14
様々な問題・・・
「・・・じゃぁ、使徒が発見されたんですね?」
エレベーターで、下の階に降りつつ、
シンジが携帯電話に向かってそう言った。
『はい、今回は、戦自やUNからの報告と譲渡が早かったので、
結構時間が取れたのです・・・』
その事実は、ゲンドウの弛まぬ努力により、
一部の戦自やUNの上層部と、友好な関係が持たれつつある証拠であるから、
良い事であるのだが・・・
『・・・が・・・そ、その・・・』
しかし、携帯から、何故か、言い辛そうな、
歯切れの悪いマヤの報告が聞えてきた。
「・・・ですが?・・・その?」
その事を不審に思い、シンジが訊き返す。
『その・・・相手の情報が全く無いのに、葛城作戦部長が、セカンドを連れ、
発令所にやって来たと思ったら、自分達だけで、沿岸部で対処すると、
宣言して、強引に・・・と、止めたんですが・・・』
「なんだって?!」
シンジが驚いて、叫けんだ。
「どうした?・・・シンジ?」
隣にいたシンが訊いてきた。
勿論、レイも驚いて、シンジの方を見ている。
先日、使徒の報告関係で、ミサトがゲンドウに・・・
『作戦部長である自分が、先ず、最初に知るべきです!』
と、強調して言いだした。
これは、使徒の情報をシンジより先に手に入れ、出し抜き、
自分が使徒殲滅の指揮をとる為だけに、ミサトが言いだした事であるのは、
わかりきっていたし、そうした場合、被害が増える可能性が高いのも、
予測できていたのだが・・・(作戦も考えずに飛び出すとかね)
一応、言っている事は、理にかなっているようだったし、
ゼーレとの関係を考えると、突っぱねるわけもいかず、
困って、シンに相談すると・・・
『まぁ、それだったら、
【しかし、こういう事は、階級も上で指揮部長であるシンジも、
一緒か、キミより早く受けてないと、色々とおかしいのではないか?】・・・
とでも言ったら?』
と、言った為、ミサトは、シンジと同時くらいで報告がはいる事になったが・・・
しかし、色々とミサトが駄々をこねた為、
シン達の間では、先ず、シンジに報告が入る事になっていた。
(階級的には、シンの方も、ミサトより、遥かに上なのにね・・・)
その為、シンとレイには、まだ、詳しい連絡は入ってないのである・・・
まぁ、呼び出しのポケベルは、一緒に鳴るし、シンとレイは、ネルフの外では、
シンジと一緒に居る事が多いので、結局、あまり変わらないのであるが・・・
(だから、一緒に飛び出したの・・・)
「どうやら、葛城作戦部長が、惣流さんを引き連れて、先に行ったらしいんだ・・・
相手の能力とかも、調べてなくて、全くわからないのに・・・」
渋い顔をしつつ、シンジが状況を教えた。
「な、なに?・・・弐号機、一機でか?」
流石のシンも、驚いて聞きかえす。
「どうも、そうらしい・・・かなり遠くで発見されて、すぐ報告がきたから、
まだ、時間的に余裕があるハズなんだけど・・・」
シンジはそう答えた。
「み、未知の相手に対して・・・それか・・・
そうでなくても、時間があるなら、相手を調べる事が先決だろうに・・・
だいたい、使徒には全力でいかないと・・・中途半端な攻撃では、自己進化なんかで、
何が起こるかわからないんだぞ・・・」
シンは呆れたような顔でそう言った。
確かに、セオリーから言えば、そうであろうが・・・
ミサトは、自分の手で・・・というか、己の指揮で、使徒を倒す事のみに、固執し、
その結果、シンジを出し抜き、ネルフから追い出し、邪魔者を消し、
自分だけが使徒を倒す指揮を取れるようになる事だけを考えており、
アスカは、チルドレンの中で、No.1になる事に固執している為、
そういう事は、頭の中から抜けている・・・
実際、戦術や戦略のセオリーを言って、日向辺りが、止めたらしいが・・・
『倒せば良いんでしょう!』
『今回、私はミサトを指揮者に選ぶから、
その指揮者にしたがって出るのよ!』
と怒鳴って、飛び出していったらしい・・・
「・・・もう迎えがきているわ」
玄関先にきている保安部の車を見て、レイがそう言った。
「ともかく、こちらも急ごう!」
シンがそう言い、3人は急いで車に乗り込んだ。
そして・・・
使徒が上陸すると予測された海岸付近には、エヴァ弐号機と、
戦闘車両が並んでいた。
ちなみにその戦闘車両は、ミサトがネルフの作戦部長の地位を使い、
半ば脅すようにして、近くの戦自やUN基地等から出させたものである。
その結果、ユイ達に認められようとするゲンドウの弛まぬ努力の一部が、
大きく後退する事になるのだが・・・
「こっちの準備は完了よ!
アスカの方も、いいわね、来るわよ!」
後方にある指揮車両の中で、ミサトが叫んだ。
『任せといて!
折角のデビュー戦、邪魔が入る前に終わらせるわ!』
スマッシュフォークを装備した弐号機に乗るアスカがそう答えた途端、
水際に使徒が現れた・・・
弐号機に比べ、二周りは大きそうな使徒が・・・
「援護射撃始め!」
ミサトの号令で、使徒に向かって、ミサイル攻撃が開始される・・・
それは、費用、税金、損害、被害等を、全く無視したようなもの凄い攻撃であり、
瞬く間に、使徒の姿は、ミサイルの爆発や粉塵などで、覆い隠される・・・
(盛大な税金の無駄遣いだな・・・)
アスカはその攻撃を掻い潜りながら、使徒に急接近し、そして・・・
ズバァ!
