18.5
                                  脱走?と思惑






 どこかの戦自の秘密基地

 そこでは、ある兵器を開発していた。

 元々はセカンドインパクトの混迷期を体験した軍部の将校達が、
もし、『十年後に戦争が起こるような事態があったら』と考え、
セカンドインパクト後、孤児となった子供を集めて、
その主力となる兵器のパイロットとして育てていたらしい。

 しかし、使徒と言う今までの常識を覆すようなモンスターが現れた為、
そこは、かなり、おかしな事になっていた。

 十五年ぶりに来た使徒には、今までの通常兵器が一切効かず、
1つの街を犠牲にして使った虎の子であるハズのN2兵器でも倒せなかった。

 いや、どこも倒せなければ、彼らにとってはまだ良かったのかもしれないが・・・
(世間的には問題ある)

 戦自とは仲が悪かった元研究所上がりの国連非公開組織と言う輩が、
横からしゃしゃり出てきて、秘密兵器か何か知らないが、
ロボットのようなモノを持ち出し、見事倒したのだから、
ココに居る者としては面白くなかった。

 しかも、何を考えたのか、今年になって、その組織は半非公開組織になり、
一部とはいえ、情報を一般公開し、戦自の上層部の一部と関係を修復しており、
無意味なN2の攻撃で犠牲になるハズであった民間人を救って非難を受けるのを最小限にしてもらった事もあり、
戦自内でもその組織と友好な関係を持つ将校が増えてきた。

 その為、戦自も協力する事が増え、使徒から敗北した当初よりも、
世間の風当たりは楽になったのだが・・・

 相変わらず、この基地戦自秘密研究所で開発されているモノや、
関わっている人員どういう経路でテストパイロットを選んだかも機密と言う事で、内部にも秘密にしている為・・・

 『戦自秘研が独自に開発してきた兵器はロクに役に立たないだろう』と、
戦自内でも囁かれるようになってきた。

 その為、ココに所属する技術部の連中は面白くなかった。

 実際にココで開発中の兵器に搭載されるのは、
ある意味、常識範囲内の武器最高の破壊力を持つのがN2弾頭兵器である為、
N2兵器が効かなかった使徒と言う人類の敵に対して、
役に立たないことは、十分に理解する事ができてもいた。

 また、元々のこの基地が開発している兵器の目的を考えれば、
使徒と言うモノは関係ないことなのだが・・・

 別の派閥のこの基地とあまり関わりを持っていない将校達から、何かにつけ、ネルフと比較されることとなり、
『役立たずなのだから、潰せばいい、予算の無駄だ』と言われる事になったのである。

 その為、風当たりが強くなっていき、この基地に関わっている将校達や、
所属する技術士官達が持っていたネルフに対しての対抗意識が、
段々と敵愾心に変わっていったのは、自明の理だった。

 その為か、ネルフのパイロット候補生が、13〜14歳位のセカンドインパクトの時にお腹にいたか、生まれた子供達である事が分かった後、
丁度、集めた孤児がその世代の子供であった事が災いし・・・
(中には、両親の運動能力等に目をつけられ、無理やり孤児にされて、
連れてこられた子供もいるらしい)

 本来の考えであった『将来の戦争、国防を見越して優秀な兵士を育てている』のではなく、
ネルフの(パイロットの)代わりに、八つ当たりするかのように、
無意味に過酷な訓練を強いるようになっていき、
まるで、無茶な実験に使うモルモットの様な使い捨ての道具のように扱っていった。

 つまり、今では、ココで開発している兵器は、政府向けに対使徒用と言ってはいるものの、
実際には、対ネルフ、対エヴァ用になってきており、未来の国防の兵士は、
この基地に所属する士官達の八つ当たり気晴らし?をする為の道具のようになっていったのである。








 そんなある日の夕方、その秘密基地のグランドで、訓練が終わったのか、
シンジ達と同年代くらいの少年少女達が、疲れきった顔で、足を引き摺るように歩いていた。

 そして、建物の傍に1人の青年が立っているのを見付けた少年少女達の一部が、
疲れていたのを忘れたように、傍に駆け寄っていく。

 だが、建物の近くまで来ると、一人の少女がいきなり膝をつき、口に手を当てる。

「!!!」

 そして・・・







 謎?の基地内のとある部屋・・・

「以上、報告を終わります」

 ある青年士官が、上司である士官達に報告をしていた。

「・・・そうか、パイロットには使えんか」

 報告書に目を通しながら、真中に座っている士官がそう言った。

「はい」

「しかしだね・・・今まで貴官はココの訓練の指揮をとったこともないくせに、
よくもそんな判断が我々よりも先に・・・」

 その青年士官の言葉を遮るように、右端に座る中年士官がそう言うと・・・

「ですが、私はこれでも前の所で、多くの訓練指揮をとってまいりましたし、
幾ら子供が大人よりも新陳代謝が高く、回復力もあるとは言え、無理です。
 まぁ、この検査結果を見れば、多少医術をかじった者ならば、
分かられると思いますが・・・無能でない限り・・・」

