のお客常連さんにまで絡むから、入って直ぐ帰っていったし)」

 マスターは、冷や汗をかき心の中で涙を流しつつ、そう言った。

「うっさいわねぇ〜!
 さっさと注ぎなさいよ!」

 ミサトはマスターの胸倉を掴んで、睨みながら、そう言った。

「は、はいぃ〜〜〜!!」

 何故、ミサトが、そんな事をしているかと言うと、
昼前、何時も通り、書類の山をマコトに押し付けて、
どこぞの休憩所でサボっていると、それを偶々、見付けたリツコが、
呆れたようにミサトに忠告をしたのに、原因があるらしい。

 それは・・・





 ネルフ本部・・・

『み、ミサト・・・あ、貴女、ココでいったい、何をしているの?
 まだ勤務中、と言うかお昼前でしょ』

 ミサトを見たリツコが驚いてそう言った。

『休憩ヨン♪』

 えびちゅの缶を片手に、お気楽な調子でミサトが言った。

 ちなみに、リツコの後ろにはマヤがついており、
呆れを通り越して、ミサトを冷たい目で見ている。

『休憩って・・・そんな暇あるの?』

『大丈夫、大丈夫、日向君が帰ってきているし♪』

 どうやら、出張ミサトの尻拭いから帰ってきた日向に押し付けてきたらしい。

『ちょっと、日向君は、帰ってきたばかりで、今日は報告だけで、
帰らせる予定だったんじゃないの?』

 リツコがそう言うが・・・

『じょぶ、じょぶ、何時ものように、サービス残業をしてくれるって言ってたし♪』

 ミサトは、ご機嫌な様子で、えびちゅの缶を傾けながら、そうのたまった。

 因みにミサトの分まで、仕事をしているさせられている日向は労働基準法を考えるまでも無く、
その仕事時間をかなりオーバーしている。

 普通の人と比べると、その仕事量は、3.4倍である。

 因みに、2倍でないのは、ミサトの始末書やミサト宛の苦情処理等があるからであり、
日向自身の事務能力が高い為、それだけの量をこなしているからである。

『あ、貴女、また押し付けたわね・・・そんな事で良いと思ってるの?
 このままだと、本気で、戦自にお持ち帰り確定になるのよ』

『先輩、既に決定だと思いますよ』

『はぁ?・・・どう言う事よ?』

 頭を押さえながら、呆れたように言うリツコや冷たく言い放つマヤの態度に、
ミサトはムッとしながら、そう言い返した。

『あ、貴女ね・・・自分の胸に聞いて御覧なさい。
 ネルフに有益な事以前に、迷惑をかける以外のことを、貴女がやった?』

『え?・・・』

 リツコに言われて、ミサトは色々と考える。

 指折り数えようとするが・・・

 最初から数える事など出来るはずがない。

 なぜなら、シンジを迎えにいくにしても遅刻。

重要書類を読むどころか、無理やりやらされなければ、
殆ど全て部下であるマコトに丸投げして知らん顔。

作戦部長であるはずなのに、作戦を立てる事すらもロクにせず、
ただ、指揮を執ろうと躍起になり、暴走して、
折角修復しかけている他の組織主にUNや戦自とネルフの間に確執を作るばかり・・・

 更に自分が保護者になる引き取ると言ってアスカを自分のマンションに連れて行ったものの、
部屋の環境は最悪、洗濯や掃除をしてやるどころか、被保護者であるアスカにさせ、
そのくせ、養育費だけは確り取るという暴挙ぶり・・・

 更に、せっかく指揮を執れたアスカの指揮権を得たと思ったら、まともに作戦を考えるどころか、
威力偵察もせず、ぶっつけ本番で切り札たるエヴァを、未知の敵たる使徒にぶつけるだけ・・・

 しかも、助けに来た相手に逆恨みをし、それを巻き込むようなタイミングで、
N2を落とさせると言う愚挙までやった。

 そんな事をやっている彼女が、胸を張って・・・

『あのクソ生意気な指揮部長とかをワザワザ迎えに行ってやったでしょ、
無駄に多い書類整理だってやってやったし、頭の固い太平洋艦隊の【艦長】と交渉してやったし、
日本に来たばっかで慣れてないアスカを暫く引き取ってもやったし、
そうそう、この間なんか、素晴らしい機転で、使徒の足止めをしたわ♪』

 数えているよ(^^;)

