騎士と妖精と熾天使の幻像
 
第2章
第10話.望まない覚醒
 
 
 
 
レイが修学旅行から帰ってきて既に一ヶ月
サンダルフォンの撃退以来使徒の襲来もなく、NERV本部はひっそりとしていた。
しかし、シンジ達も遊んでいたわけではなかった
その日も朝早くからシンジ達はゲンドウの元にやってきていた。
 
「父さん、本部にEVAの試作機があるって聞いたんだけど・・・・ホント?」
「何処からそんな話を・・・・」
「確かに試作機、零号機は存在する。だがシンジ、アレはとても実働できる代物じゃない、初期の初号機よりも危険な代物だ。」
「別にそれは大した問題じゃないんだ・・・・じつは・・・・・」
 
シンジは本部の地下に保管されている零号機についてゲンドウと冬月に一つの提案をした。
 
「ふむ、アメリカで各部を再構成し直して初号機の予備部品か・・・・・」
「余計な手間がかかるんじゃないのかい?」
「手間はかかるけど、コストが安く上がるし上手くいけば予備機や支援機としても使えるしね。」
「なるほど、メンテナンスの事もある、予備は欲しいな・・・・・・調べてみよう。」
「ありがとう。」
 
シンジが提案したのは本部地下に眠る試作EVA零号機に関することだった。
この世界ではシンジが初号機を完成させてしまったため零号機は日の目を見ることなく放置されてしまった。
一応動作はするのだが、シンジ達が悩まされた旧式シンクロシステムを前提に考えられていた機体だけに迂闊に使えなかった。
しかも初号機に比べてあまりにも設計が古かった事と、当時資金難から二機を仕上げることより初号機を優先したためずっと地下倉庫に眠ったままだった。
今となっては参号機があるためゲンドウ達もすっかり忘れてしまっていた。
 
「そういえば最初期の試作骨格や旧式の燃料電池。かなり色々とあるが全部送るのか?」
「そうだね、置いといてもゴミになるだけだし、出来る限り向こうで再利用できるようにしてもらおう。」
 
まるで家電をリサイクルするような感覚で話はトントン拍子に進んでいった。
結局、地下倉庫で死蔵されていた零号機に関する全ての部品はアメリカ第一支部で再利用品として使われることが決まった。
実は現在アメリカ第1支部は参号機を送り出した後、予備部品や追加武装も送り出してしまった為、暇をもてあましつつあった。
アメリカ第2支部でも四号機が実動試験に入ったため生産ラインや開発部門に関しては余裕があった。
 
シンジと綾は以前からこの事をアメリカのモラード・マギー両所長から相談されていた。
参号機と四号機は基本的に同じ設計で作られている、今回初号機も大改修の末にその規格に統一されていた。
その為、今までのペースで生産していけば予備部品は確実に余ってくる。
ましてやあの参号機がそう簡単にやられるはずもない。
かといって、もう一台EVAをを作るほどの予算も時間もない為、持ち上がったのが「零号機再利用計画」だった。
もっともゲンドウや冬月にしてみれば予備部品の足し程度に考えていたが、シンジ達は初号機改修時のノウハウを元にもう一機EVAを作るつもりでいた。
あわよくばS2機関を搭載して三号機の予備機にするつもりでいた。
 
そして翌日から本部からアメリカに向かって輸送機がひっきりなしに出ていくことになった。
実際シンジ達が呆れかえるほどの機材が地下倉庫に保管されていた。
中にはナオコが試作段階で放棄したMAGIの雛形まで出てきたりと、本部地下倉庫では大掃除が行われていた。
 
そうやって倉庫が空になったのは2週間も経ってからだった。
 
 
 
「次に来るのはマトリエルか・・・と言うことは、停電もアリかな?」
「どうしました?」
「いや、ちょっとね・・・・綾と僕で2カ所・・・後一人欲しいな。」
「???」
 
零号機関係の部品を全て送り出した翌日
研究室で休憩を取っていたシンジがふと漏らした言葉、綾にはその意味が解らなかった。
シンジが心配していたのは次に来る使徒マトリエルの事ではなく、その時期に重なる停電のことだった。
 
『正・副・予備三系統全てが落ちたのではなく落とされた・・・・・いくら当時のNERVの防諜がザルとはいえそんな事が出来るのは・・・・』
 
しばらく考え込んでいたシンジは急に何かに思いついたのかどこかに電話を始めた。
綾はそんなシンジの様子に不思議がりながらも、じっと眺めていた。
そして電話が終わって初めて、綾はシンジに質問した。
 
「どちらへ?」
「アメリカ、マナにこっちに来て貰うことにした。」
「マナさんですか?何かありましたか?」
「いや、すぐにどうといった事じゃないんだけどね・・・・・」
 
シンジはこれから起こりうる使徒襲撃とそれに関わる問題を説明した。
 
「そうですね、出来ることなら秘密裏に処理した方がいいですね。」
「ああ、それにマナなら相手の出方も読めるだろうと思ってね・・・・・」
 
シンジは停電の原因が外部からの妨害、おそらく戦自であることを予測していた。
その為アメリカで調整中だったマナを急遽呼び寄せることにした。
本来なら再利用計画で改修する零号機のパイロットとして考えていたのだが、零号機の方は話がやっと始まったばかりだ。
しばらくはマナがいなくても問題がなく、本部に来て貰うことにした。
 
 
 
 
 
「しかし・・・・・・暇になったね。」
「そうですね。」
 
シンジと綾はのんきに部屋でお茶を楽しんでいた。
実は予想以上に本部での作業が進んだため初号機の改修・零号機の送り出しが終わってしまった。
 
だがこれも一時的なこと、レイやリツコがこの場にいないのはちょうど二人ともテストに追われているからだった。
 
しかもわざわざ自衛隊の演習場を借りて国連や日本政府の要人の前での公開テストだった。
これは資金調達に苦労していたゲンドウと冬月の苦肉の策で、これで何とか当座の資金をかき集めようと考えていた。
本来ならシンジ達も行かなければならないのだが、「用事がある」と言って欠席していた。
もっとも本音は「面倒な質問に答えたくない」ということだった。
 
「今頃何やってるかな?」
「まあ、順当に言って運動性のテストでしょう・・・・・・結局、武装は間に合いませんでしたね。」
「まあ、無理言ってもしょうがないし・・・・・当座は参号機の武装を回そう。」
「そうですな、さしあたっては必要でもないでしょうし。」
 
 
そうやって二人がくつろいでいる頃
 
「レイ、次はミサイルを回避して。」
「了解・・・・って、ちょっと!」
「いくわよ。」
「手、手加減してよね・・・・」
 
レイの駆る初号機めがけて数発のミサイルが放たれた。
どれも一直線に初号機めがけてとんでいく。
 
「よっと!」
 
レイは上手く紙一重でミサイルを横にかわした。
だがそれだけでは終わらなかった
 
「レイ、それホーミングミサイルだから。次は叩き落として良いわよ」
「なっ!それ先に言ってよ!」
 
かわしたと思ったミサイルは大きく旋回して再び初号機に向かって飛んでくる。
初号機は腰につけた参号機用の刀に手を伸ばした。
そのままレイは初号機をミサイルの方へと向かわせた、
 
 
ジャッ!!
 
