COUNT GETTER
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ハロウィンの夜
ヴァッシュが朝から台所でそでまくりをして何かに取り組んでいる。
昨日卵とバターと小麦粉を山程買い込んできて、今は、家中に甘い香りが漂っていた。
ウルフウッドは最初何事かと思ったが、祭りの飾り付けや、そわそわと落ち着かない子供達を思い出して、ああ、と納得する。
ちょっと手伝おうかと、決して苦手ではない台所回りの作業に取り組み始めるが、三十分もその中にいると、いい加減胸焼けがしてきた。
「・・・いくつ位作るつもりなんや」
「ええーーっとぉ。百個・・・ぐらい?」
「ひゃっこぉ?!」
思わず声が裏返ってしまったウルフウッドだった。
「いや、だって、小さいじゃん、これ」
「・・・・」
確かに、ウルフウッドの小指の先が入るか入らない程度のベビードーナツではあるが。
とてもつきあっていられない。
「今、揚げとる分おわったら、ワシ出かける」
どのみち、教会で配るおかしの支度を手伝いにいく予定で、最後まではつきあえないのは分かっていたのだが、教会のお菓子は既製品でキャンディーとかガムとか、既に梱包されている物だから、まだましな気分になっていた。
「そっか、教会の仕事があるんだよね。大丈夫、夜までには出来上がってるよ。ひとつたべてけば?」
甘ったるい匂いだけで、既に五、六個詰め込まれた気分で、ウルフウッドはぷるぷると首をふり、慌てて家を出た。
教会の関係者も、今日ばかりは近所の子供達の為にも、自宅でおかしを用意して待たねばならない。
教会のプレゼントは仮装していなくてももらえるので、夕食前の子供達が嵐のようにやってきて、かっさらうとさっさと退散していった。
「・・・あいつら、菓子無料配布所と間違うとりますよ、きっと」
とっちらかった教会の入り口を片づけながら、ウルフウッドは笑いながら言う。
「まぁでも、この位のお菓子であれだけ喜ぶんだから、可愛いものさねぇ」
手伝いにきていたおばちゃん達も、軽口を叩きながらからっぽになったダンボールをたたんでいる。
「ニコラス牧師んトコはおかしを準備したかい?油断しているととんだ悪戯をされるよ」
「相方が、何や用意しとったから、どうもないでしょう」
ウルフウッドの家庭事情が、どんな風に理解されているのか微妙な所である。
少なくとも結婚しているとか子持ちだとかは言っていない。
いい人を紹介してあげようか、とここに通いだした当初は色々といわれたが、もうおりまっさかい、と答えてある。
でもって、ヴァッシュと二人で住んでいる事を、知っている人は知っている。
面と向かって聞いてきた人が居ないので、わざわざ男の恋人と同棲してるとは説明しないが、「ヴァッシュさんは恋人なのかい」と聞かれたらきちんと答えようと思っている。
さておき、教会の仕事は終わって、ウルフウッドはその恋人が待つ家路を辿った。
このあたりの自治会で、子供が各家庭を尋ねてもいいのは八時から十時までと決めてある。
もちろん多少のフライングや遅刻は多目に見ることになってはいる。
ヴァッシュはかわいい仮装をした子供達が来るのを大層楽しみにしているらしく、食事もさっさと終わらせて、ウルフウッドにも食後の酒をきりあげさせた。
八時、窓の外がにわかに騒がしくなる。
かぼちゃのランタンがあちこちでぶらぶらして、その内にノックの音。
ぱぁっと明るくなるヴァッシュの表情を見れば、ウルフウッドも何だかうれしくなる。
「Trick or treat!」
ヴァッシュはかわいらしくラッピングした、ドーナツを嬉しげに差し出した。
籠に入れて置いたドーナツも、あと二袋。子供の数よりも多目に作ってあったから、だいたいの子供はもらい終わったのだろう。
時計を見れば10時20分。
「もう、お開きかな。・・・お茶でも入れようか」