『・・・あ、貴女、本気で、それ、言っているの?』

 頬を引き攣らせながら、リツコがそう言った。

『そうですね』

 マヤも冷や汗を流しつつ、そう言った。

『はぁ?』

 ミサトは無自覚なのか、首を捻る。

『迎えに行ったって言ってもね。
 貴女が、自分で言い出し、本来、一緒に向かえに行くはずだった保安部を、
必要ないと言って前日に無理やり止めさせたクセに、
当日、寝坊して二時間も遅刻し、シンジ君を危険な目にあわせたでしょ・・・
 寝坊の原因が深酒らしいって聞いているわね。
 それと、無駄に多いって、貴女が自分自身で、普段からしなければならない書類整理を、
いっつも溜めまくっているからでしょう?
 大体、今、現在、やっているのは誰?
 そんな事で重要な内容を頭に入れられるの?』

 リツコが呆れた口調でそう言った。

『太平洋艦隊の旗艦で一番偉い人は、艦長ではなく、提督ですよ。
 作戦部長宛にも抗議のコピーがまわされていたハズですよね。
【ネルフでは、そう言う常識も無いような女でも、部長職をもてるのか?】とか、
【交渉どころか、UNとの関係をぶち壊しにきたのか?】
【子供達だけの方が遥かに良かったようですな】って・・・他にも色々ありましたけど』

 マヤがリツコを後押しするようにそう言った。

『それに、頭の固いって、本来、あの交渉は、シン君がやる仕事だったのを、
わざわざ、自分が大人である言う事でやらせてもらった強引にしゃしゃり出て、半ば無理、勝手にやったんでしょ』

『それなのに、逆に怒らせ、更に、有事の際、指揮権も無いのに、
無理やり提督からマイクを奪って、言いたい放題、事態を混乱させ、被害拡大させる結果になり、
相手を激怒させただけ・・・
 あの後、シンさん達がフォローしてくれていなければ、
ネルフにとって、ある意味、致命的でしたよ、アレは・・・』

 オーバー・ザ・レインボーの事は完全にネルフ内で広まっているらしい。

『アスカを引き取ったって言ってもね・・・
 あれじゃ、どっちが世話保護者をしていたのか、わからない状態だったわね』

『だから、今、彼女は1人?暮らしを始めたんですよね』

『そう言えば、貴女のトコのペンペンは見付かったの?』

 リツコが、今、思い出したかのようにそう言うと、
ミサトは冷や汗を流して、誤魔化すように、視線をズラした。

『ま、まさか、酔ったはずみで、摘みにして、食べたんじゃ?』

 すると、マヤが顔を蒼くしながら、そう言った。

『なぁ!』

 マヤの言葉に、ミサトは目を見開いて、驚く。

『それはいくらなんでも・・・』

 一応、真相を知っているリツコはいき過ぎと思い、ミサトが憤慨して暴れる前に、
止めようとするが・・・

『でも、見付けるどころか、いまだに遺体すら、
見付かってないんですよ!

 おかしいじゃないですか!
 大体、どうして、マンションの一室から、
いつの間にかいなくなるんですか?!

 なんで、飼っていたと言うのなら、
餌とか最低限の世話とかをしていなかったんですか?!

 折角、シンさんトコのペンペン君に、
お友達が出来ると思ってたのに!』


 しかし、マヤは半ば涙目で、ミサトを睨みつつ、そう叫んだ。

 一方、ミサトはと言うと、憤慨しかかったとは言え、マヤのマジに責めるような涙目や、
まくしたてあげる怒声に圧されていた。

『(い、いくら酔ってたって、そ、そんな事私がするわけ・・・
 わけが・・・あれ?・・・そう言えばペンペンを見なくなったのって、
冷蔵庫のえびちゅだけがいつの間にかを自棄になった時に半分以上なくなった飲んじゃった時よね(汗))』

 どうやら、酔ったハズミというものに自信が無いようで、反論が出来ないようだ。(オヒ!)

『(マヤ、完全に忘れてるみたいね・・・(汗)・・・話を変えましょう)
 それに、足止めって、アレはどう考えても、使徒殲滅の妨害になっていたわよ。
 利敵行為ととられてもおかしくないわよ』

