ユ ニ ゾ ン



「何も言わないで。」
シンジが、何か言おうとする前に、あたしは言った。

シンジが、あたしの背後で、心配そうにあたしを見守っている。
その様子が、目の前のガラス張りのジュースの陳列棚に映っていた。

「…わかってるわ。あたしは、エヴァに乗るしかないのよ。」
自分に言い聞かせるように、あたしは言った。

ことによると、あたしの人生で最初の敗北かも知れなかった。

使徒を倒すための、同時加重攻撃。
そのためのユニゾンを習得する訓練を、あたしとシンジはしていた。
ミサトの家に、同居までさせられて。
BGMにぴたりと合わせられる完璧なあたしと、ワンテンポ遅れるシンジ。
息を合わせるなんてことは、どだい無理な話だった。

それを、あいつ…綾波レイはやってのけた。
シンジがいつも遅れるところを、まるで先読みしていたかの様に合わせてみせた。
最初から、最後まで…鏡に映すかの様に同じテンポで演じてみせた。
ここまで他人に合わせることなど、双子でも無理だろう。

癪だけど、あたしには分かる。
曲に完璧に合わせるより、他人に完璧に合わせる方が、数倍難しいことを。

「これは作戦を変更して、レイと組んだ方がいいかもね。」
ミサトにそう言われ、いたたまれなくなってあたしは飛び出してきたのだ。

やみくもに走り続け、気がついたらこのコンビニの前にいた。
無性に、のどが渇いていた。

店に入り、ジュースの陳列棚の前にしゃがみ込んだ。
そういえば、あたし、財布を持ってこなかったんだ。
どうしようもないことを、どうしようと、ぼんやりと考えていると、店の外の様子が
目の前の陳列棚のガラス面に映っているのに気づいた。

シンジが、店の前まで来て、荒い息をついてへたり込んでいるのが見えた。
あたしを、追ってきたのだろう。
あたしと同じ、レオタード姿だった。
女のあたしでさえ、冷静に考えれば少し恥ずかしい姿なのだが、まあスポーツ中だと
言い訳すれば、なんとか耐えられる。
だけど、男のレオタード姿はいただけない。はっきり言って、ピエロだ。
案の定、道行く人々が、レオタード姿で息も絶え絶えのシンジを奇異なものを見る目で
見ている。

こっちが恥ずかしくなるじゃない、と見ていると、さきほどまでこのコンビニにいた
おばさんが、レジを済ませて店を出て行き、シンジに二言三言、話しかけているのが
見えた。
なんと、あたしの方を指差しているではないか。
同じ格好をしているあたしが、この店にいることをシンジに教えているのだ。
まったく、余計なことを。
…まあ、いいけどね。「財布」が来たのだから。




夕陽が照らす公園で、あたしはコンビニで買い込んだサンドイッチをほおばり、ジュース
で流し込んだ。

「こうなったら、なんとしてもファーストやミサトを見返してやるのよ。」
口をもごもごさせながら、そう言った。

シンジは、くそ生意気にも、あたしのことを微笑みながら見ていた。




とにかく、二人の息がぴったり合わないと、話にならない。

生活のサイクルを合わせ、訓練でリズムを合わせる。
あたしとシンジは、それに専念した。

残された日数は、数日しかない。
だが、訓練を始めた頃には絶対ムリだと思ったユニゾンが、何とかなるのでは思えるように
なってきた。

食事や就寝、その他の行動サイクルを合わせることで、訓練の中でもなんとなく、シンジが
何をやろうとしているのか、掴めるようになってきた。

とくに顕著なのは、曲に合わせて踊る時に、これまで必ず動きが合わなかったところだ。

いつもシンジは、ワンテンポ遅れているところがあった。
あたしは、そこのところで、心持ち待ってやることにした。
当然のことながら、それだけでタイミングのずれは、うんと縮まった。

