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                                            特訓開始?







 コンフォート16・シンジ達の家

「・・・・・・と、いうわけで、2人には、最初にこのパターンの踊りを、
マスターしてもらいたいんだけど・・・(汗)」

 シンジが、何故かある白板(猫印つき)を使って、
レイとアスカとリツコに説明をしていた。

「はぁ〜い、先生、何でそんなのが必要なんですかぁ〜」

 ワザとらしくアスカがそう言った。

「前回の戦闘を分析した結果、今回の使徒は、2体で1体、
お互いの情報を補完しあっている事が判明したんだ・・・
 つまり、片方だけを傷つけても、もう片方の情報で、欠損部分、
それが例え、コアであっても、即座に、補完、回復するから、
普通の攻撃の意味が無いんだ・・・」

「でも、戦自の攻撃で、アレは自己修復中でしょ?・・・
 即座じゃないじゃない・・・」

 意地悪そうに、アスカが突っ込む・・・

 しかし、実際に戦って、感じなかったのだろうか?(いや、意地悪のためだな)

 因みにレイは大人しく聞いており、リツコは、シンジが一生懸命、説明している姿を、
微笑ましそうに見ている・・・ビデオカメラを持って・・・
(ゲンドウか、ユイに頼まれたのかな?)

「いや、あれは、N2爆雷で、使徒を丸ごと焼く事が出来たからなんだ・・・
 つまり、同時に傷ついた所が、それぞれの対応している箇所であるなら、
もう一方の情報も破損して、補完できないから、修復に時間がかかるんだよ・・・」

「じゃぁ、もう何発か、お見舞いすれば・・・」

 簡単そうに、アスカが言うが・・・

「言っておくけど・・・あの使徒に、N爆雷が効いたのは、
使徒のATフィールドが、中和されていたからなんだけど・・
 因みに、現在使徒は、身を護るために、ATフィールドを、確り張っているから、
効果は無いよ・・・(汗)」

 シンジが、少し冷や汗をかきながら、そう指摘した。

「じゃぁ、中和すれば良いじゃん」

 アスカが、アッサリとした様子で、そう簡単に言うが・・・

「どうやって?」

 シンジが、驚いたように聞いた。

 アスカ達の後ろに居るリツコは・・・呆れている・・・

「え?・・・それは・・・」

 アスカが口ごもる・・・

「今、ATフィールドを中和する事が出来るのはエヴァしかいないわ・・・」

 すると、レイが口を挟む。

「そうよ!・・・エヴァで、中和してやれば、万事OKじゃない♪」

 アスカが、レイの言葉を聞いて、我が意を得たりとばかりに、嬉々として言うが・・・

 レイも、リツコと同じように、呆れた顔をする。

「その中和しているエヴァは、N爆雷が投下された時、
どうなると思っているの?」

 その事を、簡単に考えているであろうアスカに、シンジがそう言った。

「はぁ?」

 アスカは驚いた顔をしつつ、そう呟いた。

「あの使徒のATフィールドを中和しつつ、
爆雷を防ぐATフィールドを張ることは、事実上、不可能だよ・・・
 つまり、N2爆雷を一発喰らわせる為には、
1体のエヴァと、そのパイロットを犠牲にしなければならない・・・
 しかも、あの使徒を、完全に倒す為には、
5、6発、連続でやらないと不可能なんだけど・・・」

 シンジが難しい顔をしながら言った。

「え、エヴァには」

「一万二千枚の特殊装甲でも、あの爆風を防げない事は分かっているわ・・・
 その結果、素体に大きなダメージを受け、その修復に最低でも、十日以上・・・
 しかも、整備部の人達が、その一機にかかりきりで、不眠不休でやる事が条件でね・・・
 よって、不可能・・・最も、ATフィールドを強く張れた初号機でも、修復により、
三週間、約一ヶ月間は使用不能と言う結果になっているわ・・・
 また、パイロットは、N2爆雷のフィードバックの影響により、重症を負う・・・
 貴女、死ぬ気?・・・」

 アスカの反論を予測したのか、レイが、白い目で見ながら、言葉を遮って、そう言った。

 修理期間に関しては、パイロット達に、
ある程度、期間的余裕を持って教えられていた。

 他の事で伸びる可能性もあるから・・・

「私がアイツよりも、劣っていると言うの?!」

 アスカが、シンの方が優秀と言われたと感じて、そう怒鳴ったが・・・

「シンクロ率、ハーモニクス、これまでのデータ、それを元に出された予測結果・・・
 見てないの?・・・たとえ、貴女が、シン君と同等のATフィールドが張れたとしても、
弐号機は大破、下手をすれば、パイロットは死亡と推論されているわ・・・
 シン君が助かったのだって、幸運と言われているのよ・・・
 それに、ついこの間まで、張れなかった人が、その事に関して、世界で一番、詳しく、
そして、あつかえる人よりも、強力なモノが、いきなり張れるの?」

 レイが、そう言い返した。

 事実、人類初のATフィールドを張ったのは、サードと呼ばれているシンであり、
公式の(ゲンドウ達が作った)記録では、アスカやレイよりも前から、
エヴァに乗っていた事にされていた。

 そして、シンは、未来の技術で、様々な発明等を次々と生み出している・・・

 その為、その筋の者達の間では、
『東方の女三賢者と呼ばれた【碇 ユイ】、【惣流 キョウコ=ツエッペリン】、
【赤木 ナオコ】亡き今、彼女等を継ぐ、いや、凌ぐ存在』
とさえ言われているのである。

 因みに、そこまで大げさに流しているのは、冬月、ゲンドウ、ユイ、リツコであるが・・・

「わ、私だって、小さい時から・・・」

 しかし、あくまでも、トップにこだわるアスカが、
頑なに、そのことを否定しようとする・・・が・・・

「あらあら、相手が、自分より、優れた所を持っている事を認められない存在は、
永遠に成長できないわよ・・・
 それに、そんな事をしていると・・・自滅するし・・・
 そのくらいも天才さんは分からないのかしら?」

 ビデオを片手に、リツコが、アスカだけに聞こえるように、そう呟いた。

「うっ・・・」

 大人であり、技術部長でもあるリツコにそう言われて、
アスカは言葉に詰まった。

 アスカ自身も、薄々は分かっているのだが、心のどこかで、
それを認められないでいるだけであるのだから・・・

「だいたい、それでは、使徒は倒せないし、単に無駄に犠牲を出すだけだよ・・・
 それに、使徒には、自己進化という能力がある事が確認されている・・・
 つまり、同じ手は効き辛いと言う事だし、効いても、修復時間が短くなるだろうね・・・
 だいたい、僕は、そう言う、自爆特攻のようなやり方は絶対に認めない・・・
 他に道があるのに、安易に誰かを犠牲にするなんて方法は・・・
 それが例え、本人が望んでもね」

 シンジは、アスカを諭すように、そう言った。

「む・・・」

 アスカが唸った。

 そして、シンジは、説明を続ける為、
白板に描いた2体の使徒の絵に甲と乙という文字を書く。

「で、説明の続きだけど、あの2体に分裂した使徒を甲と乙という風に・・・」

「私、日本語、上手くないから、そんな漢字で名称をつけられてもね〜」

 アスカの言葉(茶々入れ)を聞いて、シンジは文字をAとBに変える・・・

「じゃぁ、AとBにしよう・・・」

 この後も、途中で、何度も、アスカが、シンジを挑発しているのか、
それとも、試しているのか、意地悪く、茶々を入れ、説明のこしを折るが、
シンジは、怒りもせず、説明を根気よく進めた・・・