 青年士官は、言い返すようにそう言った。

「な、何だと!
 貴官はワシを愚弄する気か!」

「別に、愚弄も何も、私は事実を述べているだけです」

 青年士官は何食わぬ顔でそう言った。

「ききき、きさ」

「よさないか!
 若いとは言え、この新崎さつま二尉は、お前と階級的には同じだ。
 貴官も階級は同じとは言え、この男は先任で、貴官より年上だぞ」

 顔を赤くし怒鳴ろうとする中年士官と、落ち着いた様子の青年士官に、
真中の上級士官がそう言って言い争いになる前に止める。

「す、すいません」「は!」

 中年士官が渋々言い、新崎と呼ばれた青年士官は敬礼する。

 だが、その上級士官は、どう考えても、中年の方を贔屓する態度をとっていた。

「で、貴官の意見は?」

 上級士官が書類を机の上に起き、肘をつき、
口元で指を組みながらそう言った。

「は、彼女にはもう無理です。
 これ以上は訓練にはついていけません。
 引き取り先がないなら、私自身が引き取ってもかまいませんので、
このプロジェクトから外してください」

 本当に心配そうにその青年はそう言った。

「訓練について来られなくなった訓練生をどうするかは、我々が考える事だ。
 新崎さつま二尉、貴官は下がってよい」

 その上級仕官は簡単にそう言うと、片手で出て行くようにと指示した。

「は!」

 新崎さつまと呼ばれたその青年は部屋を出て行った。





「・・・どうします?」

 暫くして、右端に座っていた士官が、
一番偉いと思われる真中に座っている上級士官にそう尋ねた。

「ふん、死なずに生き残ったか。
 中途半端に丈夫だったな・・・」

 左端に座っていた士官が忌々しそうにそう言った。

「では、新崎が言ったように霧島マナ候補生は退任させ、
特別に何処かの孤児院にでもいれますか?」

 直ぐ左に座っていた士官がそう訊く。

「バカを言え、もしもの事を考えれば、そんな事出来るか・・・」

 睨み付けるような目付きで見つつ、直ぐ右に座っていた士官がそう言った。

「では、奴の言うように、奴自身に引き取らせるんですか?」

 右端の士官がそう訊いた。

「いや・・・パイロットにもなれず、ここの所属から外し、
一般社会に出ることになれば、色々と拙い。
 それに、元々、あいつは、何も考えずにネルフに尻尾を振り、
俺達を調べる為に、赴任してきたような奴だ。
 そんな奴に出来損ないの実験体を渡してみろ。
 調べられ、我々が非合法の薬物を使っていた事が、
バレてしまうではないか」

 真中の上級士官はそう答えた。

「では、今まで同様、処分ですか?
 後も残さず・・・」

 左の仕官がそう言った。

 今まで、かなりの人数を始末してきたらしい。

「しかし、事務仕事のみをやらせ、重要な部分からは隔離していたとは言え、
あの新崎は『実験体』が倒れた事を、我々よりも先に、即座に知るような中々の切れ者・・・
 どう誤魔化します?」

「なに、奴は元々客分、何だかんだと理由をつけ、
呼び出してもらっている間にしてしまえばよい」

「ですな、早速、今夜辺りでも呼び出してもらって・・・」

「しかし、処分ですか・・・もったいないですな・・・」

「そうですな・・・14の小娘とはいえ、アレも女ですし・・・」

「そうそう、数少なくなった女の被検体、
その生き残りですし・・・」

「この基地は隔離され、娯楽も少ない事ですし・・・」

「ですな〜・・・最近、こう言うのがありませんでしたなぁ〜」

 いやらしい顔つきで、左右の士官達が真中の上級士官にそう言った。

「では、テストパイロット任務からは離し、
アレはスパイ任務をさせるべく教育しよう」

 ニヤリとしつつ、真中の上級仕官がそう言った。

「そうですなぁ〜
 ネルフのパイロットと同年代ですしねぇ〜」

「ちょうど、異性に興味を持ち始める年頃ですしなぁ〜」

「だったら、それなりの手段を教え込ませないといけませんなぁ〜」

「そうですなぁ〜」

「まぁ、自殺したら自殺したで、何時もの様に・・・」

 そして、卑下た笑いがその部屋の中を支配した。






 その部屋の前・・・

 そこには、気配を消して、周りに注意を払っている新崎二尉が居た。

「クッ・・・やはり、そう言う事だったのか・・・
 しかも、拙いな・・・」

 新崎二尉はドアにつけていた特殊なコードを外し、
その場を離れながら、そう呟いた。

 どうやら、中の話を聞いていたらしい。

「やはり、ココの連中は思った以上に腐ってやがる。
 だが、俺には・・・しかし、何とかしないと・・・」

 こんな事をしているが、彼はココに潜入したスパイではない。

 確かに、元々新崎二尉は彼らの派閥とは関係ない所属の下士官だったのだが、
上のゴリ押しにより、テストパイロット達の教育官の1人として、派遣されてきた。
(つまり、新崎二尉にはそこまで強いコネは無い)

