2人の天使と雷皇

◆其の一


「とうさん!!!かあさん!!!どこにいくの!!!一緒に居ようよ!!!!う・う・・・うわーん!!!」

「シンジ、泣きやんでくれ。オレが精一杯お前の親になってやる。」

そう言って、男はシンジを抱き寄せる。

「ヒック・・・うん、おじ・・・さんヒック・・・うっく・・・・。」

そして世界は暗転して、シンジの顔に朝日が照らされる。

シンジの目が開いて、天井をしばらく見つめるとのそっと起き出してくる。

休日なので、私服に着替えてふすまを開けると新聞を取りに玄関に出ていく。

その家のポストに入っている新聞の下に、数枚の手紙が入れてあり、それを眠そうな顔をしながら見ていく。

(えっと・・・野田さんに、苗草さんに・・・電気代の請求か・・・ん!!!・・・・碇・・・・ゲンドウ・・・・)

碇ゲンドウ、その名前を見るとシンジの顔から眠そうな目が消え、冷酷な怒りの眼差しになっていく。

手紙を開き、その手の中の紙に書いてある文字『来い   ゲンドウ』。

「碇・・・ゲンドウ・・・ふふっ。」

その家の玄関に掲げられている看板・・・・“覇王破神流武拳術道場”。









第三東京駅に一人の少年と、二人の美少女が人をまってるようだ。

黒髪に漆黒の眼差しの少年は碇シンジ、学生服を着ている。

その隣の少女2人は大神サヤカと大神マナミ、2人は二卵性双生児で白のワンピースに麦藁帽をかぶっている。

アルビノのロングがサヤカ、ポニーテールがマナミだ。

周りは人であふれかえり、いろんな人が歩いている。

前のビルが太陽をふさいで、日が陰ってはまた照りだす。

そしてシンジがゲンドウの手紙をポケットからつかみ出し、もう一枚の手紙を見る。

「これが迎えに来てくれる人だよ、サヤカ、マナミ。」

そう言ってシンジは写真を2人に見せる。
   
「シンジ様、このような女より私の方が上です。」

「そうよ、わたしの方が上に決まってるわ。」

2人の見た写真。

それは、金髪の女性が裸で男と絡んでる写真だった。

それを見た2人が張り合っている。

どこをどうしようが、勝てる要素はないのだが・・・。

「あ!!そ、それは今度のターゲットの写真だよ!!こっち、こっち!!!」

シンジが慌ててその写真をとると本当の写真の方に摩り替える。

それはまさに電光石火の早業が一番しっくりあうだろう。
 
再び、写真を見つめるサヤカとマナミ。

「だ・・大丈夫です!大きくなったら、これぐらいになります!」

「そ・・・・そうよ!あたしだって、あたしだって!!」

2人の美少女は、またも写真を相手に張り合っている。

マナミの方が間が大きいのは、やはり胸の差なのだろうか?・・・・・。

そ・そうじゃない、どこを見てるんだ!?どこを!?