 マヤがシンの所に居るペンペンとミサトが飼っていたペンペンが同一鳥物どういつじんぶつ?という事を、
完全に忘れていると判断したリツコは、話を変えた。

『それ以前に、葛城(仮)作戦部長は、当時、アレを、
【戦自の新兵が、恐慌状態になって、勝手にやったんだ】って、
言っていませんでしたか?・・・先輩?』

 リツコの言葉に対して、マヤはそう言った。

 ちなみに、ネルフ本部内では、N2落としの真相が、
ミサトが暴走してやった事であると言う話は、周知の事実である。

 最も、対外的な事を考え、戦自シナリオの為にミサトを庇ったゼーレ言った発表させた事を、
公式としているだけである。

 そして、リツコとマヤは、ミサトの普段からの不謹慎な勤務態度を批判していく。

『り、リツコ、マヤちゃん、アンタらね・・・』

 2人の批判がピークに差し掛かった時、自分の立場を全く理解しようとしないミサトが、
リツコとマヤを睨みながら、唸る。

『葛城(仮)作戦部長・・・一言、忠告しておくわ。
 貴女がクビになってない、最大の理由は、
誰かさんが、貴女の書類を必死にやってあげているからよ。
 その誰かさんは、必死に誤魔化しているようだけど、貴女がこんな目立つ所でサボっているから、
焼け石に水以前に、バレバレね・・・』

 どこと無く、疲れたような表情で、リツコはそう言い、
ワザワザ目立つところに設置されている監視カメラを目で指す。

『ですよね、ココは特に厳しいのに・・・』

 マヤも、ワザワザ、顔を向け、監視カメラを見ながら、そう言った。

 この休憩所は、本部内に泊り込みをする為の施設の傍である。

 それ故に、ココには、ネルフで唯一、
長期泊り込みをする所員達(主に技術部)の為に、
チョッとした寝酒等の為にアルコール類も特別に置いてあるが、
その代わり、確り監視されているのだ。

 勤務中に買って飲まないように・・・
(因みに、休憩の時等の食事時に所員達が利用する食堂にはアルコールは置いていない。
 一応、食事休憩とはいえ、勤務時間だし・・・)

 勿論、常に記録されているし、勤務評価にもつけられる。

 最も、昼間から勤務中であるにもかかわらず、ココを利用するのは、ネルフ本部内ひろしと言えども、
某名ばかりの作戦部長しか居ないのだが・・・
(だから監視員も呆れて閻魔帳をつけるだけとか?)

『・・・・・・』

『もっと、考えて、行動しなさいよ』

 黙っているミサトに、リツコはそう言って、
マヤと一緒に、そこを離れて行こうとする。

『り、リツコ、アンタこそ、非常勤のクセに、
何しに来たのよ!』


 ミサトはリツコに八つ当たりするようにそう怒鳴りながら、立ち上がって、
リツコの前にきて、彼女の胸倉を掴もうとするが・・・。

 パシッ!

『貴女には、直接、関係ないとは思うけど・・・仕事に決まっているでしょ。
 直接、私が見なければならなかったモノがあったから・・・
 最も、もう終わったから、今から病院よ』

 リツコは自分の胸倉を掴もうとするミサトの手を払いのけながら、そう言った。

 ミサトを見るリツコの目は、今までミサトが見た事が無かった位、冷たいものだった。

『先輩、診察の予約時間が、もうすぐなので、急がないと・・・』

 ミサトが、更に何か言う前に、マヤがリツコにそう言った。

『そうね・・・』

 リツコは腕時計をちらりと見ると、そう言った。

『あ、私、昨日まで泊まりでしたから、丁度これから、家に帰るんですよ、
代わりに運転して、病院まで送っていきましょうか?
 先輩の車、AT車ですからチャンと運転できますし、
私のマンション、今の先輩のマンションにも近いですし』

 どうやら、ココに来たのはマヤのお泊りセットを取りに来たかららしい

『あら、良いの?』

『良いんです、便乗ついでですから、
それに慌てて運転したら、危ないですよ』

『じゃぁ、頼むわね』

 そんな会話をしている技術部師弟コンビを見ながら、
ミサトはアルミ缶を握りつぶし、暫くその場で暴れ、
保安部員が取り押さえに来る前に、そのまま本部を出て、
適当なバー酒場に行ったのであった。(結局、昼間から飲んでサボっていたのだ)





 そして、暫く、酔っ払ったミサトがマスターにからんでいると、
隣にある男が座り、離れた所にいたボーイに注文して受け取ったお酒を、
わざわざ自分でミサトの前に置いた。

