建物名称 横浜ランドマークタワー
展望台名称 スカイガーデン
所在地 神奈川県横浜市西区
高さ 全高296m 展望フロア(69階)床面高273m
竣工 1993(平成5)年
概要 横浜市のみなとみらい21地区は、長らく横浜駅前エリアと関内・伊勢佐木町エリアとに二分された状態にあった都心機能を一体化させるべく、1983(昭和58)年に整備事業を開始した計画面積186haに及ぶ広大なウォーターフロントである。その主な狙いはビジネス・ショッピング・文化施設を集積することで都内へ流れがちな就業者や消費者を市内にとどめ、横浜市としての自立性と経済基盤を強化することにある。1989(平成元)年に市制施行百周年を記念して開催された「横浜博覧会YES'89」の会場となったことで「みなとみらい」の名は一気に認知度を高め、現在では年間5800万人が往来する横浜の一大中心地へ成長。開発事業は今もなお進行中である。
横浜ランドマークタワーは完成以来日本一の高さを誇る超高層ビルで、みなとみらい地区の中核となる多機能施設である。建物の基本構想とデザインはアメリカ人建築家のヒュー・スタビンス氏によるもので、 設計・監理・運営は三菱地所グループが手がけている。建物は70階建てのタワー棟と5階(一部7階)建てのプラザ棟から構成され、低層部はショッピングモール「ランドマークプラザ」、タワー棟8階から48階は賃貸オフィス、49階から上は横浜ロイヤルパークホテルとして利用されている。観光客に公開されている展望フロア「スカイガーデン」は69階に位置しており、最上階の70階はホテル付属のラウンジである。
ビルが建っている場所にはもともと三菱重工業の造船所があった。その名残を留めているのがランドマークプラザの一部を成すドックヤードガーデンで、1896(明治29)年に竣工した旧横浜船渠第2号ドックを保存活用した広場である。国内最古の石造りドックであることから国の重要文化財に指定されている。
TF式分類 第3種 I類
登頂日 2009年12月31日
 2009年12月31日の登頂記録
横浜ランドマークタワーの外観は、新しい都市のシンボルとして他に類例のない特徴的なデザインとすることをコンセプトとし、さらにオフィスとホテルという全く用途の異なるフロアを機能的に収容することや、地震や風による揺れの軽減なども計算し尽くして生み出されたものです。建物の四隅が太い支柱を建てたかのように存在感を示し、上へ向かって細身になる姿は神社の鳥居をモチーフに和のイメージを採り入れたものだそうで、スマートさと同時にどっしりとした安定感があります。外壁は全面的に花崗岩(御影石)で覆われています。
撮影する立場としては、手前が運河なのでこれだけの超高層ビルでありながら足下からてっぺんまで全景を写し込むことができるという点が素晴らしい。
少々文字が読みづらい写真ですが、建物南西側に位置するオフィス階へのエントランス脇、みなとみらい大通りに面して石造りの立派なビル名標が鎮座しています。ということはこちら側がランドマークタワーの“正面”と解釈していいでしょう。
展望フロアへの動線は他のフロアとは独立しており、専用の入口が3階にあります。四隅がほぼ東西南北を向いているタワー棟の西の角にあたり、桜木町駅から長〜い“動く歩道”でアプローチしてくれば迷うことはありません。
入館するとすぐに下りエスカレーターがあり、これからてっぺんを目指そうというのにチケット売り場と入場口は2階にあるので一旦下がらなくてはいけないという、ちょっと不思議な動線になっています。
ロビーには行列を整理するためのベルトパーテーションが置かれていますが、今日はそこまでの混雑ではないのでエレベーターはほぼ待ち時間なしで乗れました。
壁面にはランドマークタワーの建物や工事にまつわるさまざまな数字を解説するパネルが掲示されています。

そのパネルに紛れて「世界最高速乗用エレベーター」のギネスブック認定証が。そのスピードは分速750mで、2階から69階まで40秒で到達します。
しかし記録とはいつかは破られる運命にあるもの。その後「台北101」に分速1010mという驚異的に速いエレベーターが設置されたため、認定証の下には律義に「2004年12月より世界第2位」の注意書きが貼り付けられています。

エレベーター内にはスピードメーターが設置されているのですが、暗い搬器内ではどうしても撮影時に手ブレが発生してしまい、ろくな写真が撮れませんでした。下るときは動画に収めようと試みたものの、実に絶妙なタイミングで電池が切れてしまうという不運。
そんなことがあったのでこのあと手ブレ補正機能付きの新しいデジカメを買いました。

