13
転校生
アスカが転入して、数日後・・・
通学路で、複数の男子生徒達が噂話をしていた。
「なぁ、なぁ、あの外人の転校生、グーだよな」
「あぁ、ドイツから来た」
「いいよなぁ〜付き合っている奴いるのかなぁ〜」
「ばぁ〜か、きっとドイツで辛い別れがあったんだよ♪」
勝手な妄想をはべらされながら、噂されている当の本人はと言うと・・・
通学路では愛想を振り撒き、感じの良い娘を装いつつ、
靴箱を開けた途端に、溢れ出し、足元に落ちた大量のラブレターを、
汚いモノを見るかのような目で見ながら、踏みつけ、
そのまま無視して、教室に向って行った・・・
しかし、普段からの愛想の良さと、その容姿によって、
それすらも、身勝手な脚色で良いように解釈されていた・・・(美人は特だね)
「ネコも、しゃくしも、アスカ、アスカ、アスカか・・・」
昼休み、校舎裏で、飛ぶ様に売れていく、学校での隠し撮りと言うより、
盗撮に近いアスカの写真を見ながら、ケンスケは呆れたように呟いていた・・・
因みに、何故か、ゴザの上には【本日、特売】の小さい看板が・・・
「ま、写真にはあの性格はないからなぁ〜」
いつの間に撮ったのか体操服で体育座りをしている所を、
真正面から撮ったキワドイ、隠し撮り写真をゴザの上に置き、呟いた・・・
「まぁ、転校して来てからは、ボロが出ないように、こっちを無視して、
ネコかぶっているみたいだからなぁ〜・・・
(ちぇ・・・あのデータさえ、生きていれば、もっと儲かったんだろうなぁ〜)」
「お、おい・・・こ、これとそれとあれをくれ・・・」
「あ、まいど! それは、全部で、320円ね・・・」
新たなお客に、写真を売りながらも、ケンスケは、何か残念そうな顔をしていた。
時間と場所が変わって・・・数日後の昼休み、中庭・・・
そこには、アスカと比較的仲が良くなった数人のクラスメイト達が、
お弁当を食べていた。
「ねぇ、ねぇ、貴女達さ、ファースト、知らない?」
そこに、アスカがやって来て、クラスメイト達に訊いた。
因みに、ファーストとは、ファーストチルドレンたるレイの事である・・・
なぜ、レイの事を訊くのに、関係が深そうなシンジ達じゃないかと言うと・・・
話しづらいというか、先日、つまり、転校して来る前に、
ミサトと話したある事も関係している・・・
遡って、その先日・・・
「・・・と言う訳で、貴女は中学に通って貰う事になるわ」
やって来たばかりで、まだ住居先が決ってなかったアスカの為に、
準備されたホテルの部屋・・・
そこに、いきなり入ってきたミサトが、そう言った。
「・・・って、どう言う訳よ・・・訳わかんないわ・・・
それに、私は既に大学も出てるのよ」
訳がわからず、一瞬、目が点になったアスカは、呆れたようにミサトに言った。
因みに、ミサトは、マジで理由は『・・・と言う訳で』とだけしか言ってない・・・
「いやぁ〜そのぉ〜やっぱりぃ〜さぁ〜・・・
学校は勉強をするだけに行くトコじゃないから・・・
その・・・ねぇ〜・・・」
ミサトは、冷や汗をかきつつ、あ〜だ、こ〜だと、訳のわからない言い訳を始めた。
「・・・・・・あのねぇ〜・・・誤魔化しはやめて、本音を言ったら?」
アスカが、読んでいた雑誌を置いて、
何か、煮え切らない態度で言うミサトに、呆れたように言った。
「つ、つまりね・・・」
ミサトは、言い辛そうに、本題を話し始めた。
つまり、ミサトの話だと、自分の交渉により、今度から、チルドレンは、
基本的に、自分の意志で、指揮官を換える事が出来るようになったらしい。
(まるで自分の手柄のように話している・・・関係ないのに)
「で?・・・関係ない私に・・・
まさか、この私に、あのサードをこっち側に引き込めと?」
アスカは自分が知ってるパイロットを思い出しつつ、そう言った。
その顔はハッキリ言って不機嫌そうだ。
「ち、ちがうわよ、もう1人いるでしょ」
「もう1人の?・・・あの司令の息子?」
アスカは、シンジの事を思いだして言った。
ハッキリ言って、今のアスカは、シンジ達にあまり良い感情は持って居ない・・・
なぜなら、ミサトが自分の都合の良いように話した【あるわけない事】や、
【ない事】ばかりの話を、聞かされていたからだ。
(・・・それって、まったく、ない事だけ?)
