15
                                       説得?・・・それとも、共闘?開始




「ヴ〜ン・・・(汗)」

 ある病室の前で、シンジは唸っていた。

 その病室は、シンの病室であり、レイが居るハズであった。

「・・・ど、どうやって、説得しよう・・・」

 作戦を決めたシンジは、その実行許可を、
現ネルフの最高責任者代行の冬月に、貰に行った。
(司令が出張中なので、副司令である冬月が表向きにも、責任者である)

 勿論、冬月は二つ返事で、その作戦の許可を出し、
関係各省への根回しもしてくれている・・・

 作戦を立てたのは自分だし、それを実行させるのも、自分なので、
各パイロットに、作戦内容を説明し、協力してくれるように、
説得しなければならないのも、自分である事もわかっているが・・・

 病室の前に着いた途端、シンを心配して、傍に居るレイを、
作戦の為に、そこから、引き離さなければならない事に気付いたのだ。

「・・・で、でも、時間もあまり無いし・・・
 でも、レイは嫌がるだろうなぁ〜」

 シンジが頭を抱えてドアの前でしゃがむと・・・

 がちゃ・・・

「痛!」

 ドアが開いて、抱えた頭にぶつかった。

「あら・・・シンちゃん、そんなところで、どうしたの?」

 そこから出てきたのは、ユイであった。

「あ、かぁ・・・いや、ユイさん」

 シンジは、ぶつけた頭を押えつつ、『母さん』と言いかけたのを、、慌てて言い直した。

 どこにスパイがいるか分からない為、一応、家の外では、
ユイの事を、"母さん"とは、呼ばない決まりになっているからである。

「で、どうしたの?・・・そんなところで、唸って・・・」

 事情はわかっているものの、ユイは、少し不満そうな顔をしながら、
シンジに、再びそう尋ねた。

「え、あ、はい、一応、作戦が決まったんで・・・
 その、レイにも、説明と協力を・・・」

「あ、レイちゃんにね・・・中に居るわよ、早く入りなさい」

「え、あ・・・うん」

 シンジは、ユイに引っ張られて、中に入る。

 そこには、心配そうにシンを見ているレイの姿があった。

「・・・・・・・・・・・・・・レイ、シン君」

 その様子を見て、シンジは、益々、言い辛くなった・・・

「あ、あの、シン君は?」

 シンジはユイの方を見て、そう尋ねた。

「大丈夫、まだ、意識はないものの、命に別状はないわ・・・
 でも、少し、入院しないとダメね・・・無茶をしたから・・・」

「そう・・・」

 シンジはそう呟いて、ベッドの傍に行く。

「レイ・・・」

「お兄ちゃん・・・」

 シンジがレイに声をかけると、心配そうな顔をしたレイが振り向く。

「いや、その・・・あの・・・」

「??・・・」

 シンジが、何かを言おうとするが・・・言い出せないでいると・・・

「おはよう・・・レイちゃん・・・よう・・・シンジ、どうしたんだ・・・」

「「!!・・・シン君!」」

 今まで、意識の無かったシンが、突然、目を開け、
声をかけてきたので、驚く一同・・・

「き、気が付いたの?!」

 ユイが、シンにそう言った。

「えぇ・・・ちょっと、シンジ(の悩む心の叫び)が煩くってね・・・」

 少し、苦笑しながら、シンがそう言った。

「し、シン君・・・僕、そんなに煩かった?(汗)」

 シンジが冷や汗をかく。

「シン君・・・」

「レイちゃん、心配かけたね・・・」

「ううん・・・いいの・・・」

 レイはそう言いながら、シンの左手を握る力を少し強める。

「ところで、シンジ・・・何か、用があったんじゃないか?」

 自分は大丈夫とばかりに、レイの手を握り返しつつ、シンがシンジにそう言った。

「あ、うん・・・実は・・・」

 シンジは、今回の作戦について話した。




「そうか・・・そう言う作戦で」

「・・・・・・・・」

 その説明を聞いた後、シンはそう呟き、レイは少し嫌そうな顔をする。

 すると・・・

「レイちゃん・・・」

 シンがレイに声をかける。

「・・・何?」

「俺は、もう大丈夫だから、特訓を開始してくれ」

「で、でも!」

 シンの言葉に、レイは驚く。

「良いかい・・・俺はしばらく、動けないし、初号機は間に合わない・・・
 だから、レイちゃんが、あのセカンドと一緒にやるしかないんだ」

「で、でも・・・」

 レイはそれでも、嫌そうな顔をする。

「レイちゃんは、セカンドの事が嫌いかい?」

 シンが優しく訊いてきた。

「あまり、好きじゃない・・・」

 レイは、頷く。

 さっきの事があるので、仕方ない事だろう・・・

「そっか・・・その気持ちはわかるよ・・・
 でも、これだけは知っておいてくれないか・・・
 セカンド、彼女の性格は、ある条件付け、
刷り込みを、その精神、心に受けているからみたいなんだ・・・」