抜刀一閃、初号機よりも大分手前ですべてのミサイルは叩き落された。
この威力は居合い抜きで起きるソニックブレードによるものだった。
 
 
旅行から戻っての一ヶ月、シンジと綾は折を見てはレイの剣の稽古につき合っていた。
元々、運動神経の良いレイはすぐコツをつかみ、それなりに見られるような様になってきていた。
 
もっともそのお陰でアスカとの喧嘩がより一層と物騒なものになってきていた。
実はこの稽古の事を知ってアスカも色々と特訓していた。
最近では二人とも喧嘩をするのにも木刀を持ち出す始末、ゲンドウや保安部までがシンジにクレームを言いに来るようになっていた
 
そして、その対戦成績だが今のところレイ7:アスカ3と言う結果に終わっていた。
 
アスカは松代でミサトやドイツ保安部から剣道や軍隊式のナイフ戦闘、格闘技などを習っていた。
そんなアスカでも、シンジから実戦形式で剣を叩き込まれているレイには少し負けが込んでいた。
 
シンジと綾の稽古は文字通り命がけである。
二人の場合、手加減をしていてもその一撃をまともに喰らえば骨折程度ではすまない。
実際、レイはこの一ヶ月で骨折だけでも軽く10回を越え、一度は腕がちぎれかけた事もあった。
そんな場合、シンジと綾はゲンドウやユイに知られないように自分たちの研究室に運び込み、すぐに治療用のカプセルに放り込んでいた。
この事は三人の秘密にしていたため、未だに周囲にばれていない。
 
レイも「短期間で強くして欲しい」と言ったことをとても後悔していた。
最初の内はそれこそ毎日のように打ち身や骨折の痛みに泣いていた。
それでも半月を過ぎるようになると慣れてきただけでなく、目に見えて自分の力が解るようになってきただけに訓練が面白くなってきていた。
 
そして、つい昨日も・・・・・・
 
「へへーん、勝ち〜〜」
「お、おぼえてなさい。」
 
明日は大事なテストだというのに二人とも木刀でどつき合っていた。
 
 
 
一通りのテストを終えたレイと初号機だったが観客達にはおおむね好評だった。
だがレイはそんな観客達の前に姿を見せないようにしていた。
 
「レイ、別に良いのよ。相手はこっちの事情を知ってるんだから。」
「いや!・・・・こんな格好で人前に出られないもん!・・・・・・・ったく、恨むよお兄ちゃん。」
 
レイが一番問題にしているのはその格好だった。
今回の改修に合わせてレイのプラグスーツは今までの物とは全く違う形になっていた。
実は今まで以上に体の線がハッキリと出る物で、足などはレオタードと言っても過言ではなかった。
しかも色も新しい初号機に合わせて、オペラ色で統一されて初号機の装甲と同様に光をキラキラと反射させていた。
もちろんNERV本部内でもレイのこのスーツは色々と話題になり、皆レイのその姿を見てみようと思っていた。
だが本人のガードが堅く、リツコやユイ、シンジといった技術部以外では一部のオペレータ達しかその姿を見た者はいない
 
「良いじゃない、とっても綺麗よ。それに綾ちゃんも同じようなスーツにするって言ってたわよ。」
「ううう〜〜〜、着替えてくる!」
 
レイは急いで初号機から降りると人目に付かないように更衣室へと急いだ。
 
ドン!
「あいたっ!」
「おっと?」
 
少し注意が散漫になっていたのか更衣室の少し手前の廊下で人にぶつかってしまった
 
「す、すいません・・・・・って、あ!」
 
レイは自分の格好を思い出してすぐに逃げようとしたが相手を見てその気がなくなった。
ぶつかってしまった相手は冬月よりも年上の老人だが目が見えていなかった。
 
「大丈夫ですかなお嬢さん?」
「はっ、はい!・・・・・ってどうして?」
「目が見えていなくても色々なことが解るものですよ。・・・・失礼ですが、もしかして碇ユイさんの身内の方ですかな?」
「はい、娘のレイと言います。でも、どうして解ったんですか?」
「なるほど、声が子供の頃のユイさんにそっくりなので・・・・・・レイさんというと、先ほどの?」
「え、えーと・・・・・・」
「これは失礼な質問でしたね、それよりお急ぎのようですが?」
「あっ、すみません!ちょっと着替えてきます。」
 
レイは自分の姿を思い出すとそのまま更衣室に駆け込み大急ぎで着替えた。
そして廊下に出てみるとさっきの老人ともう一人、自衛隊の制服を着た男が一緒だった。
 
「西田先生!一人で出歩かれては困ります。」
 
なにやら老人の方が怒られている様子だった。
 
「あの・・・・さっきはすいませんでした。」
「君は?」
「おや、もう着替えてきたのですか・・・・・・速見君、碇さんの娘さんですよ。」
「碇?と言うとさっきの?」
「はい、碇レイと言います。」
 
レイは制服ではなくシンジと綾から渡されていた服に着替えていた。
制作した二人曰く「防弾防刃防爆、耐電対光学に加えてABC戦(アトミック・バイオ・ケミカル)にも使える服」と豪語している服だった。
シンジ達にしては比較的可愛らしいデザインだったのでレイも気に入って普段からよく着ていた。
 
「このお嬢さんが・・・・・ところで西田先生、表に車の用意が出来ました。」
「そうですか、それでは・・・お父さんに「くれぐれも身の回りに気を付けてください」と、伝えてもらえますか?」
「???、えーと・・・・」
「そう伝えてもらえばわかりますので。」
「はい、解りました。」
「それではレイさんも体には気を付けてくださいね。」
 
 
そう言うと西田という老人は自衛隊の人間と一緒に外へと向かっていった。
レイはリツコのところに戻るとさっきのやり取りのことを伝えた。
 
「西田さんと会ったの?」
「うん、目のところに傷のある人でお母さんのこと知ってるみたいだったけど・・・」
「ユイさんのお父さん、レイのお祖父さんの古いお友達だそうよ。・・・・それと、自衛隊とウチの仲介役もやってくれている方よ。」
「ウチと自衛隊?なんで。」
 
リツコはNERVと自衛隊・日本政府の今の関係を簡単に説明した。
 
「ふーん、そんなすごい人なんだ。」
「あの人がいなかったらとっくにウチは資金不足になっていたはずよ。」
「へー・・・・・でもあの人、なんかお兄ちゃんに似てた。」
「そういえば・・・・」
「落ち着いててあの雰囲気、ただ者じゃないって感じがしてた。」
「それにしても『身の回り』・・・・・どういう事かしら?」
「さあ?お父さんに言えば解るって。」
 
そして公開テストから戻った二人がその事をゲンドウに告げると、冬月やシンジを呼びなにやら相談をはじめた。
 
 
それからさらに数日が経った。
 
 
その日レイは学校に行っていたため本部にいなかった。
だが何故か同じように学校に行っているはずのアスカがシンジの元にやってきた。
 
「ちょっと良い?」
「おや?珍しいお客だね。学校は?」
「いいのよあんな所・・・・それよりちょっと相談したいことがあるんだけど。」
 
アスカの相談とは・・・
 
「なるほどね、弐号機の改良プランね。それで松代ではどんな話が上がってるの?」
「なんか重装甲化して内部に追加バッテリーを入れるらしいけど・・・・・・ブサイクなのよ。」
 