 だが、それは、ココの最高責任者である将官がネルフの連勝と言う戦果を聞き、
ココのテストパイロット達の成果が上がらない事に業を煮やしたのと、
彼が、若いが優秀な指導官であった為である。

 テストパイロットが子供なら、それなりに若い方が良いだろうと言うことで・・・

 だが、この基地の士官達は自分達だけの事しか考えておらず、
ある意味、他の所属であれば、同じ戦自であっても、
外から来た者達を疑念の目でしか見られない為、閑職に追いやったのである。

 元々就くはずだった役目と違うところに追いやられ、色々と隠し事をされ、
更には、教育するハズだった少年兵達の態度がおかしかった為、
この基地に関して新崎二尉は不信感を持つようになり、色々と調べていたのである。

 勿論、調べている途中で【霧島 マナ】や、
その他数名のテストパイロット達とも仲良くなった。

 それは生来の指導官としての習性というモノでもあろう。

 だが、その所為で、更に疑念の目で見られてしまった。

 そして、調べている内に、テストパイロット達の不審な死や、
行方不明などの問題が出てきたので、
それを更に詳しく調べようとしていたところで、
偶然、マナが血を吐いて倒れるところに出くわしたのである。

「このままでは、俺は、今夜、なし崩しに追い出されるか。
 だが・・・いや、だったら」

 新崎は考え込み、そして・・・






 医務室・・・

 そこには、先ほど血を吐き、倒れた少女、【霧島 マナ】が横になっていた。

 がちゃ・・・

「・・・あ、新崎二尉・・・」

「無理に起きなくていい・・・(指示をしてたのに治療は最低限か・・・くそ)」

 上半身を起こそうとするマナを新崎は止める。

「でも、もうずいぶん気分がいいんですよ」

「そうか・・・(一応は良いみたいだな)
 ん? ムサシやケイタ達は?」

「あ、そろそろ、夕飯だから・・・」

「そうか・・・」

 マナが夕飯に行かないのは、一応、新崎の指示で、マナは点滴を受けている為、
夕飯を食べる必要が無いのと、なるだけ身体を休める為である。

「新崎二尉・・・」

「なんだ?」

「私・・・どうなるんですか?」

 不安そうな顔でマナがそう言った。

「どうなる・・・とは?」

「・・・・・・・・・」

 マナは答えづらそうな顔をする。

「何か・・・知っているのか?」

「・・・・・・」

「大丈夫だ、一応、ココには監視の目は無い。
 他の連中も近くには居ないから」

 新崎はやさしくそう言った。

「・・・新崎さんは、今、行方不明の子達の行方を捜しているんですよね」

 暫くして、マナが口を開く。

「あぁ・・・誰かに言われたわけではないが・・・」

「多分、もう、誰も、いえ、何も見付からないと思います」

「・・・・・・どう言う事だ?」

 マナの言葉に、新崎は怪訝そうな顔をして、そう言った。

「詳しくは分かりません。
 でも、訓練についていけなくなったクミ姉やキミカが行方ふ・・いえ、自殺する前・・・
 様子がおかしかったし、よく夜中に居なくなったから・・・
 そして、帰ってくるたび、暫くシャワー室で・・・」