「「え?!」」

 その言葉に、シンジとレイは驚く。

「し、シン君・・・それは・・・」

 ユイが言い辛そうに呟く。

この間アスカと会って、ココに戻って来てから、気になってね・・・
 ドイツ支部のマギコピーの中を調べてたんです・・・そしたら、案の定、出て来たんですよ・・・
 隠しファイルの奥底から・・・『セカンドチルドレン育生監視日記』がね・・・
 まぁ、その存在がわかり、確認できたのは、今回の出撃途中、初号機の中でしたが・・・」

 エヴァ初号機は、ある意味、マギとつながっている為、運搬途中でも、
マギを使った調べ事ができるのである。

「「「・・・・」」」

 3人は黙って、シンの言葉を聞く。

「ドイツ支部は、ゼーレのお膝元、そして、セカンドはいずれ、
日本へ送られることが決まっていた・・・
 だから、あいつ等は、セカンドにある処置をしたんだ・・・」

「処置って?」

「表現し難いんだけど・・・
 例えば、他人に見て貰いたいくせに、認めず拒絶する性格・・・死に対する恐怖が人一倍あるのに、
独りで使徒を倒そうと、玉砕並みの特攻してしまう性格、何でも一番にならなければ、気がすまず、
同僚、仲間ををライバル視し、一番になる為には、それを排除しようとする性格・・・
 周りに好かれたいくせに、周りを傷つける、攻撃的な性格・・・
 それらの矛盾が入り混じり、人一倍寂しがり屋の癖に、周りを拒絶するような・・・
 そんな崩れ易い心を持つようにさ・・・
シンジ第一依り代候補の心を崩し易くし、もしもの時は、その予備にする為の・・・
 そして、自分たちこそが、一番であると言う思想に囚われた男の思惑が入り混じって・・・)」

「そんな・・」

 シンジは驚いて、呟く。

 レイも、驚いた顔をしている。

「だが、これはそんなに強いものじゃない・・・
 うまく、カウンセリングをしていけば、解ける程度の呪縛だ・・・
(葛城ミサトのとは、違って、ゼーレだけでなく、名目上の父親や、
ドイツ支部長の思惑が混じったため、そこまで厄介じゃないからな・・・
 それを解く為のキーも近くにあるし)」

「それじゃ!」

 驚いたように、シンジが叫ぶ。

「でも、すぐには無理だ・・・
 しかし、その事を念頭において、彼女には接してほしい・・・
 レイちゃん・・・」

 シンはレイの方を見る。

「な、なに?」

「俺は大丈夫だから、特訓に行ってくれ・・・」

 シンは微笑みながら、レイにそう言った。

「で、でも・・・」

 レイは半ば泣きそうな顔で、首をふる。

「このまま、使徒を倒さないと、家族も、友達も、
俺も死んでしまう事になるよ・・・」

「!!・・・そんなの嫌!」

 シンにそう言われ、初めて気が付いたような驚愕の顔をして、レイが叫ぶ。

「じゃぁ、わかったね・・・
 大丈夫、治ったら、チャンと傍に行くから・・・」

「わかったわ・・・その代わり・・・」

 レイはそう言って、シンにキスをした。

「あらら・・・レイちゃんって、大胆ね♪
(チャンと実践しているわ♪)」

 ユイはそれを見て、微笑み、シンジは顔を真っ赤にする。

「行って来ます・・・お兄ちゃん、行きましょう」

う、うん・・・」

 そして、シンジとレイは出て行った。

 少しして・・・

「シン君・・・」

「なんですか?」

「随分、無茶をしているわね・・・
 いくら、あなたでも、その状態から、覚醒にまで、意識レベルをもっていくのは、
相当、負担がかかっているハズでしょ・・・」

 ユイが心配そうな顔をして、そう言った。

「すいません、でも、あぁしないと、
レイちゃんは作戦に参加出来そうになかったから・・・それに・・・」

「もういいから、早く、眠りなさい・・・意識を保っているだけでも、
大変なんでしょ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ユイがそう言った途端、シンは意識を手放した。