「違うわよ! エヴァ零号機の正パイロットよ!」
チョッと苛立ったのか、ミサトがアスカに怒鳴るように言った。
「・・・あぁ、ファーストね・・・(噂以外、どんな奴か知らないけどね・・・)」
アスカは、まだ会った事の無い少女の事を頭に浮かべた。
「そ、同い年の女の子同士だし、気が合うんじゃないかと思うし、
ココは、友達にでもなってさ・・・」
「・・・それで・・・こっちに引き込めと?・・・
何で、私がそんな事をしないといけないのよ!
使徒なんか、私1人で充分じゃない!」
アスカは怒鳴った。
今のアスカにとって、同じチルドレンは、使徒を共に倒す仲間ではなく、
使徒を倒すのに邪魔なライヴァルなのだから・・・
「いや、それはそう何だけど・・・」
ミサトは、アスカのプライドを悪い意味で刺激しないように、
言葉巧みにしつこく説得をした。
曰く・・・
『アシストが居た方が効率が良い』とか・・・
『引き立て役は必要』とか・・・
『向こうが2人なのにこっちが1人じゃフェアじゃない』とか・・・
(引き込んだら、こっちが2人にならないか?)
『このままじゃ、向こうに優先権を取られて活躍出来ない』とか・・・
自分にとって、都合の良いように、脚色して・・・
その結果、アスカは、渋々、レイをミサト陣営に引き込む事を、
承知したのであった。(無理だろ・・・)
それで、今に戻る・・・
「ふぁ〜すと?・・・英語で一番目って意味でしょ?・・・
ドイツじゃ違うの?」
クラスメイトの1人が、首を捻りながら答えた。
「それとも、野球の一塁の事?(もしかして、野球部の・・・)」
別の娘も首を捻りながら言った。
因みに、アスカはレイの事をよく知らない・・・
ミサトが詳しく話してないのもあるが・・・(同じクラスの目立つ娘と言うだけで)
ドイツ時代でも、マトモな噂を聞いてないし、
今まで、特に知ろうとも思って無かったからだ・・・
もっとも、ミサトにレイの事を訊こうとしても、何故か詳しい情報どころか、
写真さえも見せてくれなかった・・・
(まぁ、書類をマトモにしないミサトは、写真を持つどころか、
そう言う事をよく知らないし、知ってる事は、説得前のアスカに話すと、
色々と不都合があると思っているだろうから、マトモに話す訳がないな・・・
忘れてると言う可能性もあるが)
更に、シンジ達に訊くどころか、教室の中でも、
あまり眼を合わせようとしていなかった。
(ゆえに近くに居るレイの姿も特に見ていない)
よって、委員長であるヒカリとも、あまり接触を持って居なかったりする・・・
それでは、知るどころか、気付くはずもない・・・
「そうじゃなくて、ファーストって言ったら、ファーストチルドレン、
ネルフのエヴァンゲリオンのパイロットに決まっているでしょ」
ぴき〜ん・・・
アスカがそう言った瞬間、周りの生徒達が硬直する・・・
「ん?・・・どうしたの?」
アスカが首を傾げる。
「・・・な、何で、そう言う事を聞きたがるの?」
1人が、驚愕の表情をしながら、恐る恐る尋ねた。
「え?・・・なんでって・・・」
「ま、まさか、惣流さんって・・・スパイ・・・」
アスカが答える前に、誰かがボソッと言う。
「へ?」
スパイと言う単語に、アスカが首を傾げる。
「いきなりドイツから来た転校生・・・」
「そ、そうか、同じ年齢で、容姿が綺麗なら警戒されないと・・・」
「海外には、少年少女兵が認められている所もあるの?・・・」
