騎士と妖精と熾天使の幻像
序章 第一話.邂逅
世界が紅い色に包まれた。
サードインパクトが行われ世界のすべては一つとなり
辺りはLCLの紅い海が広がり、命ある物は二人の人間だけであった。
しかし一人は既にその命の火を失っていた。
一人取り残された少年がただ一人この世界の住人であった。
彼の名は碇シンジかつてはNERVのサードチルドレンと呼ばれた存在。
しかし今の彼は綾波レイや渚カヲルのような白銀の髪と真紅の瞳を持つアルビノであり、この紅い世界の神であり、ただ一人の住人だった。
しかし人の心はとても弱い物、彼の心は孤独という名の病魔に冒されていた。
「なんでみんな、ぼくだけ置いていくんだよ。」
父さん、母さん、ミサトさん、リツコさん、NERVの人たち
「ぼくは一緒にいてはいけなかったの?」
トウジ、ケンスケ、委員長、クラスのみんな
「何でぼくを拒絶するんだよ。」
綾波、アスカ、カヲル君
「ぼくがいったい何をしたんだよ、何をさせたかったんだよ、何でぼくだけなのさ、ぼくがいったい何をしたんだよ!」
「みんな自分のことばかり、自分のしたいことを僕に押しつけて、そのくせに何で僕だけこんな所にいなきゃいけないんだよ」
彼は既に壊れつつあった、時間の上ではほんの一ヶ月程度であったが世界でただ一人という孤独に彼は耐えられそうになかった。
たとえ、この世界の神であっても。
そう、彼はこの世界においては神だった。第18使徒リリンと呼ばれる者でもあり第1使徒アダムと第2使徒リリスのすべてを受け継ぐ者であった
それ故に人の持ちうる全ての知識を持ち、使徒の超越した力を持っていた
しかし、どんなに優れた知恵と強大な力を持つ器では有ってもその中身が壊れつつあった。
「いったい僕は何時になったらみんなの所に行けるのかな、それとも死ぬのが先かな?」
「こんな力なんて有ったって何も出来ないじゃないか!みんなも助けられない!」
「僕には何にもないこんな世界がお似合いなのかな? ハハハハ・・・・」
「うわぁぁぁ−−−」
シンジの背に光り輝く12の翼が現れる、そして絶叫と共に光が・闇が・風が・炎が・水が・大地が荒れ狂う。
その憤りと怒りにまかせて神の力が振るわれる
「ううぅぅ、何で・・・どうして・・・誰か助けてよ・・・・・・誰か・・・・・だれか・・・・・・・・・だれ・か・・・・」
そして悲しみに包まれる。
しかし、そのシンジの心の声は遙かな時を越え、空間を越え同じ神にも等しい存在をこの世界に呼び込むことになる。
シンジは自分の知覚に何らかの存在、生命体を感知した。
それを自分の知っているどんなものよりも異質だった。
「なに?この感じは、誰か居るの?誰、誰でも良い。会いたいよ誰なの?どこにいるの?」
『え、あなた誰、私のことが解るの?ねえ、ちょっと助けてくれないかななんかミョーな所に引っかかったみたいなの・・て、解るかな?』
「うん、解ると思うすぐ近くなのに何だこれ・・・・そうか、これディラックの海だ。ちょっと待ってて」
『おねがーい』
シンジが何もない空間に手を伸ばす。そして、その空間に広がる黒い闇・虚空がひろがる。
「なに、これ、とっても大きい、君は人間じゃないの。」
『うん?わたしはファティマだよっ・・・って違う違う、この大きい子は私と一緒に旅してるKOG(ナイト・オブ・ゴールド)だよ』
そして虚空の中から現れたソレは人の姿をした巨大な黄金の甲冑をまとった騎士だった。
そしてその額から一人の女性が降り立つ。
「ありがとー、この近くで急に変なブラックホールみたいなのに巻き込まれてこまってたん・・」
女性が言い終わるよりも早くシンジは彼女に抱きついた
「人間が、人だ、やっとあえた、一人じゃないんだ、もう僕一人じゃないんだ・・・うぅぅぅ」
「ちょ、ちょっと、ねえどうしたの?大丈夫?ひょっとして具合でも悪いの」
「ちがうんだ、嬉しいんだ、人に会えて嬉しいんだ、とっても・・・僕はずっと一人だったから、ずっと寂しかったから、」
「ってどういうこと?ここには誰もいないの?・・・・そういえばあなた以外誰も人の気配がしないわね、どうしたのよかったら私に話してくれないかな?」
女性の口から信じられないことが語られた。サードインパクトを知らない?あれだけの大変なことが起きたのにまるで知らないようだ。
「え、どういうこと、あなたはサードインパクトに遭わなかったの?」
「さーどいんぱくと・・・なにそれ?私はついさっきこの次元に迷い込んできたばっかりだから、こっちでなにかあったのかわかららないの。」
「この次元?どういうことなのあなたは人間じゃないの?そういえばさっきファティマって言ってたし、それにあのロボットは何なのエヴァじゃないみたいだし」
「うーーん、さっきも行ったけど私は厳密には人じゃなくてファティマ、ファティマ・ファッティスなの。なんて行ったらいいのかな、うーん人工生命体?って言って解るかな人工的に作り出された人って言ったら解ってもらえるかな?