「全く・・・無茶ばっかりして・・・
 覚醒出来たのも・・・が近くに来たから・・・
 でも、本当なら、治療後・・・の影響などで、・・・は・・・
 起きて意識を保ち続けるなんて、凄い精神力ね・・・
 さすが・・・なのね・・・でも・・・でも・・・」

 何故か、シンを見ながら、瞳を潤ませているユイは、
小声で何事かを、ぽつり、ぽつりと呟いた。






 レイとシンジは、作戦の為の訓練を行うべく、
その説明をアスカにしようと、所員に頼んで探してもらった。

 すると、アスカは、あの後、すぐに、家に戻ったらしく、
本部に居ないことがわかった。

 本来なら、本部に、呼び出せば良いのだろうが・・・

 そうすると、その性格上、アスカが不機嫌になり、
訓練に参加しない、または、まともにしない可能性がある為、
わざわざ、シンジ達が住んでいる所に出向くことにしたのである。

 アスカの住所は、コンフォート17・・・すでに、ミサトと同居していた。

 ミサトは、アスカがココに着いて、すぐに、同居するように申請を出し、
認めさせていた為である。

 これは、ミサトがアスカを自分の手元から出ないようにする為に、
無意識?的にやった事であったのかもしれないが・・・

 そんなわけで、シンジと一緒についてきたレイは、
ミサトの部屋の玄関前にやってきた。

 勿論、送り迎えの保安部の皆さんも来てはいるものの、
命令ではなく、協力してもらう事が前提の為、
マンション前で待って貰っている。

 ピンポ〜ン・・・

 シンジが呼び鈴を鳴らす。

「はぁ〜い」

 すると直ぐ、ドアが開いた。

 シンジ達を見た途端、アスカは、不機嫌そうな顔をする。

「何よ・・・負けたのは、私の所為じゃないわよ・・・」

 確かに、あの作戦は、ミサトの命令に従ったものであったし、
完全に殲滅したのを確認せずに、背を向けた時も、直属の指揮官であったミサトが、
(パターンの確認してないのに、既に倒した気でいたから)隙だらけになったアスカに、何も注意せず、
同じように、シン達にだけ注意を向け、シン達の忠告を無視すると言うミスをやらかしていたのもあるので、
アスカに責任は、あまり無いだろうが・・・(それでも、少しはある・・・)

 ちなみに、アスカは、知らないが、ミサトの書いている報告書始末書では、
『使徒殲滅の確認も受けず、背を向けたパイロットアスカが全面的に悪いので、指揮官は悪くない』とか、
『いきなり、声をかけてきた指揮部長と、その部下のパイロットの所為で、作戦部長は悪くない』
と言うような事になっているようだが・・・責任回避の為に・・・

 アスカのセリフを聞いて、レイがムスッとする。

「そうじゃないよ・・・こっちの作戦が決まったんで・・・(汗)」

 シンジが、アスカを宥めるようにそう言った。

「なに?・・・嫌味?・・・ど〜せ、こっちは決まってもいないわよ」

 アスカが不機嫌そうにそう言った。

「いや、出来れば、君にも参加してほしいんだけど」

 シンジは少し、逃げ腰になりながらも、説明しようとする。

「はぁ?・・・あんたバカァ?・・・私はミサトを指揮官にしてんのよ」

 アスカはシンジに向ってそう言うと・・・

「チルドレンは、作戦ごとに、自分で指揮官を選べるわ・・・
 それに、それは、作戦を執行できる指揮官を選択するのであって、
他に居ない場合、自動的に、作戦を持っている指揮官の指揮下にはいる・・・
 作戦部長は、作戦がなく、指揮部長には作戦があり、それが司令部により、
認可されている・・・つまり、現段階で、指揮者は1人よ」