「もしかしたら、見かけとは年齢が・・・」
「あのスタイル・・・否定出来ないわ・・・」
訳のわからない事をボソボソと話し合う?女生徒達・・・
「な、なんの事?」
アスカが冷や汗をかきながら訊く。
「わ、私達は何も知らないわ!」
「そ、そう、何も知らないから!」
一斉に、その場に居たクラスメイト達は、
立ち上がり、お弁当を抱えたまま引く。
実は、シン達がネルフのパイロットである事実が、クラスに流れた時、
色々な社会事情と言う事で、秘密にするようにと、
担任の先生から説明されていたのである。
ネルフが半非公開組織になっても、
パイロットの事が出ない理由とかの説明付きで・・・
身勝手な権力者の手のモノに襲われたり、
知る権利を振りかざす身勝手な報道関係者に、
普通の生活を奪われたりするとか・・・
その所為もあって、ケンスケですら、いくら儲かるからと言って、シン達の写真に、
【エヴァのパイロット】と言う付加価値をつけて、売るどころか、
隠れて、インターネットを使い、外部に売る事さえしていない・・・
(もっとも、しようにも、父親は既に家から、パソコン等の端末を引き上げているし、
インターネットの契約を切ったらしい)
それに、トウジや、常識のある?校内の購買者達に、厳重に睨まれたから・・・
(勿論、アスカの写真にも、詳しい説明は付けていない)
まぁ、もっとも、そんな事をしたら、売る前にネルフの治安部隊にでも、
しょっぴかれるだろうが・・・(親からも殴られるだけではすまないだろうけど)
「ちょ、ちょっと・・・」
アスカが誤解を解こうと、近づく。
「「「知らないんですぅ〜〜〜!!」」」×2
後に向ってダッシュするクラスメイト達・・・
「ち、違うわよぉ〜〜!!」
このままでは非常にヤバイと思ったアスカは、
誤解を解くべく、慌てて追って行った・・・
数十分?後・・・生徒指導室・・・
「まぁ、そんな訳で、実は惣流君も、ネルフのチルドレン、
つまり、パイロットなのですよ・・・勿論、皆さんと同じ年齢です・・・」
「「「はぁ・・・」」」
「わ、わかってくれた?」
ネルフ関係者である担任の教師に証人になって貰って、
アスカは何とか身の潔白を証明していた。
勿論、その前に、一悶着あったらしいが・・・
因みに、今は五時間目である・・・
一応、おかしな事にならないように、内々に処理する為、
授業の先生にはネルフの都合と言う事で、ココに居る者はこの時間の授業を、
免除する事になってたりする。
「一応・・・」
「でも、何で、同じパイロットなのに、知らないの?」
「「「「そうそう・・・」」」」
一応、納得したものの、一緒に居るクラスメイト達は、アスカに訊いた。
「私、ドイツからやって来たばかりで、
まだ、ファーストには会った事ないのよ・・・」
どことなく疲れたようなアスカがそう言った。
「まぁ、彼女が、危険なスパイや、パパラッチ関係者じゃないのは、
わかって貰えたかな?」
担任もそう言った。
「でも、何で、彼女は秘匿義務を知らないんですか?」
生徒の1人が、不思議そうに訊く・・・
今は、一般生徒の中でさえ、浸透している常識だから、仕方の無い事かもしれない
「秘匿義務?」
アスカがキョトンとする。
「「「し、知らないの?!」」」
驚いた顔で、クラスメイトに言われ、驚くアスカ・・・
その後、先生を交えて、暫く、その事を外でバラす事が、
