<2004年、第二新東京市帝洋グループ本社ロビー> 世界一の企業である帝洋グループ、第二新東京市にあるその本社。その日、そこへ2人の4,5歳ほどの小さな子供がやって来た。そしてまっすぐ受付まで来ると、男の子の方が、 「碇ユイ博士の息子の碇シンジです。鳳会長にお会いさせていただけませんか?」 と言った。 <同帝洋グループ本社社長室> この世界一を誇る帝洋グループ会長の座にわずか32歳で着いた人物、鳳洋一の姿が帝洋グループ本社最上階の会長室にあった。その隣へ彼の秘書、そして妻でもある碇メイがやって来た。 「洋一さん、シンジ君が来ましたよ。」 久しぶりにかわいい甥に会えるとあってうれしそうなメイ。 「何、シンジ君が?誰とだ?」 「小さな女の子と、です。」 「・・・まあ、詳しい話は本人に聞くか。こっちによこしてくれ。」 保護者なしで着たとは思いもよらなかったよう位置はため息をつきながら言った。 「はい。」 程なくして、扉が開き、メイとともにシンジ、そして小さな女の子が入ってきた。 「碇シンジです。はじめまして。」 「(・・・いやにしっかりしてるな。)こちらこそ、はじめまして。私が鳳洋一だよ。ところで、シンジ君、その子は?」 「綾波レイです。いうなれば、僕の・・戦友、ですかね。」 「戦友、どういうことだい!?」 思いもよらぬ答えに驚く洋一。 「今日は、その戦い、について話そうと思って来たんです。お時間いただけますか?」 「・・メイ、今日はもう何もなかったな?」 「ええ。」 「なんだかわからんが、とりあえず話を聞こう、シンジ君。」 「ありごとうございます。では、しばらくここへ人を近づけないでもらえませんか?話を聞かれたくないので。」 「・・・そこまで重要な話なのか?」 「ええ、国家機密なんて屁でもないくらい。」 洋一は驚きなれてしまったのか、ため息しか出ない。 「・・わかった。メイ、頼む。」 「はい、わかりました。」 そして、シンジは4人が席に着くと話し始めた。自分が未来で知った、そして体験した全てのことを。 数時間にわたった話が終わる。 「・・・・つまり、世界を裏から操る秘密結社、ゼーレが推し進める人類補完計画。それが失敗し、2016年にサードインパクトが起こる。それによって人類が滅んだ。そしてその世界で生き残った君たちはその未来を変えるため、この時代に戻ってきた。レイちゃんの力で・・・そういうことだね?」 シンジの長い話を要約して聞き返す洋一。 「ええ。そして、ゼーレ、それとゲルヒンの後身のネルフに対抗し、未来を変えるには尋常ならざる力が必要です。そして、その力を持つのは世界経済の要、帝洋グループを思うままに動かすことのできる鳳洋一、あなたぐらいです。」 「では、君はどうやってサードインパクトを止めるつもりなんだい、シンジ君?」 「まず、少なくともエヴァに対抗しうる兵器を開発し、2015年までに実用化。そしてそれとエヴァによって使徒戦を乗り切ります。その後、襲来する量産機を殲滅、ゼーレの本部とその重要なメンバーを探り出して消します。これでその時点でサードインパクトを起こすのは不可能になります。」 シンジはすぐに答えた。 「・・・わかった。サードインパクトを防ぐことに協力しよう。詳しい話は後日。それとシンジ君、ひとつ聞くが、君たちはどこからどうやってここまで来たんだい?」 「僕がこっちの世界に着いたときには、三鷹のおじさんのところに預けられた後だったんで、そこからこっちへ電車で来たんです。もちろんおじさんには黙ってですが。」 「なら、戸籍はどうにか偽装しておくからうちに住みなさい。ちょうど同い年の娘もいる。仲良くしてやってくれ。」 「ありがとうございます。」 こうして、シンジたちは大きな力を持つバックを得、大きな一歩を踏み出した。