「あれ?」
曲が終わってから、シンジは不思議そうに言った。
「アスカ、待っててくれたの? さっきのところ。」

「そうよ。
 もう、おいてけぼりにはしないから、あんたもタイミングを合わせなさい。」

「うん、やってみる。」

繰り返し練習するうちに、かなり動きが合うようになってきた。
厳しい見方をしなければ、そこそこ息が合っていると言えるほどに。

そのことで、あたしは気づいた。
シンジがワンテンポ遅れるのだと思っていたが、実はあたしも少しだけ、テンポが早すぎた
のではないだろうか。
「あるべき姿が見えた」ことで、それまで気づかなかった、あたしの悪さも見える様になった。

そしてなにより、他人に合わせることの楽しさをあたしは知った。
そうなるとこれは、ただの訓練ではなくなってきた。
同じものを食べ、同じように眠り、そして動きを合わせて踊る。
これって、こんなに楽しいことだったんだ…。




訓練を初めて、四日ほどたったある日の夕方。

あたしとシンジは昼間の部の訓練を終え、気分転換と体力づくりを兼ねてジョギングに出た。
これも、あらたに加わった日課だった。

ジョギングコースの大半は、あたしが数日前に家を飛び出したときのルートをなぞっている。
別に深い意味はない。
強いて言えば、あのときの決意を再認識するためのものだ。

そして、あたしたちはジョギングの途中でファースト…綾波レイと出会った。

「どうしたのよ、こんなところで。」
あたしが声をかけると、

「あなたたちの訓練の様子が、知りたくて…。」

「ひょっとして、家に来るつもりだったの。」
シンジの問いに、
「ええ。」
短く答える。

「見にきたところで、何のおかまいもできないわ。」
「それは、いい。 様子を見たかっただけだから。」

「変な子ねぇ。」
そう言いながら、あたしはもしかしたら、と思った。

もしかしたら、この子、作戦の成功を願う一方で、あたしとシンジの息が合うことが 
気になってしかたがないのかも知れない。

「いいわ、見せてあげる。」
にんまりと笑みを浮かべて、あたしは言った。

「え? 見せるって何を。」
とまどうシンジに、
「訓練の成果をよ。今、ここで。」

「え? でも…。」
「音楽がなくたって、できるでしょ。最初のターンのところまででいいわ。ほら、いくわよ。」
「う、うん。」

躊躇するシンジにかまわずに、あたしは両足を開くと片手を大きく上にあげた。
ユニゾン訓練の最初のポーズだ。
シンジもあわててそれに倣う。

そこから、一区切りするまで、あたしとシンジは踊って見せた。
往来の中で、立ち止まってあたしたちを見る人たちもいたが、そんなことはどうでもよかった。
他人に見せて恥ずかしい出来ではなかった筈だ。
息もぴったり、動きも完璧。
あたしは、満足して演技を終えた。

「どう?」

「思ったより、上達しているわ。」
相変わらずの無表情で、ファーストは言った。

「他に、言うことはないの。」
「他に? 何を?」

「あんたがお手本見せてくれたときより、今のあたしたちの方が息がぴったり合っているとか。」
「別に。」

なによ、それ。
今でもあんたの方が、シンジとぴったり合わせられるとでもいうの?
ファーストはかなりショックを受けるだろうと思っていたのに、あたしはあてが外れた。

「その調子で、がんばって。」
そういうと、ファーストはあたしたちに背を向けると、帰っていった。

「ありがとう、綾波。」
その後ろ姿に、能天気にお礼言ってるやつが隣にいるので、あたしはじとっと睨んでやった。

「な、なに? どうかしたの。」
「なんでもないわよ、行くわよ!」

ファーストのことを、気にしている場合じゃない。
あたしたちは、ジョギングを再開した。




そして、決戦の前夜。

ミサトがネルフに出かける前に、こう言った。

「明日のことでいろいろと準備があるから、たぶん今夜は帰らないと思うわ。
 ユニゾン訓練は、軽めに最終調整すること。
 それから、わたしの留守中に、二人ともケンカするんじゃないわよ。」