アスカが松代から持ち出してきた弐号機の改修プランを見たシンジと綾は大爆笑した。
 
「これ・・・・・・本気?」
「・・・・私も正気を疑いますよ?」
「言われなくても解ってるわよ!・・・・・・あんたならどうするか聞きたくて、持ち出してきたのよ。」
「松代から?やばいんじゃない。」
「やばいわよ・・・・でも、こんなのに乗るくらいならまだ怒られた方がましよ!」
 
その弐号機の改修プランとは・・・・平たく言うとかつての弐号機のD型装備のごとく肥大化した装甲を付けられた姿だった。
これで使徒と格闘戦をしようと言うのだったら、綾と同じように正気を疑いたくなる。
これにはシンジも可哀想だと思い綾と二人でそのデータに手を加えだした。
 
「そうだね・・・・まあ、現状の弐号機なら、まずS2機関搭載でコードレス化して、外部装甲はSAと同じように・・・・」
「でも、S2機関はウチ以外ではまともに動いていませんから・・・・・」
「S2は無理か、となると・・・・・バッテリーを参号機規格にすれば・・・・・・最大30分、最小で5分か・・・・・」
「いえ、装甲内部に仕掛けるようにすればその2倍はいけます。ただパニングバランスが難しいのでデザインに苦労しそうですが・・・」
「う〜〜〜ん、一番容量を増やしやすい型はロッゾのヘルマイネか・・・・」
 
シンジと綾は次々とデータを書き換えていきそのデザインにも手を加えようとしていた。
二人は既存のSAのデータを引っ張り出し色々と検討を始めた。
シンジが引っ張り出してきたヘルマイネと言う機体のデザインだが、確かに肩や四肢の装甲が大きくバッテリーや追加武装を仕掛けやすい用になっていた。
だがこれにはアスカが難色を示した。
 
「あんまりかっこよくない。」
「まあね、でもこいつは低コストながら良い機体だよ。スターム博士の設計した機体はどれも低コストながら汎用性も高いし、個人向けに改造もやりやすいからね。」
「あんたの参号機みたいにならないの?」
「それはまず無理だね、参号機はさっき言ったS2機関を積んでるからあそこまでスリムに出来るけど、S2機関無しの場合は既存の重SAクラスの装甲が必要になる。」
 
そう言ってシンジと綾が次々にSAのカタログデータをアスカに見せていった。
その中に辛うじてアスカが納得できそうなデザインの機体があった。
 
「うーん、これなら何とか許せるわね。」
「アルカナサイレンか・・・・でもこれはまず無理だね。」
「なんで!」
「こいつはフィルモアのSS仕様の機体で一般には出回っていないから許可が下りない。今から改修しようとした場合、これをそのままスケールアップした設計にになってしまうからね。」
「どうしてそれがだめなのよ。」
「特許権や意匠権なんかが絡むからね。相手はヨーロッパ最大のSAメーカー、喧嘩を挑むには分が悪いよ。」
「でもこれ以外ってロクなのが無いじゃない。」
 
確かに重装甲型のSAは基本的には鈍重そうなデザインの物が多い。
元がスマートな機体だけにアスカは弐号機がそんな風になるのがいやだった。
 
「これはどうでしょうか?」
「・・・・なんか悪役っぽい。」
 
綾が持ってきたのはカタログではなく仕様書のような物だった。
 
「アシュラテンプルか・・・・ちょっと待てよ!確かテンプルシリーズにA型のカスタマイズ機の仕様がなかったっけ?」
「たしか・・・・F型・・・・フランベルジュテンプルでした。」
「そうだ、フランベルジュだ!確か中近東の王族用に一機だけ作られた機体。・・・・・・これなら金剛さんに依頼したことにすれば何とかなるな。」
「どんなの?」
 
そう言ってアスカの前に映し出されたのはどこかの式典の様子だった。
そこでは20機のアシュラテンプルが整列して中央には真紅の装甲に身を包んだ機体の姿があった。
確かにアシュラテンプルとよく似た機体だったが、その装甲は曲線を多く用いた優雅なデザインでまるで仏像のような独特の風格を持った機体だった。
 
「メヨーヨ朝の記念式典の様子だよ。知り合いが設計した機体が正式採用されたんでその式典の様子を送ってもらっていたんだ。」
「へぇ、あんがい良いわね。」
「ああ、こいつは一品物だからね。この機体なら設計者に許可を取れば基礎設計書を売ってもらえるはずだよ。もっともそれなりの金額はするだろうけどね。」
「大丈夫!お金のことならEVA関係って元々とんでもない金額がかかってるから。」
「まあ、確かに・・・・でも、そのお金の出所のこと少しは気にしたほうがいいよ。」
「国連の予算じゃないの?」
「確かに国連から予算は出てるけど、それは難民への支援金や援助金を削って捻出されているからね。」
「嘘!」
「知らなかったの?その関係もあってウチはいつも火の車さ。父さん達もその事を気にして国連に予算請求してないしね。」
 
実際本部ではトライデント絡みで手に入れた追加を最後に追加予算は貰っていなかった。
それ以後の不足金額に関してはシンジと綾の個人資産、主に発明品のパテント料と日本政府からの援助でまかなわれていた。
ただしこれには少し複雑な事情が隠されていた。
実はシンジ達の発明品は優先的に日本政府に売却するという密約が取り交わされていた。
現に先の参号機の飛行試験データから日本政府とNERV本部技術部の共同で新型飛行機の開発が進められていた。
またSAに関してもアメリカ支部で使われていた『黒騎士』用SAの簡易廉価版が自衛隊で試験運用され、正式採用も時間の問題となっていた。
 
さすがにシンジもそこまで詳しいことは言わなかったものの、アスカにはEVA関係の資金がどのように捻出されているか具体的なデータを見せた。
その数字を見てもアスカは意味が分からなかったが、その具体的な内容を説明されて真っ青になっていた。
 
「じゃ、じゃあ、EVAの予算って・・・・」
「そう、貧困に苦しむ国の人々の為のお金で賄われている。」
「でも、サードインパクトが起こったら・・・・」
「それは、今苦しんでいない人々の問題であって、今苦しんでいる人々には免罪符にならない・・・・・・だから、EVAのこともう少し大事に使って欲しい。」
「う、うん・・・」
「わかってくれてうれしいよ。・・・・・綾、出来た?」
「はい、これをどうぞアスカさん。」
 
綾から渡されたのは一枚のデータディスクだった。
 
「これは?」
「弐号機の改修プランをまとめた物です、後は金剛博士にフランベルジュテンプルの設計図を売ってもらえれば、そこにある手順で一月〜二月で改修できると思います。」
「ほんと!」
「はい、初号機改修で得たデータを元にしていますので役に立つと思います。」
「サンキュ!さっそくミサトに持っていくわ。」
「あ、ちょっと待って。おそらく葛城さんの事だからまともに話しても取り合ってはくれないかも知れないから。」
 
シンジの言うとおり、ミサトはシンジ達本部の人間のことを目の敵にしている。
ましてシンジの作った弐号機の改修案などまともに取り合われるはずがない。
そう言うとシンジはどこかに電話し始めた。
そしてしばらくするとシンジ達の所に加持がやってきた。
 
