プロローグシンジ編

星の宿

「キディ、フィアンセは、あなたに向かってるわ」

無線から、聞こえる女性の声に、褐色の女性「キディ」が答えた。

「OK、なら、シンジのところにでも追い返しますか」

「了解、なら、私も、シンジのヘルプに向かうわ」

無線が切れると、キディは手を鳴らしながらまっすぐに、路地の闇をににらみつけた。

「おら!」

キディが、短く叫び、アスファルトを殴りつけると、腕は、まるでアスファルトを、紙のように、打ち抜いていく。

「キシャー」

突如アスファルトを突き破って、異形の者が姿をあらわした。

「おらこっちだよ」

キディは、異形の者の横っ面を張り飛ばすと、追い討ちをかけようと飛び掛った。

刹那、異形の者はキディの隙を見逃さず、唯一隙の出来た通路に飛び込んだ

「よし!シンジ、後は任せた。」

キディは、乱暴に無線を切ると、異形の者を追って路地を駆け出した。

黒髪の少年は、雨のぽつぽつと降り出した、路地に、キディと同じ制服を着てたっていた。

”マイマスター、”

「わかっているよ」

少年、いや碇シンジはその手に持つ赤い杖、「槍皇:ロンギヌス」に、答えた。

”あと50”

「ロンギヌスバトルフォーム!」

”YES マスター”

赤い杖は、長身の槍となり、シンジの手に収まった。

「きしゃー」

甲高い奇声を上げ、迫り来る異形の者、

「闇に生まれしものよ、闇に帰れ、ルシファーフォーク!」

シンジの力ある言葉に、ロンギヌスより、赤い光が放たれた刹那、ルシファーフォークを貫き異形の者は消滅した。

「お疲れ、シンジ、」

「ご苦労様」

駆けつけた、二人の女性キディとカツミは、シンジに声をかけた、しかし、シンジはそれに気がつかないようだった。

「まだ、ガノッサのことが」

「そうね、シンジには辛いでしょうね・・・」

夜の、第二新東京市には深々と雨が降り注ぎ、あたりはあたかも、雨のシャワーのようになっていた。

その中で、シンジは何を思っているのだろう、・・・・・・

あの時と同じ、雨の降る夜に

 

翌日、アンプに呼び出された、シンジは、ここで驚くべきことを聞かされた。

「碇シンジ、君を現刻をもって、第三新東京市、ネルフに出向を命じる」

「そんな、所長」

「そうですよ所長、第三は・・・」

みんなが口々に、苦情を申し立てるが、

「沈まれ、!いいか、コレは、国連からの要請であり、アンプとして決定したことだ。」

ラリーの言葉は、ガンとした者だった。

「はい」

シンジはうつむいたまま、それだけ答えた。

「シンジ、いいの?」

「ハイ、所長の決めたことですから・・」

「・・シンジ、所長俺は反対です、シンジはこのアンプにとって大切な仲間だ、だから」

「わかっている、だが、今回は、使徒、そう、天使の名を冠する者たちとの戦いなのだ、

アンプの中で、私は,シンジしかいないと思うそして、それが、最後の戦いになるからだ。」

ラリーの言葉に、みな、一様に静まりかえる

確かに、シンジは、今、ガノッサのことで悩んでおり、カツミ以外には、シンジがもつロンギヌスしか

化け物に対抗する力が無いのだ。

「シンジ、それに、シンジへの指揮権は私にある、いつでも、私はお前と一緒だ」

「しょちょ・・」

シンジは涙ぐみラリーの胸に顔をうずめた。

「最後まで、呼んではもらえなかったな・・・」

ラリーと、シンジは、同居していたが、一度も母と呼ばれたことが無かった。

その日は、誰も口を開かずに終わった。

 


シンジ、出発の日

「いってきます、」

「きょうつけてな、」

「行ってらっしゃい」

「必ず帰ってくるのよ」

みんなに見送られ、シンジは、幸せそうな顔をしていた。

「シンジ、コレはお前の両親からの手紙だ、」

「ありがとうございます、所長、ちゃんとご飯食べてくださいね」

「わかっている」

「それから、」

シンジは、泣きだし、言葉に詰まってしまった。

「どうした、男だろう、」

ラリーがシンジの頬に顔を寄せたとき、シンジはある言葉とつぶやいた、それは、ラリーを呆然とさせるのに十分な言葉であった。

シンジが去った後に、ラリーは柔らかい笑みを浮かべ、帰路に着いた。

 こうしてシンジは新たな戦いの地へおもむいたのである

最後にシンジの言った言葉は「ありがとう、また帰ってきます・・・お母さん」であった。


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