「まかせといて。 あたしたちのユニゾンは、完璧よ!」
「それじゃ、行ってくるわね。」
「行ってらっしゃい。」

ミサトが出かけたあと、

「それじゃ、シンジ。 軽〜く調整しときましょうか。」
「そうだね。」

すでに日課となったユニゾン訓練を、三度ほど繰り返す。
うん、完璧ね。

「いいわ、これくらいにしておきましょう。」
「そうだね、明日に疲れを残してもよくないし。」
「そういうこと。」
 
それから、食事をしてから、あたしが先に風呂をいただくことにした。

風呂からあがると、シンジは居間で寝転んでSDATを聞きながら雑誌か何かを読んでいた。
このあたしが、バスタオル一枚でいるというのに、興味もなさそうに背中をこちらに向けている。
なんだか、しゃくにさわったので、

「ねえ。」
と、呼びかけた。

「なに?」
背中を向けたまま、応えるシンジ。

「今夜は、二人っきりね。」

そう言ってやるとシンジは、

「え? ええっ!?」
こちらを振り向き、あわてて目をそらした。

「そんな恰好してると、風邪ひくよ。 明日は決戦なんだから。」
それっきり、シンジは向こうを向いてしまい、あたしを見ようとはしなかった。

なに、それ。
あたしは、なんだか裏切られたような気がした。

ここ数日、なんとなくいい感じになってきたあいつに、少しだけサービスしてやろうと
思ったのに。

あたしなんかより、SDATや雑誌の方がいいってわけ?

それとも、あたしより先に、ミサトと暮らしてきたものだから、あたしのスタイルなんかに
興味はないってわけ?

