リップスラーとタンギングその3まとめ

 いよいよリップスラーとタンギングのまとめです。くどいようですが毎日の規則正しい積み重ねが大切です。今日は出来なくても、一週間後、一ヶ月後には必ず出来るようになります。毎日続けましょう。

 もう一度、[譜例1]を吹いてみましょう。リップスラーにはいろいろなパターンがありますが、私はこのようにスラーのあとに同じパターンをタンギングして練習することをお勧めします。私たちが普段演奏するフレーズは、スラーやいろいろな種類のタンギングが複雑に組み合わさってできています。スラーなら何となくできるけれど、舌を付くと上手く吹けない…。反対に、タンギングすれば問題なく吹けるのに、きれいにスラーがかからない…なんて経験はありませんか。この練習方法は、どんなアーティキュレーションでも安定して練習で着る、どのようなフレーズでも自由に表現できるようになるために、大変効果的です。息はつねに流れているように意識してください。つぎに、[譜例2]を吹いてみましょう。低い音域を細かいリズムで刻むのは難しいものですが、ここでも注意することは同じです。16分音符一つ一つをタッ!と止めてしまわないように。下あごや口の周りがあばれない、動かないように。広くとられた口の中で、舌だけが動くイメージで。拍の頭、特に最後の16分音符が、均一にクリアに発音できるように練習します。やはり、息は常に流れているように。

 最後に[表1]を見てください。これはポジション別に出る音を示したものです。クリニックなどでは特に多い質問に、“高い音の練習方法を教えてほしい”というものがあります。のびやかで艶やかなハイトーンは、皆の憧れの的ですが、トレーニングの時は、[表2]のように音域に横線を引いて分けて考えないでください。あくまで、各ポジションの全ての音域の音を同じようにたやすく演奏できることが大切です。演奏しやすい★のB♭から、少しずつ音域を広げ、☆のB♭までが、同じ一つの息の流れの中で表現できるように。普段は使わない※の音も、★の音と同じく響くようにトレーニングします。全ポジションのどの音も均一に鳴り響くように。どのポジションのレガートも同じようになめらかに演奏できること。どのポジションのどの音も同じようにクリアにタンギングできること。そして、その全ての音が美しいことが目標です。

 

我が輩の辞書にはトロンボーンという文字がある〈その5〉

 トロンボーンは、誰がなんといったって「トロンボーン」ですよ。しかし、全く違う呼び方をする国もある。それは、私もかつて学んでいたドイツ。大抵の管楽器は、私たちの使っている呼び名と同じか似ているの出、きけばすぐにわかりますが、ティンパニはなんと「パウケ」と呼ばれているし、トロンボーンにいたっては、「ポザウネ」(Posaune)ですよ。何だそりゃ?!しかも、ドイツ語は全ての名詞に男性(der)、女性(die)、中性(das)という冠詞がつき、ポザウネはなぜか女性名詞なので、「ディ・ポザウネ」なのです。彼らは、日本国民栄誉食「うどん」(讃岐限定)のように、和オリジナルのものにも勝手に冠詞をつけて呼んでいます。ちなみに、うどんは「die Udon」(ディ・ウドン)。なぜかというと、ドイツ語では、語尾が〜オンで終わる単語のほとんどが女性名詞だからだそうです。うーん、それでいいのか?それで。
 それにしても「ポザウネ」だなんて…。