 おそらく、薄々はマナも気付いているのだろう。

 話しながらも、震えていた。

 しかし、脱走するにも、監視の目は厳しく、脱走できたとしても、
孤児であるマナ達に行く当てなど無いのでそれも出来ないでいたのだ

「・・・おそらく、このままだと」

 少し考え込んだ新崎は呟くようにそう言った。

「・・・・・・・・・・・・」

 マナは黙り込む。

「・・・もし、このままが嫌なら、俺に考えがある。
 今から、俺の部屋に来い」

「え?・・・そ、その・・・新崎さんの事は、その・・・
 そりゃ〜変なのに奪われるよりはって・・・
 で、でも、写真の女性に、わ、悪いと・・・」

 マナは顔を紅くしながら、慌ててそう言った。

「ば、ばか、何を勘違いしている・・・
 俺はおそらく、今夜、外に呼び出される・・・
 だから・・・」

 マナの言葉に、一瞬硬直した新崎は、顔を少し紅くしながら、そう言った。

「あ・・・(汗)
 で、でも、私にいくあてなんか・・・」

「大丈夫だ・・・それも考えある・・・
 お前は第三東京市に行くんだ」

「え?・・・第三・・・で、でも」

「大丈夫だ、当てはある。
 しかし、途中から、1人で向かわなければならないが・・・」

「でも、他の皆は・・・」

 マナは心配そうにそう呟く。

「それも考えてはいる。
 お前が無事にあの人の庇護下に入れば、
時間はかかっても、解決するはずなんだ」

「で、でも・・・」

 マナは少し躊躇している。

 おそらく、新崎のいう人は、あのネルフ関係の人だろう。

 上手く第三新東京市にたどり着き、その庇護下に入る事が出来れば、
芋蔓式にココの仲間も助かるかもしれない。

 しかし、自分が脱走したら、残った仲間は・・・

 マナはそう考えたのだ。

「このままだと、お前はあいつらのおもちゃにされるぞ」

「新崎さん・・・」

 マナは新崎を心配そうな顔で見る。

「俺は大丈夫だ・・・うまくやるから・・・
 だから、マナは必ず第三東京市に行って、
【鹿島 カズヒロ】と言う人に会うんだ」

 新崎は微笑みながら、そう言った。

「・・・分かりました」

 マナはそう言うと、点滴を外し、ベッドから起き上がる。

「一応、暫くは、お前はココに居るように見せかけたほうがいいな」

 新崎は予備の毛布を丸めると、点滴の針を刺し、
マナの代わりにベッドの中に入れ布団をかぶせる。







 新崎は部屋の中で、ある程度自分の荷物を大量にゴミ袋に捨てていた。

 まだ使えるものであるのにもかかわらず。

「だいたい、このくらいかな・・・
 よし、マナ、暫くこの中で我慢してろよ」

 新崎はそう言って、小さい娘なら、余裕で入れそうな大きな袋をマナに見せた。

 中には形を整える為の添え木やクッション代わりのタオルが入っている。

 形としては大きな背負い袋のようになっている。

「は、はい」

「いいか、俺が戻ってきて、持ち上げたら、なるだけ息を殺し、声を出すなよ・・・
 まぁ、通気性があるとは言え、暑いかも知れんから、それなりの格好でな」

「分かっています」

 マナはそう言った。

「じゃぁ、俺は、そ知らぬ顔で、外に出ているからな」

 新崎はそう言うと、荷物を入れたゴミ袋を持って、部屋の外に出て行った。

 マナは服を脱ぐと、その服をたたみ、それを持って、
新崎が出したその袋に入った。






 そして、新崎は基地司令に呼び出され、
突然、別な基地にいく事を伝えられた。

「身の回りの物だけ持って、すぐさま来るようにと、先方からの要請だ。
 貴官の残りの荷物は、こちらの方で送ってやろう」

「・・・」

「ふ、そんな目で見られても、これは正式な辞令なのだよ。
 私達が何かをしたわけではない」

 基地司令はそう言って、FAXで送られてきたらしいその辞令を新崎に見せた。

「分かりました。
 では、せめて、テストパイロット達に挨拶をしていこうと思います」

「あぁ、お前は関係ないくせに、
テストパイロットの内の数名と仲がよかったからな」

「自分は、子供好きでしてね」

「ふん、まぁ、良かろう、彼等は今食堂に全員集まっている。
 別れくらいさせてやる」

「それと、病室の霧島特務二士にも挨拶を・・・」

「おいおい、彼女は重症なのだぞ、挨拶なぞ、出来るものか。
 後で私の方から伝えておくから、安心していきたまえ。
(厄介払いが出来たな)」

「は・・・」

 そして、新崎はこの基地の中で同じような時期にこの基地に来て親しかった数少ないまともな同じように閑職に回されている上官と、
テストパイロットの子供達に簡単な挨拶をし、
ムサシとケイタ達に何事かを耳打ちして、基地を出る事になった。





「ココからは歩いていってもらおうか?」

 わざわざ自分から、上司に、新崎を街まで送るといって、
運転をかってでたハズの男は、途中で車を止めると、新崎に向かってそう言った。

「・・・街まで、まだあるぞ」

 はっきり言ってまだ山道のど真ん中である。

 因みに、一番近い街とは逆方向に車を走らせていたと言うオマケ付である。

「何、あの基地の特性上といえば分かるだろが・・・」

 ニヤリとしながら、その男はそう言った。

「・・・で、どっちの街のほうが近い?」

「あっちのほうに行けば大きな道に出るさ」

 勿論、全く違う方向を指しながら、その男はそう答えた。

「分かった・・・(上司に向かっては、点数稼ぎをし、
部下や同僚には影で嫌がらせをする・・・嫌なヤローだ)」

「じゃぁ〜な」

 男はそう言って、車を基地に向かって走らせた。

「見え見えの嫌がらせをやりやがって・・・
 まぁ、いい、もしもの時は、それを理由にさせてもらうさ」

 新崎は、そう呟いて、ある程度歩いた後、周りに誰もいないのを確認し、
抱えていた袋を開けた。

「大丈夫か?」

「はい、中のタオルとかがクッションになっていましたし、
楽に呼吸もできていましたから・・・
(それに、さつまさんが大事に抱えてくれていたし)」

 顔だけ出して、マナがそう言った。

「そうか、じゃぁ、ココから、徒歩で行くぞ」

「はい!・・・で、でも、その・・・」

「あぁ・・・そうか・・・一応、あっちを向いているから・・・」

 新崎はそう言って、反対方向を向く。

 マナは、袋の中に入ったまま、脱いでいた服を着た。

「いいですよ」

「そうか・・・そうだ、それとこれを渡しておく」

 新崎はそう言って、封筒と分厚い財布を渡した。

「これは・・・」

「お前が頼るべき相手にあてた手紙・・・
 それと、当座の生活費やその他諸経費だ・・・」

「こ、こんなに・・・」

「なに、俺はあまり浪費癖がなくてな」

「だ、ダメですよ、こんなに受け取れません」

 マナは慌てて、財布を返そうとする。

「少ししたら、俺とは別れていかないといけないんだぞ、とっておけ。
 それに、お前は確実に第三新東京市に着き、手紙の相手に保護を求め、
仲間をあそこから解放するためのきっかけにならないといけないんだぞ!」