お菓子をもらいにきた子供の中には、ヴァッシュが作ったのだと聞いて、驚いたり、喜んだり、心配そうにしたりと、色んなリアクションを見せてくれた。
それらを心でかみしめながら、お茶というのは悪くない。
丁寧にいれられたコーヒー。ヴァッシュは残ったドーナツをがさがさと袋から出して、皿にあける。
「ウルフウッドも食べる?」
既に二つ三つ口にほうりこんだヴァッシュが聞いてくる。
いらんいらん、と首をふると、そう?と少し残念そうに言った。
最後の一個がぽつんと皿にのっかっている。
「なぁ、手前味噌だけど、かなり上手くできた自信あるんだよね、一個位味見してみなよ」
ずい、と皿が差し出される。
じいっと、期待の眼差し。
やくたいもない期待というのは、これがなかなか抗いにくい。
ウルフウッドは、小さなドーナツを親指と人差し指で摘むと、にやりと笑ってヴァッシュの口元に差し出した。
「オンドレが半分食うんやったら」
うんうん、とヴァッシュは嬉しそうに口を開ける、かちりと指が歯にあたって、噛みちぎるつもりだった口は塞ぐ事ができない。
そのままウルフウッドが顔を近づけると、ウルフウッドのねらいを悟ったようで、眉が顰められる。
少し困ったように瞳が閉じられて、舌がくい、とドーナツを押した。
半分より、少し多目に出されてしまったドーナツから指を離し、ウルフウッドは唇に挟む。
同時にこんこん!と高いノックの音。
道をうろつく人の気配はしていたけれど、まさかこの家に用事とは思っていなかった二人は、びくりとした。
慌ててヴァッシュがドーナツから撤退する。
ウルフウッドもとにかく口の中に全部取り込んでしまう。
砂糖と、バターとミルクの味。
甘いものと言うだけで普段は敬遠するウルフウッドだが、懐かしい、甘ったるい気分にさせるものだった。
確かに旨いドーナツなのだろうと思う。
が、今はそれどころではない。
口元を拭いながら、ヴァッシュはドアにぱたぱたとかけていく。
このままなだれ込みも予定していたウルフウッドはかなり面白くない。
「あ、ジャック、ず、随分遅くない?」
焦ったような声が聞こえる。時刻はもう十時半も過ぎている。
「メリーがヴァッシュの作ったドーナツもらったって・・・」
子供も、約束破りなのはわかっているらしく、声は小さい。
「だってさ、ヴァッシュんチなんて、男やもめだろ?どうせウチで買ったお菓子だろうと思って、後でいいやと思ってたら忘れちゃって・・・」
ジャックの家は、食料品やお菓子を売っている店で、子供とはいえ、なかなかにシビアである。
「お兄ちゃんだけ、一個もらって食べたの!あたしもヴァッシュの作ったドーナツ食べたい!!」
どうやら、子供達の間で収穫したものの比べっこなんかをしたのだろう、そこで好評のドーナツを手にいれ損ねた三兄弟が、押し掛けてきたらしい。
「え、ええと。実は、もう、無くなっちゃって・・・」
しどろもどろの答え。
実は残っていたのだが、ついさっき、最後の一個を食べてしまったとはとても言えない。
しかもあんな風にとは。とても。
うわーーーん。と女の子の泣き声。
いつも元気もののジェーンだ。
「だからあたし、先にヴァッシュのトコ行こうっていったのに・・!!」
しゃくりあげながら、ジェーンが兄のジャックを責めている。次男のジョーは、普段から寡黙な質だが、黙ってついて来たというのは、そこそこの期待があったのだろう。
ウルフウッドはコーヒーで甘い香りを消すと、ため息をひとつついて立ち上がった。
「あら、あら、ニコラス牧師。もしかして品切れで悪さされた?」
しましまの囚人服と、ウエンディとピーターパン。そんな子供達をつれてジャックの店に行くと、母親が慌てて迎えにきた。
「もう遅いからダメっていったのに、ごめんなさいねぇ。」
この場合、やはり年長者のジャックが母親にげんこつをひとつお見舞いされた。