使徒を真二つにした。
「ナイス! アスカ!」
ミサトが嬉しそうに叫ぶ。
弐号機が、使徒を背にして振り返る。
ズッズ〜ン!
ちょうどその時に、キャリヤーで運ばれてきた初号機と零号機が、
現場に到着した。
『遅かったわね・・・
どう? サード、ファースト・・・戦いは常に華麗に美しくよ♪』
得意そうに、アスカが通信を入れる。
「そうそう、遅かったわねぇ〜・・・
やっぱり、指揮者が単なる学生で・・・」
ミサトが嫌味を言おうとするが、しかし・・・
『油断するな!』
初号機のシンから、叱咤が飛ぶ。
『「な!」』
(ミサトとアスカにとっては)意外な反応に、驚く・・・
『な、なによ! 自分が活躍で』
「そうよ! 大人しく、私の指揮を認めなさい!」
アスカとミサトが文句を言うが・・・
『まだ使徒の反応が消えてないだろ!』
今度は、本部の発令所から、シンジが怒鳴るように通信を入れてくる。
「何言っていんのよ、使徒はすでにアスカが倒したわ・・・
アンタなんか用済・・・」
『そうそう・・・』
ミサトとアスカがそう言いながら、使徒の方を見ると・・・
『「え?」』
アスカの目に映ったのは、繰り出される2つの腕、
ミサトの目に映ったのは、無防備な弐号機を殴り飛ばそうとする2対の使徒・・・
ドガ!
弐号機が2体に増えた使徒によって吹き飛ばされた・・・
「な、なんてインチキ!!」
いつのまにか、2体に増えた使徒を見て、ミサトが叫んだ
ネルフ本部・特別試写室(又の名を対使徒戦術研究&反省室)・・・
そこには、アスカとレイ、冬月、オペレーター3人衆、
それと、リツコとユイが居るが・・・
なぜか、シンジと、シン、それに、ミサトが居ない・・・
「本日、15時32分03秒、分裂した使徒、甲、乙の攻撃により、
近くの山中で活動停止・・・
零号機が、碇指揮部長の判断により、即時、救援に向う・・・」
マヤの声と共に、前の画面に、零号機によって、
助け出されている弐号機が映る。
どうやら、あの一撃で、吹き飛ばされて、意識を失ったらしい・・・
「これによる、非常勤技術責任者のコメント・・・」
『・・・・・・無様ね・・・』
リツコの声が流れた。
「い、いきなり、あんた達が話しかけてくるからよ!」
だが、自分の失敗は、遥か彼方の棚の上に追いやって、アスカが立ち上がり、
レイに怒鳴った。(それ以前に、確認もせず、使徒に背を向けていたのに・・・)
しかし、レイはまったく相手にせず、前を見ている・・・
因みに、周りの人の眉毛がピクンと動いたのも、お約束だ・・・
「(シン君・・・シン君・・・)」
レイは、この場にいない、シンの事を考えているようである。
「同、15時56分42秒・・・その・・・上空に待機していた戦自の兵が、
暴走したらしく、新型N2爆雷で・・・予告無しに、目標を攻撃・・・
そのタイミングが、あまりにも早過ぎた為、
使徒、甲、乙をおさえていたエヴァ初号機が共に・・・」
海岸付近でボロボロになった使徒と、
現在、ケージに回収され、修理されている初号機が映る・・・
『戦自の奴等は何を考えとったんじゃ!
いてこますぞ! ごらぁ! あ、司令、ワシにも文句を言わ』
突然、野太いおっさんの声が響く・・・
因みに初号機の画面には、初号機の代わりに、青筋を立てて、
スパナを振り回す中年が映った。
(因みに、青筋立てている・・・あ、周りに抑えられた・・・あ、切れた)
「えっと・・・記録中に突然乱入して来た整備部主任の言葉です・・・」
マヤが冷や汗を流しつつ、そう言った。
「・・・シンの機転で、被害が最小限におさえられたが・・・
(初号機の方はリアルタイムだったのか?・・・
いや、碇は先ほど、調停の為に、戦自へ臨時出張で出たから、その時のだな・・・)」
冬月が、渋い顔をしつつ、つぶやく・・・
(それ以前に、誰が記録を?・・・もしかして、ゲンドウ?)