肝心な事を書き落としているが、写真は葛城ミサト、29歳独身である。

胸を強調のポーズで、『ここに注目』と書かれている。

年齢を考えていない、三十路3人衆その一だ。

そんな事をしている内に、目の前に青いルノーが爆音とともに参上する。

そのドアが開き、中から噂の葛城ミサトが顔を出す。

「碇シンジ君ね、乗ってちょうだい。」

「サヤカ、マナミ、乗れって言ってるよ。」

シンジが横を向いて、サヤカとマナミの方を見る。

「失礼ですが、お名前を先に名乗るのが礼儀ではありませんか?」

「ゴメンなさい、ネルフ作戦部長・葛城ミサトよ。乗ってくれるかしら?」

ミサトは自分の非を指摘されて、あらためてシンジに聞く。

「分かりました。僕があなたの言う、碇シンジでです。」

シンジが丁寧に自己紹介して、助手席に乗り込む。

「私は大神サヤカです。シンジ様の妻をしております。」

「大神マナミって言います。サヤカとは双子で、同じくシンジの妻です。」

そう言うとシンジと同じように後部座席に乗り込む。

三人が座席に乗り込むと、再び爆音を鳴らして駅を走り去ってゆく。

その運転はすさまじく、シンジ達は酔うをとおり越して気絶してしまった。

そしてネルフにつき、ミサトに起こされるまでは目を覚ます事はなかった。

シンジ達は目を覚ましてミサトの車を降りて、ミサトの後ろをついてゆく。

いきつく先には、ぴっちりと閉まったドアがあり、その横にカードを通す機械のようなものが壁についている。

        その機械にミサトがカードを通すと、閉まっていたドアがプシュウッと開き、一緒に中に入る。

そして長い廊下を歩いてゆく。

「ねえ、シンジ君。お父さんの事どう思ってるの?」

ミサトの質問に、シンジは別にと言った感じで喋りだす。

「父ですか?そうですねえ、はっきり言って憎んでますね。

 だけどそんなことより、あんなやつを憎んでる事自体、自分が情けないですね。」

シンジの眼が殺気が帯びて、冷酷を通り越した“何か”を纏っている。

「大丈夫よシンジ、憎んであたりまえなんだから。」

「そうです、シンジ様。あなたは情けなくなんかありません。」

二人の言葉にシンジの目も普通にもどっていった。

幸いミサトは前を歩いているのでシンジの眼は見えていない。

もし見えていたならば、あまりの恐怖に腰を抜かしていた事だろう。

「そういえば、シンジ君。そこの二人が妻だとか言ってなかった?」

ミサトが車に乗る時の事を思い出し、シンジの事を聞く。

「ええ、サヤカとマナミは妻ですよ。それがどうかしましたか?」

シンジがなんてことなく爆弾を落としていく。

サヤカとマナミは、妻と言う発言に少し頬を赤らめて恥ずかしげに俯いている。
       
「で、でも籍を入れるのは18からじゃないといけないんじゃないの?」

ミサトの顔が少々驚きに妬みが入っている。

自分がこの歳になっても結婚できないのに、すでに14で結婚してるのが悔しいのだろう。

まあ、ミサトの場合、ほかの男と積極的に付き合う事自体、少ないからなのだが。

「いえ、結婚に制限のない国の国籍を持ってますので。」

「でも、サヤカちゃんとマナミちゃんのご両親は承諾してるの?」

「もちろん親公認ですよ。ねえ?マナミ、サヤカ?」

シンジが2人に親公認だと言う事を確認する。

「はい。」

「うん。」

二人は躊躇なく首を縦に振ってその事を認める。 

「どこの国の国籍なの?一夫多妻で結婚年齢に制約がないなんて・・・!!!!」

ミサトの頭に一瞬ある単語がよぎる。

だが、それはあらゆる意味であってはならない事だ。

しかし、ミサトの予想は的中してしまう。

「ジェノサイド・シティーですよ。」

ジェノサイド・シティー。

アメリカ、ロシア、中国、アフリカ、世界中で最強の裏の者達が集まる町。

その町に入るには、それなりの腕と権力が必要となる。

そのレベルは半端じゃなく高く、もし数人が集まれば経済に大きな影響を及ぼすだろう。

ジェノサイドでは、歳は関係なく人が入ってくるので8才ぐらいの子供もいれば、80を越える歳よりもいる。

そのもの達はみな強い。

なぜそこまでの強さが必要なのか?それは、荒れているからだ。

しかも、そのごろつき達もそれなりの力を持っている。

普通の人が入れば、一瞬にして死んで臓器などを売りさばかれて生涯を閉じるだろう。

ちなみに言っておくが、一夫多妻制だからと言って何人も妻にするには厳しい規定があり、

奴隷だとか、形だけの妻だとかなんてものは絶対にできない。

裏でも最高の者達が集まるのだから、それもあたりまえの事だが。

それではジェノサイド住人がいる事が、なぜあってはならない事か?