いかに大変な事になるか等を説明された・・・
アスカにとって、納得いかないトコもあったが、クラスメイトや老教師に、
丁寧に、根気良く説明されて、何とか理解した・・・
一般世間には、エヴァのパイロットにとって、
危険な存在が居ると言う事を・・・
「だって・・・ドイツではそう言う事・・・聞いてなかったから・・・
(ミサトも言わなかったわよ・・・そんな事)」
長い説明が終った後、アスカは疲れたように、そう呟いていた・・・
「兎も角、綾波さんは、今日は掃除当番じゃないけど、
多分、今頃は、校門近くの花壇で、委員長とあの小学生の娘と、
一緒に居るんじゃないかな?」
「まぁ、そうじゃない?・・・あの2人は、当番だし・・・」
「あ、綾波さんは、珍しいアルビノ体質で、蒼い髪をしてるから、すぐわかると思うわ」
放課後になって、やっと解放されたアスカに、
教室に一緒に向うクラスメイト達が、そう教えてくれた。
「そ、そう・・・兎も角、校門近くの花壇の傍の蒼い髪の娘ね・・・」
アスカは疲れたようにそう答えて、鞄を持つと、急いで校門に向った。
アスカが校門の所にやって来ると・・・なにやら普通の雰囲気と違う感じがした。
そちらの方を見ると、普通より、一段高くなった花壇の淵に腰掛け、
傍にいる小学生と一緒に仲良く?話しているクラス委員長から、
かかってくるプレッシャーを気にしてないのか、
何かの本を平然と読んでいる蒼い髪の少女が居た。
「・・・あの娘ね・・・」
アスカはそう言うと、近くに邪魔者が居ないのを確認して、
行動を開始した・・・
レイの読んでいる本にいきなり影がさす。
避けても、その影は、ついて来る為、レイのコメカミがピクリと動き、
にこやか?に話していたヒカリとミカも、影の発生源を見る。
「ハロー!・・・アンタが、ファーストチルドレンね・・・
仲良くしましょ!」
アスカは何故か偉そうな態度で、しかも、一段高い位置に立って、
ワザワザ威圧するように、レイにだけ視線を送りつつ、そう言った。
まるで最初から格下のモノを見るような目で・・・
しかし・・・先ほど注意された事を、既に忘れているのだろうか?
秘匿義務と言うモノを・・・
一方、レイは迷惑そうな視線を送り・・・
「誰?」
とだけ、言った。
「私、アスカ、惣流・アスカ=ラングレー、
エヴァ弐号機の専属パイロット、仲良くしましょう」
あくまでも高い位置に立ったまま、片手を腰に当てたまま、
アスカは、もう一方の手をレイの方に突き出す・・・(おいおい)
「なぜ?・・・ワザワザそう言う事を言うの?」
レイは、しおりを挟んだ本を閉じ、アスカの方を見て、訊いた・・・
どことなく冷めた目で・・・
「その方が都合が良いからよ、色々とね」
胸を張りつつ、偉そうにアスカが答えるが・・・
因みにアスカとレイの疎通にはズレがある・・・
レイが、
『何故、ワザワザ秘匿しなければならない事を、
こんな場所人の多い所で言うのか?』
と言う意味で言ったのに対して、アスカは、
『何故、仲良しましょうと言うのか?』
と言う意味でとらえていたのだ。
もっとも、アスカの言い方も、『仲良くしましょ』と言ったわりには、
まったく、友好的には見えないのであるが・・・
それは、兎も角、ヒカリとミカは驚いたように、周りをキョロキョロと見て、
変な大人が居ないかを確認する。