「あん?」

「久しぶりだな、葛城三尉、いや一・・・おっと、今は特務准尉に落とされたんだったか」

 対外的にはそうだが、内部では特務四等兵訓練も受けた事の無い入りたてで、覚悟も何も無い新人以下との噂である。

「アンですって!」

 しっかり、目の前に置かれたコップを確り掴みつつ、ミサトが隣の男を睨む。

「忘れたのか?・・・俺を・・・
 ワザワザ、貴官の希望通り、ドイツやネルフに送ってやったのに」

 男はサングラスをずらして、ミサトを逆に睨む。

「・・・・・・・・・あ、貴方様は!」

 ミサトの酔いが一気に飛び、敬礼して、名前を呼ぼうとする。

 勿論、握っていたコップは落として割っている。

「おっと、この場で、俺の名を呼ぶのは拙いだろう。
 少し、外に行かないか?
 マスター、勘定はココに置く、釣りはとっておけ」

 男はそう言って、一万円札を数枚、カウンターに置くと席を立つ。

「は、はい!」

 ミサトはそう言って、席を立ち、男についていこうとする。

「お、お客さん、お勘定!」

 マスターが、慌てて、そう言った。

「足らないのか?」

 不審そうな顔をしつつ、男がそう言った。

「いえ、お客さんの方じゃなく、そちらの女性の方です」

 ミサトを見ながらそう言った。

「はぁ?」

 男は不思議そうな顔をする。

 先ほど、置いた金にはミサトの分も入れていたつもりらしい。

「そのくらい、つけときなさいよ!」

 男が不思議そうな顔をしている横で、
ミサトはムッとしながらそう怒鳴りつけた。

「そ、そういわれましても、一見さん初めて見るお客さん相手に・・・
 ウチとしては困ります、払って下さい!」

 ミサトの身勝手過ぎる言葉に、マスターはそう言った。

 行きつけの酒場に行くと色々問題があるらしいので、
ミサトは今まで入った事の無いバーに入っていたのである。

「私はこういうものよ!」

 ムッとしているミサトがネルフの身分証明書(一部マジックで消している)を、
マスターの鼻先に突き付けた。

 ネルフの身分証明書に一瞬焦ったものの、ミサトの名前を確認した途端、
マスターの弱っていた顔付きが、いきなり強気の顔に変わった。

「へ〜そうですか・・・すいませんねぇ〜、
ネルフの高官の方々にも直々に言われていますので、
貴女へのつけは全面禁止されております。
 それと、どうせ、このカードも、全面停止で、使用できないでしょ、
今すぐ、現金一括払いでお願いしますよ」

「な!」

 確かに、ネルフのIDカードはキャッシュカード等の機能もついているが、
ミサトのは、処々の都合により、先日から、そっちの機能は差し止めされている。

 それをこんな酒場のマスターが知っている事に、ミサトは驚いた。

「払っていただけないなら、警察、いえ、ネルフの保安部を呼びましょうか?」

 ネルフの保安部と言われた所で、男も困った顔をして、ミサトを見る。

「わ、わかったわよ、いくら」

 ミサトは、慌てて、財布を取り出し、そう言ったが・・・

「はい」

 マスターが見せた請求書を見て、目を見開いた。

「・・・こ、ここ、こんなに払えるわけないでしょ!」

 ミサトは叫ぶようにそう言った。

「そうは言われましてもねぇ〜
 誰かに頼めばいいでしょ。
 ネルフに連絡しましょうか?
 そうですね、保安部長か広報部長でもお呼びしましょうか?
 あの人達、部下と一緒に、よく飲みに来てくれるんですよねぇ〜」

 因みに保安部長は現在沖縄に出張中なので、来るとしたら、
保安部副部長か、広報部長辺りだろう。

 勿論、保安部員の猛者達を数十人引き連れて・・・

「こ、困るわよ!」

 マスターの言葉に、ミサトは顔を蒼くして、叫んだ。

 そんな事をされては、確実にクビどころか、ブタ箱行きになるかもしれないからだ。

「ともかく、払って頂けないなら、警察と保安部を呼びます」

 マスターはそう言って、ボーイに目で合図をすると、
ボーイは電話を手にする。

「い、いったい、いくらだ」

 男は、冷や汗を流しつつ、そう言った。

「これだけになります」

 マスターは請求書を見せる。

「・・・・・・ま、マスター、暴利じゃないのか?」

 その合計金額を見た男は顔を完全に蒼くして、そう言った。

「ウチは警察やネルフの方々にも利用されるくらい、確りとしたところですからね。
 正規の値段というか、逆に他の店よりも安いくらいですよ。
 なんだったら、メニューとこのひとが飲んだ量を見ますか?」

 出されたメニューを見ると、確かに高い酒だが、その酒の銘柄を考えれば、
正規の値段とも言えた。

 いや、どちらかと言うと、普通の酒場より安いくらいであった。

 だが、ミサトが飲んだ量が半端ではなかったのだ。

 ミサトが飲んだ分らしいレシート伝票を見ると、チョッとした月刊漫画雑誌位の厚さがある。

 男が周りをよく見れば、後ろの棚も、ほとんどスカスカであり、
マスターの足元どころか、カウンターの裏には空いたボトルがかなりある。

 レシートから考えるに、おそらくミサトが全部飲んだのであろう。

 だが、一体、その身体の何処に入っていったのかは謎だが・・・

「一応、ネルフ関係者と言う事で、サービス料とかも値引きしていますし、
更に消費税はオマケしても、これです。
 ウチの儲けは殆どとっていないんですよ。
 これで、文句があるなら、値引き無し、
正規のサービス料及び消費税、迷惑料込みの普通の値段にしますが?」