 レイがアスカに、そう指摘した。

「グッ・・・」

 ミサトと違い、一応、書類に目を通しているアスカは、
だいたいの条件を知って為、言葉に詰まり、後ろに引く。

「レイ、一応、惣流さんにも、作戦内容を聞いてもらってから、
参加するかどうかを、決めてもらわないと・・・」

 シンジが冷や汗をかきつつ、レイにそう言った。

「でも、作戦に参加をしないと言う事は・・・」

「だぁ〜!・・・わかったわよ!・・・
 その代わり、私が参加するか、どうするかは、
その作戦内容とやらを聞いてから、きめるからね!」


 今度はアスカがレイの言葉を遮って、そう叫んだ。

「そう・・・」

 レイはそう言って、部屋の中に入ろうとする。

「な、なに?・・・何をする気よ」

 アスカは慌てて、レイを止める。

「作戦内容・・・聞くんでしょ・・・
 だったら、立ち話でするような話じゃないし、中に入らせてもらうわ」

 当然の事のようにレイがそう言った。

「れ、レイ、そう言うときは、一応、先に、断ってから、入るんだよ」

 シンジがそう言った。

「そうなの?」

 レイが小首を傾げながら訊く。

 ちなみに、レイは他人の家に行くのは、
まだ、独りで、某幽霊マンションに住んでいた頃、
シンの家に、遊びに行っていた時くらいで、他は殆どなかった。

 その為、そう言う常識に欠けていたらしい・・・
(まぁ、シンは勝手に入ってきても、咎めなかっただろうし・・・)

「「そうなの!」」

 シンジとアスカが同時にそう言った。

「ったく、そう言うときは、『入れて』とか、
『お邪魔します』くらい、言うのが普通よ・・・」

 アスカがぶちぶち文句を言うと・・・

「じゃぁ、入れて」

 レイがあっさり、そう言った。

 すると、アスカがピタッと止まり、冷や汗をかく。

「???」

 その様子を、シンジが不思議そうにみる。

 レイは、気にせず、アスカの横を通って、中に入ろうとする。

「あぁ!・・・ちょ、ちょっと!・・・
 こ、ココじゃなくても別にね・・・(汗)」

 アスカが慌てて、レイを止める・・・

「時間がないの・・・すぐに説明を聞いて、行動に移らないといけないの・・・
 極秘事項だから、他人に聞かれるわけにはいかないわ・・・
 なにか、問題あるの?・・・中に入るのに?」

 不思議そうに、レイがそう言った。

「いや、その・・・」

 何か言い辛そうにしているアスカ・・・

 それを、レイとシンジが不思議そうに見る・・・そして・・・

「あぁ、もう・・・・・・い、言っとくけどね!・・・
 これを散らかしたのは、私じゃないんだからね!」

 アスカが玄関に置いていたほうきを持ち、そう言ってから、
案内するように中に入る。

 レイとシンジは、それに続いた・・・



 玄関から、多少散らかっている程度の廊下を通り、
そして、リビングの所まで来て、呆然とする2人・・・

 そこには・・・

「ここ・・・どこ?」(シンジ)

「ゴミ最終集積場?・・・焼却施設のなか?」(レイ)

 ゴミの山だった。

 その部屋に、所狭しと、あるのは・・・

 へこんでいる【えびちゅ】と言う銘柄のビールの空き缶・・・

 食い散らかされたコンビニで売られているお摘みやお弁当の器・・・

 脱ぎ散らかされた汚れ物・・・

 それらが、山のようにあった。

 ちなみに、床には、獣道としか言えないような道があるだけ・・・
(まぁ、しばらく、ミサトが自棄酒を飲んでいただろうからねぇ〜)

 掃除なんか、全くやってなくても、
さすがにココまで逝かないだろうと言うものだった。(誤字に非ず・・・(笑))

「わかった?・・・ココじゃ話も出来ないでしょ・・・」

 力を落としつつ、アスカが言った。

「言っとくけど・・・ココまでやったのはミサトよ、
ミ・サ・ト!」

 レイとシンジが驚いたような顔で、アスカの方を見ていたので、
アスカは、念を押すように言った。

「そ、そうなんだ・・・(汗)・・・
(ココまで散らかせる人がいるんだ・・・
 って言うか、こんな所で、良く平気だなぁ〜)」

 シンジは、冷や汗を流しつつ、そう言ったが、
レイは、疑いの眼差しでアスカを見ている。

「何よ、その目は!」

「別に・・・」

 レイはそう言い返した。

「いいわ、こっちに来て、私の部屋を見てみなさいよ!」

 アスカはそう言って、リビングの獣道(爆)を掃きながら、
レイを引っ張って、ある部屋に連れて行く。

 シンジもその後をついていく。

「な、何だアレ・・・(汗)」

「な、何?(汗)」

「気にしたら、負けよ・・・(汗)」

 レイとシンジは、その途中で、図鑑には載っていない様な物体蟲?を見た。

 そして、アスカが案内した部屋は、一般レベルで、片付いている部屋だったが、
対象が対象なので、別空間のように、綺麗に見えた。(もしかして、アスカ、玄関先を掃除してたのかな?)