(一応、保安部の面々が、一般の子供達には、気付かれない内に、
そう言う輩をできるだけ、シャットアウトしているが・・・ゲンドウ達の気配りで・・・)
「都合?・・・それは、貴女の都合だけ?・・・
私の都合はお構いなし?・・・そんな人とは仲良く出来そうにないわ」
レイはあっさり拒絶するような事を言った。
「な、なんですってぇ〜!」
アスカがカチンと来て怒るが・・・
ヒカリとミカはその状況を見てらおろおろしてする。
「・・・それに、私と仲良くすると言う事は、シン君や、
お兄ちゃんとも仲良くすると言う事よ・・・
今の貴女に、それが出来るの?・・・」
一応、レイはアスカの事を聞いているので、確認するように訊いた。
「は?・・・」
アスカは言葉に詰まる・・・
「?・・・私と仲良くすると言う事は、
お兄ちゃん達とも仲良くすると言う事なのよ?」
もう一度、レイが確認するように訊く。
「へ?・・・お兄ちゃ・・・な?」
アスカが首を傾げつつ、そう呟こうとしたが、
何故か周りから異常なプレッシャーが降り注いで来た。
アスカが周りを見ると、モノ陰等から、
なぜか、女生徒達の痛いような視線が降り注ぐ・・・
勿論、ヒカリやミカから、警戒するような目で見られているが・・・
「な、な、なな?(汗)」
予測もしなかった周りのいきなりの反応に、アスカは驚く・・・
そう、周りは、アスカの言ったセリフを若干勘違いしていた・・・
アスカの言った『色々と都合が良い』を、
『碇シンジの傍に居るのに都合が良い』と・・・
勿論、(この時の)アスカにとっては、意味合いが違うのだが・・・
「あ、アンタのおにい」
アスカが何かを訊こうとした時・・・
「だぁ〜〜〜〜」
「皆ぁ!」
「逃げろぉ〜〜〜!!」
その声とともに、校舎門から、シンとシンジとタカが走ってくる・・・
その後ろからは、ケンスケとトウジを筆頭とした数十人の生徒達が・・・・
女性陣の所まで来ると、シンはレイを抱え、シンジはヒカリとミカの手を引き、
タカは皆の荷物を持って走って逃げる。
「な、なんなのよぉ〜〜〜!!!」
場の雰囲気に呑まれ、アスカも慌てて、それについていき、
生徒達は、その7人を追いかけるように走っていった・・・
それから、公園・・・
「い、いった、い、何が・・・あったの?」
ヒカリが何とか息を整えながら、訊いた。(因みにミカはまだ喋れないようだ)
「シンジが悪い・・・そう言う訳で、そろそろ、降りて貰って良いかな?」
そのままレイに抱きつかれているシンが言った。
「いや♪」
「さよで・・・(暫くこのままか・・・(汗))」
ご機嫌な顔で拒否するレイにシンは冷や汗をかく。
「・・・もっと、時と場所を考えて・・・あ、これは、シンジさんの方ですよ」
息を整えていたタカは、シンジの方を見て言った。
「ご、ごめんよ(汗)」
シンジが冷や汗を流しながらそう言った。
「何があったの?」
「実は・・・・・・」
タカの説明によると・・・
どうも、シンとレイが添い寝をしている事を、シンジがバラしてしまったらしく、
男子生徒達はそれを聞いて、シンを問いただそうと追いかけて来たらしい・・・
「・・・お兄ちゃんまで、一緒になって・・・(後でお仕置き・・・)」
息が整ったミカが呆れたように呟く。
「それなら、何で、女子ま・・・」
ヒカリが詳しく訊こうとすると・・・
「い、いったい何なのよ! アンタ達!」
一緒に居たアスカが切れたように怒鳴った。