で、69階展望フロア「スカイガーデン」に着いてみたら、なにやら浮かれた装飾が……。
これはラバーズプロジェクトというイベントの一環で、中央にあるハート型のオブジェ「LOVERS」に愛のメッセージを記入した「お願いカード」を結びつけましょうというもの。カードは年に1回、富士山本宮浅間大社でお焚き上げを行うのだそうで、私としてはこういう装飾のない平時の展望室内を撮りたいのだけれど、どうも前年7月からの長期プロジェクトでまだまだこの先も続くらしい。それなら仕方ないね。
海をイメージしたと思われるこのイルミネーション(点滅する)もプロジェクトの一部でしょうか。まあ装飾を取っ払ってしまうと室内ががらんとして一気に無味乾燥な空間になってしまいそうなので、愛だの恋だのと小っ恥ずかしいものじゃなければ置いといてもいいと思います。
北東方向に港の風景を眺めます。左の白い建物はヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル。その個性的なフォルムはランドマークタワーと並んでみなとみらいの象徴的存在です。
中央の観覧車はよこはまコスモワールドの「コスモクロック21」で全高は112.5m。完成当時は世界一の規模を誇りました。
その右はショッピングモールの横浜ワールドポーターズ。冒頭のランドマークタワーの全景写真はあのあたりから撮ったものです。
中央奥は大黒埠頭。その右に架かるのが横浜ベイブリッジです。

北西側はみなとみらいのビル街で、区画整理は完了していますが空地が多くまだまだ開発途上にあります。
右下に見える、水平断面が“ルーローの三角形”になっているビルは「みなとみらいミッドスクエア ザ・タワーレジデンス」。31階建て650戸のマンションです。
その奥はNTTグループのインテリジェントビル「横浜メディアタワー」。高さ104.6mのビルの上に建てられた約148mもの巨大アンテナが目を引きます。

南西側にビルの足下を眺めると、右上にJR桜木町駅、そこから“動く歩道”の屋根が手前に伸び、左下には係留保存されている帆船日本丸。
左上で運河を渡っているのはかつての貨物線の跡を利用した遊歩道「開港の道・山下臨港線プロムナード」です。横浜博覧会のときにはまだレールが残存しており、会期中は臨時の旅客列車が日本丸〜山下公園間をシャトル輸送していました。
南西側にあるSky Caféは一瞥してげんなりするくらいの大混雑。なぜなら年末キャンペーンで入場者全員にビール1杯の無料サービスが行われているからなのです。ソフトドリンクも選択でき、私も引換券をもらっていますが、行列してまで飲みたくはないのでスルーしました。
カフェの横の壁面にはスカイガーデンの床面高である273mを示す目盛りが描かれています。その名も「Memori-al」。高さの表示なんてよそのタワーでもやっていることで珍しくはないですが、こんなふうに洒落たデザインを施して装飾の一部としたものにはなかなかお目にかかれません。
品数豊富でおみやげ選びがとても楽しいTOWER SHOP。先ほど再訪した横浜マリンタワーに引き続き、またしてもあれこれ買ってセルフ福袋状態になったのでそれらをご紹介しましょう。
残念ながら建物のミニチュアはありませんが、充分代用品になりそうなのがこのタワースコープ。ご覧のとおりビルを象ったプラスチック製の単眼鏡で、タワーのてっぺんが接眼部になっています。ブルーのほかにレッド・イエロー・グリーンの4色のバリエーションがありますが、ラインナップにホワイトも加えてほしかったなー。
背後はパッケージに同梱されている三つ折りの台紙で、東京タワーやピラミッド、エンパイヤステートビルなどとランドマークタワーの高さを比較する図が描かれています。裏面は単色刷りのごく簡易な眺望マップ。
2000分の1サイズのペーパークラフトもミニチュアの代用にはなりそうですが、ディテールが大幅に省略されている上に色彩がおかしいのがちょっと残念。
もうちょっとディテールにこだわるなら、ちっこいながらもキーホルダー(左)がなかなかいい出来。横浜マリンタワーの再訪記録をご覧になった方なら、右のメタルストラップのデザインがマリンタワーのそれとよく似ているのに気が付くと思いますが、そのとおりキーホルダーともども同じ会社が製作しています。

それはともかく、私が気に入ったのは何といってもこれですよ。メモリアルガムテープ。観光地のおみやげにガムテープって、商品開発するほうも買うほうも、普通そんな発想しないでしょ(笑)。だいたい持って帰るとき重いし。
それだけでも傑作なのだけれど、デザインセンスもいい。テープを全部伸ばすと300mになるわけではなくて1巻は50m。そもそも目盛りもきっちり1cmきざみにはなってなくて、あくまでもそういうデザインであるにすぎません。もったいなくて開封していませんが、透けて見えるところから察するに、目盛りの数字は270から310までを繰り返しているようです。

これまでいろんなタワーでいろんなグッズを買ってきた私ですが、これは確実にベスト3に入る逸品だと思います。

【その1】「高さ日本一のビルディング」の記録は、2014年に開業した大阪市の「あべのハルカス」(300m)が更新した。【その2】スカイガーデンで長期にわたって行われていたラバーズプロジェクトは2012(平成24)年4月に終了した。
・横浜ランドマークタワー
・横浜ランドマークタワー スカイガーデン

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