 勿論、レイは、その度に、アスカを白い目で睨んでいたが・・・








 そして・・・・・・

「・・・という訳で、鏡で映したように対象部分が、対応している事も判明しているから、
2体のエヴァで、同時に使徒のコアを破壊するのが、最良の方法だと思っているんだ・・・
 で、協力してくれるかな?」

 シンジが説明を終え、アスカに訊いて来る。

「まぁ、良いわ・・・
 ミサトがもっと良い作戦を持ってくるまで、付き合ってあげようじゃないの」

 あくまでも尊大な態度で、アスカはそう言った。

「そう言ってもらえると、助かるよ」

 シンジは、微笑みながら、そう言った。

 因みに、レイは、アスカの尊大な態度にムッとしている・・・

「う・・・そ、その代わり、ミサトの方がマシな作戦だったら、やめるからね!
(アレだけやられても、何で、まだ、低姿勢でいれるのよ・・・
 そ、それに、何よ、こいつの笑顔は・・・ある意味凶器ね・・・)」

 アスカは、少し、頬を染めながら、そう言った。

「じゃぁ、一応、ココでやるから、惣流さんは、一旦、家に帰って、
動きやすい服とか、着替えを持ってきてよ・・・準備はしているから・・・」

 シンジは、アスカの了承を聞くと、笑顔で、そう言った。

「わ、わかったわ・・・
(確かに、ミサトの家では、絶対に無理、と言うか、不可能だし・・・
 ミサトの話だと本部はゴタゴタしているみたいだし・・・)」

 アスカは、赤くなった顔を、シンジに見られないように横を向き、そう言って、
家に荷物をとりに、一旦帰った。

「じゃぁ、レイ、一応、客間でやるから・・・って、怒っているの?(汗)」

 シンジは額に青筋のあるレイを見て、冷や汗を流しつつ、そう言った。

「何でもないわ・・・」

 ムスっとしながら、レイは準備をしに行く・・・

「だ、大丈夫かなぁ〜」

「さぁ?・・・シンジ君の裁量にかかっているんじゃないの?
(まぁ、あの娘は、ユイさんと一緒に、多少の教育が必要みたいね・・・)」

 ビデオカメラをまわしていたリツコは、他人事のように、そう言った。

「そんなぁ〜」

 シンジは困ったような顔をしつつ、そう言った。

「まぁ、何とかなるんじゃないの?・・・
 シンジ君が、確り自信を持って、やれば良いのよ」

 リツコはおき楽にそう言って、ビデオを止めた。

 波乱が起こりそうなユニゾン訓練の幕が上がった・・・






 3日後・・・

 通学路を、4人の子供達が歩いていた。

「師匠等、どうしたんやろな?」

 トウジが、そう呟いた。

「まぁ、あの宣言の後だったし・・・まさか、敵の攻撃で傷付いたとか?」

 ケンスケが、軽い口調で、そう言った。

 それを聞いた途端、隣を歩いていたヒカリとミカが、ダッシュをした。

 中々の速さである・・・

「ミカちゃんと、イインチョがダッシュで行っちゃったな・・・」

 遥か前方に行ってしまった2人を見ながら、ケンスケが言った。

「センセは、パイロットじゃないんやぞ・・・ったく・・・(汗)」
(そういう問題じゃないと思うが・・・)

 トウジは、呆れたように言って、2人を追いかけ始めた。

「お、おい、置いてくなよ!」

 ケンスケはそう言って、慌てて、トウジの後を追った。





 その頃?・・・ネルフ本部・作戦部長執務室・・・

 そこでは、ミサトが書類に埋もれていた。

 今まで、ミサトがサボり続けたツケが鬼のように溜まっているだけで無く、
今回の事とかで、色々と出ているのである。

 さらに、いつも、判を押すだけでいい書類に選り分けてくれるマコトは、
臨時出張とかで居らず・・・
(ミサトの尻拭いの為、ゲンドウの補佐として、ゲンドウを追いかけて行かされたらしい)

 他の部員達はマコトほど、自分を慕ってくれてないのか、
まったく手伝ってくれない・・・(と言うか、軽視しているし・・・)

 むしろ、何も手をつけてない書類を、分類もせずに、山ほど運び込んでくるのである。

 その為、大量の書類を自分で選り分けねばならないのだ・・・

 しかも、副司令が、直々に期限を決めた為、サボるわけにもいかず、
面倒臭いが、必死にやっているのである。

 面倒臭いなら、全部押せば良いと思うかもしれないが、
時々、作戦部長解任案らしき、書類も混じっているのである。
(今は、それに類する事の方が多いのだが・・・)

 もし、ロクに読まず、まかり間違って、そう言うのに判を捺してしまったら、
自分で自分の首を切る事になるのである。

 しかも、そう言う書類に限って、確り読んで、確認しないと、
判断できないようになっているから、始末に悪い・・・

 事実、最初辺りに、何も確認せずに、そう言うのに、捺してしまい、
大変な事になっているのである。

 その為、一つ一つ、ミサト自身が、確りと読まないと拙いのだ・・・

 ミサトが、読み終わった書類にペンで×印をつけ、不可(シュレッダー行き)の箱に入れると・・・

 ドサドサドサ・・・

 3人の部員が、新たな書類の束をミサトの机の"前"に積む・・・

「さぁ、作戦部長、後、確認して決を出してもらうのが、
これだけと外にあるダンボール5つで、終るぞ」

 ちなみに、その書類束は、机の上には載ってない(床からつんでいる)のに、
かなりの(机から積んだような)高さになっているし、外にあるダンボールも、
一つで、大きな冷蔵庫が入りそうなくらいある・・・

「苦情処理は、これと隣の部屋にあるだけだな」

 隣の部屋は、ミサトの執務室より、大きいのだが、書類だけがみっちり詰まっている。

「期限は後、2週間だぞ」

 それぞれが(ミサトの主観で)無常な事を言う・・・

 しかも、一応、部長であるはずの自分に丁寧語も使わない・・・

 まぁ、理由はあるが・・・

「み、三賀君、四ッ谷君、五十嵐君、手伝ってくれない?・・・ねぇ〜」

 ミサトは猫なで声で、そう言うが・・・

「ただ、判を捺すだけならいいぞ・・・
 例えば、この『作戦部長解任の承認』の為の書類と同類の書類とか・・・」

 三賀が、そう言って、大きく、×印のついている書類を見せた。

「無条件で、読まずに捺してやるよ・・・
 この『全ての被害の費用を現ネルフ本部の葛城作戦部長が持て』と言う無茶な要求に、
OKを出す書類の第八十四案以降を、探し出してきて・・・」

 半分に破かれた書類を見せながら、四ッ谷が言った。

「こっちのシュレッダーに行く前の『アラスカ支部左遷の受理』とかならで、良いなら・・・」

 わざわざ、不可の箱の中から取り出して、五十嵐がそう言った。

 マコトと違い、ミサトには、全く信伏してない彼らは、冷たい声で、そう言った。

 ちなみに、残っている書類の9割以上が、認めたら、
ミサトが、非常に拙い状態になるモノになっているが、
残り一割に満たないモノが、ミサトにとって、2週間以内に、決を出して、
提出しなければ拙いものになっている。
(作戦部長の継続とか・・・)