「いや、今ヴァッシュが作っとりますさかい、せやけどあんまり遅ぉなって心配しはったらあかんおもて、連絡がてら一緒に来たんですわ」
母親は、目を丸くして、まぁすいません、と慌てて頭を下げた。
「揚げたてが食べられるって!」
先ほどは大泣きしたジェーンだが、今は満面の笑みだ。
「もう、どうしましょう。あんた達、明日はおやつなしだからね!今日もらったのも没収!!本当にすみません。・・・。全く、ウチの悪たれ共ときたら、お恥ずかしい。・・私が受け取りに行くのがいいですか?」
まだ仮装をしたままの子供達が、その言葉にブーイングを出す。
「僕、ヴァッシュからもらいたい」
年長者ぶって、リーダーをとるジャックと、騒がしいのに近い元気もののジェーンにはさまれて、いつも無口なジョーがぽつりと呟いた。
中間子はオトナになるのが早いというが、目立つ二人の間のジョーを、決して見落とさないヴァッシュを、ジョーがちょっぴり特別にスキなのを知っている。
「せっかくやし、ヴァッシュもそう思とるでしょうから、もうちょっとしたら一緒に戻りますわ」
恐縮して、また母親が頭をさげる。そして思いついたように、サラミと、ウルフウッドがいつも買う銘柄の煙草とマッチを持ってきて差し出した。
「いや、気にせんとって下さい」
「あっ、にいちゃんも子供だ!!」
「仮装しなきゃダメなのよ!」
その様子を見ていた子供三人は、きゃらきゃらとウルフウッドにまとわりつく。
「あんた達!ちょっとは静かにしなさい」
「そっか、仮装したらいいんだ!!」
ジャックがすごく楽しい事を思いついたらしく、母親の言葉など気にも止めず、二人を従えて、ばたばたと店の奥、住居の方に入っていく。
母親は、ため息をつきながら、差し出したものをひっこめようとはしない。
ここで固辞しても、母親に悪く思えて、ちょうど受け取ろうとした時、三人が何やら衣装を持って集まってきた。
「ちゃんと仮装したらもらっていいよ!」
こくり、と次男も頷く。
差し出された衣装は、どうみても大人サイズで、帽子を見れば一目瞭然の、海賊ルックだった。
「いい加減にしなさい!」
母親の叱責に、ジェーンがびえーーっと泣き出す。
ウルフウッドは、サラミと煙草を母親の手に返すと、ジェーンの前にかがみ込んだ。
「そやな、ちゃんと仮装せなあかんな」
優しく笑っていうと、きょとんとした後、ばあっと笑みがひろがる。
ジェーンが帽子をそっとかぶせる。
ジャックが差し出した上着を羽織ると、それだけで随分と海賊らしくなった。
「ジョーは何持っとるん」
がちゃがちゃと音を立てて引きずられているのは、大きなバックルのついたベルトと、鞘と持ち手がくっついている剣だ。
「随分そろってますけど、旦那さんが仮装しはるんですか?」
「・・・いえね、この店を開けた当時は、何しろお菓子が山積みでしょう。子供達はどめが利かなくなっちゃうみたいで、ちょっと店がくちゃくちゃになっちゃって・・・で、翌年からフック船長の恰好をしてね、少しばかり脅かしていたんですよ。まだ私も主人も若かったしね、迫力がなかったんで」
恥ずかしそうに、少し照れて、母親は話す。
「これもつけるのよね!」
ウルフウッドに抱きかかえられているジェーンはポケットにいれていたアイパッチを差し出す。
ジョーは、ウルフウッドの腰回りに、大きなベルトとサーベルをつけようと四苦八苦している。
その様子がかわいいので、ついされるがままになっているウルフウッドだった。
うまく止められないらしく、何度かがちゃりと地面におちる。
「ワイやろか」
ジョーのつむじにむかって言うと、ぷるぷる、と頑固そうに首が振られた。
「ジョー、これで止めたらいいんじゃないか」
「ホンマ仲ええし、ええですね」
顔は、ジェーンがアイパッチをつけようと苦闘中である。手を回して見えない所で結ぶというのは難題らしい。
端からみたら、ウルフウッドの顔にへばりついているみたいに見えるだろう。
