特務機関シリウス

第二話

◆特務機関シリウス、始動

<2006年、第三新東京市ネルフ本部指令執務室>
プルルルルル・・ガチャ
「私だ・・・何、シンジがいなくなっただと!それはいつだ・・・・
なに!1ヶ月前?なぜすぐに連絡をよこさなかった!もういい・・君には失望した・・シンジの養育費は全額返してもらう・・・」
ガチャ  
「碇・・・・・」
「ああ、これはシナリオにない・・・修正も容易ではないぞ・・・」
冬月どころかゲンドウまで明らかに狼狽している。
「とりあえず老人たちに報告か・・・」



ゲンドウが執務室の隣の真っ暗な部屋に入り、席に着くと老人たちのホログラフが浮かび上がった。
「これより人類補完委員会緊急会議を始める。」
真っ先にキールが言い放つ。
「サードチルドレンとなるはずの碇シンジの失踪。管理責任のあった君の過失は重大だよ?碇君。」
その直後、老人たちが口々に言動に文句を言い出す。
「左様。ただの子供などを見失うとは君たちは何をしていたのかね?」
「お言葉ですが、家にいるはずの4,5歳の子供が突然いなくなるとあなた方は考えますかな?」
ゲンドウが切り返し、老人たちが一瞬黙る。
「もういい。君の責任は問わない。しかし、人類補完計画の中心となるはずのサードが消えることは痛い。全力を持って調査せよ。」
キールがいった。
「分かっております。」
「もしサードチルドレンが発見できなかった場合、候補者が集まり次第、その中から条件に最も合う者を選抜せよ。ただし、予算増はいずれについても認めん。」
キールの一言で会議は締めくくられた。


「どうする、碇?お前の息子が見つからなければわれわれのほか補完計画は頓挫するぞ?」
「も、問題・・・あるな。とりあえず今年の予算の必要最低限分を残して捜索に当てる。」
額に小さな汗を浮かべながらゲンドウがいう。
(少しやりすぎではないか?)
「分かった。準備する。」

こうしてネルフに振り当てられる莫大な予算をできる限り捜索につぎ込んだにもかかわらず、シンジは発見されなかった。




<2008年、第三新東京市郊外シリウス本部>
「ついに完成しましたね。」
完成したシリウス本部を見回りながら感慨深そうにシンジが言う。
「ああ。しかし、ジオフロントに比べればたいしたことはない。ジオフロントのような巨大な、球状の空間を作るのは今の人類には無理なのだからな。」
このシリウス本部はジオフロントとは違い、縦に長い円柱状の基地である。そのため、深さはかなりあるのだが、ジオフロントに比べるとかなり小さい。表向きは帝洋グループの実験施設となっており、ゲージや実験室、研究室や発令所といった主な施設は全て地下にある。よって地下への直通エレベーターを除けば、ごく普通の施設である。発令所やケイジは、ネルフとほとんど変わらない。射出口は第三新東京市を取り巻くように配置してある。そして、初号機は完成日当日に例の巨大生物の骨が運び込まれ、早速今日着工となった。
「完成は4年後を目標としている。そして2015年の使徒襲来までには弐号機、参号機を完成させる予定だ。」
「本当にありがとうございました。」
シンジが言うと、洋一は、
「私だって死にたくはないしな。それにそういうことは全てが終わってから言ってくれ。」
「そうですね。がんばりましょう。」


そしてこの日、シリウス総司令にシンジが正式に就任した。
 
こんにちは、颯流です。第二話、できました。まだしばらく使徒戦は始まりませんので面白くないかもしれません。一応サキエル襲来は第五、六話あたりを予定しております。それまで待ってて下さい。
後、私、後先を考えるのが苦手なので、矛盾したところがこれから出てくるかもしれません(すでに出ているかも)。そういうものを発見した場合は、できればメールで教えてください。お願いします。
また、質問なども送っていただいて結構です。たいていのものには返信いたしますので。では、このへんで。