シンが、付近の兵達を守る為、N2爆雷の爆発の影響が外に漏れないように、
とっさに初号機ごと、使徒を円柱型のATフィールドで包んだ為、
かなりのダメージを負ったらしい・・・
「本人は、最短で、全治、4日ですね・・・
フィードバックの影響で、まだ、意識が戻っていません・・・」
ユイが心配そうに言った。
「はん! なっさけないわねぇ〜
人に向かって、えっらそうに、何だかんだ文句を言いつつ、
自分が逃げ送れていちゃ・・・」
ガタ・・・
その場違いで、自分勝手なアスカの言いぐさに、
怒ったレイが席を立ち、アスカを睨む・・・
「な、なによ・・・」
アスカは、今まで無反応だったレイから睨まれたので、少し怯む・・・
(勿論、他の人々も、睨んでいる・・・)
と言うか、アスカ自身、誰が悪いのかはわかっていた・・・
しかし、持ち前の高過ぎるプライドの所為で、それが認められず、
更に、責任を転嫁、いや、相手の落ち度を罵る事で、自分の精神状態を、
保とうと言う行動に出てしまっているのである。
そして、レイの右手が動く前に・・・
「コホン・・・」
誰かが、咳払いをする。
アスカがそちらの方を見ると、青筋を立てているユイと冬月が居た。
「エヴァ弐号機パイロット・・・君の仕事はいったい何かね?」
最初に、怒りを抑えつつ、冬月が、アスカに言った。
「え、エヴァの操縦・・・」
「ちがう!・・・む・・・ユイ君・・・」
冬月が怒鳴り、アスカが肩を竦めたところで、ユイが、冬月を制した・・・
「惣流さん、私達は、貴女が、ドイツで、どんな教えや教育を受けてきたか、
詳しくは、知らないわ・・・
でも、これだけは、訊かせて貰いましょう・・・
貴女は、いったい、何の為に、ココに居るのかしら?・・・」
「え?」
ユイが、アッサリと、副司令を抑えた事や、
いきなりの質問に、アスカは戸惑った。(アスカはユイの事をそう聞いていたらしい)
「答えなさい・・・何の為に、このネルフに居るのですか?・・・」
その場に居た全員がアスカに注目する。
「私は・・・エヴァ弐号機を・・・」
ユイの目に圧されたアスカが、たどたどしい口調で答えようとする。
「操縦できるわね・・・で、何の為にこのネルフに居るの?・・・」
「え?・・・」
答えたつもりなのに、そう言われた為、アスカは首をひねる。
「言い方を変えましょうか・・・何の為に、エヴァに乗っているのですか?」
「そ、それは・・・じ、自分の才能を世に・・・」
「自己満足を満たす為ですか?・・・
だったら、ココに貴女は、
必要ありません!」
戸惑いながら言おうとするアスカに、ユイはハッキリと言った。
「!!!・・・で、でも!・・・弐号機は!」
アスカは驚いて声をあげる。
「貴女は、一人でエヴァを動かしているつもりですか?・・・
エヴァは、パイロットだけで動かしているのではないわ・・・
色んな人達の協力があって、初めてマトモに動かせるの・・・
だからと言って、別に、感謝しろとか、そう言う類の事は言わないわ・・・
なぜなら、私達、大人は、どんなに頑張っても、エヴァには乗れない・・・
だから、乗れる貴女達に希望を託し、頼しか無いの・・・
でもね、だからと言って、貴女の我侭を満たす為に、
エヴァを動かして貰っているわけじゃないわ・・・
いくら、エヴァに乗れるからって言っても、周りを気にせず、
我侭に暴れるだけの貴女に乗って貰うほど、私達は楽観主義者ではないの・・・
なぜなら、エヴァを運営する為には、多くの国々の・・・それこそ、
莫大な資金協力等も必要なのよ・・・
だから、今も司令が直々に、協力を求める為に世界中を飛んで周っているの・・・
少なくとも、ココでは、人類を生き残らせる為に、皆で頑張っている・・・
それらの事を、それら意味を、よく考えなさい・・・
自己満足の為だけに、格好をつける為だけに、
余計な犠牲を、負担を出されては、逆に迷惑です!・・・」
「・・・・・・(そ、そんな事・・・)」
ユイに諭すように言われ、
アスカは、下を向いたたま、唇をかんでいる・・・
「貴女も、【惣流キョウコ=ツェッペリン】の娘なら、確りと考えておくことです・・・
私の知る限り、少なくとも、彼女は、周りの人達への配慮とかを、
忘れる事はなかったのですよ・・・」
そう言って、ユイは席を立ち、出口の方を向く。
「・・・え?・・・」
ユイの口から出た意外な言葉に、アスカは驚く・・・
「あ、あの・・・」
「以上です・・・解散・・・」
ユイはそう言って、席をたった。
その途端、レイは弾かれた様に部屋の外にでていった。
(シンが心配なのだな・・・)
ユイが外に出て、それに続くように、残りの大人達も、出て行った。
誰もいなくなった部屋で、アスカは、下を向き・・・
「・・・な、なんなのよ・・・なんで?・・・なぜ?・・・どうして・・・」
いろんな意味で、そう呟き続けた。
結局、その部屋には、アスカだけが残った・・・
「・・・で、結局、戦自は最初の報告を、正式に撤回してきたのですね・・・」
廊下を早足で歩いているユイが渋い顔をしながら、そう言った。
「あぁ・・・報告をしてきたパイロットが自分の罪を回避する為に、
虚偽の報告をしたと言ってきたな・・・」
その前で、同じように早足で歩いている冬月が報告書を片手に、そう言った。
一応、ユイの今の肩書きは、技術部臨時顧問と言うか、単なる一部門の副部長であり、
位置的には、リツコの補佐、もしくは、代行といったものである為、
副司令を後につけ、おおっぴらに歩くわけにはいかないからだ。
「あからさまに、嘘とわかり易いですね・・・」
呆れた様に、ユイが呟く。
「おそらく、ゼーレだろうな・・・奴等は、ココで葛城君にリタイヤをして貰っては、
死海文書に反すると考えているからな・・・依り代を作る為に・・・」
「・・・まだ居るのかしら?・・・あの軽薄な男と同類の草が・・・」
因みに、加持は『また』独房に入っているらしい・・・
なぜ『また』かと、言うと、やっと独房から出て来た後、
本部を周っている時に、リツコの部屋で研究をしていた(金髪のカツラをつけていた)ユイを、
リツコと勘違い?して、後から抱いた。
(情報収集の為の行動かな?)