「よし、ひっぱっとくから、ここにかけて」
腰まわりでは、兄弟二人がタッグをくんで奮闘中である。
ぐい、と太いベルトが引っ張られて、ワイそんな太いかな、とちょっと心配になってしまったウルフウッドだった。
かちゃり。
どうやら上手くいったらしい。
ジェーンは結局できなくて、母親が結んでくれた。
「かっーーっこいいいいーーっ!!」
ジャックが感嘆の声をあげる。ジョーはこくりと頷き、ジェーンは拍手喝采である。
母親も、ジェーンをおろしてどうや、と手を広げたウルフウッドに見入っている。
「いやだわーー、主人が着ている時は、こんなかっこしてみっともない、と思っていたのに。衣装のせいじゃなかったのねぇ」
おりしも時刻は11時を告げた。
「もう、出来あがっとるかな。したら、行こか!」
片目のフック船長が、にやりと笑うと、心得たジャックがアイアイサー!と答える。
二人も真似をしておかしな敬礼をする。
何だか株をあげたらしいウルフウッドは、今度はジョーをさらうように抱きかかえる。
自分に回ってくる役と思っていなかったらしく、目を白黒させてから、首にぎゅっと抱きつくと、本当に嬉しそうに、笑った。
「Trick or treat!!」
「いらっしゃい!!」
待ちかまえていたヴァッシュは、ドアを開けて、ぱっかりと口を開けた。
「お菓子か、悪戯か?」
テノールの声が、場所柄もわきまえず、色気たっぷりに囁かれた。
「・・・・」
かぁ、とみるみる内にヴァッシュの頬が染まる。
子供達はヴァッシュを見上げ、一体何事かとウルフウッドを振り向き、見上げた。
「でけたんか?さっさと出さんと悪さしよるで?」
今度はちゃんとした子供向けの声で、ヴァッシュははっと我に帰った。
わたわたと、籠にいれて、口をしめていない三つの包みを差し出した。
まだ温かいそれに、子供達の歓声があがる。
「ニコ兄のは?」
おいしそうな匂いとほかほかと立つ湯気に、ガマンできず、既にほおばっている長兄と妹を横目に、ジョーが心配そうに訊いた。
「あ・・・」
「大丈夫、ちゃーんとワイの分は他にとったあんねん、な?」
そう言うと、ようやく安心したように、ジョーもぱくりと口にいれた。
「あったかい内に食べたいのわかるけど、おかぁちゃん心配しよるから、戻りながら食おか」
「うん、そうだった、20分までに戻らないとかあちゃん迎えにきちゃう!あ、オレ、ちゃんと三人で帰ってきなさいって言われてるから!」
ジャックが胸を張る。
「せやけど、ワイもこの服かえさんとやし、一緒にいったらあかんかな」
ちゃんと責任を持って、弟と妹をつれて帰ると約束したのだろう、そのプライドを傷つけないように、あくまで依頼する。
ぷるぷる、とジョーが首を振った。
「ああ、それもう、とうちゃん着れないし、そのままもらって下さいって。いらなかったら捨てていいって!」
ジャックがえらそうに言う。
いや、そうは言われても。
「・・・ちゃんと真っ直ぐ帰れるか?」
三つの頭が、号令がかかったように、こくりと同時に頷いたのをみて、思わずヴァッシュとウルフウッドは吹き出した。
「したら、玄関出た所でお別れや。・・・きぃつけて帰りや」
衣装は様々だけれど、心はすっかり海賊のちびっこ達を名残惜しそうに見送って、ウルフウッドはぱたんとドアを閉じた。
アイパッチをつけたフック船長、もといウルフウッドは、人の悪い笑みを浮かべたままリビングに戻り、えらそうに椅子にふんぞりかえった。
「ワイのお菓子は?」
にやにやしながら言うと、焦って作ったせいだろう、ごちゃごちゃしたキッチンを片づけようとしているヴァッシュが振り返った。
心なしか顔が赤い。
「・・・だいたいさぁ、いい大人がハロウィンに仮装もないだろ」
一瞬見とれて、固まって、頬を染めていたくせに何を言うか。
「お菓子くれへんのやったら、イタズラするで?」