むしゃくしゃしてきたので、向こうをむいているシンジの背中を、足の指先で軽く押した。
本当は、蹴っ飛ばしてやりたかったのだけど。

「なんだよ。」
シンジはそう言ってこちらを向きかけ、すぐに慌ててあたしに背を向けた。

「同じサイクルで生活しなきゃ、完ぺきなユニゾンは望めないんじゃなかった?
 さっさとお風呂、行ってきなさいよ。」

「わかったよ。」
シンジは、SDATのイヤホンを外し、雑誌を床に置くと立ち上がった。

そしてそのまま、あたしの方を見ようともせずにお風呂場に向かう。
あたしは、シンジが入浴中に部屋着に着替えた。

なんだろう、この物足りなさは。
あたしは、ひざを抱えて居間に座ったまま、ぼんやりと考えた。

この数日、すべてをあいつに合わせて暮らしてきた。
それはそれで、楽しかったのだけど。

何かを共感するということが、心地よかったのかも知れない。
でもあたしは、もうひとつ上の、何かがほしいと感じていたのだった。




シンジが、風呂からあがってきた。
新しいTシャツと短パンに着替えている。

あたしは、シンジが何か言うのを待っていたけど、シンジは何も言わずに再びSDATの
イヤホンを耳にセットしようとしていた。

「ねえ。」
思わず、シンジに声をかけてしまった。

「明日のことなんだけど…。」
「なに?」

シンジは、きょとんとした顔でこちらを見ている。

「…なんでもないわ。」

「どうしたのさ。何か、言いたいことがあったんじゃないの。」

「なんでもないって言ってるでしょ!」
あたしはそう言うと、自分の布団を抱えて立ち上がった。

それを、隣のミサトの部屋に運び込む。

そして言った。 

「これは、決して崩れることのない、ジェリコの壁。
 この壁を、ちょっとでも越えたら、死刑よ!
 子供は夜更かししないで、寝なさい!」

言い終わると、部屋の扉をぴしゃりと閉めた。

閉めたあとで、あたしはうなだれた。
シンジのきょとんとした顔が、脳裏に焼き付いていた。

あたしは、何をしているのだろう。
シンジに何を、してほしいのだろう。

何かを期待している、物欲しげな自分がいやだった。



眠れない…。

明日は決戦だというのに、あたしはなかなか寝付けなかった。
万全の体調で臨まなければならないというのに。

『こんなことでは、明日の作戦に差し支える。』
そう思うのだが、心に引っかかるものがあって、眠れない。

昨日までなら、訓練の疲れでとっくに眠っている時間なのに。
決戦を前に、気が昂ぶっているとか、そういのではない。

隣の部屋で、シンジもずっと起きていることが気配で感じられる。

何か、話をしたい。
いえ、そうじゃないわ。
何でもいい、シンジの方から、話しかけてきてほしかった。

『どうして、あんたは、何も言ってくれないのよ!』
そう、あたしの不満は、そのひとことに集約されていた。

なんとなく、お互いの気持ちが通じるようになったと思ったのに。
決戦前だというのに…。
二人きりの夜だというのに…。
一言もないなんて。

それでもいつしか、あたしは睡魔にとりつかれていた。
少し、うとうととしてしまった。

だが、何か大事なことを忘れていたような気がして、目を覚ました。
そうだ、お手洗いに行かなくては。

起き上がり、扉を開けて手洗いに行く。
シンジの前を通ったけれど、ぴくりとも動かないところを見ると、よく眠っているようだ。

そこから、用事を済ませたあとの記憶がない。

ただ、無性に人恋しかった様な気がする。

だから、かも知れない。
次の朝起きたときに、あたしはシンジの布団の上で目覚めた。
シンジは、ちょっと気の毒だったが、少し離れた床の上で寝ていた。

いくらなんでも、シンジがあたしをそこに運んだとしたら、その時点で気づくだろう。
たぶん、あたしが寝ぼけてシンジの布団で眠り込んだのだ。

それでも、シンジをゆり起してこう言っておかなくてはいけなかった。

「あんた、あたしに変なことしなかったでしょうね!」

シンジは、全力で否定した。
…本当だろうか。
とりあえず、信用してやることにした。
なんだか、それが残念な気もしたが。




そして、作戦決行のときが来た。

「目標は、強羅絶対防衛線を突破」

報告を聞いたミサトが、言う。
「来たわね。 
 今度は抜かりないわよ。
 音楽スタートと同時に、ATフィールドを展開、後は作戦どおりに。
 二人とも、いいわね。」

「もちろん!」
あたしは、自信満々に答えると、シンジに向かって言った。

「いい? 最初からフル稼働、最大戦速で行くわよ。」

シンジは頷いた。
「わかってるよ。62秒でケリをつける。」

うん、いい応えだ。
自信に満ちている…シンジにしては、上出来ね。

「目標、ゼロ地点に到着します!」
「では、作戦開始!」

その声と同時に、戦いは始まった。

弐号機と初号機…あたしと、シンジのエヴァが発進した。
使徒は、二体に分裂したまま、こちらに向かってきている。

ソニックグレイブを投げつけ、パレットガンを射ち、さらにはポジトロンライフルで
二体を攻撃する。
すべては、敵の動きを止めるための牽制だ。
あたしとシンジのエヴァの動きは、鏡に映したかの様にぴたりと合っている。

使徒の反撃も、同時にバック転を決めて躱す。
兵装ビルからの支援攻撃で使徒が一瞬ひるんだところを、さらにパレットガンを浴びせ、
続けて使徒の胸元へのキックを二体同時に決めた。

