パイパーズ3月号より「今月のCD」
◆4人の遠近法。◆
トロンボーン4人で「道化師の朝の歌」とは驚き。
これがキチンと形になっているのには重ねて驚き。
確かに主部は遅めだけど、ラヴェルが残したメトロノーム数字は速すぎて不自然で、ここで演奏されている程度のテンポが適切という説を唱える人もいるので、別に問題とするに値しまい。
中間部の和声感も声部配置が的確で、色合の対比や遠近法も巧みに案配され、音を刈り込んだ物足りなさを感じさせないあたりは流石の一言。
癒し系の情調を漂わすシャルパンティエと、厄介な装飾的走句を伴うレガートのパッセージを歌い交わすラフォッセでは各パートの役割分担の機微。
モーティマーとピショローになると合奏全体のカラーの変化とムードの醸成感。
常設のカルテットとして場数を重ねてきたがゆえの芸域の深化まで、よく伝わります。(小幡)
(以上、パイパーズ3月号を原文のまま掲載しました)