由乃は今、自宅の自室にてでかける支度をしている。 令と初詣へ行くためである。 いつもだったら箱根駅伝を見に行くところなのだがたまには見に行かない、ということもいいかもしれないと思い、行かなかった。 「由乃〜、入っていい?」 こげ茶色の扉をコンコンと叩きながら令が言った。 「うん、いいよ」 いちいち、部屋に入る度に聞かなきゃならないほどの仲じゃないだろうに。まったく令ちゃんは真面目なんだからと由乃は思いながら言った。 でも由乃はそういうところも好きなのである。 「由乃、支度はできた?」 扉から顔だけをだす状態で令が言った。 「うん。できたよ・・・似合う?」 「よく似合ってるよ」 令は嬉しそうに言った。 実は由乃は今、晴着を着ている。 今までは箱根駅伝を見に行っていたし気恥ずかしさから着てこなかった。 今回はいわば『記念』みたいなものだ。 たまにはいいかな、というのもある。 「さ、令ちゃん。行こっ!」 「ん。そうだね」 2人は仲良く階段を降りて行った。 その後、2人が神社でどんなお願い事をしたかは別のお話・・・☆
黄薔薇放送局 番外編 由乃 「で、なにを願ったの?」 令 「無病息災かな。今年は何事もなく仲良く過ごせますようにって」 由乃 「……それって去年は不満だったってこと?」 令 「え、いや、そんな、ソンナコトハナイデスヨ?(滝汗)」 由乃 「ふ〜〜ん。ま、いいけど」 令 「そ、それより由乃はなにを願ったのかな?(汗)」 由乃 「……内緒。あんなこと考えていた令ちゃんには教えてあげない」 令 「よ、よしのぉ〜」 由乃 「ほら、令ちゃん。帰るわよ。 (本当は同じこと願ったけどしゃくだから教えてあげないもんね)」 令 「ちょ、由乃、待ってってばぁ」