「「「「へ?!」」」」
周りがアスカの方を見る。
「どう言う意味だ?」
シンがアスカに向って訊く。
「なんで、ファーストと、アンタが抱き合ってるわけ?!」
「あぁ・・・シン君とレイは付き合ってるから・・・」
シンジが代わりに答えた。
「何で、アンタが、そこで入って来るのよ!」
「レイちゃんの兄、だからだろう・・・」
今度はシンが答えた。
レイも頷いている。
「へ?!」
アスカの目が点になった。
「う、うそ、名字が!」
「親の都合で、離れて暮してたらしいから・・・詳しく訊かない方が・・・」
今度はミカが、アスカに言った。
「な、ななな!」
そこで、一応は頭の回転が早いアスカは、
チルドレンの間柄を即座に理解した。
フォーストチルドレンである綾波レイとサードチルドレンの朋意シンは恋人同士、
それで、フォースであり、指揮部長である碇シンジは、
名字の違うもののレイの兄で、シンの友人・・・
ゆえに、レイと仲良くなる為には、シンジとシンとも、仲良くならなければならない。
さらに、一番を目指すアスカにとって、現在、No.1であるシンは、
自分が倒すべき敵と言う認識がある。
それに、元々、レイと仲良く?なろうとしたのは、ミサトに頼まれて、
シンジの元からレイを引き離して、自分達の側につける事が、目的であったからだ・・・
それなのに、引き離す側であるシンジやシンと仲良く出来るハズがない・・・
「ふ、ふふふ・・・」
「ふ?」
アスカの呟きに不思議そうにミカが訊く。
「ふざけるなぁ〜!」
その途端、アスカはそう叫び、どこぞに走って行った。
「「なんなの?」」
「・・・なんだったんですか?」
「「さぁ?」」
「♪〜」
そこに残った子供達は、(レイ以外)首を捻って、アスカの去った方を見て居た。
で・・・ネルフ本部・休憩所
「どう言う事よ! ミサト!
あからさまに無理、不可能じゃない!」
アスカが廊下に居たミサトを捕まえて、文句を言っていた。
また書類整理をサボって、逃げていたらしい・・・流石に、もう気にされてないらしいが・・・
(もしかしたら、逆に追い出されたのかも・・・邪魔だから)
「え?・・・何が(汗)」
ミサトはいまいち理解していない・・・
「あのねぇ〜!」
アスカがミサトに他のチルドレンの関係や、それを崩し、自分達の陣営に、
レイを引き込む事がいかに不可能であるかと言う事を話した。
「あ・・・」
アスカの説明をきいて、ミサトは初めて自分の言った事の不可能さに、
やっと気付いた。
おそらく、ミサトは、ゲンドウの出した条件を自分の良いように解釈し、
レイを引き込めると思ったモノの、自分が近付いて行ったのでは、シン達に警戒され、
不可能だろうと考えたから、アスカにやらせようとしたのである。
自分じゃないから、警戒されないし、可能だと思って・・・
しかし、チルドレンの関係を考えれば、元々、難しいと言うより、
根本的に不可能と言う事が思いつかなかったらしい。
「・・・もしかして、その程度の事も、わからなかったの?」
アスカが不信そうにミサトの方を見る。
「あ、あの髭親父!」
しかし、ミサトは、騙されたと思って、ゲンドウに悪態をつけた・・・
ビービービー
警報が鳴った。
「なに?!」
アスカが驚きの声をあげる。
「使徒?!」
ミサトが叫ぶ・・・その眼は妖しげに光っていた・・・
続くだろう・・・
あとがき?