勿論、加持は、抱きついた相手が、別人である事には、すぐ気付いたが、
ユイが美人だった為、それ幸いと、そのまま、ユイを口説こうとしたらしい・・・
勿論、ユイは(青筋を立て)軽くあしらおうとしたが、運悪く?偶々?ユイの様子を、
何かの出張から、戻って来て、各部署を視察にやって来た司令が見たらしい・・・
(終ったな・・・)
因みに、ユイの正体が【碇ユイ博士】である事は、
一部の信頼の置ける超関係者を除き、本部内でも、
極秘なので、最近来たばかりで、更に、暫く、独房に入っていた加持は、
ゲンドウとユイの関係を、全く知らなかった。
(普段、本部でユイは、伊達眼鏡とカツラを着けているし・・・)
更に、前のゲンドウ基準で考えていた為、この位、何でもないだろうと思い、
ユイに抱きついたまま、ゲンドウに、軽い挨拶をしたらしい。
その後、すぐに、ユイにスタンガンで、体の自由を奪われ、そのまま、
怒りに燃える『ゲンドウと保安部のゴツイお兄さん達』にタコ殴りにされ、連行されたらしい・・・
(もしかして、ゲンドウは、出張から帰って来て、直ぐに、ユイのトコに挨拶に来たのかな?)
ゲンドウ曰く・・・
『コイツは、ネルフ本部内で、婦女子を押し倒そうと襲った凶悪犯だからな!』
だそうで、司令であるゲンドウの許可無く、出す事を禁止し、
そのまま解きもせず、今回の出張に出たのであった・・・
「他国や戦自から等の草として、かなり、刈り取ったハズなのだが・・・」
「しかし、こんな状態では、アレをクビにするどころか、
独房に入れっぱなしにして置く事も出来ませんね・・・(ゼーレの関係上・・・)」
溜息を吐きつつ、ユイがそう言った。
「兎も角、それや予算等の根回しは、碇に任せるとして・・・
今回の使徒をどうするかが当面の問題だな・・・
それと、セカンドの事も問題だな・・・このまま、ドイツに強制送還した方が・・」
冬月が分れ道のところで、立ち止り、そう言った。
「いいえ、それは必要無いでしょう・・・」
ユイの答えに、冬月は驚いた顔をする。
「し、しかしだね・・・」
「大丈夫です、あの娘は、キョウコの娘なのですよ・・・
確りと導いてあげれば、何が大事で、何がいけない事か、
すぐ判断できるようになります・・・
それに、この間、シン君も、彼女をドイツに返すのは、
色んな意味で、拙いって言っていましたでしょう・・・
私には、その意味も大体わかります」
ユイは、微笑みながら、冬月にそう言った。
「そ、そうかね・・・(う〜む、大丈夫なのだろうか・・・(汗))」
一抹の不安を感じる冬月は、冷や汗をかきながら、そう言った。
「それに、多分、作戦の方は、指揮部長が何とかしてくれるでしょう・・・
部長を除く、作戦部の皆さんと一緒にあの使徒を倒す手立てを模索して、
作戦を立てているそうですから・・・
ですから、私は、シン君の治療に全力を傾けますわ・・・」
「わかった・・・ワシは、邪魔されんように、
出て来るであろう、作戦部長を、缶詰にでもしておくよ・・・」
そう言って、2人は、わかれていった。
どこぞの暗い部屋で、ミサトは事情聴取を受けていた。
『・・・では、最後に、君は、N2を落とすよう指示は出したが、
パイロットに警告も無しに・・・あんなに早く落とせとは言ってないのだな』
中央にいる存在が、ミサトに向かって、そう言った。
「えぇ、私は、作戦を練り直す時間を作る為に、投下を言いましたが、
あんなに直ぐに落とすとは・・・」
平然とした顔で、ミサトはそう言った。
『向こうは、最初、直ぐに落とせと言わんばかりに、
君に言われたと証言していたようだが?・・・』
今度は別の存在が、ミサトに確認するように言った。
「自分達のミスを隠し、こちらをおとしいれる為に、言いがかりをしたのでは? ・・・
パイロットは、錯乱していたと言う報告があったのではないですか?」
ミサトはそう答えた。
事実、先ほど、戦自の上層部から、なぜか、パイロットが実は戦闘中、
使徒の恐怖で錯乱して、タイミングを取らずに、勝手に落としたと、
手に平を返すように、言ってきたのは事実である。
それに、分裂した使徒と初号機の戦いや、弐号機を救出する零号機の方に、
全員が注目していた為、ネルフ側は、だれも、ミサトがなんと指示したかは、
聞いていなかったらしい。
さらに、なぜか記録とかの方も、抹消されていて、
はっきりとは調べられないでいた。(まぁ、マギのは、完全じゃないだろうけど・・・)
実は、戦自の中とかに潜伏しているゼーレの草達が、
気づかれないように、その証拠を消したのである。
死海文書の記述通り、ミサトを使い、チルドレンの心を不安定にし、
砕きやすい状態にする為に、ミサトをネルフから、追い出されないようにと、
人類補完委員会たるゼーレの上層部が出した指示で・・・
勿論、ミサトはその事実をまったく知らない・・・
しかし、馬鹿正直に、事実を言ったら、
ここから追い出されるかもしれないと考えたミサトは、
これ、幸いと、すっとぼけることにしたのである。
『いや、確認だよ・・・間違いはないね?』
「はい、ありません・・・(そうしないと、ここに居られないでしょうが)」
『なるほど・・・では、これにて、終わる事とする・・・
葛城作戦部長・・・下がってよい』
ちなみに、この裁判官もゼーレの議長たるキールなので、
茶番もいいところであった。
そして、ミサトがその部屋から出て行った後、人類補完委員会のメンバー達は、
本格的な会議を始めた。
『議長・・・どうします?・・・これ以上、あれをかばう事は難しそうですぞ・・・』
『そうですな・・・碇も、既にかばいきれないと、言ってきています』
『いかに、アレが寄り代候補達の心を砕く導き手とは言っても・・・』
『左様、これ以上は、無理が多すぎる・・・』
『あぁ、我等の事を知らぬ、戦自やUNの兵達が、かなり不満を持っているようだ』
『ネルフ本部内では、もっと凄いらしい・・・』
『左様・・・すでに、除名要求の嘆願書も七割を超えたというよ・・・』
『記述と比べると、あの女の行動は、早急で、短絡過ぎですな・・・』
『損害も、酷すぎる・・・』
『折角、碇が予算を増やし、我々が追加しても、それ以上に、
まるで無限にあると勘違いしているかように無駄にする・・・』
『このままでは、発動前に・・・』
人類補完委員会の老人達は、委員長であるキールに向かって、
