苦労と幸せは同居中♪

はぁ〜・・・・

眠い、つらい、たるい・・・・って、三大噺じゃないんだから。

・・・・いや、確かに眠いんだけどね。

大学の一般教養って言うのはどうにも眠くなりやすい。
前日に課題を必死で仕上げたとか、
なんとなく眠れないから夜更かししちゃったとかを抜きにしても、だ。
・・・・ちなみに今日は後者の作用が大きいのだが・・・・・ともかく!
私こと佐藤聖はそこはかとなく眠いのである!!


・・・バタッ・・・…zzZZ 



「・・・・で、ノートを取り損ねたから見せてほしいと」
「はい、そーなんです・・・・・ダメ?」
「はぁぁぁ・・・・・」


ものすっごいため息をつかれてしまった。
それでもノートを貸してくれるのだからありがたい。


「出てきたんならノートくらいきちんと取りなさいよ、まったく・・・・」
「ごめんごめん、今度なんか奢るからさ」
「期待しないで待ってるわ」


むー、信用ないな〜・・・・でも待っててくれるあたり加藤さんらしい。


「本当にどうして貴女みたいな人が、
あんなに可愛い祐巳ちゃんのお姉さまになれたのかしら」
「む、そんなの愛の力に決まってるじゃない」
「・・・・祐巳ちゃんも苦労するわね」
「なんでじゃっ」


結構酷い言いぐさである。
・・・・いや、まぁ、確かに苦労させてるかもしれないけどさ。


「ふわっくしょん!!」
「うわぁっ!?」


何事!?


「あら、祐巳ちゃん?」
「ご、ごきげんようお姉さま、加藤さん」
「び、びっくりした・・・ごきげんよう祐巳」
「こんにちわ祐巳ちゃん、まるで誰かさんみたいなくしゃみだったわね」
「誰かさんって誰よ」
「貴女以外に誰がいるのよ」
「うぐぅ・・・・」


・・・・何喋っても分が悪いのはなぜだ?


「あははは・・・・いえ、なんかそこまで来たら急に鼻がムズムズしちゃって・・・・」
「・・・加藤さんのせいだ」
「発端は貴女でしょ」
「はい?」
「いや、なんでもないよ祐巳」
「えぇ、これがお姉さまだと祐巳ちゃんが苦労するわね、って話なだけだから」

「・・・・」
「・・・・祐巳?」
「・・・・へ?あ、はい、も、もちろんお姉さまと姉妹になれて幸せですよ」
「祐巳、今の間はなに・・・・」
「ていうか、苦労は否定しないんだ・・・・」
「えっと、その〜・・・・」
「祐巳」


ズイ!


「ですから、えーと・・・」
「祐巳」


ズズイィ!


「・・・・」
「・・・・」


ギリギリまで距離をつめ、じっと祐巳を見据える。

祐巳は気まずそうに視線を外し・・・フッ、っと笑うと脱兎のごとく駆け出した!


「あ、こら祐巳!待てー!!」


もちろん黙って遠ざかるのを見ている訳にはいかない。
私は慌てて追いかけ始めた。

残された加藤さんが
「台風みたいな人たちね・・・」と、
人を自然災害に見立ててくれた事は、後日知らされるのであった・・・・

・
・
・

「・・・・」


むっつり


「・・・・お姉さま」
「・・・・」


つーん


「お姉さま」
「・・・・」


ぷいっ


「・・・・はぁ」


あの後は結局、
逃げ切れずにお姉さまの部屋まで連行されたのだが、連行した本人はご機嫌ななめ。

・・・さすがに面と向かって「いえ、だって、苦労してますもん」は、まずかったらしい。

そのうえ私が離れようとすると・・・・


「・・・・」


ぎゅ!


「・・・・お姉さま」
「・・・・」


イヤイヤ


「・・・・飲み物をとりにいくだけですから離してください」
「・・・・」


むー


・・・・と、このように拗ねながら甘える、
というはた迷惑なことを器用にこなしていたりするのだからたまらない。
まだどっちかなら対処のしようがあるのだが・・・・


「祐巳は・・・・」
「え?」
「祐巳は、私といるのイヤ・・・・?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!!」

「だって、苦労するって・・・・」
「それは苦労してますもん」
「・・・・」


ずーん

あ、へこんでる。


「・・・いいですかお姉さま、苦労は・・・ま、それなりにしてます。
でも、お姉さまの妹になったことに後悔なんかありません」
「祐巳・・・・」
「だってお姉さまは私の一番大事な人ですか「祐巳ぃーー!!(がばっ!)」
「みぎぁぁぁ!!?」


ギュウゥゥ!!