「よっ、何かお呼びと聞いたが・・・・って、アスカちゃんも一緒とは珍しいね?」
「加持さんこそ・・・・・」
「加持さん、実は頼みたいことがありまして・・・」
 
シンジが加持に持ちかけた頼み事とはシンジ達の作ったデータを改修プランと改修案に分けて、改修プランのデータを加持に改修案の方をアスカに持たせることだった。
アスカが改修案を持っていくことも不自然だが、シンジに相談と言う形で聞き出したことにすれば何とかなるはず。
元々ミサトはアスカをそう言う使い方をするつもりで本部に送り込んできたのだから。
だが改修プランまでアスカが持っていってはミサトに妙に勘ぐられるおそれがあった。
その為、改修プランは別口から加持が、本部から持ち出したことにすればアスカの改修案は要求通りに通るはずだ。
 
「アスカはあらかじめこの改修案を葛城さん達に渡しておいて。この改修案はあくまで計画書であって実行するにはこの改修プランがないとまず不可能、だから後で加持さんに依頼したという形を取ってもらえれば何とかなると思うよ。」
「わかったわ、じゃあこれをミサトに見せてその後反応があってから加持さんに連絡すればいいのね。」
「じゃあ、俺はアスカちゃんに頼まれてこの改修プランを手に入れたことにすれば良いんだね。」
「ええ、それなら葛城さんも変に勘ぐらないでしょう。それと例のSAの設計図に関してわからないことがあったら連絡をくれればこっちでも対応するよ。」
 
一通りの説明を受けたアスカはさっそく松代に戻っていった。
加持はアスカが帰った後もシンジ達の研究室にとどまっていた。
 
「しかしシンジ君、アスカちゃんがよく君のことを信用したね?」
「あのデータを見せたんですよ・・・・例の国連予算のね。」
「アレか・・・・確かにアレは・・・・だがアスカちゃんには少しきつくないか?」
「EVAに乗る以上アレは知っておいて貰いたかったんですよ・・・・というのは建前で、信用して貰うための一つの要素として使いました。」
「なるほど・・・・・そうだ、老人達の情報だがそこそこ集まりつつあるよ。」
 
加持の持ってきたデータとはサキエル襲来以後のSEELのメンバーに関することだった。
特に加持が調べているのは「人類補完委員会」に関する物で委員会のメンバーに関する具体的なデータが集められていた。
 
「キール・ローレンツ議長・・・・この人に関しては?」
「すまんがキール議長に関しては殆どがまだわかっていない、なんせトライデントの一件で下が切り捨てられたんでみんな口が堅くてね。」
「そうですか・・・まあ、今すぐ必要になる訳じゃないんで、引き続きお願いします。」
「ああ、じゃあまた何かわかったら知らせるよ。」
 
そう言うと加持はシンジの研究室を後にした。
 
ちなみに翌日さっそく加持のもとにアスカから連絡があり、数日後には松代で弐号機の改修が始まっていた。
だがデザインに関してはアスカの意見は採り入れられることが無く、アスカが嫌だと言い張っていたヘルマイネになってしまった。
これには設計者の金剛博士がシンジと親しいことからはずされ、代わりに完全にフリーのスターム博士の設計が採用されることになった。
この事が決まった直後、アスカがシンジに泣きついてきたがさすがにこれはどうしようもなかった。
そして、アスカがレイの初号機を見て二人が大喧嘩したのだが、シンジもそこまで面倒を見る気はなかった。
 
弐号機の改修が始まった直後、本部に一人の女の子の姿があった。
 
「レイ!久しぶり。」
「マナ!元気になったんだ・・・・・よかった、連絡無しでいなくなったから・・・・」
「ごめんね、あの後すぐにアメリカに行ってたから・・・・・そうだ、レイのお父さんの所に挨拶に行かないと。」
「???お父さんの所・・・なんで?」
「まあ、いいから」
 
そう言ってレイはマナと一緒に司令室に向かった。
 
「アメリカ第一支部から参りました霧島マナです。」
「君は・・・あの時の・・・シンジ君も人が悪いな・・・」
「仕方が無かろう冬月。わかった、君はしばらくシンジの下に付いてくれ。」
「はい!」
「レイ、マナ君をシンジの所に案内してやってくれ。」
「う、うん・・・」
 
司令室でのやり取りを今ひとつ理解できていないレイだったがゲンドウに言われるままにマナをシンジの所に案内した。
一方、司令室に残った二人は
 
「あんな娘まで戦力として当てにせざるをえんとはな・・・・正直、情けないな。」
「いうな、西田さんからも戦自が動くのは確実だと言われた。打てる先手は全て打っておくに限る。」
「お前は相変わらず・・・・・いや、ナオコ君のことをまだ引きずっているのか。」
「・・・・・・・」
 
冬月の指摘に無言で答えるゲンドウだった。
マナがアメリカから呼ばれた理由はゲンドウと冬月はよく理解している。
先日レイを通じて西田から注意を促され、ゲンドウ達が独自で調べてみた結果、NERV本部に対して戦自が何らか行動を起こすのは確実だった。
シンジはその事を予測していたため戦自での経験のあるマナを急遽アメリカから呼び戻していた。
もちろんゲンドウと冬月もこれを承認したがユイとリツコからは反発されていた。
 
 
それから一週間、特に問題もなく本部は相変わらず静かな日々を送っていた。
だが、その陰では保安部と『黒騎士』そしてシンジ達が手ぐすね引いて戦時を待ちかまえていた。
 
そしてついにその日はやってきた。
 
「こちらブラフォード、予備電源設備に侵入者確認。」
「了解、そのまま待機していてください。各員、警戒態勢から戦闘態勢に。」
「ビィだ、電力主系統にも侵入を確認。包囲を始める。」
「こちら、保安二課。侵入ルートの割り出しに成功、後方遮断の準備完了しました。」
「同じく一課、戦自の指揮車と思われる車両を確認。制圧準備完了に入ります。」
 
司令室には臨時の指揮本部が作られ、ゲンドウの目の前では侵入者殲滅の準備が整えられていった。
 
「碇、皆殺しにする気か?」
「”ここ”が”何処”かを教えておく必要がある。二度と忘れんようにな。」
「恐ろしいヤツだな・・・・」
「元より血塗られた道だ、免罪は請わん・・・・・・後に続く子供達が先へ進めるのなら喜んで鬼にでも悪魔にでもなろう。」
「相変わらず不器用なヤツだ。」
「ふっ、問題ない・・・・・・作戦開始。」
 
ゲンドウの指示の元、侵入者に無慈悲な鉄槌が振り下ろされた。
まず、保安部によって後方の指揮車両・退路を確保していた部隊を制圧、同時に送電設備に侵入していた部隊には『黒騎士』が指揮するSA部隊が制圧に当たった。
もちろん、戦自もSAを用意していたがその性能が違いすぎた。
シンジの設計によるSAは市販機の性能とは桁が違っていた、さらに『黒騎士』の駆る機体はどれもシンジ自ら設計制作されており戦自の隊員にとって黒い死神に見えた。
 