「これが私の部屋・・・
 良い、ココ以外の部屋は、片付けても、
ミサトがそれ以上に散らかすの!

 だから、ココ以外は片付いてないだけ!・・・
 まぁ、こっちも、侵食を抑えるので、いっぱい、いっぱいなんだけど・・・」

 確かに、ふすまの内側には、アスカが作ったのか、
10cm程のバリケードが立ててあった・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 レイが目を見開き、アスカの方を見る。

「わかった?」

 アスカが言い聞かせるようにそう言った。

「えぇ、誤解していたわ・・・ごめんなさい」

 レイが、あっさり自分の非を認め、謝った為、
アスカが意外そうな顔をする。

「どうしたの?」

 レイが、小首を傾げて、アスカに訊いた。

「え?・・・いや、ちょっと・・・イメージが・・・」

 アスカが慌てて、そう言った。

「???」

 レイはアスカの言った事がイマイチ理解できなかったのか、
小首をかしげた。

「まぁ、いくらココが片付いていても、ここだけじゃぁ〜出来ないと思うから、
一旦、僕等の家に来てくれないかな?・・・
 いや、お茶菓子くらい。チャンと出すから・・・」

 シンジが、アスカの部屋を見ながら、そう言った。

「ん?・・・な、なんで、アンタまで覗いているのよ!」

「え?・・・」

 バチィ〜ン!

 シンジは、顔を赤くしたアスカに頬を叩かれた・・・
(無許可で女の子の部屋を覗いちゃいけません)






 コンフォート16・・・

「・・・・・・・・まぁ、それはシンジ君がいけないわね・・・」

 リツコがレイに事情を聞いて、そう言った。

「なぜです?」

 レイは小首を傾げる。

「アンタねぇ〜・・・
 普通、男子は女子の部屋を、
許可なく、見ちゃいけないのよ!」


 アスカがレイの隣で、そう言った。

「どうして?」

 レイは本気でわからないと言う顔をして、アスカに訊く。

「う・・・そ、そう決まっているからよ」

「なぜ?」

 理論的にわからないらしく、再び訊くレイ・・・

「そ、それは・・・普通、嫌なモンじゃない!
(あそこには下着も干してあったんだから!)」

 アスカは赤くなりながらそう言った。
(因みに、下着はフスマの影になっていたので見られてません・・・でも、洗濯もしてたのね)

「?・・・シン君や、お兄さんに見られても、私は嫌じゃないわ」

 自分を実例に挙げて、レイが訊く。(それ以前に、シンとは、同じ部屋だしな・・・)

「グゥ〜だから・・・」

 頭を抱えながら、アスカは、どうやって説明すべきか、悩む・・・

「まぁ、まぁ、レイも、考えて御覧なさい・・・
 シン君やシンジ君以外の男の子が、
勝手に貴女の部屋をジロジロ見たらどう思う?」

 返答に困っているアスカに、助け舟を出すようにリツコがそう言った。

「??・・・・・・」

 レイは考え込む。

 うまく想像できないらしい。

「そうねぇ〜・・・例えば・・・
 ほら、ところかまわず、写真を撮るあの子!・・・
 あの子とかにジロジロ見られたら、レイはどう思う?」

 リツコが、ひらめいたとばかりに、そう言った。

「!!!・・・い、嫌!・・・」

 すると、即座に、返答が返ってくる。
(哀れな・・・)

 ちなみに、レイが嫌がっている理由は・・・

 2人で居るところを、カメラを持って、見られつづける。
         ↓
 シンが気にして恥ずかしがって、距離をとる。

 下手をすれば、せっかく、一つになった部屋を分けるかも知れない・・・

 さらに・・・

 写真を撮られて、見ず知らずの男子が自分の写真を持っていると、
何故か知らないけど、シンが嫌がる。
   ↓
 シンが嫌がること→自分も嫌

 勿論、なぜだか寒気がするのも原因の一つ・・・(普通こっちがメインじゃ・・・(汗))