「け、結構です・・・」

 そして、ミサトは再び、書類と格闘をはじめるが・・・

 少し経って・・・・・・

「そ、そう言えば、使徒は?」

 ミサトが、今、思い出したかのように、そう訊いた。

「心配ない・・・こちらから、手を出さない限り、後一週間は、
あの場に留まっているものと推測されている・・・」

 三賀が、そう端的に答える。

「動いてない?・・・だったら、今の内に!」

 ミサトは立ち上がるが・・・

「こちらから、手を出したら、活動を再開する可能性があるが?・・・
 因みに、ATフィールドを張っているらしく、通常の攻撃はいっさい効果が無いぞ」

 四ッ谷は、ミサトを睨みながら、そう言った。

「それに、今、ネルフの戦力は、零号機、ただ一機、どうする気だ?」

 五十嵐は呆れたようにそう言った。

「そ、それは・・・だから、使徒が動かないうちに・・・」

 ミサトは、そう言うが・・・

「さっきも、言ったように、エヴァが近づけば、
それに反応して、活発に動き出す可能性は高いのだが・・・」

 聞いてなかったのかと言わんばかりに、四ッ谷が呆れて言った。

「そんなのやってみなければ!」

「なったら、どうする気だ?」

 三賀がそう訊くと・・・

「そ、その時は・・・N2爆雷で・・・」

 同じ事の繰り返しになりそそうである・・・

「また、使い捨ての道具のように、エヴァを壊し、パイロットである子供を・・・
 だいたい、今回の被害で、予定外の予算が必要になり・・・」

 暫く、五十嵐が、説教をするように文句を言った。

「なぜ司令や、日向二尉が奔走しているか、分かっているのか?」

「貴様に、払えるのか?」

 勿論、三賀や四ッ谷も加勢する・・・

 ミサトは当然のごとく、『人類滅亡を防ぐためよ!』とかのたまうが・・・

 即座に・・・
『無駄に天文学的費用をかけるの(どぶに捨てさせる)は、
人類を滅亡させようとしているとしか、思えん!』と言うのをかわきりに、
かなりキツイ表現で、言い返される・・・

 そして・・・それは、段々、言い合いに変わってくる。

「だ、だから、来るべく使徒再来に向けて、作戦会議を・・・」(ミサト)

「その旨を纏めた書類を提出しろ・・・
 大負けに負けて、たった、50枚で良いから・・・」

「あ、あのね、そう言う問題じゃ・・・」(ミサト)

「自分でそう言う書類を受理し(に判を捺した)たんだろ?!」

「ぐぅ・・・」(ミサト)

 言い合いは続く・・・

「だいたい、零号機パイロットである彼女は、
アンタの指揮下に、入ってないだろうが!」


「コアを書き換えて、アスカを乗せればいいでしょう!」(ミサト)

「不許可だ! 初号機の修復があるのに、これ以上、
整備部の負担を、無駄に増やしてどうする!」


「無駄ですってぇ〜!!」(ミサト)

 ミサトが、あぁ言えば、部員達は、こう言い返し・・・

「だいたい、アンタは、この書類を全部終わらせないと、
立場的に拙いのだろうが!」


「付き合って貰っているだけでも、ありがたいと思え!」

「でも、そんな悠長な事をしていたら、
人類が滅んじゃうかもしれないじゃない!」(ミサト)


「そう言う心配より先に、やる事をやれ!」

「何で、俺等が貴様なんぞを見張っていると思っているんだ!」

 罵詈雑言になってゆき・・・
(因みに、ミサトは銃等の武器の携帯を全面的に禁止されている)

「貴様が心配せんでも大丈夫だ!」

「どうせ、作戦とかも、何も考えてないんだろ!」

「おおかた、とりあえず、使徒には、
エヴァを、ぶつければ良いと思っているだけなんだろ!」


「うぐ・・・」(ミサト)

 痛い所を突かれまくるミサト・・・

「行き当たりばったりで、いくら使えば気が済むんだ!」

「世界中で、どの位の被害が出ているか、
分かっているのか!」


「難民が、かなり出ているんだぞ!」

「責任を取れるのか?!」

「でも、使徒を倒す作戦が無くっちゃ、人類が!」(ミサト)

「アンタがそんな心配をする必要はない!」

「貴様は作戦のさの字も作れんだろうが!」

「何ですって!」(ミサト)

「だいたい、マトモな作戦を作った事があるのか?!」

「ネルフに勤務を開始してから、
貴様が作った有効な作戦の具体例をあげてみろ!」


「うぐぅ・・・」(ミサト)

「指揮をとりたがるくせに、ただ喚いて、
パイロットの邪魔をしているだけじゃないか!」


 ミサトを見張らされている事で、ストレスが溜まっていたのか、
攻めまくる部員達・・・そして・・・

「だいたい、既に碇部長が、アンタと違って、
至極立派で、マトモで、実行可能で、成功率の高く、
無駄の無い立派な作戦の準備をしているんだ!」


「そうだ!・・・
 だいたい、セカンドだって、その作戦に参加して・・・」

 感情が先走り、ミサトには極秘な事をつい、口走ってしまった・・・

「え?・・・アスカが?」(ミサト)

「あ!」

「しまった!」

「ば、ばか!」

 気付いた時には既に遅く・・・

「な、(ミサト)

 青筋を立てまくったミサトは大量の書類を放り出し、執務室を飛び出ようとする。

「いかん、止めろ!」

「き、貴様! 書類はどうする気だ!」

「作戦部長! 勝手に出歩くな!」

 3人は慌てて止めようとするが・・・

「邪魔するな!!」(ミサト)

 そして、執務室に残るのは、ボロボロになった3人の部員たちだった・・・

 葛城ミサト、暴行により、減棒および、治療費等で、
十年間の給料の90%カット確定・・・

 首にならないのが不思議な状態である・・・(ゼーレの圧力の所為だけど・・・)






