人は誰もが、激流の中を溺れ続けるモノなのかもしれない

生命の誕生は美しい・・・・・・

赤く咲き誇る薔薇のように華やかな喜びを運び

野道に咲く白百合のように、白い優しさが空間に浸透していく

人の死は刹那だ・・・・・・

人が生きてきた歴史を、その一番の証拠を、

まるで舐めつくした飴玉を噛み砕くようにあっさりと壊していく

その事象は何の意思も、なんの感情もなく

ただ偶然、はたまた成り行きのうえの出来事なのだ

すべては『時間』(とき)が導くこと

すべては『時間』(とき)が生み出す事

生命が悲しみに浸る日も

生命が歓喜に湧き立つ時も

誰もが道を間違え、生きる運命(さだめ)に彷徨える時も

その悲しみに苦しむことなく

ともに喜びを分かつことなく

大空を彷徨える渡り鳥に手を貸すこともなく

ただ無常に過ぎ去ってゆく

生命の息吹を少しずつ、少しずつすり減らしながら

時はすべてを拭い去ってゆくだろう

あの日泣きながら耐えた悲しみも

すべてを忘れて喜んだあの嬉しさも

そして、その人の生きた証さえも・・・・・・

人は決して外れることのない

重く、暗く、寒い、鉄の折の中に閉じ込められた獣なのかもしれない

折の外に何があるかも分からず

ただ、折の中の寒さに耐え、

襲ってくる寂しさに耐え

必死に冷たい鉄格子を握り締めて

自由のあると信じてやまない

外界へと解き放たれようと足掻き続ける

自分の知る黒い世界

その外にある見知らぬ場所に、一握の希望を映しつづけて・・・・・・・

永遠に、ただ理解できない何かを求めて・・・・・・・・・・