「目標、再び一体に合体します!」
チャンスだ、あたしとシンジは、そう悟った。

弐号機と初号機は、空高く舞い上がった。
使徒は合体を終えたばかりで、まだ動けない。

そのコアに向かって、同時の加重攻撃。
ツープラトンキックが決まった。

大音響とともに爆発。
使徒は、殲滅できた。




あたしとシンジのエヴァは、爆心地にできた大穴の中でもつれ合う様に倒れ込んだまま、
その場を動くことができなかった。

内部電源が切れているので、救助が来るまでどうすることもできない。
仕方なく、エントリープラグから這い出ると、プラグ射出口の近くにある非常用の電話を
手に取った。

救助を求めるためではない。
そんなことは、放っておいてもやってくれる。
その前に、話をつけておきたい相手がいたのだ。

「ちょっとお! あたしの弐号機になんてことすんのよ!」

電話口に向かって、あたしは叫ぶ。
かけた相手は、同じようにエントリープラグから這い出てきている筈のシンジだ。
すぐに、返答が来た。

「そんな、そっちが突っかかってきたんじゃないか!」

一丁前に反論してくれるじゃない。

「なによ、寝てる隙にあたしの唇、奪おうとしたくせに。」
かまをかけて、言ってみた。

「ず、ずるいよ、起きてたなんて!」
「ひっどーい! 冗談で言っただけなのに、本当だったの。 キスしたのね!」

「し、してないよ。あんな悲しそうに泣いている顔に、できるわけないじゃないか。」
「あ、あたしは泣いたりなんかしないわ! でたらめ言ってるんじゃないわよ。」

「嘘じゃないよ。泣いてたのは事実だし、キスもしてない!」
「だから、それが嘘よ! あたしは泣かないって決めてるんだから。」

怒りにまかせる様に喚きながら、その実あたしの気持ちは、晴々としてきていた。

『未遂に終わったようだけど、シンジはあたしにキスしようとしていた。』
それだけは、事実のようだ。

あたしに、魅力を感じていないわけではなかったんだ。
そして、あたしの唇を奪おうとしながら、直前になってそれを思いとどまった…。
あたしへの思いやりか、それともただ、度胸がなかっただけなのか。

昨晩、ちゃんと言葉にしてくれていれば、あたしだって応えてあげたのに。
まあ、いいわ。
ひとつ、貸しにしておいてあげる。
いつの日か、キスする機会を与えてあげるから、そのときは逃げるんじゃないわよ。




その後、救助の人たちが来て、あたしとシンジは無事、本部に帰還することができた。

非常回線を私用に使ったということで小言を言われたが、作戦を成功させた功績を認められ、
大したお咎めもなく、家に帰って休めとすぐに解放された。

シャワーと着替えを終えてロッカールームを出ると、そこにファーストがいた。

「ん? 何か用?」

「作戦成功、おめでとう。」
「うん、ありがとね。」

あたしは、笑みを浮かべて言った。
まさか、ファーストに祝福されるとは、思ってもいなかった。

でも、何か違和感がある。
それっきり、ファーストがそこを動こうとはしなかったからかも知れない。

そういえば、この隣に男子のロッカールームがある。
シンジが、そこで着替えをしている筈だった。
まさか、と思い、尋ねた。

「シンジを待っているの。」
「ええ。」

「シンジに、何の用?」
「別に。」

また、『別に。』か。
その態度にあたしは、むっと来そうになったが、はたと気づいた。
そうか、やっぱり、そうだったんだ。
あのときもこいつ、あたしとシンジのことを、気にしていたんだ。

「おあいにく様ね。シンジはこれから、あたしと帰るのよ。」

「作戦が終わったら、また別々に暮らすのではないの。」

「だれか、そんなこと言ったの? だとしたら、それは間違いよ。
 あたしは、これからもずっと、ミサトのところで暮らすんだから。」

「そう…。」
ファーストが、がっかりしているのが、今度はちゃんと判った。

「心配しなくても、シンジとはちゃんと、うまくやっていくわよ。」

あたしは、嬉しかった。
このあたしに、人生で最初の敗北感を与えてくれた、ファースト。
そのファーストに、一矢報いることができたのだ。
ほんの些細な勝利だけど。

さて、ファーストが言ったことが、万が一にも現実にならないよう、ミサトに釘をさして
おかなければ。
作戦が終わったからといって、これでお別れということは、まずないだろうけど。
あの、面倒見のいいミサトのことだから。
                  完