 コンフォート16

 ぴ〜んぽ〜ん

 ミカとヒカリが、同時にチャイムを鳴らした。

「「ぜ〜ぜ〜ぜ〜」」

 2人とも、ダッシュで来た為、汗だくである・・・

『『はぁ〜い』』

 声が聞こえてきた・・・

「「ん?」」

 その声に、2人は首をかしげる。

 がちゃ・・・

 そこから出てきたのは・・・

 レイとアスカであった・・・

 ちなみに、ペアルックではないが、動きやすい服装である・・・

「「あ、洞木さん(委員長)に、ミカちゃん(ちびっこ)」」

「「・・・・・・・・・・・」」

 ミカとヒカリは目を見開き、硬直する。

「「ん?」」

 2人が固まったままなので、レイとアスカが首をかしげる。

「「何で、惣流さん(貴女)が、
学校サボって、ココにいるのよ!!」」


 ミカとヒカリはアスカを指差し、そう言った。

「「あぁ、それは・・・」」

 アスカとレイは説明をしようとするが・・・

「私達を騙したのね!」

「抜け駆けよ! 抜け駆け!」

 レイとアスカが言う前に、ミカとヒカリが暴走する・・・

「「あ、あの・・・(汗)」」

「「いやぁ〜〜〜〜!!!」」

「「ちょ、ちょっと・・・(滝汗)」」

 妄想が暴走し、どこかに逝ったヒカリとミカは、
レイとアスカの話を聞いちゃいない・・・

 大騒ぎになっていく・・・

 そして・・・

「あれ?・・・ヒカリさんに、ミカちゃん、どうしたの?」

 後ろから、買い物袋を抱えたシンジがやってきた。

「「あ、碇(さん)!!」」

 シンジの声に反応して、戻ってくる2人・・・

「む?・・・どうしたのだ?・・・こんな所で騒いで・・・」

 その後ろで、車椅子に座り、シンジと同じ買い物袋を抱えているシンが、
驚いたように言った。

「あ、シン君♪」

「む・・・(汗)」

 シンを見て、レイが嬉しそうに、名前を呼び、
アスカは少し、引きつる。

「周りに(住んではいる人は他にいなけど・・・)迷惑ですよ」

 シンの乗る車椅子を押しつつ、タカがそう言った。

「そやで・・・落ち着けや」

 途中で会ったのか、一緒に居たトウジがそう言った。

「いや、これは、これで、おもしろ・・・いや、冗談です・・・」

 ケンスケが余計な事を言おうとして、全員から、睨まれる。

「兎も角、上がったらどうだ?・・・
 飲み物でも飲んで、落ち着いてから、説明を聞けばいいだろう・・・
 ココに、おやつもある・・・」

 シンがそう言ったので、子供達は、碇宅に上がった・・・





 リビング・・・

「そ、そうだったんだ・・・」

「作戦の為ですか・・・他意はないんですよね?・・・シンジさん」

 大人であるリツコの説明も、聞いた後で、ヒカリとミカはそう言った。

 一応、シンジも説明しようとしたのだが、
それだけでは、上手くいかなかったらしい。

「他意ってなによ・・・他意って・・・」

 アスカが、シンジの買ってきたアイスを突付きつつ、ムッとしながら、そう言った。

「貴女には、関係ないです」

 ミカがそう言った。

 その同じテーブルで・・・

「シン君、大丈夫なの?」

「あぁ、一応ね・・・安静にしている事を条件に、
2人の様子を見に来たんだよ」

 レイとシンはそんな会話をしていた。

 因みに、レイは、シンの隣に座っている。

 勿論、抱き付きたいと言う欲求があるのだが、
シンが病みあがりである為、隣にいる事で、我慢しているようだ・・・

「ほっかぁ〜・・・ほいでなんやな・・・」

 カズに説明を受けて、半分くらい理解した(と思われる)トウジは、
スプーンを咥えたまま腕を組みつつ、そう頷いていた。

「言っとくが、全て極秘なんだからな・・・相田」

「わ、わかっているって・・・(汗)」

 勿論、説明の後で、カズはそうケンスケに釘を刺し、
ケンスケは冷や汗をかきつつ、そう答えた。

「じゃぁ、特訓さ」

 ピポピポピポピポピポピポ・・・・・・

 シンジが『特訓再開』と言おうとしたところで、
非常識な連続ピンポンが鳴った。

 全員が眉を顰め・・・

「何処のどいつよ! こんな非常識な真似をするのは!」

 アスカが怒って立ち上がって、玄関に行く。

「チョッと、見に行こうか・・・」

 シンがそう言ったので、レイはシンの車椅子を押しつつ、アスカの後を追い、
残りの子供達も、それに倣った。






「はぁ?・・・ミサト、アンタ、何、訳わかんないこと言ってんのよ・・・
 って、いきなり引っぱらないでよ!」

「いいから、アスカは私と一緒に来なさい!」

「ちょ、チョッと、私は・・・」

 シン達が玄関に来ると、ミサトがアスカの手を掴んで、
無理やり連れて行こうとしていた。

 アスカも、ココの天国な生活を捨てきれないものがある為、
ドアの端に?まって、踏みとどまろうとしている。

「何をしている?・・・葛城ミサト准尉候補補佐官見習い・・・
 書類を出さない限り、君に作戦行使力は無いはずだが?」

 その様子を見たシンが何処と無く、冷たい声で、そう言った。

 その言葉を聞いて、ミサトが硬直する。

「准尉候補補佐官見習いぃ〜?!・・・なんだ、それ?」

 存在しないハズの階級を聞いて、ケンスケが素っ頓狂な声を出した。

 アスカも驚いた顔をする・・・

「一応、部長職で居るんだから、最低でも官位に、
尉が階級についてないと拙いという事で、特別に作られた階級だ・・・
 まぁ、尉官とは名ばかりで、その権限は限りなく、三曹に近いのかな?」

 シンが説明する。

「そうね・・・三曹の人の方が、権限、高いみたいね・・・聞いた話じゃ」

 リツコが呆れた様に付け加えた。

 そう、ミサトが読まずに捺した書類には、
自分の降格を認める書類とかがいくつもあったのだ・・・

 理由は、弐号機に関しての管理不行き届きとかである・・・

 因みに、ミサトが出したアスカに全責任を押し付けようとする始末書?を見て、
呆れた他の幹部達が、最初の日に、冗談と言うか、
警告のつもりで出した書類だったのだが・・・

 当初、目の前に積まれた書類を減らす為、まったく読まずに、
ミサトが乱暴に捺していった為、纏めて降格とあいなったのである・・・
(何枚あったんだろ?)

 他にも、ミサトが作戦を立てるときは、説明や、いくらかかるかとか、
予想される被害等と言うような詳しい事を、出来るだけ詳しく書いて、
提出しなければならないとか言う条件もあるらしい・・・
(無理だな・・・)

 勿論、有事の際、他に作戦指揮が取れるものが居ない時は、
後で提出する事が認められるが・・・

 ミサトが書類を出さない限り、ネルフの作戦立案権の順位は・・・

 司令(ゲンドウ)副司令(冬月)指揮部長(シンジ)戦闘隊長(シン)
技術部特別顧問(ユイ)技術部長(リツコ)各一般チルドレン(レイ、アスカ)で、
この後は、保安部長、諜報部長、整備部長、広報部長、生活部長と階級の高い順に並び・・・
(一応、作戦部員は、この後に続く・・・
 最も、ゲンドウや冬月は承認するだけなので、事実上、トップはシンジとなる)

 かろうじて、最後辺り、アルバイトの掃除のおばちゃん達の上辺りに、
やっと葛城准尉候補補佐官見習いなのである・・・
(まぁ、書類があっても、作戦立案権は、シンより低く、
指揮権にいたっては、シンジが不在でも、リツコどころか、チルドレンよりも低いらしい)

 つまり、書類を出さなかった場合、ミサトより上の階級を持つもの、
つまり、発令所にいる全員が、指揮権どころか、作戦立案権でさえ、
作戦部長たるミサトよりも、高いという事になっているのだ・・・

 因みに、これも、ミサト自身が、簡単に片付けようと、
出された書類を読まずに捺した結果である。

 現在、ミサトは、それを打ち消すための書類を発掘している(ハズであった)・・・

 まぁ、見付かるかどうかは不明だが・・・

 冬月はチャンとあると言って、使えないように穴をあけたコピーを見せたらしい・・・
(ゼーレの事があるからだな・・・)