 という風なものである。

「わかった?」

 疲れたようにアスカがそう言うが・・・

「でも、兄さんは、アレとは違う・・・」

 レイは即座にそう言い、アスカは頭をテーブルにぶつける。

「あ、あのね・・・」

「アスカはまだ、シンジ君の事を良く知らないのよ・・・
 レイも、見ず知らずの人に、いきなり、覗かれると嫌でしょ・・・」

 レイが考え込み・・・頷く。

「わかった?」

 アスカが疲れた顔をしながら、レイにそう言った。

「えぇ、なんとか・・・見ず知らずで、あまり好意の持っていない異性に、
部屋を見られる覗かれるのは、いけないことなのね・・・」

 レイは反芻するように、そう言った。

「・・・あんたの妹って、常識無さ過ぎ・・・」

 アスカが、シンジを白い目で見ながら言った。

「いや、色々と、事情があるから・・・
 ココに来るまで、ずっと、別の所で暮らしてたし・・・(汗)」

 シンジは、冷や汗を流しつつ、そう答えた。

「そうは言ってもね・・・」

「ところで、作戦の事なんだけど・・・」

 シンジは、話をそらす為か、作戦の説明を始めた。



 説明後・・・

「・・・つまり・・・私とファーストで、同時にあの二つに分かれる使徒のコアを壊せと言うのね」

 アスカが説明を聞いた後で、そう言った。

「そうなんだ・・・初号機は、修理に間に合わない、シン君は、治療が終わっても、
訓練に間に合うかどうかも、わからない・・・
(あと、シンクロ率の差もあるけど・・・こっちは言わない方が良いよね)」

 シンジは補足でそう説明する。
(因みに、現在アスカとレイのシンクロ率は、結構近いらしい)

「つまり、私と、ファーストしか居ない・・・」

 アスカが頷きながら、言っている横では、レイが不機嫌そうな顔をしている。

「・・・その間、私とファーストは共同生活をするって訳ね?・・・
 まぁ、いいわ、ミサトがまともな作戦を持ってくるまで、
あんた達に付き合ってあげようじゃないの・・・
(もしかしたら、マトモな場所で、マトモな食事が出来るかもしれないし)」