 マスターはそう言った。

 そうなっては、金額は一気に数倍、完璧に払いきれないだろう。

「し、仕方ない、俺が、一応、立て替えておこう・・・」

 男は呆れたような顔で、懐に手を入れる。

「では、こちらも代金に入れておきましょう。
 貴方様の分は、サービスしておきます」

「す、すまないな・・・(こ、ココまでの持ち合わせ、あったか?)」

 男は分厚い財布を覗き、冷や汗をながし、
そして、懐にあった一万円札の束も取り出して、数えるが・・・
(すごい束があると思ってください)

「ま、マスター、これでなんとか、足りるだろう」

 男は、財布の中身と懐にあった一万円札の札束を全て渡した。

「え〜っと・・・一応、釣りがあります」

 すばやく、その枚数を確認し、笑顔になったマスターは、
千円札を数枚、男に返しながらそう言った。

「い、一応、領収書もくれ。
(交際費で・・・落ちんだろうな・・・工作費・・・かな?)」

「宛名は?」

 マスターは手際よく準備して、そう言った。

「・・・う、上で、酒代ではなく、品代で頼む。
(流石に、俺の名や、戦自を出すわけにはいかんし、
金額が金額だし、酒代とか飲食費とか書くわけにもいかんからな)」

「はい、領収書です。
 毎度ありがとうございます」

 男は、マスターから領収書を受け取ると、ミサトを伴って出て行った。

「いったか・・・
 おい、塩撒いて、例の看板と本日休業の札を出しておけ」

「はい!」

 マスターがそう言うと、ボーイが塩とある看板を持って入り口までいく。

「いくら、上客だったとは言え、噂通り、他のお客様には、大迷惑だからな。
 それに、全て仕入れなおさないといかんじゃないか・・・
 噂半分と思っていたのに・・・それ以上の底なしとは・・・」

 マスターは殆ど酒瓶のなくなっている後ろの棚を見ながら、呟いた。

 因みに、ボーイが持って行った看板には【当店、葛城ミサトお断り!!】と大きく書いてあった。






 男は、溜息を吐きつつ、人通りのない所にミサトを連れて来た。

「本当だったら、それなりの店に入り直すつもりだったんだがな・・・
 貴官の胃袋が底なしとは知っていたが、自分の財布の中身と相談もできんとは、
知らなかったな」

「す、すいません」

 男の呆れたような言葉に、ミサトは顔を蒼くしながら謝った。

「まぁ、噂を聞いていたから荒れていたのだと思うが・・・
 随分と俺の顔に泥を塗っているようだな」

 男がそう言うと、ミサトは小さくなる。

「ま、この調子だと、噂通り、貴官が戦自に戻されるのは時間の問題らしいな・・・」

「そ、そんな・・・」

 男の言葉に、ミサトは顔を蒼くする。

「それも仕方ないだろう。
 貴官は、作戦部長という要職にありながら、作戦を考えるどころか、
無茶、無知、無謀を繰り返し、無駄に被害を拡大しているそうだからな・・・」

「そ、それは」

 ミサトは言い訳をしようとするが・・・

「言い訳はいい、何時もの様に他人の所為にするのもな。
 報告では、貴様の出した被害の所為で、国が八つほど傾いたらしいからな。
(ゼーレも、この女をネルフから追い出す事が決定しているからな・・・
 メリット依り代の心を壊す以前に、デメリット余計な被害が巨大すぎるか・・・)」

 男はそう言って、ミサトを睨んだ。

「じ、人類を護る為の」

 だが、ミサトは被害の規模に、ビビリながら、まだ何かを言おうとしている。

 おそらく、金看板を持ち出して、自分の中での責任回避をしようというところだろう。

 だが、ミサトの出した被害総額は、そこまで酷くない。

 それどころか、ネルフが出した被害総額もそこまで大きくない。

 では、なぜ、そこまで大きく言うのであろうか・・・

 それは・・・

「落ち着け、報告ではと言っただろう。
 俺はわかっているぞ、貴官はトカゲの尻尾きりに利用されているだけだろう。
 全ては、お前の本当の使い道を知らないネルフの上層部が悪いのだ。
(ココで持ち上げてやれば、利用しやすいからな)」

