建物名称 遠見台
所在地 沖縄県国頭郡本部町
高さ 全高36m
竣工 1986(昭和61)年
概要 沖縄観光の圧倒的人気スポット「沖縄美ら海水族館」が所在することで知られる海洋博公園は、1975(昭和50)年に開催された沖縄国際海洋博覧会の跡地を整備した国営の都市公園である。同公園は「太陽と花と海」をテーマに掲げており、そのうち「花」を象徴する施設が熱帯ドリームセンターである。簡単に言えば熱帯植物園だ。
施設の構成やデザインはドリームの名が示すように非日常性と意外性を強調する演出がなされ、全体的なイメージは「熱帯樹林に佇む廃墟」である。あえて沖縄らしさを排除し、素朴で土俗的な意匠によって無国籍かつ時代性を感じさせない景観を生み出した。園内順路の最奥にある塔は遠見台と名付けられ、頂部に展望台を備えるほか、2階には熱帯の植物をパネルや映像で展示するビデオホールがある。
TF式分類 第1種 III類
登頂日 2008年8月29日
 2008年8月29日の登頂記録

美ら海水族館が人気を集める一方で、熱帯ドリームセンターへの注目度はいまひとつというのが実情かと思います。私も遠見台がなければスルーしただろうしなぁ(笑)
水族館からはぶらぶらと歩いて10分ほどの道のりですが、暑くてめんどくさいので園内を巡回している電気バスに乗って到着しました。

当センターの入場口となるステンドホール。インフォメーションカウンターと小さいながらも売店が設けられています。
センターの敷地は南北に約300mと細長く、いくつかの温室を通過しながら順路の一番奥へ達すると遠見台がその姿を現します。デザートイエローの割肌b器質煉瓦で覆われた外壁がなかなかいい風合い。螺旋を描きながら天へ伸びる外観はブリューゲルの有名な絵画「バベルの塔」を連想させます。
遠見台の入口。暑さで判断力が鈍っていたわけではないと思うのですが、頭上に「ビデオホール・遠見台入口」との掲示が出ているのにもかかわらず、2階のビデオホールの存在を全く認識していなかったことに気がついたのはこの稿を書いている今になってから(泣)。立入禁止でない限りタワー内は隅々まで足を踏み入れることにしている私が見落とすってことは、むしろ動線設計に問題ありと疑っていいんじゃないだろうか。だいたいビデオホールの存在は公式サイトにもパンフレットにも記されていないし。何が何でも見ておかなければならない施設というわけではないのだけれど、ちょっとくやしい。
エレベーターのドアは全面に青い錆が浮き出していますが、これはメンテナンスを放棄しているわけではなくて、緑青仕上げという表面加工が施されているもの。コンクリート打ちっ放しの内壁ともども「廃墟らしさ」の演出です。
エレベーターはここ3階まで。展示室とも展望室ともつかない中途半端なフロアで、スタンプ台がぽつんと置いてあるだけです。
3階から最上部の展望台へは階段で。この手すりも緑青仕上げになっています。
展望台はオープンエア構造ではありますが、壁が高い上に直径3〜4m程度のスペースしかないので手狭な印象を受けます。
床面に埋め込まれた正方形の石版は1辺が50cmで、遠見台の建物はその4つの頂点を中心にフィボナッチ級数を半径にとった渦巻きを描いているのだそうですが、そのへんは理解できなくても特に困ることはありません。
壁に穿たれた6ヶ所の開口部から顔を出して景色を眺めることにしましょう。
北西方向の海上に浮かぶのは伊江島で、全体に平坦な島ですが真ん中にぽこんと飛び出した城山の姿がどこかユーモラスです。
手前はドリームセンターの温室群。沖縄海洋博といえばアクアポリスを連想する人も多いと思いますが、あれが係留されていたのはこのすぐ左脇の海上でした。
南に見えるのは瀬底島。本島とは橋で繋がっており、路線バスで渡ることができます。
コーラルブルーの海の美しさはこれぞ沖縄といった風景ですね。
遠見台の高さは36mと公表されていますが、それは建物頂部最先端までの高さなのか、はたまた避雷針を含む高さなのか、そこまではわかりません。
下りはエレベーターを使わずに外周をめぐる300段の階段を下りてきたのですが、一番下に着いてみれば「外壁の一部が剥離して落ちる可能性があるので通行禁止」という主旨の看板が。それ上にも出しといてくれないとダメでしょ。
売店では植物をモチーフにした小物などがおみやげ用に販売されていますが、タワーに関連したグッズは1枚売りされているこのポストカードがあるだけでした。
海洋博公園

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