同じ頃発電設備に侵入していた部隊があった。
発電設備はもっとも奥まった場所にあるため生還率が最も低いと予測されていた。
その為、戦自幹部は少年兵を送り込み使い捨てにするつもりでいた。
先のトライデントの一件以来、少年兵を使う利点が無くなってしまった為に子供達はこの作戦に送り込まれていた。
もっとも本人達には何も知らされていなかった。
 
「隊長!・・・・だめだ、連絡が取れない。」
「あかん!どのチャンネルも応答があらへん。」
「っていう事は・・・・他の部隊は全滅・・・・」
 
この発電設備に送り込まれていた少年兵の中にはトウジや武蔵、ケイタの姿があった。
ちなみにこの三人がリーダーとサブリーダーだったりするが、三人とも既にこの作戦が失敗することは確信していた。
 
「そうだよ、大人しく投降してくれるかな?手荒な事はしたくないんだ。」
 
暗闇の中から聞こえた声に少年兵達の視線は集まった。
その闇の中から白銀のSAが姿を現した。同じように発電設備の奥からは赤白のSAが現れた。
二体のSAに挟まれた少年達は一瞬判断を戸惑ったがすぐに行動を始めた。
 
「全員散開!撤退しろ。」
「なっ!」「あらあら、困りましたね。」
 
トウジの指示で全員がバラバラに逃げ出した。
さすがにこれにはシンジと綾が慌てて追いかけたが、20人近い少年がバラバラに動いたのでさすがの二人も対応に困った。
すぐに追いかけて捕まえることが出来たのは10人だけだった。
 
「マナ、こっちでミスった。みんなバラバラに上に行ってるから捕まえて。」
「了解!」
「それと相手は・・・・・・・・」
「トウジや武蔵達でしょ。シンジを出し抜いて逃げるなんてあいつらぐらいだと思った。」
「ごめん・・・」
「良いのよ、大丈夫、気にしないで」
 
そう言うとマナは走り出した。
 
『アイツらのことは私が一番よく解ってる・・・・・・待ってなさい、すぐに行くから。』
 
 
 
だがそんな暗闘を無視するかのように本部に警報が鳴り響いた。
 
「リツコ姉さん使徒なの?お兄ちゃん達は?」
「シンジ君達とは連絡が付かないの。悪いけどレイ、一人で出てくれる。」
「OK、お兄ちゃんには後で何かおごって貰うことにする。それにせっかくだからオニューの初号機で思いっきりやってみたいからね。」
「ええ、ちょうど良いテストになるわ・・・・でもくれぐれも気を付けてね。」
 
レイは新型装甲を身に纏った初号機の元にやってきた。
その姿にレイはにやけそうになりつつも気を引き締めるように頬を叩くと初号機に乗り込んでいった。
だが、何故か発進用カタパルトが動かなかった。
 
「どうしたの?」
「先輩!保安部から連絡が入っています・・・・・現在、侵入者との交戦中で一部設備が使えないとのことです。」
「なんですって!・・・・それじゃあシンジ君達は?」
「はい、侵入者の迎撃に出ているとの事で・・・・・あ、シンジ君からです。」
 
この段階になってリツコやマヤ達は本部内で今何が起こっているのかを理解した。
オペレーター達は狼狽えながらも必死に初号機発進の準備を進めていた。
 
「リツコ姉さんゴメンちょっとトラブってると思うんだけど・・・」
「ええ、発進用カタパルトが使えないわ・・・・それより、大丈夫なの?」
「ああ、発電・送電設備は問題なし。MAGIに至っては近づけてすらいないよ。」
「そんな事じゃなくて、あなたや綾ちゃんもどうせ現場にいるんでしょ。」
「こっちは大丈夫、SAで来てるから・・・・それよりカタパルトが使え無いんならこのルートを使って・・・・・」
 
シンジが指示したルートはケージから一旦倉庫を通り設備搬入口を経て本部外延部に出るルートだった。
少し時間が掛かるが、このルートならば使徒が本部の上に来る頃には十分に迎撃に入れるはずだった。
すぐさまリツコはレイをナビゲートしてそのルートに向かわせた。
 
だがその頃、この騒ぎを知ってか知らずか松代の弐号機が本部に確認の報告すら入れずに出動してきていた。
 
そして初号機が外に出るよりも早く、弐号機が使徒:マトリエルに攻撃を仕掛けていた。
 
 
「この蜘蛛の化け物がっ!」
 
アスカの弐号機いつものスマッシュホークよりも長大なハルバードでマトリエルの足の一本を切り落とした。
すると傷口から薄気味の悪い紫色の液がながれおちた、その液体が道路に落ちると煙と共に溶けていった。
 
「なっ!」
 
そのまま足をもう一本切り落としてやろうとハルバードを振り下ろしたアスカ。
だが、今度は切るどころか逆にその刃の部分が無くなっていたため柄の部分でぶん殴っただけだった。
 
よく見ると道路と同じようにハルバードの先の部分は溶けて無くなっていた。
 
「アスカ!何やってんの。」
「ミサト予備の武器ちょうだい。コイツ体液が溶解液みたい、まともに切ったら刃が丸ごと無くなったわ。」
「何ですって!それならこれを使いなさい。」
 
そう言って空中輸送機から投下されたのは巨大なハンマーだった。
 
「ミサト・・マジ?」
「刃物がダメなら鈍器で行くしかないでしょ。銃器で穴を開けたらそこら中から溶解液を撒き散らすのよ。」
「・・・・・りょうかい・・・・かっこわるいな〜」
 
アスカの言うとおり巨大なハンマーを持った弐号機の姿はお世辞にもかっこいいとは言えなかった。
むしろ凶悪さだけが目に付く。
 
だがミサトの言うとおり効果は十分にあった。
ハンマーで思いっきりぶん殴ってみると、足はそこでへし折れ変な方向に曲がっていた。
これに味を占めたアスカは次から次に足をへし折っていった。
やがて半分近くの足をへし折るとマトリエルはバランスを失ってひっくり返ってしまった。
 
ひっくり返ったマトリエルの中央には巨大な目があった。
 
「ふん!格好悪いのはお互い様だけどあんたの負けよ!」
 
アスカはその目が弱点だと確信するとその真ん中めがけてハンマーを振り下ろした。
だが、その途端・・・・
 
「きゃぁぁぁぁl!」
 
弐号機がのたうち回り通信回線にアスカの悲鳴が響き渡った。
よく見ると弐号機の装甲の至る所に小さな穴が無数に開いていた。
 
マトリエルは溶解液を無数の水滴にして弐号機に吹き付けた。
一つ一つは小さな水滴だったが数があまりにも多く、既に弐号機の装甲は溶け落ち素体が剥き出しになっているところもあった。
 
「アスカ!一旦下がりなさい。」
 
さすがにこの様子にミサトも撤退を促したが、既に手遅れだった。
のたうち回る弐号機の上にマトリエルは乗りかかるようにして押さえつけ、上から容赦なく溶解液を掛け続けた。
幸いなことに今回は短期決戦を想定してバッテリーを搭載しているものの、アンビリカルケーブルを接続していなかったことがアスカを救った。
マトリエルにのし掛かられたときにバッテリー切れになって、身動きはとれないがアスカの全身の激痛だけは治まった。
 