 男は下を向いて震えているミサトにそう言った。

 そう、ミサトを駒とし、利用する為に精神誘導を行いやすくする為に言ったのである。

「え?」

「このままでは、貴官は奴等の考え通り、切り捨てられるだけになるだろう。
 そのままで良いのか?・・・見返したくはないか?」

「そ、それは・・・」

「今、戦自では、対使徒用の兵器が完成しようとしている」

 その言葉を聞いた途端、ミサトは目を見開いて、男の顔を見る。

「対使徒用の部隊の隊員の選抜権は俺にある」

「ちゅ、中佐」

「だが、貴官も知っての通り、ネルフの特性上、
他の組織が使徒に対抗する手段を持つ事など、快く思わないのも確かだろう」

 確かに、昔のネルフの考えでは、そうであろう。

 だが、今のネルフは違う。

 一部のオーバーテクノロジーは様々な危険性があったり、ネルフの暗部に触れたりする為、
秘匿しているものの、それ以外のモノは相手の選別はあるものの、公開している。

 事実、そのおかげで、戦自の一部の技術力が上がり、
秘密兵器であるトライデントの完成が早くなった。

 最も、テスト機においては、開発陣の様々な身勝手な思惑により、
テストパイロットを衝撃から護る機能をオミットされているが・・・

「じ、人類を護る手段を自分達で狭めて、
どうするって言うのよ!」


 だが、そう言う事を良く知る立場にあるハズのミサトは、憤慨しながらそう言った。

 おそらく、何時ものように、覚えてないか、知らないのであろう。

 それを置いておくとしても、今までの自分の態度や、行動から、
そんな事がいえるのであろうか?

 もし、ミサトが本来の通り、ネルフで指揮を執れていれば・・・

『人類を護る為の力を分散してどうするっているのよ』

『ウチの利権にあぶれた連中がその利権を求めて邪魔をして!』

 みたいな事をのたまって、それが有効でかつ、自分の指揮権外のものであれば、
妨害工作に走ったであろう。

 事実、自分の指揮で倒せなくなると見るや、
味方ごとN2爆雷で吹き飛ばす事を是としたのだから・・・

 だが、おそらく、ミサトはそのような事は、
お得意の高すぎる心の棚に置き忘れているのであろう。

 そんなミサトの姿を見ながら、中佐と呼ばれていた男はニヤリとする。

「あぁ、それゆえ、極秘裏に開発されていたのだが、
テストパイロット候補の1人が開発基地より脱走した」

「???」

 ミサトは、中佐の言っている意味がわからず首を傾げた。

「そいつは戦自を裏切り、ネルフに保護を求める為、
重要書類を奪い、この第三東京市に潜伏しているらしい」

「な、なんですって!」

 ミサトは誰はばかることなく怒鳴る。

 ココが、人があまり来ない所だったら拙いであろうに・・・

「だが、我々がこの第三東京市で捜索をするのは、
色々な意味で拙いのだ・・・わかるな?」

 ミサトは頷く。

 確かに、ある程度、協定が結ばれつつあるとは言え、いや、結ばれつつあるからこそ、
戦自がこの第三東京市で何かをすれば、非常に拙い事が起こるだろう。

 因みに、この中佐の派閥は、特に、ネルフとは仲の悪い部類に属している。

 下手な事をすれば、戦自内でも色々と問題が起こるだろう。

 マギの直轄地と言っても良いこの第三東京市に不審がられずに潜伏できるのは数名、
しかも、下手な電子機器パソコンや通信機等などは使えない。

 当然、数名で、この広い第三東京市を己の足だけで、
相手がネルフと接触する前に見つけ出し、気付かれないように確保しなければならない。

 それは、不可能に近い事である。

 ゆえに、この第三東京市で、怪しまれず、電子機器が使え、
サポートが出来る人材が必要と言う事である。

 それが、マギを使っても特に怪しまれない存在なら、最高である。

「よって、貴官に探し出して欲しい。
 もし、ネルフより先に確保できれば、貴官が戦自に戻ってきた時、
それなりの待遇を与えられると言うものだ。
 例えば、今度発足される戦自の対使徒特殊部隊の隊長とかな・・・」

「!!」

 その言葉を聞いて、ミサトの目が鋭くなった。

「分かっていると思うが、ネルフの上の連中に気付かれたら、
確保は難しく、不可能に近い。
 よって、貴官は上に気付かれないように独自に探し出して欲しい。
 なに、我々も影で探しているので、もし、貴官がその情報を得たら、
例の極秘コードで、私に連絡を入れるようにな・・・」