 アスカはそう言いつつ、ある打算的な事を考えていた。

「そうなんだけど・・・惣流さん」

「なに?」

 シンジが声をかけてきたので、アスカがシンジの方を見る。

「レイの事を、ファーストって、呼ばないでくれるかな?」

 少し、言いづらそうな顔をしながら、シンジがアスカに言った。

「なんで?・・・こいつ、ファーストチルドレンでしょ・・・」

 アスカが、不思議そうに、そう言い返した。

「じゃぁ、貴女、二番目・・・」

 レイが横から、アスカにそう言った。

「あんですって!」

 アスカが、レイに怒鳴るが・・・

「貴女は、私を番号で呼ぶわ、だったら、私も貴女のことを番号で呼ぶ」

 レイは睨み返しながら、そう言った。

「あんた、それが協力してもらう側の言う台詞?!」

 アスカは更に怒鳴ったが・・・

「協力しなければ、あなたは使徒を倒す作戦に参加出来ない・・・
 それに、今からだったら、お兄ちゃんが、他の案を、
思いついてくれるかもしれないわ・・・」

 レイは平然とした様子で、そう言い返す。

「そんなに、ポンポンとあるかぁ〜!」

 アスカが怒鳴るが・・・

「・・・いや、レイ、これが一番、可能性が高く、(後々の事を考えても)安全な作戦だから・・・
 やっぱりこれを・・・」

 シンジが冷や汗を流しながら、2人を宥めようと、説明するが・・・

「ほら、他にも作戦があるみたいだわ」

「あんたね!・・・
 あんたの兄貴も、
これが、安全かつ、確実な作戦って言っているでしょ!」

 レイとアスカの間に火花が散る・・・

「えぇ〜と、アスカさん」

 リツコが声をかけてきた。

「なに?!・・・いえ、何でしょうか?(汗)」

 相手がリツコだった事に気付いて、アスカは慌てて言い直す。

「自分がされて嫌な事を相手にするのは、
果たして、まともな大人、いえ、良識のある人のすることかしら?」

「うっ・・・」

 リツコが静かな声でそう言うと、アスカは冷や汗を流す。

「わ、わかったわよ、私が悪かったわ・・・
 綾波さんで、良いわよね・・・」

 アスカは、渋々そう言った。

「えぇ、惣流さん・・・」

 レイはそう言って、さっきまで争っていたのがうそのように、微笑んだ・・・

「・・・あ、ありがとうございます、リツコさん」

 シンジが、小さい声で、リツコに、お礼を言った。

「良いのよ・・・(これからが大変と思うけどね・・・)」

 こうして、訓練が始まった・・・・

                                  続く





どこぞの部屋・・・

D 「・・・このまま、シンジと同居イベントなのか?」

鐘 「ですかね?」

華 「決まっているでしょ!・・・これで、ライバル達と一気に差を!」

D 「不公平な気が・・・ヒカリやミカちゃんに対して・・・」

鐘 「ですね・・・」

華 「何を言っているんですか!・・・
  アスカさんは、今まで、不幸なトコに居たんですから!」

鐘 「不幸な場所ですか?」

華 「ゴミ溜めの中ミサトの部屋で、猛毒料理を回避しつつ、
  自分の場所を確保しなければならないと言う恐ろしい場所です」

D 「確かに・・・( ̄〜 ̄; ヒヤリ」

鐘 「それは認めますが・・・アレは自分から、望んで逝ったのでは?」(誤字に非ず・・・)

D 「ミサトの事、知っていたハズだしな・・・」

華 「何を言っているんです!・・・あのミサトの事です!・・・
   一緒に住むのは命令とか、なんだと言って、無理やりに!」

D 「う〜ん・・・流されたと?・・・(そんなに、握りこぶしで、力を込めんでも・・・)」

鐘 「なのかなぁ〜」

華 「そうに、決まっています!・・・それに、扶養手当とかを狙っていたのかも・・・ボソ」

D 「ありえん話ではないね・・・」

華 「でしょ!」

鐘 「ところで、シンジ君、他に作戦があったようですが・・・
   それはどんなのです?」

D 「あぁ、それは、とりもちの未公開作品であった奴だが・・・
   もしかしたら、B案として、同時進行するかもしれないという事で、
  まだ内緒らしい・・・」

鐘 「そうなんですか・・・」

華 「ちなみに、その案の話をして、シンジさんが、誰かさん見たく、
  行き当たりばったりではなく、あの手この手と、パイロットの為に、
  色々と考えているトコ・・・
   つまり、ミサトより頼りになる所を見せる予定とか?」

D 「多分な・・・(それよりも、チルドレン達レイとアスカの仲を、
  もう少し改善しようとシンジが考えている風にする為もあるんだよな)」

鐘 「えぇ〜【ジャイ○ント・アスカ】ネタは?」

華 「はぁ?」

鐘 「ユニゾンが巧くいかなかった為、シンジ君がエヴァに乗って、
  ジャ○アント・○ボの○作君みたく、アスカはNVの肩で・・・」

D 「あぁ、アレね・・・今回は没らしいぞ・・・イベント上」

鐘 「せっかく、今回の作戦の為に、考えたのにぃ〜o(;△;)o 」

D 「今度に回そうな・・・」

華 「んなモン、早々に没にしなさい!」

D 「しかし、せっかく投票で、一位をとったペアなのに・・・」

鐘 「ですよねぇ〜」

華 「そんなモン企画二位にあげなさい!」

  謎「そんなの、美しくないだろぉ〜」

D 「と言う」

鐘 「意見も・・・」

 ごきゃ・・・

華 「何か聞こえましたか?(― ―#)」

   何か、エモノを持って、振り回している華月・・・

   足元には、白と赤の物体が・・・あ、ディラックの海に沈んで逝った(爆)・・・

   デビ・トリと鐘護は首をふる。

華 「後、LASなファンの方!
   必ず感想を書いた後は、『アスカさんに、一票』の言葉をお忘れなく・・・
   ふっこれで、ばっちりですね!( ̄∇ ̄)ニヤッ」

鐘 「あ!・・・ズルイ!・・・
  マユミちゃんファンの方も、お忘れなく!」

D 「こらこら、お前ら、ココで、自分のこだわりキャラに肩入れをするなって・・・
   カップリング投票は一ヶ月で終わりましたが・・・
   シンジ君の恋人役の投票はまだ終わっていませんので、がんばってください」

と 「現在、アスカは5位です・・・やっと、NVに差をつけました」

D 「あ、作者・・・風邪でグロッキーのハズじゃ?Σ( ̄Д ̄;)なぬぅっ!!

と 「ふ・・・根性・・・(≧ω≦)bグ!