デ「・・・で、続くんだな、これが・・・」
鐘「師匠!・・・とりもちさん、どうしたんです?」
デ「うむ、実生活で、非常に忙しくなったから、大変らしいぞ・・・
自分のパソコンをいじれる時間が思いっきり、短いそうだ・・・」
鐘「で、あとがきは我等ですか・・・」
デ「おう!・・・任された!」
鐘「あそこの簀巻きは関係ないと・・・」
?「もが〜!」(暴れている)←(とりもちらしい)
デ「・・・気にするな・・・(遠い目)」
鐘「・・・(良いのかなぁ〜)」
デ「で、今回の議題だが・・・」
鐘「これっすね・・・」
短期間 カップリング調査アンケート
デ「うむ・・・既に、一月ほど前だが、メールである提案が出てな・・・」
鐘「はい・・・」
デ「シンジの相手を決めるだけじゃツマランと言う事で、
一回だけ、調査がてらに、どのカップリングが、このSSで一番か、
決めて見ようと言う話になった」
鐘「へ〜・・・特典は?」
デ「そろそろ、もう一つのアンケートも終る事だし、
トップのカップリングには、加点を与えようと言う事になっている」
鐘「トップが僅差だから、1人に決められませんものね〜」
デ「三つ巴になってるらしいぞ♪」
鐘「で、そろそろ、相手をハッキリしておきたいと・・・」
デ「だろうな・・・そうじゃないと大変だろう・・・イベントとか・・・」
鐘「・・・でもですね、それって、今回のを【誰か×シンジ君】って、
限定してません?」
デ「してないらしいぞ・・・他のカップルでもいいそうだ・・・
ユイ×ゲンドウとか、リツコ×ゲンドウとか・・・」
鐘「じゃ、じゃぁ、別のカップリングがトップになったら、
どうする気なんでしょうか?」
暫し、沈黙・・・後ろで暴れている音だけが聞こえている・・・
デ「・・・強気だな・・・とりもち・・・(遠い目)」
鐘「・・・(話を誤魔化したな・・・)」
と「その時は、加点の話はなかったと言う事で・・・まさに実力勝負だな・・・
作者としては困るが・・・」
鐘「だぁ〜!」(いきなり、背後から声をかけられて驚いたらしい)
デ「あ、あれを、抜け出てきたんか・・・」
と「ぬけいでか!」
鐘「あ、カッターナイフだ」
デ「きたねぇ〜切るのは反則だぞ♪」
と「どっちが汚い!・・・と言う訳で、トップはその票が加点と言うことで・・・」
鐘「感想メールにいつもの票プラス、カップリング票を入れてください」
デ「因みに、今の順位は・・・」
1位 鈴原ミカ
2位 山岸マユミ
3位 洞木ヒカリ
(この3人は一応僅差です)
4位 綾波レイ
(何故か強い)
5位 霧島マナ&先行者NV&惣流アスカラングレー
(この3人は、直ぐ交代しますから)
8位 シンイ=ジカーリ
(何故?・・・出せと言うのか?(^^;))
9位 伊吹マヤ
(強いねぇ〜(^-^;))
10位 碇ユイ
(・・・母親ですぞ)
と「5位の連中は一票差づつで、直ぐ入れ替わるから、面倒なので、今回は一緒にした・・・
因みに、現在の順番通りだ・・・(マナ、NV、アスカ)」
鐘「・・・・・・・追いついて・・・来ましたねぇ〜(遠い目)」
デ「・・・・・・だなぁ〜・・・(遠い目)」
と「だから、早く切り上げんと拙いのだ(-o-;)」
鐘「でも、何ではいるんですか!・・・奴に!」
デ「・・・【再出望む】とか、【もう一度、あの勇姿を!】とか・・・」
鐘「だったら、別にシンジ君の相手じゃなくても、いいじゃないですか・・・」
デ「【やはり、公平にシンジの相手は(笑)】と言うのが一番多いが・・・・」
と「(^^;)・・・女性陣・・・がんばれ!・・・
奴にトップをとられたら、私やシンジ君が苦労する・・・」
デ「カヲル派を主する【男×シンジ】だった人の殆どが、
コロンだのが最大の原因だな・・・(だから、カヲルは番外に・・・)」
鐘「絶対に面白がっとるな・・・ココの読者達(波乱万丈のキャラコメを)」
と「では、期間は次が出るまでと言う事で・・・後は任せるかな・・・ε=ε=ε=ε=┏( ・_・)┛ すたこらさっさ」
デ「あ! 逃げた! 鐘君、追うぞ! ダッシュ! −=≡ヘ(* - -)ノ」