 そう言って、中佐は写真をミサトに渡す。

「分かりました・・・」

 ミサトはその写真を見ながら、そう言った。

 その写真には、霧島マナの姿が写っていた。

 その言葉を聞いて、中佐は思惑通り事が運んでいると思って、ニヤリとした。

 だが、彼には誤算があった。

 その最大のものが、ミサトがサポートに回るような性格ではなく、
自分の手で、手柄をもぎ取ろうとする存在と言う事を・・・

 そして、既にマナはネルフに近い所にいると言う事を・・・

 そして・・・


                               続く





 あとがき

と「さてと・・・」

D「等々、ミサトもお払い箱か?」

と「いやぁ〜だって、ほっとくと、ドンドン文章階級?が増えるんだもん」

鐘「たいへんですねぇ〜」

D「応募もしてないのに、偉い人気だな・・・別な意味で」

と「繋げるのも大変だし・・・一ページ分、マジで超えそうだし・・・」

D「ところで、目立てない人が目立つかもしれないんだったな、次回」

鐘「オペレーターの方ですね?」

と「うん、ある意味ね♪」

D「そうか・・・ちーん Ωヾ(-v-;)南無南無。。。。」

鐘「可愛そうに・・・ちーん Ωヾ(-w-;)南無南無。。。。」

と「何故拝む?!」

D「だってさ、日の当たらないキャラが目立つんだろ?」

鐘「えぇ、そうです」

と「違わい! つうか、そう言う目立つではない!」

D「チィ・・・ツマラン」

鐘「そう言えば、現在、順位はどうなっているんですか?」

と「以下のようになっている・・・」

 1位 鈴原 ミカ
 2位 山岸 マユミ

 3位 ミユ=アンカードシンイ=ジカーリ&洞木 ヒカリ
 5位 惣流 アスカ=ラングレー

D「おぉ! ついに2位が!」

鐘「やりぃ〜♪」

と「アスカももう直ぐ、3位に追いつく状態だ」

D「一時期、8位におちかけたとは思えん・・・」(←マジ)

鐘「起伏が激しいんですよ。
  入る時は一気に入るのに、入らない時は、全く入らないから」

と「最近、ヒカリちゃんに入らないのと一緒かな?」

D「そう言えば、アレが3位になったな・・・」

鐘「『作者の血が見たい』と言う意見も結構もチラホラ・・・」(←大マジ(−0−;))

と「にゃにゅ〜〜(◎-◎;)!!」

D「まぁ、無難なのも追いかけてきてはいるから・・・」

と「発表しちゃだめ?」

鐘「皆さんがコロブ可能性があるからダメです・・・
  そう言えば、華月殿は、何処に行ったんですかね?」

と「さぁ?」

D「まぁ、兎も角、後は任せようではないか・・・」

3人『(*^o^*)/~ バイ (*^-^*)/~バイ (*^▽^*)/~ マタネッ♪』



 どこかの暗い部屋・・・

華「もしもし、LAS【下僕】会の皆さんですか? ご協力を・・・
  えぇ、一通に付き、一票ですから、是非に・・・」

    おいおい・・・(^^;)