華 「何票差?」

鐘 「おぉ!・・・六票も差がついている(ノ゜凵K)ノびっくり!!」

D 「具体的な数字を言うなって・・・
   でも、そのくらいの差じゃぁ〜追いつかれるぞ(▼∀▼)ニヤリッ」

華 「皆さん、ファイトです!o(*⌒O⌒)bふぁいとっ!!」

鐘 「NV票が、その応援で伸びないと良いんですが・・・( ̄ー ̄)ニヤリ」

華 「ふ、不吉な事を・・・( ̄Д ̄;;)」

と 「まったくだ・・・(;一 一) ジロー」

鐘 「(^-^;)・・・」

D 「ともかく、次回あたり、アスカとシンジが急接近・・・か?」

華 「ですよね♪」

鐘 「なんですか?!」

と 「まぁ、アスカの気持ちが、シンジに向くLASの布石かもな?(*'ω'*)……ん?」

全員「では、後は任せました!」

  ヾ(*T▽T*)ヾ(*T▽T*)ヾ(*T▽T*)ヾ(*T▽T*)ヾ(*T▽T*) マタネーン!!







ケンスケ「酷い…」
ケンスケ「どうして、俺がたとえ話に使われるんだよ…」
アスカ「そんだけの前科があるって事でしょ」
ケンスケ「前科って言っても、そもそも、何で俺がそんなキャラにさせられてるんだよ!」
アスカ「ま、相田だし」
ケンスケ「俺だしってどう言うことだよ!?」
アスカ「……ふっ」
ケンスケ「惣流〜!!!!」
アスカ「うっさい!」
     ばきゃ!
ケンスケ「うぎゃ……」(ぶくぶく)
アスカ「さて、五月蠅いのが黙ったところで…」
アスカ「…長かったわね」(遠い目)
アスカ「ここまで苦節15話…」
アスカ「しかし、いよいよLASが見えてきたわね!」
アスカ「これからこの話はLAS一直線よ!!」
アスカ「そう、いよいよこれからが本番なのよ!!」
アスカ「とりもちよ良くやった!!これからも期待しているわよ!!」
カヲル「確かに、LASは人気があるみたいだからね」
アスカ「アンタがそんなことを言うとはなんか、不気味ね」
カヲル「投票で第1位になったわけだからね、アスカ&先こ」(回避)
           ぶん!
アスカ「ちっ」
カヲル「相変わらず凶暴きわまりないね」
アスカ「ここでとどめを刺してやるわ!」
       赤い二又の槍を持ち出すアスカ・・・
カヲル「残念だけれど、そうは行かないよ」(逃亡)
アスカ「まてぇ!!」(追撃)
……
……
……
ケンスケ「……うう、」
?? …ケンスケよ…
ケンスケ「…うう、だれ?」
?? …それは重要でない。このような状況を抜け出したい?…
ケンスケ「も…もちろん」
?? …ならば、LRSを応援するのよ…
ケンスケ「L…LRS…を?」
?? …そう、そうすれば、読者が貴方の味方になる…
ケンスケ「味方…」
?? …そう。それが貴方がこのような状況から抜け出る方法よ…
ケンスケ「おれが、こんな状況から抜け出す方法…」
?? (ふふ)
……
……
……
ケンスケ「…ん?ここは…そう言えば」
ケンスケ「LRSを応援すれば…どうとか言われなかったっけ?」
ケンスケ「うん…確か、応援すれば、こんな状況から抜け出せるって言っていた気がする」
ケンスケ「LRSか…綾波と先行、ぐあっ!!」
ケンスケ「……」(ピクピク)
?? 「やり直しね…」
……
……
……
アスカ「なんか、眼鏡を洗脳してるわね」
カヲル「睡眠学習?」
アスカ「学習とは呼べないわねぇ〜」
カヲル「しかし…すでに彼女はシン君と言う相手が約束されているんじゃないのかい?」
アスカ「ま、分かってないって事ね」(やれやれ)
カヲル「そう言うことだね」
アスカ「ホント……って、なにほのぼのと話しかけてんのよ!」(攻撃)
        ぶん!
カヲル「おっと」(回避)
アスカ「避けるな!!」
カヲル「無茶苦茶だねぇ〜」(やれやれ)
アスカ「死ねぇ!!」
カヲル「シンジ君に僕の愛を届けるまでは死ね無いなぁ〜」(逃亡)
アスカ「させるか!!」(追撃)