 新崎は強い口調でそう言った。

「は、はい・・・」

 マナはそう答えて、それをポケットに入れる。

「じゃぁ、いくぞ・・・軽くなら、走れるな?」

「はい、大丈夫です」

 そうして、2人は山道を走って行った。








 2人が別れてから、数日後・・・

「つまり、お前があそこにいたのは、彼があの山道に置いて、
誤った方向を教えたからというわけか?」

 新崎は、戦自の基地で、尋問を受けていた。

 そこには、司令を始め、腐った幹部と見慣れぬ将官がいた。

 新崎はマナを逃がした後、ある程度十数時間、別方向に追っ手を誘導し、
自分に引き付られるだけ、引き付けてから、投降したのだ。

 因みにマナに追いつきかけたのは、別働隊だったのであるが・・・
(勿論、それも薬を撒くことによって、かなりの時間、妨害が出来たが・・・)

「えぇ、まさか、二尉があんな嫌がらせをするとはねぇ〜
 おかげで、私は道に迷い、荷物を入れていたカバンが枝に引っかかって破け、
川に荷物の大半を流してしまうというアクシデントにまで見舞われたのですから・・・
 それなのに、いきなりやってきたかと思うと、ごらんの通りです。
 しかも、一方的にわけの分からない事を言われてね」

 何故か、ボロボロになっている新崎は、呆れたようにそう言った。

「な、何を言う、お、お前が、自分でそこまでで良いと・・・」

 上官達の手前、慌ててそう言って取り繕うとする。

「普通、急いでいかなければならないのに、そんな事を言いますかね?
 街とは逆方向で、山道もいい所でですよ」

 呆れたような声を出して、新崎は、周りの上官達にそう言った。

 周りの上官たちも、呆れたような顔をしている。

 どう考えても、そんな非効率な事を頼むわけがない事は、
誰にでもわかることだし、この基地に所属する者達も、
噂で、この男がそう言う嫌がらせをやりそうな事も、想像が出来たからだ。

 それに、もし、脱走者を新崎が逃がすにしても、
乗せるまで、バレなかったのだから、近くの街まで送って貰った方が、
効率も良いし、確実性も増す事も理解できた。

「だいたい、貴様がやったに決まっておるだろうが!」

 新崎を山の中に置いてった男がそう叫んだ。

「だから、何も言わずにあんたは、一方的に、部下に言って、
わけがわからず、無抵抗な俺を襲わせたんだろうが!
 なにを言えというのだ?
 俺はあの時、やっと助けが来たと思ったんだぞ」

 新崎は平然とそう言いのける。

「な、なに、き、貴様、嘘を吐くな!
 正直に・・・」

「はぁ〜?・・・だから何をですか?
 ハッキリ、言ってもらわないとわかりませんよ」

 疲れたように新崎がそう言い、周りも冷たい目でその男を見ている。

「だ、脱走兵のことだ!」

 その男は怒鳴るようにそう言った。

「どう言う事ですか?
 脱走兵が出たと言うのは?」

 初めて知ったという顔で、新崎はそう言った。

「脱走兵?・・・どう言う事ですかな?」

 他の上官の後ろにいた見慣れぬ将官が、
怪訝な顔をし、前に出てきて、そう言った。

 実は彼は、新崎が中々やってこなかったので、わざわざ迎えに来たといって、
いきなり、この基地に乗り込んできた将官である。

 因みに、迎えに来たこの将官、この基地を任されている基地司令より、階級的に上である。

「い、いや、違う、スパイです!
 この基地に潜入していた」

 熱くなっていた為、忘れていたが、ココに一応部外者の男がいることを思い出し、
男は慌てて、取り繕うようにそう言った。

「ほ〜スパイねぇ〜 初めて聞きましたな。
 それで、そのスパイといきなり呼び出された私に、何の関係があるのですか?」

「そ、それは・・・」

 口籠もる二尉。

「どう言う事かね?
 新崎二尉はわけも分からず拷問を受けていたようだが?」

 迎えに来た将官は呆れた顔になって、そう言った。

「いや、私は新崎がスパイと結託していたと聞いて・・・
(クッ、なんでいきなりこいつが来たんだ・・・忌々しい)」

 基地司令は、引き攣りながらそう答え、
他の上官達は驚いた顔をして、その二尉と新崎を見た。

「自分は、不慣れ以前に、全く知らない山道に放り出され、街を求めて迷っていると、
数人の基地の人間がやってきたので、助かったと思い、出ていったら、
いきなり、拘束され、一方的に話せと言われて、
わけが分からないまま、ココに監禁されました」