それは、ジェノサイドの住人・情報は一般的に表に出てはならない存在だからだ。

科学万能と言われている現在、ジェノサイドの住人は明らかに科学をいっした力を持つものもいる。

そんな者達が表に出れば、それこそ世間が混乱する。

そんな事になれば面倒な事が、お偉いさんにはいろいろとあるのだ。

「シンジ様。ここを通るのは3回目ではありませんか?」

「シンジ〜〜、あたし足が疲れたよ〜〜。」

2人が文句を言い出した。

ここを通るのは確かに三回目で、さっきから同じ所をぐるぐる回っているのだ。

「そ、そんな事ないわよ。すぐつくから、ちょーーっちまってね。」

そう言うと、ミサトが携帯を取り出してどこかに電話をかける。

ミサトが電話を切って、5・6分すると前のエレベーターが開いて、金髪の白衣の女性赤木リツコが出てくる。

三十路3人衆のその二の、マッドサイエンティストだ。

白衣をはためかせながら、ハイヒールのヒールの音をカツカツと響かせてこちらに近づいてくる。

「葛城一尉、何をしてるの?ここは民間人は立ち入り禁止のはずよ。」

「ごみん!まだ慣れてないのよここ。」

ミサトが手を合わせてリツコに謝る。

「碇シンジ君ね。こちらに来てちょうだい。」

そう言ってリツコは白衣をひるがえして、エレベーターの方にあるいて行き乗りこむ。

シンジ達もそれについて行きエレベーターに乗り込む。

エレベーターは長い間下に降りていって、やがてドアが開くとまた廊下にでる。

そして少し行った所にドアがあり、そこだけ少し違う風になっている。

リツコが機械にカードを通すと、そのドアスライドして開き、その中に入っていく。

シンジ達も一緒に入っていくが、電気がついてない。

「シンジ様〜〜私怖いです〜〜 。」

「シンジ〜、暗いの怖いよ〜。」

サヤカとマナミが、いかにもわざとらしくシンジの腕に抱きついてくる。

頼むからイチャつくのだけはやめてほしい。

場所を考えろ場所を。

まあ、シンジ達がイチャついてると、電気がつき目の前に巨大なロボットが出てくる。

「大丈夫だよ。サヤカとマナミには僕がいるだろ?」

「これが人類最後の究極最終兵器・人造人間エヴァンゲリオンよ!!」

リツコが誇らしげに目の前の巨大ロボットをの事を話しているが、シンジ達は見ても聞いてもいない。

「あっ、シンジ様、こんな所で・・・ハアン・・・」

なにやら甘い声を出しているサヤカ。

「ふん・・んんふ・・・駄目だよシンジ・・・ふむ、んむ・・・」

「いいじゃないか。まあ、そう言うんならこの先は夜までお預けだね。」

シンジが2人にいたずらしているようだ。

「「シンジ君!!聞いてるの!?」」

リツコとミサトがシンジに怒鳴る。

さすが親友、すっかり息があっている。

だけどハモるな三十路コンビ。

「「ええ〜〜〜。」」

なにやらこちらの姉妹も仲良くハモっている。こちらはいいだろう。

「久しぶりだな、シンジ。」

上の方から野太い声が聞こえてくる。

その声は、威圧感と周りを威嚇するような雰囲気を主の周りにかもし出している。

その声の主、碇ゲンドウ。

シンジが上の方を向くと、何やら髭のゲンドウときれいな女性・碇ユイが立っている。

ゲンドウは手を口の所で組んで座っていて、ユイはその横で立っている。

「ああ、ゲンドウとユイだね。サヤカ、マナミ、あれが人類史上最大の愚か者のTOP2と3だよ。」

「へ〜〜、でも、あたしどうでもいいや。」

「私もシンジ様さえいてくだされば。それで満足です。」

マナミとサヤカはシンジの方を向いていて、ゲンドウは無視している。

「シンジ、こっちを向いて。」

ユイがシンジに呼びかける。

「シンジ、こっちを向け!!!!」

ゲンドウがシンジに向かって怒鳴り上げるが、シンジと大神姉妹は無視している。

「なんだよ、うるさいなあ。黙りなよ髭、怒鳴らなくても聞こえてるよ。」

シンジがめんどくさそうに、ゲンドウに答える。

「ふっ、まあいい。シンジ、これに乗れ。」

「はあ?何行ってるのさ?」

シンジの眉がよって、シンジが聞き返す。

「シンジ、これに乗って。」

ユイがゲンドウに変わってもう一度シンジに言う。

「いやだ。なんで僕がこんなの乗らなくちゃなんないのさ。」
      
シンジはきっぱりと拒否して、ゲンドウとユイを見上げる。

「貴様かそちらの女2人しか乗れんのだ。」

「嫌だね。僕も乗らないし、サヤカもマナミも乗せないよ。」

「乗らんなら帰れ!!臆病者は不要だ!!!」

「うん、わかったよ。サヤカ、マナミ、帰るよ。今日のご飯はカレーにでもしようかな?」

「あたしは魚がいい。」

「私はスパゲティーがいいです。」

のんきな会話をしながらシンジ達が出て行こうとすると、ミサトが引き止めに来る。

「シンジ君、あなたが乗らないと世界が滅亡するの。」

「いいんじゃないですか。これだけ地球を破壊して、動物を無駄に殺してるんだから、いつか罰が来ますよ。」

「あなたが乗らないとサヤカちゃんとマナミちゃんも死んでしまうのよ。」

「う〜〜ん、それは嫌だなあ。」

シンジが頭をぽりぽりとかいて考える。

「シンジが嫌なんだったらいいよ、そんな事しなくても。」

「そうです。私達が死んでしまうより、シンジ様が苦しむ方が私達には苦痛です。」

「そうなのかい?」

「シンジ君、逃げては駄目よ。いきなりこんな事を言われて混乱してるのは分かるけど。

 逃げては駄目。お父さんから、お母さんから、何より自分から。」

ミサトが偽善的な言い訳を言ってシンジを説得する。

だが、シンジがそんなもの聞くはずがない。

「言っときますけど、僕は逃げてませんよ。

 それにこんなものに乗せるって事は、命の危険性があるんでしょう?

