幸せの黄色いトロンボーン

楽器はていねいに扱おう!特にスライドはトロンボーンの命。それでもへこませてしまった場合、リペアマンのいる楽器屋へ持っていこう。数日間入院した後、きれいになって戻ってくるでしょう。しかし、大きくへこませてしまった場合、直しても音が変わってしまうことがあります。自分の可愛いペットと付き合うように、大切に扱いましょう。

スライドは、外管も内管もこまめに掃除しよう!動きが悪くなったとき、へこんでいるのではなく、外管の内側に汚れがたまってしまっている場合があります。

ウォーター・キイのバネが片方でも折れた時は、すぐに取り替えよう!バネが弱くなっているので、もう一方もすぐに折れる場合があります。Fバルブにはバルブオイル、抜き差し管にはチューニンググリスを定期的に塗ろう!

練習の前に息をたっぷり吸うトレーニングをしよう!喉をならしながら、スピードのある冷たい空気を体の奥の方に吸い込み、体の奥の方から吐き出そう。練習の途中でもやってみよう。調子の悪いときにも呼吸のトレーニング!復調のきっかけになるよ。

楽器は正しく持とう!楽器は左手だけでしっかり持って、右手はスライドを軽く支えるだけ。手首と肘の力を抜き、スライディングしたときにベルセクションが動かないように。

正しいスライディングを身につけよう!スライディングは素早くなめらかに。音が出る瞬間にはすでに,スライドはそのポジションに到達していなければなりません。

練習の最初は、低い音域からていねいに吹こう!最初に雑に吹いてしまうと、一日中雑にしか吹けなくなるぞ。 ペダルトーンから練習を始めることをおすすめします。低い音域は口の中を縦に広く取り(卵が縦に入っているイメージ)、下あごを前方へ突き出します。

リップスラーで少しずつ音域を広げていこう!リップスラーと同じパターンを続けてタンギングでも練習しよう!

同じパターンを必ず7ポジションまで練習!管の長い7ポジションが、1ポジションと同じように吹けるようにしよう。

リップスラーは極めてなめらかに、タンギングは極めてクリアーに! リップスラーは息が常に流れているように。タンギングは口の中で舌だけが動くように。口の周りやあごが暴れないように注意しよう。

ダブルタンギング(トゥク・トゥクと発音)、トリプルタンギング(トゥトゥクと発音)も練習しよう!ロングトーンをするように息がスムーズに流れ込み、トゥとクが同じようにクリアーに発音できれば○。

トリルも練習しよう!初めはゆっくりと、2つの音それぞれのセンターを狙って。速くなるにしたがって、2つの音の真ん中を狙って。根気よく練習!

アンサンブルをしよう!デュエット、トリオ、クァルテット。気のあった仲間とじっくりと音合わせ。うねりのないトロンボーンの調和したハーモニーは、他の楽器の人が羨むほど美しく、気持ちの良いものです。

常に理想の音をイメージして吹こう!柔らかい音、倍音がたくさん響いている音、伸びのある音、ぼやけてないクリアーな音、透明度の高い澄んだ音、汚く割れない音、艶のある音、そして美しい音。

向上心と探求心をもって、毎日規則正しい練習をしよう!毎日の積み重ねが大切です。今日できなくても、毎日続けていれば必ず出来るようになります。

 

我が輩の辞書にはトロンボーンという文字がある〈その12〉

 私は12歳の時にブラスバンドでトロンボーンを始めました。気がつくと24年もの間、止める気も、止めるきっかけもなく今日を迎えています。思い出すと私の人生は、トロンボーン一色です。他のことにはあまり熱心でなく、何かというとトロンボーンのことばかり考えていたりします。いわゆるトロンボーン馬鹿っていうやつですね。

 トロンボーンで思いの外いい音が出たりすると、とても嬉しい。以前出来なかったことが出来るようになったのに気付いた瞬間も、すごく嬉しい。トロンボーンの存在は、本当に私のことを幸せにしてくれます。幸せの黄色いトロンボーンですね(赤でも銀でもいいのですが、たまたま今、黄ベルを吹いているもので…)。

 今現在、地球上に何千人、いや何万人の人達がトロンボーンを楽しんでいるのでしょうか。私もその中の一人として、毎日地球上のどこかで吹いています。NHK交響楽団かトロンボーンクァルテット・ジパング。金管五重奏をしていたり、ピアノと一緒にソロを吹いていたり、オーケストラや吹奏楽団と協奏曲を吹いていることもあるでしょう。東邦音楽大学で生徒達と一緒に吹いているかも知れないし、一人で部屋にこもって練習しているかもしれません。もし、どこかで私を見かけたら声をかけて下さい。同じトロンボーン吹きですから、きっと色々な話が出きるでしょう。私も、あなたに負けないくらい、この楽器のおおらかで柔らかい音色、人の音と溶け合い調和する響きが大好きな一人ですから。