ソレとあの子はさっきも言ったけどKOG(ナイト・オブ・ゴールド)て言うの、私のM・H(モータヘッド)だよ。」
「人工生命体?でもあなたは人そっくりじゃないか、どこが人と違うのさ?それにM・H?なにそれ?誰があんな物作ったの?・・・まさかひょっとして宇宙人なの?」
シンジは女性と黄金のロボットを交互に眺めてみる。
たしかに地球にはこんなロボット存在しなかった
エヴァやJA・トライデントと比べてみてもあり得ない構造をしていた。
何より、よく見てみればその非常識な装甲、何と全て純金であった。全長18メートルほどもある全身のすべてが。
一体何トンの金を使用しているのやら。
「それそれ、いやーあっちこっちいろんな星の人に会うんで何時も「人」で通してるからその言い方忘れてたの。ごめんね
うん、私はジョーカー太陽星団出身の宇宙人だよ。(笑 」
「見た目は僕たちと変わらないのに」
改めてシンジはその女性を見る、確かに人並みはずれた美女ではあるが額につけられたクリスタルや身につけている服以外はなんら人間と変わりなかった。
「うん、君も私の生まれたところの人たちと何も変わらないみたいだね。よかった〜、これで何とか食事が出来そう。実はあたしお腹ペコペコなの、何か食べ物ない?」
「ちょっと待っててください、すぐに何か作りますから。」
「ありがとー、そうそう私の名前はラキシスだよ。ホンとはもっと長いけどみんなラキとかラキシスって呼んでるからそうそれでいいよ。」
「えーと、ラキシスさん。ぼくの名前は碇シンジです。シンジってよんでください。」
「うん、シンジ君だね。わかった、ソレじゃあ詳しいことは食事の後にでも話そうか?」
「はい解りました。えーと、何か嫌いな物や食べられない物はありますか?」
「うーん、特には無いよおいしい物なら何でも食べるよ。」
「はい、じゃあ少し待っててくださいね。」
そういうとシンジは近くの廃墟から真空パックや缶詰・レーションなど保存食と調味料をもって、また別の建物に入っていく。
既に地上の都市の殆どが廃墟と化しており、新鮮な肉・魚・野菜と言ったものは手に入らなくなっていた。それだけにシンジは保存食のたぐいを調理して食事のバリエーションを増やしていた。
そして、30分ほどすると食欲をそそるにおいと共にシンジが廃墟から出てきた。
「すいません、ここには新鮮な野菜や肉類が無いので保存食のたぐいを調理したものしかないんですけど。でも、結構おいしいですから食べてみてください。ラキシスさん」
「うわーおいしそう、これほんとに保存食?とってもおいしそうだよ。」
「そういってもらえると嬉しいです、さあ冷めないうちにどうぞ。」
「いっただっきまーす」
そういうとラキシスと名乗る女性はあっとゆう間にそれらを食べ尽くし、結局シンジはその後も2度ほど追加を作りに行くことになった。
しかし、シンジには嬉しかった、誰かが自分の料理を食べてくれておいしいと言ってくれる、それだけで幸せだった。
そして、今二人は食後の御茶をいただいていた。
「ごめんねー私ばっかりパクパクたべちゃって、シンジ君あんまり食べてなかったでしょう。」
「いえ、いいんです。嬉しかったんです。誰かが僕の料理を食べて美味しいって言ってくれる事なんてもう無いと思ってましたから。」
「???どういう事かな、そろそろこの星のこと教えてもらえないかな。さっきも言ってたけどこの星にはどうも君以外には誰もいないみたい。実は食事作ってくれてる間にこの子KOGと一緒にこの星のことを調べてたんだけど、どうも一ヶ月ぐらい前までは人が生息してたみたい何だけど。今は君以外誰も住んでないみたいなだよね。」
「はい、実は・・・・・・」
シンジはこの星で起きたことのすべて、死海文書・セカンドインパクト・NERV・エヴァ・使徒・そしてサードインパクトによってこの星が死の星になってしまったすべてを語った。
「そう、そんなことが、全く何を考えてんのかなーこの星の住人は。」
「そんなことしても神になんかなれるもんじゃないのに。」
「そうですね、でも彼らは神を作り上げました僕「碇シンジ」という、この死の星のたったひとりぼっちの神を。」
「え、君神様なの?」
ラキシスの表情が変わる。しかしそれは神と言う存在に対する畏怖や疑念ではなかった。
そう、ただビックリしたという程度のそれだった
「ええ、ラキシスさんがこの世界にきたときに引っかかったディラックの海、あれを作ってしまったのも僕なんです。」
「寂しくて、悲しくて、八つ当たりをしていたんです・・・・この世界に。」
「へーすごいんだね。そういえば君もソープ様と同じアルビノだね。」