 この事を後で知った殆どのネルフ幹部達(保安部、諜報部、整備部、生活部等の部長)は、
冗談の半分に制作して、警告の(つもりの)書類とかを混ぜるのではなく、
最初から、実際にミサトの名前で作成した辞表を、紛れ込ませておけばよかったと、
真剣に後悔しているらしい・・・(その所為で、更に書類が増えたな)

「・・・・・・ど、どういう事?」

 硬直しているミサトから、シンの方に目を向けて、
訳がわからないと言う顔をしたアスカがそう言った。

「つまり、確りとした作戦を書類で提示し、更に、パイロットに選んでもらわない限り、
今の彼女には、指揮権どころか、作戦立案権も無いと言う事だが・・・」

 シンが説明した。

「はぁ?・・・なんで?」

「何故だか知らんが・・・彼女自身の判が、そういう書類にあった・・・
 因みに、拇印もしてあった・・・目を疑ったが・・・」

 呆れたように、シンが言った。

「うそ・・・(汗)」

 アスカは驚いて、ミサトの方を見る。

「く、どうせアンタが!」

 ミサトは、八つ当たり気味に、そう叫んで、アスカの手を離し、
車椅子に座っているシンに、殴りかかろうとするが・・・

 ガシ!・・・ぐきゃ・・・ドタン!

 横から出てきたタカに投げ飛ばされる。

「怪我人に対して、何をする気ですか?」

 タカは、冷たい口調で、そう言った。

「言っとくが・・・俺がそれを知ったのは、今朝だぞ・・・
 俺も、実際に副司令に、その書類を直に見せて貰うまで、
信じられなかったんだからな・・・(そこまで愚かだったとは)」

 シンは、呆れたようにそう言った。

「僕は、今、初めて知ったよ・・・(汗)」

 シンジは冷や汗をかきつつ、そう呟く。

「こりゃぁ〜・・・関節が外れとるで・・・気絶もしとる・・・(汗)」

「だな・・・(汗)」

 トウジとケンスケは、投げ飛ばされて、目を回しているミサトを見て、そう呟いた。

 因みに、ミサトの右手首は、
イイ按配に、曲がってはいけない方向に曲がっている。

「ともかく、一応、入れておく?」

 リツコがそう言ったので、ミサトが、気がついた時、
いきなり暴れださないように、簀巻きの状態にして、家に運び込む事になった。





 ぴ、ぷぷ〜ぽ、ぴぴ、ぷっぷ〜・・・び〜〜〜

 ミサトは、不可思議?な音で、目を覚ました。

「あれ?・・・ココは?」

 ミサトは、顔を上げる。

「あ、気がついた?」

 目の前で、何かを飲んでいるリツコがミサトにそう言った。

「あ、リツコ・・・って、何よ! これは!」

 ミサトは、イスに簀巻き状態で固定されている自分を見て、そう叫んだ。

「あまり騒がないで欲しいわね・・・胎教に悪いわ・・・」

 前で、日本茶を飲んでいたリツコが、
迷惑そうに眉を顰めて、そう言った。

「あ、ごめんって、どうなっているの?」

 ミサトはそう言って、キョロキョロすると・・・

 自分の背後で、アスカとレイが、訓練の為に、
ツイスターゲームをしていた。

「あぁ〜!! あんた達、何、やってんのよ!」

 ドタン!

「ぶべ・・・」

 ミサトが不自然な格好で、体を捻った為、椅子ごと倒れた・・・勿論、顔面から・・・

「あ、ミサトが、気がついた・・・」

 アスカが、気付いて、そう呟いた。

「あ、あぎゃ?(汗)」

「ん?・・・どうしたの?」

 ミカに抱えられていたペンペンがミサトを見て、冷や汗を流す。

「あぁ〜!! ペンペン!
 どうしてこんな所にいるのよ?!」

 顔を上げたミサトが、ペンペンの姿を見た瞬間、そう叫んだ。

「あぎゃ!(汗)」

「ん?・・・どうしたんですか?」

 ツイスターゲームのスイッチを切って、シンジが不思議そうに、
ミサトの方を見る。

「・・・あ、アンタ達!・・・
 さては、うちのペンペンを攫っていたのね!
 最近見ないと思ったら!」

「あぎゃぎゃ〜〜〜〜〜!!」

「あぁ〜ペンペン・・・どこ行くの?!」

 ミサトの叫びを聞いて、ペンペンは、驚き、慌てて、ミカの手から飛び出し、
自分の部屋(専用冷蔵庫)に、飛び込んでいった。

 ガタガタ震えているので、中で怯えていると思われる・・・(汗)

「うちのペットがどうかしたか?」

 車椅子の上で、シンがそう言った。

 すると、ミサトがシンの方を睨みつけた。

「あの子はうちの子よ! 返しなさい!」

 シンジとレイは、来るべき時が来たと、冷や汗を流す。

「え?・・・あのペンギン、ミサトのだったの?・・・
 マンションに引っ越した時から居なかったから、
もう、飼ってないのかと思っていたわ・・・
(ミサトの生活に耐えられなくなって、お亡くなりになったなにかで・・・)」

 アスカが驚いたように、そう言った。

 それもそうだろう。

 アスカが、ミサトの部屋で暮らして、十数日間、
ペンペンを見るどころか、ミサトから聞くコトも無かったので、
辛い別れがあったと、勝手に解釈し、気にしないフリをしていたのだ。

「・・・つまり、あのペンギンは、葛城さんのであると言いたいんですか?」

 タカが、確認するように、尋ねる。

「そうよ!」

 ミサトは、頑として、そう叫んだ。

 しかし、ペンペンがこのマンションに住むようになって、
既に数ヶ月経っている・・・

 その間、捜索願を出すどころか、すっかり忘れていたのに、
今更、何を言っているのだろうか・・・

 しかも、ペンペンが、このマンションに来た時は、半死の状態だったのだ・・・

 事情を知っているリツコは、今更、飼い主面をするミサトの姿を見て、呆れている。

「と言う事みたいなんですが・・・」

 タカが、車椅子のシンにそう流した。

「はぁ?・・・何を言っているんだ?・・・
 同じ種類のペットがいたら、全てお前のモノだというのか?
 名前だって、安易につけたものだから、
似かよったのがあっても、不思議じゃないだろ」

 シンが落ち着いた様子で、そう言った。

「な、何、言ってんのよ!
 あの子は、そこら辺に居るような、ただのペンギンじゃないのよ!・・・」

 ミサトはまだ食って掛ろうとするが・・・

「あのペンギンは、マカロニ・エンペラー複合属の温泉ペンギン・・・
 新種の実験で生まれた全く新しいタイプのペンギンだ・・・
 ゆえに、その数は、下手な天然記念物よりも少ない・・・
 まぁ、自然界にいるようなペンギンじゃないからな・・・
 その特徴は、温泉やお風呂が好きであり、その知能は、小学生クラスといわれるが、
育て方によっては、それ以上にもなる・・・
 また、手先が非常に器用な為、専用の道具を与えてやれば、お手伝いもしてくれる・・・
 普通は、人懐っこいが、アイツは、人見知りが多少あるみたいだから、
馴れてない者や、いきなり怒鳴るような存在は、怖いので、
直ぐ自分の部屋に逃げるようだな・・・」