「なんかちょっと傷つく悲鳴だけど・・・ありがとう祐巳。私も祐巳が一番大切だよ・・・」
「お姉さま・・・・♪」


ぎゅう、って抱き締めながら頭を撫でてくれるお姉さま。
機嫌もなおったみたいだし、ほっと一安心。
なんだかんだ言いつつ大好きなお姉さまと過ごせて、とっても大満足な1日でした♪

・
・
・

「今度祐巳の好きな遊園地行こうねー♪
あ、動物園もいいな〜、一杯デートしようねー祐巳ぃー♪」
「・・・・・」

「いっそのこと毎日お泊りでも・・・ふぐおぅっ!!」


ドス!!・・・・バタ!


でも調子に乗りすぎないように時々お仕置きをしよう、
と、至近距離でボディに決めつつ思うのであった・・・・・


あとがき(言い訳)

聖さまの扱いはアメとムチ!!というわけで(どういうわけだ)
内定は出たものの卒論に後ろから蹴りとばされているキッドです、ごきげんよう。
さてさて、今回のお話は「晴れ時々右ストレート」で祐巳ちゃんに怒ってもらったので、
こちらでは聖さまに拗ねていただきました♪
右ストレートの強烈さはこちらでも健在ですが(笑)
ていうかぶっちゃけ、どっちも二人のラブラブが書きたかっただけです!(死)
いやぁー!ごめんなさい!星つぶてはやめてー!≡★(ノ>_<)ノ
・・・ま、それはさておき(おくのかよ)
4作品のうち今回二つのお話を三次創作という形で書かせていただきました。
快く受け取ってくださったYUKIさんと久留美さんには本当感謝してます♪
また聖祐で書いたら懲りずにもってきますので(をぃ)
これからもどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

PS・あとがきの内容は執筆した時期によりますので4作品内で若干ずれがありますが
   そのへんは気にせずスルーしてくださいませ(笑)ではでは♪

黄薔薇放送局 番外編

令  「はぁ〜 いいよねぇ、こういうのって♪」
二人 「そぉ?」
令  「そうです!」
江利子「そんなものなのかしら、由乃ちゃん?」
由乃 「令ちゃんに言わせればそんなものみたいです。あー、砂吐きそう」
令  「お姉さまに由乃! 二人とも少女の心構えが足りなさすぎです!」
由乃 「少女の」
江利子「心構え」
二人 「っていわれてもねぇ?」
令  「いいですか、そもそもこういうシーンでは……」


江利子「……いつもこうなの?」
由乃 「わりと。黄薔薇さまの前では違うのですか?」
江利子「あの本がおもしろかったです、とかそういう話はしてくるけど、この押しは無いわねぇ」
由乃 「じゃぁ一応遠慮しているんですよ。
	(ていう事は遠慮の無い分私の方が近い関係よね。ふふん)」
江利子「あら? 親しき仲にも礼儀あり。
	夫婦関係がうまく行くこつは相手を思うからこそ言わないっていうのもあるのよ。
	令は私への敬愛の念から言わないのでしょうねぇ(ニヤリ)」
由乃 「……思いこみって怖いですよね。
	どんなことでも自分に都合良く解釈しちゃいますから」
江利子「まったくね。
	で、勝手に裏切られたなんてこれまた思いこんじゃったりするのよねぇ〜」
由乃 「フフ」
江利子「フフフ」
二人 「フフフフフフフ……」


乃梨子「新年明けましておめでとうございます。
	始まって早々ワンパターンな展開が繰り広げられておりお詫びしますm(_ _)m」
乃梨子「さて、新年早々キッドさまになんと四作もご投稿いただきました。
	読者さまのご感想は作者の活力の元。
	ぜひキッドさまにご感想を送って差し上げてください」
乃梨子「それではごきげんよう。
	……こんな感じで良かったかな、志摩子さん?」
志摩子「ええ、決まっていたわよ、乃梨子♪」
乃梨子「それじゃ帰ろうか」
志摩子「おせちを持ってきたから二人で食べましょう」
乃梨子「志摩子さんが作ったの!? すごく楽しみ♪」



令  「だからですねぇ……?? 二人ともどこ行っちゃったの?」