口々に、ミサトをこれ以上使う事は、無理があると言った。
『そういえば、サードにマギを調べられたら、終わりとも言っておりましたな・・・』
『そのくらい、記録を消せば良いのではないか?』
呆れたように、別の一人がそう言うが・・・
『いや、サードチルドレンは、今でこそ、碇の制御下にあるとは言え、
あの頭脳は、侮れんし、万が一、今回のような事が続けば、
碇にすら、不信感を持ち、独力で、影の部分、
ツマリ、我々まで調べ上げるだろう・・・』
『そ、そんな事!』
『不可能とは言えまい・・・』
『事実、我々や碇ですら、遅れていた計画を加速させたのは、アレだ・・・』
『いくら消しても、その後、満杯にせん限り、
ハードに記録が残る可能性がある・・・』
『マギ・オリジナルの記憶容量を即座に満杯にするなど・・・不可能に近い・・・』
『そ、それでは、もし、我々の計画の真意を知るような事になれば・・・』
『サードは、ファーストと言う存在がある・・・』
『表の計画には賛同しているが・・・』
『我々の真なる計画を是とする可能性は少ないだろう・・・』
『あぁ、人類補完計画を頓挫させる可能性もある・・・』
『では・・・処分を?』
『いや、それは出来ん・・・』
『あの者の力を使わなければ、計画推進どころか・・・』
『使徒を屠るのも難しく、計画が確実に頓挫する可能性が・・・』
老人達はそんな事を話していた。
実際、ゼーレの計画の準備は、自分達だけで進められているのでなく、
ネルフの実験や戦闘などによるデータを利用している。
それゆえ、必要なデータがそろうまで、それを潰すような事は出来ないのである。
そして、ネルフ側としても、今、ゼーレと全面戦争が出来るほど、
準備が整っていない。
その為、上層部の一部には、ミサトが今回やらかした事は、
わかっていたのではあるが・・・
ゼーレとの関係がある為、今回は、協力するフリをしていたのである。
(リツコはまだ知らないらしい・・・
が、現場近くに居た所員達はだいたい予測しているらしい)
勿論、ユイ辺りは、即効で追い出した方が良いと言ったのではあるが、
なるだけ、ゼーレとぶつからない様に、ミサトをネルフから出すフラグとして、
今回は見逃した方が良いとゲンドウが言ったので、今回は見逃したらしい・・・
もっとも、ゲンドウが、自分の心を殺しつつ、下唇を噛み、青筋を立て、
目を血走らせながら、説得しなければ、ゼーレとの衝突が起こったかもしれない・・・
今の感情を抑え?つつ、ユイを説得する姿は、中々、見ものだったと、
後年、自分の孫と呼べる者達に、冬月は語ったらしい。
ゼーレの会合は続く・・・
『確かに、計画を遂行する為には、あの【朋意 シン】の存在は不可欠だ・・・しかし・・・』
しかし、キールがそう言って、指を鳴らしたところで、部屋が更に暗くなった・・・
場面は変わって、ミサトが事情聴取を受けている頃・・・
ミーティングルーム
そこには、シンジと、多くの作戦部員達がいた。
(因みに、なぜか、マコトはいない・・・)
「・・・これで、すべての資料がそろったね・・・」
シンジが足元に映る使徒と初号機の記録映像を見ながら言った。
前回までのミサトの暴走等の件もあり、シンジが作戦を立てる事になったのだ・・・
(ミサトがロクな作戦を考えない為・・・前回は考える事もしなかったし・・・)
もちろん、それを推挙したのは、
ミサトの御付の日向マコトを除く、殆どの作戦部員達であるが・・・
マコトは何も言わなかった・・・というか、言えない状態だった・・・
(理由は自分達で考えよう♪)
「はい、では、もう一度、最初から行きます・・・」
初号機と2体に分かれた使徒の戦闘が足元に流れている。
「このように、2体に分かれた敵生体は、傷を即座に修復しています」
「ですが・・・ココの所を注目してください」
部員が指した所をシンジは見る。
「修復が遅れている?」
シンジは眉をひそめながら言った。
「はい、同時に傷を負った所は、甲、乙ともに、修復が遅れています・・・」
「だから、全体攻撃だったN2爆雷で、足止めが出来たんだね」
シンジが確認するように言った。
「・・・えぇ、ATフィールドが中和されていた為、
同時に全体を焼く事が出来ましたから・・・」
「修復中に、攻撃するのは?」
シンジが訊いた。
「普通の攻撃じゃ無理でしょう・・・実際、同時に攻撃をしましたが、
ATフィールドでガードしています・・・」
画面に、戦闘車両が使徒に攻撃するも、あっさり弾かれるところが映る。
「もしエヴァで出撃しても、ATフィールドに反応して、
動き出す可能性があります・・・
マギでは、不完全な状態でも、87.3%の確率で、反撃をしてくると・・・」
今度は女性の技術部員が答えた。
「しかも、同時に破壊できなかった部分が、即座に修復され、戦っているうちに、
その反動で、完全になる可能性もあります・・・」
「ゆえに、分離する前か、分離後の2つに分かれたコアを、
同時にやるしかないと判断されます」
作戦部員の1人がそう報告する。
「・・・初号機及び、弐号機の修復期間は?」
「初号機が2週間、弐号機が3日ですね・・・
勿論、片方に集中しての話ですが」
年輩の男、整備班の部員がそう答えた。
「・・・使徒の修復予測日数は?」
「再度侵攻は、十日前後と思われます」
その場に居る全員が、シンジに対して、丁寧語を使っている。
そう、全員がシンジを、上司として認めているのである。
(日頃のおこないだね・・・)
「・・・・・・・・・・」
シンジが考え込み、全員が固唾を飲んで注目する・・・
「・・・アレで倒す事は出来なくとも、使徒の修復を遅らせる事は出来ないかな?」
シンジが冷や汗を流しながらそう言った。
「「「「「「「「・・・・・・・・・(−o−;)」」」」」」」」
全員が冷や汗を流す・・・
「い、いや、一応、ダメージを負わせる事が出来ても、殲滅は不可能でしょうな」
「同じところ以外、即座に修復されますし・・・」
「それを行なった場合、使徒は修復を待たずに、
侵攻を開始する可能性があります・・・」
「いくら、あれでも、2体に分かれた使徒を抑えるのは不可能と思われます」
「そうなれば、現状であの使徒を倒す事はかなり難しいと考えられます・・・」
「それに、先ほど言いましたように、即時復活する可能性が・・・」
全員が冷や汗を流しつつ止と言う事は・・・アレなのだろうか?