 そのまま、シンはペンペンの説明をする。

 自分より詳しいシンの説明に目を見開く、ミサト・・・

 勿論、シンのハッタリ(大嘘とか説明)にシンジは、何も言わないが、
すらすらと出て来ることに、冷や汗を流しつつ、驚いた顔をし、
リツコは、苦笑している・・・

「おぉ、そう言えば、葛城准尉候補補佐官見習いも、
同じ温泉ペンギンを飼っているそうだな・・・」

 シンが、今更、思い出したかのように、左の掌を拳で叩き、そう言うと、
ミサトは半分呆然としながら、頷く。

「そいつは、メスか?・・・
 だったら、うちのペンペンはオスなので、もし、メスならば、
お見合いをさせて見ないか?・・・
 現状では、滅多に存在しないらしい温泉ペンギンだからな・・・
 まぁ、オスだと、縄張り意識で、ケンカをするやも知れんから、いかんが・・・」

 当たり前(ブリーダー?)のように、シンがそう言うと、ミサトは悩む・・・

「(え?・・・と、という事は、人、いえ、ペンギン違い?・・・
 うちのペンペンって、メスだったかしら?・・・えっと〜)」

 ペンペンの性別もろくに知らなかったのか、ミサトは完全にだまされる。

 因みに、レイやアスカ、その他の子供達は納得顔で、頷いている。

「でも、私はミサトの家では、一度も、あのペンギンを見てないわね・・・」

 アスカは、そう呟いた・・・

「・・・・・・どう言う事だ?・・・
 居ないのなら、世話の時とかに気付くだろう?・・・
 そう言えば、惣流、お前が葛城准尉候補補佐官見習いと同居して、
どのくらいになるんだ?」

 シンが難しい顔をしながら、アスカに訊いた。

「え?・・・それは、もう、十・・・(汗)
 それに、世話も何も、最初から、そう言う話しさえ、聞かなかったし・・・
 既にお亡くなりになっているとばかり・・・(汗)」

 日数を数えている途中で、ミカやヒカリに信じられないと言うような目で見られ、
アスカは冷や汗をかきつつそう言った。

「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」

 今度は、アスカ以外の目がミサトに集中する。

「と、ところで、訓練の方は上手くいっているの?」

 冷や汗を流しつつ、話をそらす為に、ミサトが、シンジにそう言った。

「い、いや、それが・・・」

「まぁ、論より証拠だ・・・見てもらったら、どうだ?」

 答えづらそうなシンジに、シンがそう言った。

「う、うん・・・じゃぁ、もう一度、はじめからね・・・」

 そして、ミュージックが流れ出す・・・

 その結果は・・・

 ぴ〜〜〜〜ぶぶぶぶ・・・

 途中で、ダメだった・・・

 常に、完璧に踊ろうとし、音楽に合わせ、
少しでもずれれば、アップテンポやスローペースで踊り、
強引に音楽に合わせていくアスカ・・・

 一応、アスカにあわせようとするのだが、
不規則なアスカの動きについていけないレイ・・・

 最初の内は良くとも、段々、チグハグになっていく・・・

「なんだ、全然、だめじゃん♪」

 どこと無く、嬉しそうに言うミサトに、回りの非難めいた視線が飛ぶ・・・

「はぁ〜・・・だから、惣流さん、音楽だけを意識するんじゃなくて、
レイの方にも・・・」

「なによ、私の動きに、ついてこられないコイツが悪いんじゃない!」

 プイッっと横を見つつ、アスカはそう言った。

「いや、そうじゃなくてぇ〜」

 シンジは、もう一度、この特訓の趣旨を説明しようとする。

「いつも、こうなのか?」

 その後ろで、シンが、レイに訊くと、レイはこくりと頷く。

「はぁ〜惣流、お前、この訓練の趣旨を理解しようとしてないな・・・」

「はぁ?・・・音楽に合わせて、踊るだけでしょ・・・攻撃パターンにそって」

 シンの問いかけに、アスカは当然のように答えるが・・・

「ち、違うよ・・・(汗)」

 アスカの答えに、シンジが冷や汗を流しながら、そう言った。

「まぁ、論より証拠だな・・・俺が出来れば良いんだが・・・ん?・・・
 そう言えば、シンジ、教えているんだから、
一応、お前も、一通り、踊れるんだろ?」

 少し考えて、シンがシンジにそう訊いた。

「え?・・・それは、まぁ・・・一応・・・」

「よし、お手本だ、シンジ、レイちゃんと踊ってみろ」

「え?」

「??」

 シンの言葉に、シンジとレイは、首をかしげる。

「大丈夫だ、別に完璧にやる必要はないから、気楽にやってみな・・・
 それと、惣流・・・お前のと、この2人がやる本来のあるべき訓練のやり方・・・
 どう違うか、実際に第三者的な目で、見てみろよ・・・」

 そう言う事になり、シンジとレイが踊る事になった。

「じゃぁ、いくよ」

 シンジがそう言うと、レイが頷き、ミカがスイッチを入れる。

 アスカは2人を睨みつけるようにして、見ている。

 音楽は二の次にして、お互いに合わせる・・・

 間違えても、同じように間違えて、お互いに合わせる為、
それも調和のひとつとなる・・・

 2人の息のあった踊りを見ながら、アスカの顔が、少しずつ蒼くなっていく・・・

 そして・・・・・・

 ぴぽぴぽぴぽ〜ん!!

 シンジとレイのペアは、最後まで踊れただけではなく、
89点という、高得点を出した。

 パチパチパチ・・・

 アスカとミサトを除いた全員が、2人に拍手を送る・・・

「・・・・・・」

 アスカは、呆然とした顔で、それを見ていた。

「これは、アスカとのペアじゃなく、指揮部長とレイで、
いった方が良いんじゃないですかぁ〜(そうすれば・・・)」

 ミサトが、いやらしい笑みを浮かべながら、そう言った・・・

 シンジとシンの眉間に皺がよる・・・

 ミサトの考えは分かっていた・・・

 シンジはエヴァに乗れる事は、ミサトは知っている・・・

 ゆえに、指揮部長であるシンジをパイロットにする事により、
発令所から、追い出せば、自分が指揮をとれると考えているのだろう・・・

 しかし、ミサトはその時、思いついた1つの考えが、
自分にとって、都合の良いものなら、それだけを増幅して、めり込み、
周りや、後の事を考えるという事を(都合の悪いことは)忘れていた。