だが、これも時間の問題だった。
 
仰向けに押さえつけられた状況のため弐号機はアスカのエントリープラグを排出できない。
このままではEVAもろともアスカの体も溶解液で溶かされてしまう。
 
この事態に焦ったミサトは一つの失策を犯してしまった。
 
「支援攻撃開始!使徒を弐号機から引き離しなさい。」
 
このミサトの指示は完全に裏目に出てしまった。
兵装ビルや国連軍の攻撃はマトリエルの全身に傷を負わせたが、その傷口からはどんどん溶解液が流れ落ち弐号機に余計なダメージを与えることになった。
 
 
このまま弐号機がやられるのは時間の問題かと思われたその時
 
「この蜘蛛の出来損ないが!」
 
ようやく到着したレイの初号機がマトリエルめがけて跳び蹴りをぶちかました。
さすがにこの攻撃にはマトリエルも吹き飛ばされ、2・3回転しながら転がっていった。
 
レイは弐号機を助け起こすとすぐ近くの兵装ビルの陰に隠した。
レイがマトリエルの方に向き直ると器用に足を使って起きあがっているマトリエルの姿があった。
 
初号機は腰の刀を抜くと斬りかかろうとした。
 
「レイ!待ちなさい。」
「っと!」
 
リツコの指示に踏みとどまったレイだが、すぐに危険を察知して機体を右に傾けた。
レイの勘は正しかった。
振り向いた初号機の後ろの兵装ビルには大きな穴が開いていた。
 
「・・・・・・鉄砲魚?」
 
レイの言うとおりマトリエルは水鉄砲のようにして溶解液を一直線に拭きだしてきたのだった。
 
「レイ、迂闊に傷つけちゃだめ!そいつは傷口から今と同じ溶解液を出すわ。」
「じゃあどうやって・・・・」
「弐号機と同じように鈍器か、ATフィールドで叩きつぶすようにしないとだめよ。」
「そんな簡単に言われても・・・・・」
 
リツコの指示は的確だったが既に弐号機の使っていたハンマーはどろどろに溶けており、まともに使えそうになかった。
そしてATフィールドに関しても今のレイにはそんな器用な使い方は出来なかった。
仕方なくレイは刀を鞘に収めると鞘ごと殴ることにした。
弐号機のハンマーほどではないにしろ多少の効果はあるようだった。
弐号機の数倍の腕力を持つ初号機のパワーで殴られれば、鞘ごと殴ってもその破壊力はすさまじい。
一撃ごとにマトリエルの足は折れ曲がっていった。
 
とどめをさすべく鞘ごと目に刺突を入れようとしたその時、
 
『だめ!』
「なっ!・・・・くっ!」
 
レイはとっさに誰かに制止され、急停止をかけバックステップで一機に距離を取った。
 
レイの判断は正しかった。
 
ついさっきまで初号機のいた場所には紫色の霧のような物が漂っていた。
その霧に触れた兵装ビルが溶けていた。
 
「・・・・・器用なヤツ・・・・・でも今のは?」
『来る!』
「えっ!・・・・・・やばっ!」
 
再度レイの脳裏に不思議な声がした。
その声の通りマトリエルは水鉄砲のようにして溶解液をとばしてきた。
 
レイはその攻撃を次々とかわしていった。
否、攻撃が始まるよりも先に謎の声に警告を受けていた。
 
『くる!』
「ちぃ!」
 
その攻撃を次々にかわしていくレイだが、こちらから攻撃する術がまるで見つからなかった。
 
『切ったら武器ごとやられるし、接近戦はあの霧やアスカがやられた雨みたいなのがあるし・・・・』
『大丈夫・・・・あなたならやれるはずよ』
『ちょっと!誰?』
『今のあなたなら出来る・・・・剣を抜いて・・・・雨を薙ぎ払う風をイメージして。』
『風?・・・・なるほどね、ありがと。」
 
レイは一旦兵装ビルの陰に隠れて呼吸を整えた。
そして勢いよく飛び出すと刀を大きく振りかぶった。
 
「いっけぇぇぇ!」
ゴウッ
 
大振りのレイの一太刀は明らかに間合いの外からだったが、その高速の一太刀はすさまじい衝撃波を巻き起こした。
衝撃波はレイの予想通り溶解液の霧ごとマトリエルを叩きのめした。
 
「いける!」
 
レイは同じように衝撃波でマトリエルを吹き飛ばした。
それから何度もマトリエルを吹き飛ばしていくウチにレイは何か妙な違和感のような物を感じていた。
 
『何?この感覚・・・・・・自分じゃないみたい・・・・・できる?』
 
レイは今までよりも大きく、体を後ろに捻るように構えた。
そしてその捻りが戻ろうとする動きを刀に乗せて振り抜いた。
 
「なに!これ?」
 
それはやったレイ本人にも解っていなかった。
衝撃波ではなく無数の真空の刃、カマイタチが螺旋を描きまるで竜巻のようにしてマトリエルを切り刻んだ。
その一撃でマトリエルは全ての足を切り落とされ、そして自分の足から流れ落ちる溶解液で自分の体を溶かしていた。
 
『今よ!』
「う、うん」
 
戸惑うレイだが、謎の声に促されるままトドメの一太刀を浴びせる。
だがその一撃にレイは再び困惑の色を顕わにする。
 
ただの刺突のつもりの一撃はすさまじい衝撃波となりマトリエルを叩きつぶした。
 
 
 
「パターン青消滅、使徒の殲滅を確認。」
「レイ、よくやったわ。」
 
発令所ではマトリエルの殲滅が確認され沸き返った。
だが、レイの耳にリツコの声は届いていなかった。
 
『何、この力・・・・何でこんな事が出来るの・・・・誰か・・・ねえ教えてよ』
『それはあなたが生まれたときから持っていた力・・・・もう覚醒は始まったの・・・・後は貴女と・・・碇君の判断に任せるわ。』
『ちょっと、誰よ!教えてよ、一体何なのよ!』
『私はレイ、綾波レイ・・・・貴女を護るモノ、そして碇君を護るモノ』
「ちょっと!・・・・ぐっ!・・・・」
 
レイはそれ以上問いつめることが出来なかった。
突然襲っためまいにレイの意識は遠のいていく。
 
異常に気が付いたリツコがレイに呼びかけるが全く反応を返さない。
そしてマヤがレイの体調をモニターで確認して悲鳴を上げた。
リツコもそれを確認するとすぐに初号機の回収させた。
レイは40度を超える高熱を出し、神経や脳波にも異常が見られていた。
回収されるとすぐにレイは病院に運び込まれた。
 
 
 
 
レイが初号機で地上に向かって急いでいる頃
 
「隊長!発電設備で待ち伏せに合いました。」
「だからどうした!任務を遂行しろ。」
「そんな、敵はSAを持ち出してきていました。我々の装備では無理です。」
「黙れ!誰が貴様の意見を聞いている。俺は任務を遂行しろと言ったはずだ。」
「しかし・・・」
「役立たず共が!自爆してでも任務を遂行してこい!」
 
発電設備からシンジ達の手を逃れて集合場所に集まっていたトウジ達少年兵は隊長から非情な言葉を浴びせられていた。
少年兵達はその数を半分近くに減らされていた。
だが隊長達と思われる大人達も作戦当初の人数に比べて大きく減っていた。
 