アスカ「ミサトしぶといわねぇ、いよいよ消えるか!?
    って感じではあるけれどまだしばらく生き残りそう」
レイ 「ええ。それにしても、今回は、最初の方のシーンを覗いて一人舞台だったわね」
アスカ「消えていくキャラのためにわざわざこんなに労力割くなんて」
レイ 「次回はオペレーターが目立つと言うことだけれど、私たちはいつ出るの?」
アスカ「投票が終わった頃に一気にカップリング付きで大登場?」
レイ 「そう、……」(眉間にしわ)
アスカ「どったの?」
レイ 「私の名前がランキングにのってない」
アスカ「そういやそうねぇ、まあ、シンとすでにくっついちゃって
    いるって言うのがマイナス大きいんでしょうねぇ〜」
レイ 「……」(しくしく)
アスカ「ま、そんなに泣かなくても、アレラよりは良いでしょ?」
レイ 「比較対象が違うわ……」
アスカ「ままま、この作品ではあきらめなさいな。他の作品では応援してあげるからさ」
レイ 「それは……この作品では応援しなさいと言うこと?」
アスカ「そ〜よ。ファーストの支援があれば、一気に上を抜いてアタシがトップに立てるはずよ」
アスカ「一方そっちはシンの彼女って事で地位が安定してるんだから、大丈夫でしょ?」
レイ 「……それが本当なら、悪い話ではないけれど、完全には信用できないわ」
アスカ「あによ〜、そっちに損はないでしょ」
レイ 「確かに私に損はない。でも、貴女だけカップリングを達成させるというのはしゃくなの」
アスカ「性格悪いわねぇ〜」
レイ 「……」
アスカ「あによ?」
レイ 「碇君、」
アスカ「え?」
シンジ「遅くなっちゃってごめん」
レイ 「かまわない」
アスカ「ま、少々良いわよ。そんかわり、何かごちそうしてね」
シンジ「うん分かったよ。で、何を話していたの?」
レイ 「ネオエヴァは見た?」
シンジ「あ、うん。ミサトさんがさらに酷いことになってたね」
アスカ「まあ、いつかはこうなるのは、前から決まっていたんだけれどね」
レイ 「とりもちに目をつけられてしまったのがそもそもの間違いだったのね」
アスカ「後は消えていくまでにどんな醜態をさらすことになるかよね」
シンジ「……、そうすると、マナの問題が大きいのかな?」
マナ 「そう言う事ね」
三人 「「「うわああ!!!」」」
マナ 「な、何よみんなそんなに驚いて……綾波さんまで」
レイ 「後ろから突然出てきたら驚くに決まっているわ」
マナ 「ごめんごめん、まあ、もうすぐ私が物語の中心になるって事で許してよ」
アスカ「まあ、今回は許してあげるわ。でも、物語の中心って言っても、後数話の話でしょ?」
マナ 「ああ、それは大丈夫よ。今までずっと待っててくれたLMSな人が
    大量に投票してくれるからみんなごぼう抜きにする予定だから」
レイ 「予定は未定とはよく言うわね」
アスカ「まあ、ランキング外からどこまではい上がってくるのか楽しみにしてあげるわ」
レイ 「そのまま埋もれていたとしても鹿島タカヒロと言うキャラが相手になりそうだね」
アスカ「って事は似たようなもんか……ねぇ、シンジ」
シンジ「あ、うん……」
シンジ(僕になんてコメントしろって言うんだよ〜)(苦笑)
シンジ「まあ、でも、結果がどう出るのか楽しみだね……その後が、怖いんだけれど」


ミサト「良いわねぇ、渦中にいないメンバーは、のんきで」
ミサト「私なんて……私なんて」(ぐす)
ミサト「だいたいどうして私がこんな目にあわされなきゃいけないのよぉ!」
ミサト「こんなの絶対おかしいわよ!訂正を要求する!!」
…………
…………
…………
ミサト「何で誰も返事しないのよぉ〜〜!!」
ミサト「くそぉ〜!こうなったら店ごと飲んでやるぅ〜!」
看板 【当店、葛城ミサトお断り!!】
ミサト_| ̄|○l||l
リツコ「無様ね」
ミサト「り、リツコ!?」
リツコ「お酒が飲みたいのね?」
ミサト「そ、そうだけれど」
リツコ「ならいい場所を紹介しましょうか?
    ただで好きなだけおいしいお酒が飲めるわよ。
    もっとも、その席で飲めればだけれど」(ふふ)
ミサト「……頭に『や』がつく職業の人たちのところじゃないでしょうねぇ……」
リツコ「違うわよ。碇司令もその席にいるし……うまくいけば再就職にも良いかもね」
ミサト(碇司令って、その方が厳しい気もするけれど……再就職?)
ミサト「まあ、良いわ。で、どこに行けばいいの?」


……高級料亭……
航空幕僚長「……」
陸上幕僚長「……」
海上幕僚長「……」
統合幕僚会議議長「……」
碇ネルフ総司令「……」
冬月ネルフ副司令「……」
先ほどからほとんど言葉も発せずにむすっとしっぱなしの6人。
ミサト(な、何なのよこの席は?)(滝汗)
ものすごくおいしそうな料理と酒が目の前にあるのだが、誰一人手をつけようともしないのでミサトが手をつけるわけにはいかない。
ミサト(り、リツコのやつ……嵌めたわね)


ネルフ本部、
マヤ 「あれ?先輩、今日は会食の予定が入っていたんじゃなかったでしたっけ?」
リツコ「ああ、ミサトに代わってもらったのよ、あの席でうまい風に持って行くことができれば、
    ミサトの株が上がるし、ネルフを首になっても再就職先が用意されるでしょ」
マヤ 「なるほど、そうですね」
リツコ「と、言うわけで、今日は早く帰れそうね。どこかに寄っていきましょうか?」
マヤ 「やったぁ〜♪先輩のためにおいしい店探しておいたんですよ♪」
リツコ「そう、それは楽しみね」