 新崎は迎えに来た将官にそう言った。

「う、うそだ、俺は最初にはっきり貴様に言ったぞ!」

 勿論、基地に連れ戻す前に吐かせようとして、この男ははっきりと、
『【霧島 マナ】をどこに逃がした!』
と言ってはいるのだが・・・

 それは、新崎を最初に捕まえた時、
つまり、ココに居ない部下の前だけだったし、
ココに連れて来てからは、拷問室改造した独房の一室に放り込んで、
一方的に『吐け!』と怒鳴りながら、暴行を加えるだけだった。

 勿論、基地に連行されている時、新崎が男を逆上させるような事を、
ワザと男に耳打ちしたので、頭に血が上ったからであるが・・・

 だが、そう言う事実を正確に知らない上官達は、
呆れたようにその男を見る。

 それに、新崎が脱走者である【霧島 マナ】をかくまって連れていたとしても、
この男が荷物を調べておけば、未然に防げたハズであるからだ。

「それに、薬物まで使ってね。
 なにを話せば良いのか、わからなければ、意味が・・・」

「なに、どう言う事だ?!」

 新崎が疲れたように薬物について喋ろうとすると、
迎えに来た将官は驚いた顔をして、即座に新崎の袖を捲り上げる。

 基地の者達は、引き攣った顔をした。

 そう、新崎にマナの居場所を吐かせるために、
薬物の許可も出していたのだ。

 勿論、裏のコネなどを使い、探しているものの、
もしも、マナが逃げ切り、外部でそれなりの組織に拾われたら、
色々と拙い事になるからである。

 勿論、新崎はその尋問も、強靭な精神力で耐えたのだが・・・

 そして、迎えに来た将官によって、捲り上げられた新崎の左腕には、
真新しい注射痕があった。

「どう言う事ですかな?・・・
 ココでは、他の部下に疑わしいと言われたら、
ココまでするのですか?」

 疑わしい目で、迎えに来た将官が基地の者達を見る。

「し、知らん、わ、私は知らんぞ!」

 慌てて、基地司令が叫ぶ。

「こ、この男が勝手にやった事だ」

「そう言えば、この男、前から新崎二尉の事を気に入らんとか言っていましたな」

 他の者達も、慌てて二尉1人に罪を押し付ける為にそう叫んだ。

「そ、そんな・・・私は司令のし」

 そういって、基地司令にすがり付こうと近付く二尉、
だが、いきなり腹部を襲った痛みで意識がとぶ。

「ぐぼ・・・し、しれ、」

 ココで下手な事を口走られたら、色々と拙いと判断した基地司令は、
二尉に強烈なボディブローをかましたのだ。

「えぇい、この恥さらしを暫く独房にぶち込んでおけ、
後で俺が直々に、取り調べる!
 今まで、俺を騙して、色々な事をやっていたようだからな!」

 そして、基地司令は取り繕うようにそう言って、他の部下達に連行させた。

「どうやら、極秘開発を理由に、外部との接触を極力避けるようにした為、
この基地では、トンでもない事をしているのではないのかね?」

 迎えに来た将官は、疑わしそうな眼差しでそう言った。

「い、いや、そのような事は・・・」

「兎も角、新崎は私が連れて行かせてもらう。
 それとこの事は閣下にもいれておく。
 問題ないな?」

「え、えぇ、私からも伝えておく。
(クッ・・・根回しを頼んでおかねば)」

 表面上は冷静を保ちつつ、基地司令はそう言った。

 そして、その将官は新崎に肩を貸しつつ、連れて行った。

「クッ・・・拙い時に拙い奴が・・・」

 基地司令は、憎々しげに2人が去ったドアを睨みつつ、そう言った。

「司令・・・」

「いつ査察が来ても良い様に準備しておけ、
それと、不都合な事は全て、アイツが独断でやった事にしておけ」

「分かりました」






 そして、外、とある高級車の中・・・

「まさか、貴方の派閥とは全く関係ない俺の為に、
貴方が来てくださるとは思いませんでしたよ。
 伊吹将補・・・」

 後部座席に座らされている新崎は、隣に座っている上官、伊吹にそう言った。

 勿論、この車の後部座席は前の座席とはガラスで仕切られている。

「まぁ、奴とは色々あってな。
 しかし、どう言う事だ?」

「どう言う事とは?」

 新崎がキョトンとした表情で、そう言った。

「ふ、もう演技をする必要はないだろう。
 いくら知らない山とは言え、貴官が迷うと言う有り得ない芝居に、
この私がのってやったのだからな」

 伊吹と呼ばれた将補は、鼻で笑いながらそう言い返した。

「将補にはかないませんね。
 しかし、将補も、大体の事は掴んでいるんじゃないですか?」

 新崎は伊吹を見ながら、そう言った。

「まぁ、な、表向きにはあの基地に居る子供達は志願という事になっているが、
誰がそんな事を信じるというのだ。
 いつもは、表面上、まともにあつかっているように見せていたらしいが、
今回は、突然、本当の意味での抜き打ちだったから、慌てて、取り繕うとした所為で、
俺がざっと見た状態でも、テストパイロット達を虐待し、
かけられている予算を削り、差額を着服しているのが予測できた。
 上の一部を取り込んでいるから、今回のような本当の意味での抜き打ちでしか、
そう言う事が分からないように・・・くそ・・・」