「と言う事は、殲滅は出来なくとも、もし、侵攻して来た場合、
ある程度、ダメージを負わせる事は可能なんだよね?」
シンジが確認をする。
技術部の女性が、端末を叩き、マギで計算を始める。
「無傷状態ですと、同時にダメージを与えられる場所が、増えますから・・・
おそらく・・・しかし、先ほども言いましたように・・・」
「わかっている・・・ただ、アレで、無傷状態の相手に、
ダメージを与える事が出来るかどうかを、知りたかっただけなんだ・・・」
シンジがそう言った。
「どう言う事ですか?」
全員が、首を捻りながら、そう言った。
「倒すのは、楽な方が良いよね・・・」
シンジがそう言って、作戦内容を話していった・・・・
「確かに、ですが、殲滅するには、ATフィールドを中和出来る存在・・・
つまり、エヴァが、少なくとも、2体要るでしょう」
「しかし、初号機は・・・」
「再度侵攻に間に合わないと・・・」
「はい・・・それに、朋意一佐があの状態では・・・」
(現在、シンは一佐になっているらしい・・・)
全員が暗くなる。
「そうだね・・・僕がもっと確り・・・」
シンジが下を向きながら、そう呟いた。
「そ、そんな事はありません!」
「碇一佐は十二分にやっておられます!」
どうやら、シンジも出世しているらしい・・・
「あの女がいかんのです!」
作戦部員は口々に、そう言った。
事実、ミサトは平時から仕事はしないわ、部下に押付けるわ、
仕事をしている他の部署に乗り込んで行って、邪魔をするわ、
勤務中に隠れて?酒をかっ食らうわ、道路交通法違反を職権乱用で揉み消すわ・・・
(書類仕事嫌いだし、甘やかす部下は居るし、
ここ最近、ずっと自分の考え通りいかないので、ムシャクシャして、
仕事中にわざわざ、飲んだり、相手の都合を考えず、愚痴を言いに行ったり、
車を飛ばしたりと・・・しかも、飲酒で・・・)
まぁ、現在、作戦部が給料泥棒と言われていた原因の殆どがミサトにあると、
認識されていたりする・・・
「ともかく、有効な作戦を考えないとですね・・・」
「そうだね・・・同じタイミングで、攻撃しないと・・・」
「機械だと、ランダムで、縦横無尽に動く、
相手に合わせる事は難しいでしょうし・・・」
「アレは、一台しかありませんし、
ATフィールドを中和する事は出来ませんしね・・・」
アレとは、おそらく、NVの事でしょう。
その証拠に、シンジや一部の部員達の額に、冷や汗が・・・
「・・・侵攻開始の予測結果は十日前後だったね」
「おそらく、9日〜2週間ほどかと・・・」
シンがある程度中和していた為、ダメージが、多少、大きかったようである。
(その分、シンにもダメージが・・・)
「・・・ユニゾンかな?・・・零号機と弐号機で・・・」
シンジが呟く。
「・・・そうですね・・・」
「しかし、あれは、相手に合わせることが出来ないと・・・」
「ですが、レイさんが出来たとしても・・・あのセカンドが出来ますかね?」
「確かに・・・難しいかも、知れないけど・・・やるしかないんだ」
シンジは、そう呟いて、ある作戦を決行すべく、冬月に許可を貰いに行った。
(ゲンドウは現在、ミサトの所為で起こった損害の為の予算確保や、
今後のゼーレ対策の為の出張中なので、冬月が表向きの代行である)
その頃、ミサトは・・・・・・
「・・・・・・・・・・・」
あふれるほど、自分の執務室を埋め尽くす書類の山を見て、呆然としていた。
いや、実際に、中に入れないくらいあるらしく、
ドアを開けた途端、こぼれてきた。
「これ、全部、抗議文よ・・・作戦部長さん・・・」
お腹がかなり大きくなってきたリツコが、そう言った。
「わ、わかっているわよ・・・じゃぁ、ひゅう」
「因みに、日向君は別の仕事が入っているらしいから・・・
(戦自やUNとの間を修復する為にね・・・)
言っとくけど、自分で、チャンと処理しないと、今度こそ、職務怠慢で左遷よ・・・
つまり、部下とかにやらせたら、即行でアラスカ支部辺りに左遷ね・・・
あそこ、まだ、建物の予定すら出来てないらしいから、3年間くらいは1人で氷の家でしょうね・・・」
リツコの言葉に、マコトに押付けようと考えていたミサトは言葉に詰まった。
因みに、アラスカには、まだ支部はない・・・建設予定は遥か未来にあるらしいのだが・・・
「うぐ・・・」
「司令が出張中でよかったわねぇ〜もし、居たら、この部屋の状況を見る前に、クビよ、クビ」
(と言うか、ミサトの所為でまた出張にいったのであるが・・・)
「わ、わかったわよ・・・お偉い赤木博士・・・」
ミサトが嫌味を言うように、そう言った。
「あら?・・・私は、大学時代からの友人の貴女が後で後悔しないように、
忠告にきてあげたのに・・・監視役も居るしねぇ〜・・・
まぁ、このまま、役に立たないんじゃぁ〜同じかも知れないけど」
リツコは、近くに立っている黒服達を見ながら、平然と嫌味で返した。