 僕がもし乗って、僕が死んでしまったらサヤカとマナミが悲しみますんで。

 もし、いきなり乗って死んでこの二人を悲しませるなら、僕は滅亡までこの2人に幸せにしてすごします。

 それにパイロットだって僕だけじゃないんでしょう?なら僕が乗らなくてもいいじゃないですか。

 だいたい、世界滅亡とか言ってますけど、断言します。世界は滅亡なんて絶対しません。

 滅亡するぐらいなら、なんでこんなちっぽけな所で言いあってるんです。世界に公表するべきでしょう?」

シンジの言う事は正論で、誰も文句を言う事はできない。

そんな時、ドアが開いて赤毛の少女、惣流・アスカ・ラングレーと、大神姉妹と同じアルビノの少女、綾波レイが入ってくる。

「「しつれいします。」」

「誰ですあれ?」

シンジがレイとアスカの方を向いてミサトに聞く。

「あなたと同じパイロットよ。赤い髪の子が惣流・アスカ・ラングレー、青髪の子が綾波レイよ。」

「じゃあ、僕はいりませんね。」

そう言って、シンジとサヤカ・マナミがドアに近寄るがドアが開かない。

「なんで開かないんですか?」

「カードがないと開かないのよ。」

ミサトが答える。

「ちょっとミサト!!サードチルドレンはどこなの!?」

「・・・・葛城一尉、どこですか?」

「あの男の子なんだけど、僕が死んだらあの女の子二人が悲しむから嫌だって乗らないのよ。」

ミサトがレイとアスカにそう言うと、アスカとレイはシンジの方に行く。

周りの大人は静かに傍観を決め込んでいる。

「ちょっとあんた!!!なんでエヴァに乗らないのよ!!!誰が悲しむですって!!??うぬぼれんじゃないわよ!!!」

アスカがシンジに怒鳴るが、シンジは平然と構えている。

「うぬぼれてるのはあなたではありませんか?なぜ、命の保障もないものに乗って、他人を守らなきゃならないんですか?」

「もう一度言うけど、あたし達はシンジが苦しんで私達がのうのうと生きるより、最後までシンジと一緒にいたいの。」

「だいたい、僕らはセカンドインパクト程度の事だったら生き延びる自信はあるしね。

 まあ、はっきり言うよ。僕の大切に思ってる・信頼してる人達意外は死のうが生きようがどうでもいいんだよ。」

シンジの言葉の後にレイが前に出てきて、シンジの目を見る。

「あなたはなぜ拒絶するの?せっかくエヴァに乗れるのに。」

「それはあなたの勝手な価値観です。たとえあなたがそうでも、私達は違います。」

シンジはレイの容姿を見て何やら考えている。

「・・・ふ〜〜ん、やっぱり、髭と愚か者TOP2はろくな事しないね。

 綾波だっけ?君と一回乗るのに100億、ボーナスに1000億で乗って上げるよ。」

「シンジ様、どうしたのです?」

「そうだよ、どうしたの?シンジ?」

サヤカとマナミが疑問に思いシンジにたずねる。

「うん、綾波さんの眼と姿を見てきずかない?」

2人はシンジに言われてレイをじっと見る。

そしてサヤカとマナミは何かにきずいたようで、黙ってシンジの言う事を理解する。

「おい、髭。綾波さんにおける全ての権利と一回乗るのに100億、ボーナスに1000億で乗ってやるけどどうする?」

「わかった。レイの事はなぜだ?」

「そんなに命を冒涜した事を喋ってほしい?」

シンジの唇がニヤッと形を変える。

「いいだろう。」

ゲンドウが悔しそうな顔をするが、下にいる者達には見えない。


あとがき

マーシーです。

いやあ、なんか、ミステリアスシンジ君みたいな作品を作りたかったので、作って見ました。

とりあえず、先の秘密とシンジと大神姉妹の設定は考えています。

結構オリキャラがでてきますね、僕の作品。

自分の作品っていう印みたいなものですかね。

なんか、女性キャラの喋り方や性格がアスカに汚染されてるんですよ。

どうしても、アスカみたいになってしまって大変です。

僕はスーパーシンジ君が大好きです。

本編が情けないだけに、余計に気に入ってます。これからもスーパーシンジ君一直線でがんばります。