「ソープ様?その人はアルビノなんですか?」
「うん私のマスターだよ、おまけに光の神様だよ。」
「え、その人も神なんですか?どこにいるんですか?どこに行けば会えるんですか?」
シンジは驚いた自分と同じような姿をした神が他にもいる。自分が孤独な存在では無いという事にとても喜んだ。
そして、できることならその人に会いたかった。
「えーとね、私もソープ様とはぐれて今自分の居場所がよくわかんないんだ。ごめんね」
「いえ、すいませんラキシスさんもお一人だったんですね。無神経なこと言ってすいませんでした。」
シンジは落胆した、しかしそれを顔に出すわけには行かなかった。
目の前の女性もまた一人なのだから、彼女もきっと寂しいに違いない。そう思うと自分だけが辛そうな顔をするわけには行かない。
少しだけ生きる気力が出てきた、自分と同じような境遇の人が他にもいる、ただそれだけでも生きる希望になった。
「いいのよ、それじゃあ今度は私のことを話そうかな?そうすれば私たちのこともある程度解ると思うから。」
「はい、お願いします」
そして、ラキシスの口から語られたのは自分たちとは全く異なる世界の不思議な物語であった。
以前のシンジには到底信じられないようなことであったが、今の自分の存在と目の前にいる女性とロボットそれらを前に疑う必要はなかった。
しかし、それでもシンジには驚きの連続だった。
遙かな宇宙の彼方に太陽系とは全く異なる星団があり、そこに住む人々、そしてそこにある世界、何もかもが想像も出来ないようなことばかり。
だがそれらの中でも目の前にある存在ファティマ・MH、そして騎士(ヘッドライナー)
これら存在にシンジはとても興味を引かれた
ファティマ:人工的に作られた生命体、騎士のサポートを行いMHを操る、優しくも残忍で美しくも悲しい存在
MH:人の手によって生み出された最強の兵器であり生命体、そして騎士の振るう剣であり鎧
騎士:人の力を超越した超人たち、最高の栄誉を受け戦争の全権代理人として、戦うために生まれてきたファティマたちの主
シンジには共感するところがあった。
エヴァに取り込まれた肉親たち、そして戦闘用として生み出された生物エヴァ、そして戦うことを義務づけられた自分たちチルドレン
シンジはしばらくラキシスの話に聞き入っていた。
そして、ラキシスの話が終わった
「ラキシスさんはいつまでこちらに居るんですか?」
「うーん、どーせ当てのない旅行だからしばらくはここにいるつもりだけど。ひょっとして邪魔?」
「いいえ、そんなことないですよ。ここはとっても寂しいから。一人はいやだから、だから誰かにいて欲しかったんです。」
「ありがと、そうだしばらくしたら私と一緒に行かない?特に当てがあるわけじゃないけど、いろんな世界に行って見ようよ。」
「ほんとですか・」
『ならん!!』
その時二人しかいないこの世界に何者かの声が響き渡った
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あとがきみたいなモノ
初めましてふぇいと言います。
私にとって初めての作品となりますこのシリーズお解りの人はもう解ると思いますがFSS(FiveStarStores:ファイブスターストーリーズ)との融合作品です。
と言ってもFSS本編のキャラが登場するのはこの序章の間だけです。後はシンジとそのパートナーと愛機(MH)が登場してきます。
初心者なので文章におかしいところや表現の未熟なところも沢山あると思います、そんなときはメールにでも書いておくってください。
まだ序章の第一話が終わったばかりですが、FSSをご存じの人なら解りますが次からは本編の設定を無視しまくった行動に出ます、しかし二時小説と言うことで目をつぶってください。
FSSを知らない方たちには正直解らないことも多いと思いますが、そういうときは古本屋にでも行って一度本編を見てください。
ガンダムなんかとは違った工芸品のようなロボット(MH)達を見ることが出来ます。
この話は序章1、本編3、終章1.5ぐらいの比率で構成する予定です。
逆行最強物にですがオリジナルを沢山登場させようと思っています。もっとも終章辺りでまた本編のキャラを登場させようかな?なんても考えています。
などと恐ろしく気の早い話をしていますがこれからもがんばっていこうと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
PS、既に序章はあらかた下書きが終わりました、これからいよいよ本編の構成に入ります。序章の続きは公正が終わり次第投稿させてもらいますのでしばらくお待ちくださいい。