毒舌では、リツコに勝てないミサト・・・
「うぐ・・・で、その友人さんは、私がクビにならない為のアイデアは、
持ってきてくれたの?」
すがる様な目でリツコを見ながら、言うミサト・・・
しかし、加持はずっと独房に居るので、今度の使徒の攻略法が、
リツコを通して、ミサトの手に渡るハズもなく・・・
「はぁ?・・・そこまで甘えないで、貴女は何の為にココに居るの?・・・
貴女の肩書きは何?・・・」
リツコがそう言うと、ミサトはぐうの音も出なかった。
「じゃぁ、私は病院があるから・・・
目の前に出てても良いそうだから、見張り、よろしく」
リツコは黒服達に、そう挨拶して、病院に行ってしまった。
ミサトは泣きながら、慣れない書類整理を廊下でするのであった・・・
(見張り付きで・・・)
ちなみに、言われなくとも、すぐにミサトを手伝って、
過労で倒れるマコトは、出張先から帰ってきた途端、先手を打たれ、
医務室のベッドに縛り付けられたそうな・・・
続く
あとがき・・・
いや〜遅れてすいません、チョッと、忙しかったモンで・・・
しかし、ゲンドウは確り、縁の下の力持ちをしてますね・・・
(ユイに認められる日も近いかな?)
予測がつくでしょうから、話しますが、勿論、シンと第七使徒、イスラファエルとの戦いの時、
戦自の新兵を脅して、N2爆雷を落させたのはミサトです・・・
しかし・・・ココのミサト、段々後先を無視してますねぇ〜
(始め辺りから考えてない気がするのでこの言い方・・・)
これから、どうなるのでしょうか
約束の時も迫ってるし・・・
え、あのアンケートですか?
・・・・・・・・・・・・(-o-;)
その辺りは、デビ・トリ達に任せましたゆえ・・・さらば!
(((((((((((((((((((((;^^)ニゲニゲ
デビ・トリのお部屋
デ「と言う訳で、アスカ派の方からの刺客?の華月くんだ・・・
彼女は、強いぞ!」
華「どもぉ〜♪ るー君トコから来た華月でぇ〜す♪」
鐘「・・・な、何で、そういう人が、ココにいるんですか?」
デ「ウム、そう人が居ないと不公平と言う話が出ていな・・・」
華「そうそう、デビちゃん、わかっているぅ〜♪」
鐘「・・・・・・師匠、色香に迷いましたか?」
デ「そんな事はないぞ、第一、本体が俺の抑えで、
良いかも知れんと、説得されたらしいのだ・・・
ツマリ、アスカ派の読者からのお目付け役でもあるかな?」(アッサリと・・・)
鐘「なるほど・・・暴走止めですか・・・(じゃぁ、色香じゃない・・・かな?)」
華「まぁ、ほっとくと、アスカさんの扱いが、悪くなるらしいですからね・・・」
デ「それは、布石だろ・・・シンジに接近する」
華「でも、行き過ぎないようにね♪・・・
見張り役でいるの♪・・・ところで、とりっちは?」
鐘「本体さんは、集計結果を見て、虚ろな笑いを出したかと思ったら・・・」
デ「一筆書いて、逃げたな・・・君が来る前に・・・」
華「何で?」
デ「まぁ・・・予想通りというか・・・」
鐘「収集がつかなくなったかというか・・・」
華「?????」(クビを傾げている)
デ「まぁ、この集計結果は、君に任せる!」
鐘「不正はしないように!」
逃げる2人、華月は、不思議そうに、その結果の書かれた紙を見る・・・
顔が蒼くなった。
華「ちょ、ちょっと! 初仕事が、こんなの嫌よ! 待ちなさいよぉ〜!!」
華月も紙を放り出して、2人を追う・・・
その結果とは?・・・
シンジ「………」
レイ 「………」
シンジ「………」
レイ 「………」
シンジ「ど、どうしようか?」(滝汗)
レイ 「…チケットは副司令に没収されたわ…」
カヲル「やあ、シンジ君、久しぶりだねぇ」
シンジ「……あ、カヲル君」
レイ 「…タブリス?」
シンジ「カヲル君!良いところに来てくれたよ!」
カヲル「何があったのか分からないけれど、そんなに喜んでもらえて嬉しいよ」
シンジ「お願いがあるんだけれど、良いかな?」
カヲル「勿論だよ、僕とシンジ君の仲じゃないか」
シンジ「あのさ…これをアスカに渡してくれるかな?」
カヲル「お安い御用さ」
カヲルはシンジから封筒を受け取る。
シンジ「お願いするよ」
カヲル「任せておいてくれよ、間違いなく彼女に渡しておくよ」
シンジ「ありがとう!カヲル君!」
カヲル「いいさ、その代わりに、」
レイ 「だめよ」
カヲル「なんだいリリ、ぐはっ!!」
レイ 「その名で呼ばないで欲しい」
カヲル「き、君は僕をタブリスと呼んでいるのに…」
レイ (凍れる視線)
カヲル「わ、分かったよ…綾波レイ…で、何故君が答えるんだい?」
レイ 「貴方の言いたい事は想像できるわ、それは駄目よ」
カヲル「だから、どうしてリリ……綾波レイ、君が答えるのかな?」
レイ 「碇君は私が守る…それが私の誓約だから、挑戦する?」(凍てつく視線)
カヲル「やれやれ…止めておくよ。仕方ないな…シンジ君、今度ディナー二人でどうかな?