「アンタは相変わらずだね・・・・・久しぶり、隊長。」
「その声は霧島!この裏切り者が!」
 
声の方向に向かって銃撃を浴びせるがそこには誰もいなかった。
 
「何処を見てるの?」
 
背後の物陰から現れたのは風変わりな戦闘服に身を包んだマナだった。
だが、マナはたった一人にも関わらず手に持っていたのは長刀一本だけだった。
 
「霧島・・・・貴様NERVに・・・」
「正確には違うわ、ある人に助けて貰ったのよ・・・・で、これはその恩返しの一つ・・・・悪いけど投降してくれない。」
「誰が!」
「でも他はみんな掴まってるよ・・・・・トウジ、あんた達だけでも投降してくれない?」
「うっ・・・・それは・・・・・」
 
パァン
 
「うっ!!」
「!アンタ・・・・ゆるさない」
「黙れ敵前逃亡は銃殺刑だ、貴様らさっさとやらんか!」
 
大人達はマナではなくトウジ達に発砲した。
その光景にマナがいち早く反応した。
腰から刀を抜き放つと問答無用で斬りかかった。
もちろん峰打ちだが今のマナの力だと手加減しても骨が粉々になるほどの威力がある。
そしてマナは目にも留まらぬスピードで次々と大人達を叩きのめしていく。
 
「トウジ・・・・・逃げてっ!早く」
「お、おう・・・・すまん!」
 
トウジ達少年兵はマナの指示に従って皆一斉に逃げ出した。
マナは少年兵達は見逃したが大人達は一人も見逃さなかった。
そして全員がその場に両手両足の骨を砕かれて悶え苦しんでいるとマナは指揮所に連絡を入れた。
 
「こちら制圧完了・・・・・・少年兵は逃亡しました・・・すみません。」
「いや、かまわん。しばらくその場で待機していてくれ。すぐに保安部が急行する。」
 
マナは一息付くとその場で苦しんでいるかつての隊長達を見下ろした。
しばらくすると保安部が駆けつけ全員を連行していった。
ただし、彼らの行き先は病院では無かった。
 
 
マナはその後シンジに連絡を取った後トウジ達の追跡に移った。
実はシンジから背後関係を調べて、出来ることなら少年兵達の保護を頼まれていた。
マナにしてもそんな事は言われるまでもなかった、気が付かれないように追跡していったがそこでとんでもない惨状を目にしてしまった。
 
 
「みんな!!」
 
トウジ達が拠点と思われる建物に入った途端、その建物は轟音を建てて爆発した。
マナは慌てて建物に向かった、だがそこには既に戦自の特殊部隊が展開していた。
しかし今のマナにはそんなモノは関係なかった、一分とかからずに部隊を全滅させると生存者がいないか捜索を始めた。
どうやら戦自の部隊は生存者を皆殺しにするために展開していたようだったが、そこは生存が絶望的な状況だった。
辺りには少年兵達の遺体やその残骸と思われる物が散乱して地獄絵図のような状況だった。
それでもマナは諦めず生存者を捜し続けた。
 
「トウジ!!」
「・・・・・・マナ・・・・か、ワイら一体・・・・・・」
「じっとしてて!・・・・・・」
 
やっと見つけた生存者はトウジだったがそれも時間の問題だった、全身を強打している上に出血が酷かった。
明らかに致命傷だった、辛うじて息をしているに過ぎない。
 
「大・・丈夫や・・・自分の事は・・・・ようわかっとる・・・・・まな・・・・・ミユキのこと・・・・・」
「解ったから静かにしてなさい!」
「ワイの事はええ・・・・・みんなを・・・・・」
「解ったから!黙ってなさいよ・・・・・お願い・・・・」
 
マナはトウジを大人しくさせようとしていた、既にトウジ以外には生存者がいなかった。
トウジを発見する前に武蔵とケイタの遺体も発見していた。
トウジはたった一人の生存者だった。
マナはすぐにこれからの行動を決めた、応急処置をするとトウジを抱きかかえるとすぐに本部に戻った。
 
立ち去り際、一瞬だけ後ろを振り返ったがすぐにものすごいスピード出かけだしていた。
 
『みんなゴメン!・・・・みんなの仇は私が必ずとるから・・・・』
 
”騎士”の能力を全開にしてマナは走り続けた。
本部にはいるとそのまま病院へと駆け込んだ、妹のミユキに一目でも会わせてやりたかった。
 
「ミユキちゃん!」
「マナ・・・お姉ちゃん?・・・・・それに、お兄ちゃん!」
「ミ・・ユキ?・・・・ミユキか?」
「うん、お兄ちゃん・・・・ミユキだよ・・・・・ねえ・・・」
 
少年兵として訓練されていたミユキにも今のトウジの状態はよく解っていた。
もう、どうしようもない事に。
それが解っているだけにミユキもマナも一生懸命にトウジに話しかけていた。
トウジはそんな二人に笑顔を見せるとそのまま息を引き取ってしまった。
泣き崩れるミユキを必死に慰めて、泣きつかれて眠ったのを確認するとトウジの遺体を安置所に運び込むことにした。
 
マナがトウジの遺体を安置所に預けて司令室に戻ってみると、そこにはシンジ達の姿はなかった。
 
 
 
 
マナがトウジ達の後を追っている頃、シンジは戦自の殲滅を確認したあと地上に向かった。
目的はマトリエルのコアを回収することだった。
だがそこでシンジは異様な倒され方をしたマトリエルの姿に驚いた。
 
「何だ、この傷跡は・・・・・まるでモーターブームでもやったみたいじゃないか?」
「マスター!戦闘記録を見てください・・・・・これは・・・」
「・・・・・・タイフォーン!まさか、生身のレイにこんな技が使えるはずがない!」
「ですがこれはどう見てもタイフォーンとモーターブームです・・・・・・考えられることは・・・・・」
「言うな、綾!・・・・そんな事はあるはずがない・・・・・あってはいけないんだ・・・・」
「残念ですが、戦闘後レイさんが病院に運び込まれたようです・・・・・・・高熱と全身に激痛、意識がないそうです。」
「・・・そんな・・・・」
「ここは私に任せてください、マスターはレイさんの所に。」
「すまない、ここを頼む。終わり次第、僕の所に。」
「イエス、マスター」
 
綾はそのまま地上に残り、シンジは本部内の病院に向かった。
SAを着たまま病院に乗り込んだシンジは、ろくな説明をしないでレイを連れ出すと研究室に連れ込んだ。
すぐにレイを治療用のカプセルに入れるとすぐに検査を始めた。
 
病院ではレイの症状を特定できていなかったが、シンジには検査をするまでもなく心当たりがあった。
 
「・・・・・騎士代謝・・・・・何でレイが・・・・・」
 
シンジはレイに痛みを和らげるために麻酔を投与するがすぐに分解されてしまい全く効果がなかった。
 
そうしている内に研究室にユイとリツコが乗り込んできた。
二人ともシンジがレイを連れ出した事を聞いてここにやってきた。
 
「シンジ!どういうつもりなの。」
「シンジ君、レイは大丈夫なの?」
 
だが二人ともシンジの様子を見るとそれ以上咎めることが出来なかった。
シンジはSAを脱いでいたがその顔色は悪く、まるで病人のようだった。
それでもシンジはレイに対する何らかの処置をやめなかった。
 