悪戯、の方に、たっぷりと夜の響きを含ませる。
「・・・ドーナツ食べただろ」
「アレはウルフウッドやろ、ワイはフック船長」
椅子から立ち上がると、ガチャ、と金属の擦れる音。
一歩下がるヴァッシュ。
「・・・海賊や。欲しいものは、・・・奪うで」
明らかに夜の気配を感じて、ヴァッシュが身じろぐ。
流しを背に追いつめて、強引に唇を奪う。
がちゃり、がちゃ。
瞬間、ヴァッシュの体に力が入るが、ぬるりと舌を滑り込ませて、背中を撫で上げると、縋るように腕が回される。
味見をしたのだろう、甘ったるい口腔をたっぷりと味わってから離れると、二人の唇の間に唾液が繋がった。
すっかり上気した頬を羞じらうように、瞳がふせられる。
「・・・お菓子がないんわ、ホンマはイタズラされたかったんやろ?」
「ちが・・・」
海賊は、乱暴に服のすそから手を差し込んで、肌を嬲る。
もう、ヴァッシュも否定の言葉ははかない。
「それ・・・汚したら・・・」
実の所、海賊ルックのウルフウッドに、常ならぬ興奮を感じたヴァッシュだったが、かろうじて進言する。
もらっていいと言われたものの、ウルフウッドも返すつもりだったので、仕方なく、ジャケットに手をかけた。
腰のサーベルが音を立てて、まずはベルトを外さねば、と唇はヴァッシュに与えたまま、両手でバックルを外そうとする。
ん?
なんやこれ。
バックルと、ベルト途中の飾りと、サーベルが妙なもので固定されている。
斜め後ろ位で止めていたのは知っているが、つける時には、顔にジェーンが張り付いていたからみていない。
「・・・・」
この形って。
ベルトをずらして、前面にもってくる。
サーベルが二人の足にあたった。
既にとろけかけているヴァッシュは、離れてしまった唇を惜しみながら、ウルフウッドの目線を追う。
「・・・錠前だね」
バックルは、ふつう最初と最後についてかちりとかみあわす仕組みのものが多いが、よくみると片側にしかついていない。
それはどうやったってとめる事はできないだろう。
ジョーが何度も落としていた事とか、けっこうきつく引っ張られた事が思い出された。
皮の分厚い、丈夫そうなベルトは、バックルの本来なら余剰分を通す部分と、ベルト半ばの金属の飾りが、これまた物語の宝箱についてそうな立派な錠前でジョイントされていた。しかもご丁寧に、サーベルは、持ち手が閉じているのだ。それが通してある。
もちろん、鍵がついているなんて、都合のいい話はない。
「・・・切って、しもたら、あかんかな」
「・・・・」
ヴァッシュも事態を把握したらしく、じいっとそこに見入っている。
「・・・上着だけやったら、脱げるで」
「・・・・・・・・・裸に、サーベルついたベルトだけして?」
ウルフウッドは、上着だけ脱いで、後は着衣のままと思っていたが、ヴァッシュの頭の中は、大変な事になってしまったらしい。
言葉からうっかり想像して、ウルフウッドは、へなへなとなってしまった。
もちろんヴァッシュも、自分のあらぬ想像の映像に、すっかりくらくらしてしまった。
かくして、フック船長は大敗退とあいなったのであった。
翌朝、三人の母親が、慌てて鍵を持って尋ねてきた。
ウルフウッドは、がちゃがちゃとサーベルをくっつけたまま出迎えてしまい、更に母親を恐縮させたが、お詫びにと渡された、フック船長のズボンとブーツを酒を、困った顔をしつつも最後は笑顔で受け取った。
もちろん、心の中にはリベンジの野望があった。
がんばれフック船長。
おしまい
◆良いトコをバシさんに見せようと頑張り、実際或る程度は成功♪するのだけど最後の最後でヘタレてしまうウルフ君◆
で承りました。
これを書いた時に、ちうねんさんからイラストをいただくと言う一粒で二度美味しいリクエストでした。
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