 忌々しそうに拳を握って伊吹が言った。

「でも、大丈夫ですか?」

「大丈夫だ、戦自とネルフの関係は前と比べるとかなり良くなっている。
 だからこそ、ネルフに姪の居る俺がある程度自由に動けたんだ・・・」

 この伊吹という将官はどうやらマヤの叔父らしい。

「そうですか・・・」

「で、どうだった?」

「やはり、助けたのは、親切心からだけじゃなかったんですね・・・」

「まぁ、親切心だけだったら、ここまで危ない橋に対して、
俺自身が動けるはずがないだろう。
 派閥の事もあるし、日数はかかるし、貴官も危なくなるだろうが、
部下を迎えに行かせるだろう」

 因みに、伊吹は姪のマヤが居る関係もあり、
親ネルフ派の派閥の人間であるらしい。

「ですよね・・・
 下手をすれば、貴方の属する派閥が痛手をこうむる事になりかねませんものね」

「あぁ、今の時期は特に慎重に動かないといかんからな・・・
 それで?」

「えぇ、証拠は持ち出せませんでしたし、
既に、残っているのも、潰されているでしょう」

 新崎は自分個人で調べ上げた事を伊吹に話した。

「そうか、物的証拠が無いのが痛いな・・・」

「でも、1つだけ、あることはあります」

 言い辛そうに新崎が呟く。

「逃がした娘かね?」

「えぇ・・・ですが、私としては、表立ってやるのは・・・」

「そうか・・・わからなくもない・・・だとすると」

 伊吹は腕を組みつつ、考え込む。

「ところで、自分はどうなるんですか?」

「俺が直々に連れ出したからな。
 既に、貴官の意思とは関係なく、我々の派閥と見られるだろうから、
あちらの方には行かないですむだろう。
 行っても追い出されるのが関の山だな」

「自分は、派閥はあまり好きではなかったんですがねぇ〜」

 溜息を吐きながら新崎はそう言った。

「まぁ、仕方ないだろう」

「はぁ・・・」

 新崎は頷く。

「何はともあれ、何とかして、我々でその少女を抑えたいな。
 使うにしろ、使わないにしろ」

「自分は、使うのは余り賛成ではありませんし、
使うにしても、表立って使うことには反対です」

 不満そうに新崎はそう言った。

「貴官なら、そう言うだろうと思ったよ。
 だが、今、戦自内は微妙な状態なのだ。
 親ネルフ派と反ネルフ派の間だけでなく、親ネルフ派内でもな」

 含みある言い方で、伊吹がそう言った。

「出来れば裏だけでやって欲しいですね。
 あの娘を晒し者にはさせたくないです」

「それに関しては俺も同感だな。
 だが、親ネルフ派と言っても、一枚岩ではないし、
俺がトップと言う事ではない。
 それに、今回の事が吉と出るか凶と出るかは分からんからな・・・」

「兎も角、自分は、独自のルートで連絡をいれてみます」

 新崎は、全面的に伊吹を信頼したわけではないらしく、そう言った。

「そうか、だが、自分で行う行動の方は、治ってからにしてくれ。
 彼女ついては、此方からも人員を出しておく。
 出来るだけ、貴官の希望にこたえよう。
 こう言っては何だが、いまや貴官の存在もある意味、重要な駒なのだからな」

「分かりました」

 新崎は神妙な顔つきで頷いた。

「後は、反ネルフ派に彼女が捕まらない事を祈るしかないな・・・」

「はい・・・」

 そして、車は何処かへ走って行った。


                                    続く





と「これが新崎サイドのお話」

鐘「おぉ! マヤさんの叔父さんって、戦自のお偉いさんだったんですか?」

D「そう言う設定らしいな・・・」

と「うにゅ、前回のお話の裏で起こっている事を多少書いておかないと、
  今後の展開を理解するのが難しいだろうと思って・・・」

D「没にしていたシーンを纏めたと?」

と「うむ!」

鐘「それと、目立ってないキャラ某オペレーターズに光を与える為とか?」
と「うみゅ、それもあるかも・・知れない・・・」

鐘「そう言えば、パソコンは直ったんですか?」

と「それが、一回戻ってきたけど、店で確認したら、全然直ってなくて、
  逆に悪化していたから、『もう一度やり直せ!』って、怒鳴っちゃった・・・てへ♪」

D「まぁ、約十万ちょいだからな・・・修理費」

鐘「おぉ、た、高いですね・・・」

D「マザーボードまるまるだからな」

と「そんなにかかるのに、直るどころか、悪化していたら普通怒るよね、ね」

D「店員さんも、状態を見て、目が点になっていたらしいからな・・・
  まぁ、スタートに二十分もかかちゃな」(実話)