しかし、悪いことは重なった。
綾が研究室に戻ってくると同時に司令室から連絡が入った
 
「・・・・・・ゴメン、シンジ・・・・・・」
「全滅・・・・・トウジも?」
「うん、ついさっき病院で・・・・・」
「くそっ!」
 
シンジは怒りにまかせたまま研究室の壁を殴りつけた。
自分自身に対する怒りだったが、今のシンジはその力をまともに制御できていなかった。
EVAと同じ特殊装甲で出来た壁にはシンジが殴りつけた部分が大きくへこんでいた。
綾はシンジが危険な状態だと判断して、こっそりと背後に回ると首筋に何かを当てた。
するとシンジは糸の切れた人形のように倒れ込んでいった。
そんなシンジを抱きかかえるとソファに横たえた。
 
そして目の前の状況の理解できていないユイとリツコだったが、綾に促されるままにゲンドウと冬月がここに来るのを待った。
そしてゲンドウ達と一緒に真っ赤に目を泣きはらしたマナが現れると、研究室の入り口だけでなく全て経路を遮断した。
 
綾とマナを除いた全員が状況を理解できていない中、綾の口から説明が行われた。
 
「まず、レイさんの症状ですがこれは騎士代謝と我々が呼んでいる物です。」
 
綾はこれまで黙ってきていた事、自分たちの体に関わることを説明した。
それを聞くなり全員の顔色は変わっていった。
綾達が騎士:ヘッドライナーと呼んでいる物の正体を聞いてユイやリツコはその危険性がよく解った。
シンジが関係者に箝口令を引く理由もよく解る、そしてレイを病院から連れ出した理由も。
 
「じゃあ、レイも?・・・」
「状況から判断する限り間違いないと思われます。シンジさんが麻酔を投与したデータを見てみましたが瞬時に分解されています・・・・」
「それじゃあレイは今も・・・・」
「いえ、今はシンジさんに使ったのと同じ特殊な鎮静剤を・・・・・」
「待ちなさい綾ちゃん・・・・・特殊?強力の間違いじゃない」
 
綾は嘘を言ったがユイとリツコの目はごまかせなかった。
 
「・・・・・すみません、シンジさんから口止めされていますのでこれ以上は言えません。」
「ユイくん、どういうことだね?」
「このデータからすると・・・・・まともな人間に投与すれば一瞬でショック死するような強力な物のようね。」
「「何だと!!!」」
「それくらいでないと私たちには効かないんです。代謝能力が高すぎて致死量の麻薬でも軽い鎮痛剤程度にしかならないんです。」
 
リツコの説明に憤慨するゲンドウと冬月だったがフォローに入ったマナの言葉を聞いて大人しくなった。
 
「シンジさんが一番恐れていたのは私達が迫害を受けることです・・・ご両親に心配をかけたくないからずっと一人で・・・・」
「シンジは私に”騎士の血”を投与するときも最後まで悩んでた・・・・でも私はどんなことをしても生きたかったから。」
「・・・・・全く、あの子ったら!」
「相変わらず水くさいんだから・・・・ユイさん、目を覚ましたら二人でしっかりとお灸を据えてやりましょう。」
「ええ、アナタはどうします?」
「俺は・・・・いや、そんな事はどうでも良い・・・・・綾君、レイは大丈夫なのか?」
「何時目覚めるかはお答えできませんが。」
「解った、シンジが目覚めたら司令室に来るように伝えて・・・・・・マナ君、すまないがさっきの件だがこっちでも出来る限りカバーしよう。」
 
ゲンドウと冬月はマナをつれて司令室へと戻っていった。
一方ユイとリツコはシンジが目を覚ましたら連絡を入れるように言うとそれぞれの持ち場に戻っていった。
 
 
やがて一通りの事後処理が終わる頃にちょうどシンジは目を覚ました。
そして目を覚ますと綾に現状説明して貰った。
 
「申し訳ありません。私の独断で・・・・・・」
「いや、いい・・・・何時かは話さなきゃ行けなかったんだ・・・・それよりも肝心なことを全部任せてしまってすまないな。」
「いえ・・・・・・そう言えばマスターが目を覚ましたらユイさん達がお話があるそうですが・・・・・」
「・・・・・嫌な予感が・・・・・」
「はい・・・・・お二人ともとてもご立腹でした。」
「はぁ・・・・・解った。僕がお説教されてる間にマナの方を手伝ってあげて。レイは・・・・・・このまま待とう。」
「解りました。」
 
そうしてシンジはユイ達の所に怒られに行った。
結局この日はユイ達のお説教があまりにも長かったため、シンジ達は本部に泊まり込みになった。
 
そして翌日の明け方レイが目を覚ました。
 
 
 
 
 
 
あとがき
 
現在入院中で暇なのに全く続きが欠けていないふぇいです。
最近感想で「シンジ達強すぎ」、とのお言葉が多く少々悩んでいます。
今更弱くするのも難しく、かといって敵(ゼーレ)を強くするにしても理由がないし・・・・・
しょうがないので代わりに使徒を強くしておいたと思ったら・・・・・レイのこと忘れてた・・・・初号機、思いっきり強くしたんだっけ
実は今回のラストでもありましたがレイも騎士(ヘッドライナー)として覚醒します。<詳しい説明は次回します
そんなわけでお返事のメールの方で告知していたように後2〜3話でシンジ達には降板して貰うことが決定しました。
詳しくはまだ言えませんが二人とも表舞台から引っ込んで貰います。
代わりにマユミが四号機を持って本部に合流、さらにしばらくするとマナもEVAと一緒に合流するようになります。
まあ、まだ予定なのでもうしばらくお待ちください。
 
さて、それ以外の予定ですが使徒の登場順位が若干入れ替わると思います。
そうすることによってシンジの予測を狂わせてみようと思います。
ちなみに次の使徒は予定通りサハクィエルで、さらに一部の方の予想通りの結果となります。
使徒戦自体はあっという間に終わらせる予定で、それまでの仮定を長々と書いてみようと思ったりしています。
そしてアスカの弐号機ですが今回バージョンアップの話が上がりましたがこの通りに話は進みません。
まあ、外見がヘルマイネじゃあまりにも可哀想なので・・・・・かといってフランベルジェテンプルになるとは限りません。
ちなみにアスカに機種転換の予定は全くありません。
 
さて、ここで問題です。マユミが持ってくるのはEVA四号機ですが、
マナが持ってくるのは何号機でしょう?
まず、現状からは全く予想が出来ないと思います。
それでも今までに色々と伏線を張っているので気が付く人がいるかも知れません
 
ちなみに
ヒント1:本文よりもあとがきの方が重要かも?
ヒント2:とんでもない引っかけがあります、まず大半の人はこっちに引っかかると思います。
 
あとがきVer2.0
 
この文章はできあがってから既に半年が過ぎ待ています。
結局退院できた後も通院や資格試験、さらにはリストラされるかもしれないなど色々と忙しくすっかり更新が遅れてしまいました。
ちなみに現在(この文章をアップする段階)の所既に第2章が完結し第三章に向けて充電中と言った状況です。
その為、この10話・11話・最終話と一気に公開となりますが三章は正直言って全く目処が立っていないため何時出るかまったく解りません。期待しないで待っていてください。
出来れば年内には第3章を開始したいのですがなにぶん忙しいモノで・・・・