 ガタン・・・

「だったら、ファーストと、指揮部長で勝手にやれば良いじゃない!」

 アスカがそう叫び、そこから、逃げ出すように、出て行った。

「「「「「「「「「惣流さん(アスカ・おねえちゃん)!!」」」」」」」」」

 いきなりの事で、皆が驚いて、そっちの方を見て叫ぶ。

「か〜つ〜ら〜ぎ〜さぁ〜ん」

 ヒカリが、地の底から、響くような声を出しつつ、
ミサトを睨みつけた。

「はひ?(汗)」

「追いかけてください! 女の子を泣かせたんですよ!
 責任を取ってください!」

 ヒカリがそう言い、ミカも、縛っていたロープを切り、
ミサトを睨みつけていた。

「早く、行ったらどうです?」

「はひぃ〜!!」

 ミサトは、慌てて、アスカの後を追って行った・・・

「まったく・・・」

 ヒカリは腰に手を当てて、そう言ったが・・・

「ばか、何を言っているんだ・・・」

 驚いた顔をしつつ、シンがそう言った。

「「え?」」

 ヒカリとミカは訳が分かっていない。

「シンジ、お前が追いかけろ、拙い!」

「うん!」

 シンの言わんとした事が分かったシンジは慌てて、後を追って行った。

「シン君、私は?」

 レイも少し心配したような顔をしつつ、そう言った。

「あ、一応、レイちゃんも、追いかけてくれ・・・」

「わかったわ・・・」

 レイも、シンジの後を追っていく。

 リツコと、タカは慌てて、どこぞ(保安部)に連絡を入れる。

「どうして・・・(汗)」

「シンジさんや、レイお姉ちゃんは、別に・・・」

 よくわかってなかったヒカリとミカが訊く。

「追いかけさせた人物が拙いんだ・・・アレが、噂の作戦部長だったんだぞ・・・
 あのまま行かせたら、惣流は、無謀な作戦を強いられる可能性がある・・・」

「「え?」」

 ヒカリとミカは首をかしげる・・・

「それこそ、周りの被害とか、パイロットの生死を問わないような作戦に・・・
 しかも、やるだけ無駄で、生還できないような作戦に・・・」

「「あ!」」

 そこで、2人はやっと事態を呑み込めた・・・

「どどど、どうしよう!」

 真っ青な顔をして、ヒカリがそう言った。

「わ、私達も、捜した方が!」

 ミカがそう言って、立ち上がって玄関の方に行く。

「え、えぇ!」

 ヒカリもそう言いつつ、ミカについて行った。

「シンさん・・・僕も行きます」

「すまん・・・俺はこんな状態だから・・・」

「わかっています・・・」

 タカも、そう言って、出て行った。

「・・・・・・ワシらも行ったほうがえぇかな?」

「どうかな?・・・(汗)」

 トウジと、ケンスケは、急展開について行けず、
呆然としていた。

「2人とも、悪いが、俺を押して、ある所に連れて行ってくれないか?」

 シンは、戸惑っている2人にそう声をかけた。

「あぁ、えぇで・・・」

 トウジはそう言って、車椅子の取っ手に手をかける。

「どこいくんだ?」

 ケンスケは、トウジの隣で、そう尋ねた。

「一応、先ずは玄関のほうへ・・・リツコさんは、留守番をお願いします」

 玄関の方に押してもらいつつ、シンは残っているリツコにそう声をかけた。

「わかったわ・・・」

「じゃぁ、行って来ます」

 シンは、トウジに押されながら、出て行った。

「さて・・・どうなるかしらね・・・
(一応、副司令にも、連絡を入れた方が良いわね・・・)」

 冷や汗を流しつつ、リツコはそう呟いた。





 とあるコンビニ・・・

 アスカは、コンビニの飲み物が入れてある冷蔵庫のドアを開けて、
頭を冷やしていた・・・

「・・・・・・・・・なによ・・・私は・・・」

 そこに、ミサトがやってきた。

「あ、居た、居た・・・ん?」

 ミサトは周りを見る。

 シンジ達は居ない・・・

 アスカが1人で、落ち込んでいるように見える・・・

 この図式より、ミサトは、これはアスカを取り戻すチャンスだと思った。

「ちゃぁ〜んす♪」

 そして、アスカに後ろから近付いていく。

「あ〜すか♪」

「何よ・・・」

 アスカは、ミサトの方を見ずに、そう言った。

「ん〜ココじゃなんだし、チョッと、あっちの公園で話さない?」

 ご機嫌な調子で、ミサトは話を続ける。

「ほっといてよ・・・」

「まぁ、まぁ、貴女の気持ちはわかるわ・・・
 あいつらは、結局、貴女を、自分達を良く見せる為のダシに使っていたんだし♪」

 勝手な解釈で、ミサトはアスカにそう言った。

「え?!・・・そ、そうなの?!」

 アスカは驚いた顔をしつつ、そう言った。

「そうヨン♪・・・だから、私がアスカのために、
貴女が1人で使徒を倒せる作戦を考えてあげる♪
 だから、ココじゃなんだし、公園に行かない?・・・飲み物くらい、奢るわよ♪」

 ミサトはアッサリとそう言った。

「わかったわ・・・」

 アスカはそう言って、ミサトの後をついて行った。

 公園に向かう最中も、ミサトは、シンジ達がいかにアスカを蔑ろにしているか、
弄ぶ為に、引き込もうとしたのかという事を、勝手につけたし、増幅させて、話した。

 二度とアスカがシンジ達の元に行かない様に・・・

 そして、自分しか頼れなくする為に・・・

 公園についたアスカは、ミサトの都合の良い説得を聞きつつ、悩んでいた。



                                  続く






 デビの秘密基地?

と「・・・・・・・(汗)」

デ「進みが遅くないか?」

鐘「ですね・・・」

華「どうしたんですか?!
  またアスカさんが大変な状況になりかけているじゃないですか!」

と「で、電波による暴走かな?」

デ「これで巧くいくのか?」

鐘「さぁ?・・・一応、特訓はチャンとやっていたようですけど・・・
  反発していましたし・・・」

華「そうです!・・・本来、これは、アスカさんが、
  ミサト(狂牛病付暴走王蟲無能厄乳牛)の元から、脱出して、
  シンジさんの(寝室)に、純白のドレスで走るイベントは?」

と「なんか、余計なモノと言うか、今回の話の予定以前に、
  全く無いモノが増えてないかね?(汗)」

デ「そうだな・・・(汗)」

鐘「特に寝室と、純白のドレスは余計でしょう・・・
  それは、将来、マユミさんのモノです(ボソ)・・・」

華「あんですってぇ〜!!・・・」

鐘「贅沢なのですよ、現3位のマユミさんは、まだ出てすらいないのに・・・」

華「これは、元々、LASの予定だったのだから、良いのよ!」

鐘「それは、あくまでも予定であっただけです・・・
  誰かさんのお陰で、今は投票で決まる事になっています」

  ピシッっと2人の間に走る緊張・・・

華「フフフ・・・貴方とは、じっくりと(拳で)話しておかないと、
  いけないようですわね・・・」

鐘「フフフ・・・そうですね・・・
  貴女とは、一度、じっくり(拳で)話しておかないといけないでしょう・・・」

  2人から、オーラが立ち上る・・・

と「おぉ〜い(汗)」

デ「やるなら、裏庭の闘技場にしとけよ・・・」

華「わかっているわよ!」

鐘「勿論です!」

   鐘護と華月の戦いが裏庭で始まる・・・

と「・・・始まったよ・・・(汗)・・・いつかぶつかるとは思ってたんだ」

デ「まぁ、一応、結界内だから、大丈夫だろう・・・(汗)」

と「い、一応、あの2人、互角だからなぁ〜」

デ「まぁ、票的には、マユミの方が有利なのに、まだ出ないからな・・・
  もう直ぐ、トップの2人と並ぶのだろ・・・」

と「まぁ、アスカが追い上げていると言う事で、票が入っているし・・・
  もう少しでレイちゃんに追いつくかも・・・(汗)」

デ「鐘君も、ストレスがたまってるんだろうな・・・」

   後ろから響いてくる打撃音・・・聞かないフリをする2人・・・

と「でもさ、シナリオというか、プロットはこうだから・・・」

デ「幹は、兎も角、色々と枝葉、増えてないか?・・・」

と「一応、予定の方向には進んでいるんだから・・・」

デ「牛歩でな・・・」

と「と、兎も角、どうなるかは、次回のお楽しみだな・・・」

デ「使徒戦までいけるか?」

と「・・・さぁ?(汗)」

デ「次回はもっと急げよ・・・」

と「承知・・・」

   響く打撃音をバックミュージックに、パソコンに向かうとりもち・・・

   次回は何時になる?