鐘「そ、そうなんですか」

と「ちなみに、その店員(と言うか、部門責任者だったらしい)さんも、青筋立てて、
 『絶対に、メーカーにやり直しをさせます!』って言ってくれたのだ」

D「信用問題だしな」

鐘「という事は、メールのお返事も、作品もまだまだ遅れるって事ですか?」

と「す、すまにゅ・・・(汗)」

D「まぁ、いくらなんでも、友達のパソコンを、ずっと占領するわけにはいかんからな」

と「まぁ、そう言うわけで、すいませんが、小説も感想の返事も遅れますゆえ、
  気長に待っていてください・・・うぅ〜中々インターネットできない・・・」

D「チャンと、ノートにネタを纏めておくんだぞ・・・」

と「らじゃ・・・」

鐘「そう言うわけで、今回出番が無かった人たちへ、バトンタッチ♪」

と「しかし、今度、直ってなかったら、別メーカーに変えるぞ」

ナレーター?「華月殿は処々の都合により、今回は居ません・・・何をしているのでしょうか?」

華「ふふふ・・・こうすれば・・・」(謎)





日向 「ふむふむ」
青葉 「なるほど」
日向 「結構良い家の出だとは思っていたけれど、叔父が将補とは……」
青葉 「伯父じゃなくて叔父だし、まだ結構若いんじゃないか?」
日向 「そうすると、ゆくゆくは将、場合によっては統幕議長なんて事もあり得る訳か」
青葉 「……う〜む、伊吹二尉の親父さんが気になるな」
日向 「まさか、自衛隊にいて現役の幕僚長なんてしてたりして」
青葉 「……それ本当だったらかなり凄いことになるんじゃ?」
日向 「もし二人が自衛隊と戦時の中枢を握ったりすれば、
    ネルフ内での伊吹二尉の発言力が滅茶苦茶増すな」
青葉 「本来の葛城さんよりも大きくなったりして」
日向 「どうなんだろうな?」
青葉 「そうだ!」
日向 「どうした?」
青葉 「発言力が増す=登場比率が上がるだよな」
日向 「まあ、同じ立場でならそうだろうな」
青葉 「つまり、伊吹二尉とセットでいるようにしていれば、
    必然的に俺たちの登場頻度も上がるわけだ」
日向 「確かにその通りだけれど、登場しても、どんな役で登場になるか……」
青葉 「う……確かに、その極端な例を思いっきり目にしているしな」
日向 「まあ、そこまでしなくても、伊吹二尉との距離の縮めておいて損はなさそうだな
    親父さんは分からないけれど、叔父さんは間違いなくこれから戦自の上に行きそうだし」
青葉 「そうだな」
マヤ 「二人で何を話しているんですか?」
二人 「「うわっ!」」
マヤ 「び、吃驚した……もう、驚かさないで下さい」
日向 「す、済まない」
マヤ 「で、何を話していたんですか?」
青葉 「えっとだな……ん?」
何か草やら弦やら泥やらを纏った物体が三人の前に現れた。
???「うう……」
三人 「「「うわ〜〜!!」」」
???「た、たすけ……」(バタッ)
日向 「……ひょっとして、これ、人?」
青葉 「マジで?」
マヤ 「た、助けなきゃ!」
………
………
………
マナ 「うう、ありがとうございました」(涙)
日向 「い、いったいさっきのアレはどうしたんだい?」
マナ 「聞いて下さいよ!どうして、作品での話が話だからって
    あんな格好させられなきゃならないっていうんですか!」(ぷんぷん)
日向 「いや、俺に言われても……」(汗)
マナ 「だいたいですよ、(以下略」(ぷんぷん)
マヤ 「今のところ無事に逃げられているようね」
マナ 「川に流されてるけれどね」
青葉 「感じからして捕まるよりは良さそうだけれどな」
マナ 「まあそれは、確かに」(苦笑)
日向 「誰に保護されるかは、君本人だけじゃなくて、戦自・ネルフに大きな影響を出すかも知れないな」
マナ 「う〜、私としてはやっぱりシンジに、」
マナ 「そうして芽生える二人の恋」
マナ 「そして、(以下略」
マヤ 「う〜ん、シンジ君にって言うのはちょっと難しい気がするけれど」(汗)
マヤ 「鹿島さんにちゃんと会えると良いわね」
マナ 「はい」
青葉 「ネルフにとってもそうであって欲しいな。
    映画みたいに戦自に攻撃されるのは勘弁だし」
日向 「新ネルフ派が抗争に勝って欲しいもんだな」
マヤ 「本当ね」
マナ 「伊吹さんの叔父さんですよね」
マヤ 「まあね」
マナ 「私とシンジとのバージンロードのためにも、宜しくお願いしますね♪」
マヤ 「え、ええ、そう伝えておくわ」(汗)


日向 「それじゃ、早速実行するか」
青葉 「ああ、」
日向 「伊吹二尉、これから上がり?」
マヤ 「はい、区切りがついたから後は明日にしようって事で」
青葉 「そう、良かったらこれから一緒に飲みに行かない?」
マヤ 「あ、ごめんなさい、今日は先輩と一緒に行くんです♪」
リツコ「あら、マヤ、まだここにいたの」
マヤ 「ああ、先輩、今すぐ行きます♪」
………
………
日向 「そう言えば、そうだったな」
青葉 「最後、俺たちの存在全く目に入ってなかったし」
二人 ((溜息))
日向 「……二人で飲みに行くか」
青葉 「……そうするか」