鐘「待って下さいよ〜 〜〜〜 (ノ*o*)ノ」
シンジ「今回は、またアスカとミサトさんのミスがでてるね」
レイ 「ある意味必然の結果かも知れないけれど、」
シンジ「又アスカが荒れそうだなぁ…」
レイ 「そうね…でも、もっと荒れそうな、中間報告が出ているわよ」
シンジ「え?…どれどれ……」
シンジ「…えっと…」(汗)
レイ 「あれが強いわね…」
シンジ「……僕は、嫌だよ…」(汗)
レイ 「この前は無理に余裕を見せていたけれど…
今回は抜かれてしまったし、プライドが相当傷つけられるわね」
シンジ「……」(汗)
レイ 「それよりも問題になる気がするのが、このカップリングの方ね」
シンジ「どう言うこと?」
レイ 「例えば…アスカ×アレのカップリングがトップになったら間違いなく暴れるわね」
シンジ「…………」(沈黙)
シンジ「そ、そんなことになったら逃げないと…」(恐)
レイ 「飛行機のチケット用意する?」
シンジ「もしもの時はその方が良いかも…」
アスカ「たっだいま〜♪」
レイ&シンジ((びくっ))
アスカ「ん?どしたのふたりとも?」
レイ 「…とりもちの新作ができたわ」
アスカ(ぴく)
アスカ「…見せてみなさい」
シンジ「はい…」
アスカ「………あによこれ!!!!??」
アスカ「まあ…ミサトの馬鹿のせいでアタシが恥じかいたのは、
まあ一応許せる範囲だから良いとして…」
アスカ「どうして!!あんな人畜有害な超痴物体にアタシが抜かれるわけ!!!!??」
アスカ「あんなの○○とか×××にやりゃ良いのよ、
そうすりゃアメリカだけじゃなくて国連が全会一致で速攻で消滅させてくれるわ!!」
アスカ「ああ〜汚らわしい!!」
アスカ「全く、あんな物体に投票するなんていったい何考えてんだか……ぶつぶつぶつぶつ……」
…………
レイ&シンジ((こそこそ))
…………
アスカ「そうよ、あんな物体は人外のホモとくっつけときゃ一石二鳥で良いじゃない、
そうよ!!そうすれば良いじゃない!!」
アスカ「全く、アンタ達もそう思うわよね」
…………
アスカ「……あれ?二人は?」
アスカ「……逃げたわね」
アスカ「くすくす…この惣流アスカラングレー様から逃げ切れると思っているとはおめでたいわ」
シンジ「ふぅ…ここまで来たら安心かな?」
レイ 「ええ、」
シンジ「でも…これからどうしようか?」
アスカ「二人のおごりでフルコースなんてどう?」
シンジ「え、でも、……え?」(汗)
レイ 「……」(滝汗)
翌日、
シンジ「……はぁ…」(溜息)
レイ 「……」
アスカ「…あによ?」
シンジ「だってさ…流石に…」
アスカ「ま、まあ…少し食べ過ぎたことは反省するわよ」
レイ 「少しという量ではなかったわ…」
シンジ「持ち合わせ全然足りなかったじゃない…」
アスカ「だ、だから悪かったわよ…」
レイ 「桁が違ったわね…」
あまりの額だったため冬月に金の大切さという講義を延々と受けた後、反省するようにとバスの定期を取り上げられてしまった。
普段なら3人が乗っているバスが横の道を通り過ぎていった。
3人 (((溜息)))
カヲル「ふむふむ…彼女はあんな事を言っているけれど、君たち、考えても見てくれたまえ」
カヲル「果たして、その組み合わせが美しいかどうかと言うことをね」
カヲル「そう、ガラスのように繊細で美しい心のシンジ君、
彼と僕との組み合わせが最も美しい組み合わせだよ。
君もそう思うだろう?」
キール「タブリス…さっきから誰に向かって言っておるのだ?」
カヲル「議長、いたんだね」
キール「ぶつぶつ独り言を始めたあたりからな…」
カヲル「まあいいさ…ああ、そうだ、議長一つ頼み事良いかな?」
キール「うむ…なんだ?」
カヲル「これをとりもち君に渡してきてくれないかな?」
キール「…なんだ、これは?百科事典か?」
カヲル「前にも渡したんだけれどね。色々と気になることがあるから、又出すことにしたんだよ」
キール「?」
カヲル「嘆願書第2段だよ、当社比質が250%量が300%増量さ」
キール「よくわからんが…近い内に誰かに届けさせる」
カヲル「なるべく早くしてくれると嬉しいよ」