 おまけ<ペンペンについて・・・>

 ペンギンには1科6属16種あると言われています。

 ココでのペンペンは2種のペンギンを掛け合わせ、
更に改造?されたペンギンと言うことにしています。
(本編ではどうか知りません・・・おそらくイワトビだけと思いますが・・・)

 元になったのは・・・

 マカロニペンギン属のイワトビペンギン(姿から)

 エンペラーペンギン属の皇帝ペンギン(大きさや、寿命の長さで)

 と言うことです♪




第3新東京市市内、某バー
ミサト 「ちくしょ〜、加持の奴もリツコも、ついには日向君まで用事があるって、
    そんなに、この私とは飲みたくないって言うの!?」

ミサト 「アスカは私のことぼろくそに言うし、シンちゃんも白い目で見るし、
    レイなんか公務以外反応もしてくれなくなってきてるよ!
    何で私がこんな目に遭わなきゃなんないのよ!
    勝手に滅茶苦茶な話描きまくってるとりもちが悪いんじゃない!」

ミサト「くそぉ〜!今日はとことん飲み倒したる!じゃんじゃん持ってきて!!」

………
………
………

ミサト 「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ……」
ミサト 「ば〜ろ〜、もう無いじゃないのよ〜!」

冬月 「隣、良いかね?」
ミサト 「あ゛〜!?」

そう言って、冬月の方を睨みつけるミサト・・・

冬月 「………」
ミサト 「………」(滝汗)
ミサト「ふふふ、副司令!!!!?」

冬月 「随分飲んでいるようだな」
ミサト 「あ、いえ…ここ、これは…」
冬月 「隣・・・良いかね?」
ミサト 「は、はい!どうぞ!」

冬月が酒を注文している脇でミサトは滝汗を流し続けていた。酔いは一発で覚めてしまったようだ。

ミサト (な、なんで、副司令がこんな所に来るのよ…ま、まさか何かばれたわけ!?)

冬月は何事かをミサトに話しているが、ミサトにそれを聞いている余裕は無かった・・・

ミサト (もしかしてあれ?それとも…ま、まさかあれじゃ!?)

色々とやっていたらしい・・・

冬月 「葛城君聞いているのかね?」
ミサト 「あ、ははい!い、いえ…すみません……」(汗)
姿勢を正して、冷や汗をダラダラ流すミサト・・・
冬月 「ふぅ……まあ良い、まずは一杯飲みたまえ」
冬月はミサトのグラスに酒を注いでいく。
ミサト 「あ、ありがとうございます…」

ミサト 「あ…うまい」

冬月 「それは良かった。それで、さっきの話だが、
    どこまで聞いておったかも分からんから
    最初からするが、葛城博士のことだ」
ミサト (お、お父さんの話だったの!?)

ミサトは驚いた顔で、冬月の顔を見ながら、その話に集中しだす。

冬月 「ふむ……葛城博士は、常に人類の未来のために研究を続けていた。
    スーパーソレノイド理論もそうだった」
冬月 「どんな逆境にあったとしても、決して挫けず。その想いで常に新しい道を切り開いていた」
冬月 「最期はあの様なことになってしまったが、それも、全て人類のためを思っての行動だった」
ミサト 「……」

冬月 「その陰で、葛城君や、葛城君のお母さんが辛い目に遭っていたというのも事実だ」
冬月 「家族を犠牲にして、何が人類のためだと鼻で笑うものもいるだろう」
冬月 「だが、例え愛する家族がどれだけ大切であったとしてもだ、
    自分が今その家族を優先させることで、人類全体を危機に晒してしまうかもしれない」
冬月 「そして、その結果として、掛け替えのない家族も失ってしまうことにも繋がりかねない」
冬月 「ひょっとしたら、人類全体のことなんかはどうでも良くて
    本当は家族のことを守れればそれで良かったのかもしれんがね」

ミサト 「…………父は…そんな風に?」
冬月 「いや、私の推測だ。特に何か明確な根拠があるわけでもない」
冬月 「彼はコミュニケーションが上手い方でもなかったし、
    色々と不器用だったから、そんなことを思っていたとしても、
    周りの人間に触れ回るようなことはしなかっただろう。
冬月 「それでもお母さんには伝えていただろうが、こんな事はなかなか理解されることでもないしな」
ミサト 「………」

冬月 「葛城君が何故今ネルフに籍を置いているのか、その理由は大凡把握している」
冬月 「ネルフは特殊な組織だ。純粋に人類の未来を守るため等と言った
    正義感だけでやっている者などごく少数。みんなそれぞれ事情持ちばかりだ。私だってそうだ」(苦笑)
冬月 「私はそれを否定するつもりもないし、葛城君がそれを恥ずかしく思ったりする必要もないだろう・・・
    だが、こんなところで葛城君に腐っていて貰うために博士は命をかけていたわけではないだろうな」
ミサト 「………」

冬月 「今まで君が抱いていた動機、それを捨てる必要など無いが、
    その思いを果たすためには博士の想いも引き継ぐ必要があるのではないかね?」
ミサト 「お父さんの想い…?」

冬月 「葛城君の動機は、博士の思いを引き継げないような者がするのではいかんだろう?」
ミサト 「……」
冬月 「博士の家族で今この世に残っているのは葛城君だけだ」
ミサト 「お父さんの想い……」
冬月 「ま、最もさっきの話は私の勝手な推測だがね。最後のことは間違っておらんと思うよ」
冬月 「ここのところずっと色々とあったようだが、彼は例えどんな逆境でも諦めたりはしなかった」
ミサト 「……副司令、ありがとうございます」

冬月 「私は自分の勝手な意見を聞いて貰っていただけだ。そんな礼を言われるようなことなど何もしていないよ」
冬月 「今日のところは、私がとことんまで付き合おう」
ミサト「はい!」


総司令執務室、
碇   「…冬月先生、何かしましたか?」
冬月  「どうかしたのかな?」
碇   「作戦部が最近動きが激しいのですよ。未だ何かしているというわけではありませんが」
冬月  「まあ、父親譲りの才能は持っておるからな、使わなければ損だろう」
碇   「彼女ですか」
冬月  「ああ」
碇   「一過性のものでないと良いな」
冬月  「それでも構わんよ、二日でおつりが来る。一石三鳥は狙わんよ」
碇   「なかなかシビアだな」
冬月  「誰のせいだと思っているんだ?」
碇   「さて、委員会から呼び出しが掛かっているので俺はもう行くぞ」
冬月  「またんか、その手にはのらんぞ」
碇   「残念ながら本当なのでな」(にやり)
冬月  「く…」
碇   「では後は頼んだ」
冬月  「ああ、そうだ。昨日の赤木博士の事故のことは伝わっているからな」
碇   (ぴく)
冬月  「まあ、あれだけの規模でやってくれたのだ。影響は直ぐに回復したが仕方なかろう」
冬月  「偽情報も随分流したようだったが、残念だったな」
碇   「……問題ない。では行ってくる」