それを奢ってくれるともっと嬉しいんだけれど」
シンジ「う、うん、そんなことだったら勿論いいよ」
カヲル「じゃあ楽しみにしているよ」
カヲル「…惣流アスカラングレー君、歌は良いと思わないかい?」
アスカ「はぁ?アンタバカァ?」
カヲル「ふ、まあ良いさ、別に君が僕のことをどう思うとそれは直接関係ないことだ」
アスカ「あ〜〜!!アンタ何しに来た訳よ!!アタシをおちょくりに来たわけ!?」
カヲル「ああ、そうだったよ、これを君にって」
アスカ「ん?とりもち印の封筒?」
アスカ「……なんか、嫌な気がするわねぇ…」
アスカ「とは言っても…見てみないことには始まらないか」
……よみよみよみ……
アスカ「……」
カヲル「どうしたんだい?」
アスカ「ぬあんじゃこりゃあああああ〜〜〜〜〜!!!!」
カヲル「なんだい?そんなにとんでもないものだったのかい?」
カヲル「どれどれ、次点、先行者NV&ケンスケ、先行者NV&初号機…
これはこの前募集していたカップリングの結果みたいだね」
アスカ「ふ、ふふふ…」
カヲル「彼女は壊れてしまったのかなぁ〜?まあいいや、次は…
七位アスカ&シンジ、ミカ&シンジ、ヒカリ&シンジ、
マユミ&シンジ、レイ&シンジ、マナ&シンジ」
カヲル「凄いねみんな同数だよ、でも、そうかぁ、彼女とシンジ君とのカップリングは7位か〜
見る人はちゃんと見ているんだね。でも、シンジ君とのカップリングが並ぶだなんてなんて言う奇跡だろう」
カヲル「第六位は…ユイ&リツコ&ゲンドウ…3人のカップリングだね
ネオエヴァでは、彼が苦労しそうだけど、別に僕は構わないね」
カヲル「第五位…ゲンドウ&冬月、う、美しくないよ…こんなカップリングが第5位だなんて…見る目がない」
カヲル「…ん?さっきは見る目があるって言っていなかったて?それは上で、決まるさ、
今は暫定的なものさ、結論はカヲル&シンジがどこにあるかで決まるよ」
カヲル「さて、第四位、シンジ&女性陣(アスカ、マユミ、ミカ、ヒカリ等)
これはハーレムって事なのか…僕は入っていないのかい?」
カヲル「第三位…レイ&シン、ネオエヴァでは順当なカップリングかも知れないね」
カヲル「でも…あと2つ、一つはカヲル&シンジだろうけれど、もう一つは何だろう?」
カヲル「第二位………………………………………………」
カヲル「見間違いかも知れないな…第一位から先に見ることにしよ」
アスカ「あぶな〜〜い!!!!」
カヲル「ぎゃあああ〜〜〜!!!!」
アスカの持ってきた火炎放射器でカヲルごと丸焼きに
カヲル「な、何をするんだい!!?」
アスカ「危なかったわね、蚊が止まっていたわよ」
カヲル「それが人を黒こげにして置いて言う言葉なのかい?」
アスカ「アンタは人じゃないからね」
カヲル「酷いね…それに、カップリングの第1位も発表できなかったじゃないか」
アスカ「アスカ&シンジに決まってるからそんなのわざわざ確認する必要なんか無いわよ」
カヲル「それは第7位だったよ…大方」
アスカ「Fire!!!」
カヲル「ぎゃああああ〜〜〜!!!!」
アスカ「また、蚊が止まっていたわよ」
カヲル「そうかい…今ので第1位が何だったのか分かったよ」
アスカ「あら、そう、」
カヲル「僕のために君には生け贄になって貰うよ」
ATフィールドを展開する。
アスカ「くくく、使徒狩りのプロであるこのアタシに勝負を挑むとは良い根性ね、
返り討ちにしてアンタこそ生け贄になって貰うわ」
アスカは人間サイズのロンギヌスの槍を手にする。
その様子を窺っている二人…
レイ 「…激しいバトルね」
シンジ「よく考えたらカヲル君2位だったし、悪い事してしまったかな…」
レイ 「アスカが1位だと知ったときに私たちが傍にいるのは危険すぎたから仕方ないわ」
シンジ「そ、そうだね……あとでカヲル君にはちゃんとお返ししておかないと…」
レイ 「それが良いわね」
飛んでくるものをATフィールドで弾く
シンジ「でも…いつまで続くんだろ…」
レイ 「…知らない…」
YUKI「さて…発表されなかった第1と第2位を念のために」
YUKI「第2位はカヲル&先行者NV、第1位はアスカ&先行者NV…と言うわけでした」