施設名称 勝浦海中展望塔
所在地 千葉県勝浦市
高さ 塔本体高24.4m 設置水深8.0m
竣工 1980(昭和55)年
概要 千葉県勝浦市の明神岬一帯は別名を鵜原理想郷と称し、リアス式海岸の景観美に定評がある。この沿岸が1974(昭和49)年、自然公園法に基づいて優れた景観や海洋資源の保護を図るための「海中公園地区(2009年からの呼称は海域公園地区)」に指定されたことを受け、1977年に千葉県、勝浦市、鵜原漁業協同組合(現・新勝浦市漁業協同組合)の三者が共同で財団法人千葉県勝浦海中公園センターを設立。鵜原理想郷の東側に隣接する小吉岬エリアに野外レクリエーションや海洋知識普及などを柱とする観光拠点施設を整備することとなった。
海中展望塔は勝浦海中公園計画のメイン施設として1980(昭和55)年11月にオープンした。国内に7塔ある海中展望塔の6番目、東日本では初の開設である。塔体は日立造船神奈川工場で完成させたものを台船に乗せて現地まで曳航し、水深8mの海底にクレーンで据え付けた。しかし度重なる悪天候や時化に見舞われるなど設置工事は難航を極め、当初予定より1年以上も遅れての開業となった。
全鋼製の海中展望塔6塔の中では最大級であり、主要部分のサイズは全高24.4m、海中展望室の直径12.7m、同収容人員50人、胴回りの直径6.3m、海上展望台の直径12.4m。パンフレット等では「東洋一の規模」との表現を用いている。
TF式分類 亜種
訪問日 2012年8月18日
 2012年8月18日の訪問記録
勝浦海中公園へはJR外房線鵜原駅から歩いて15分ほど。その途上にある鵜原第一トンネルの北側坑口には海中展望塔の絵が掲げられていますが、風雨による汚損で観光気分を盛り上げるどころか不気味な様相を呈しています。
今回は千葉県内のJR全線が1日乗り放題という超お買い得な企画乗車券を使って当地まで来ました。ここ勝浦海中展望塔の観覧券売場でこの乗車券を提示すると入場料の割引に加え、ちょっとしたプレゼントも付いてくるという特典あり。何がもらえたかは後ほど。
入場ゲートから展望塔までの間には、複雑に入り組んだ海岸線をショートカットする全長53mの歩道トンネルがあります。
トンネルの先は総延長195m(うち海上部85m)の連絡橋が展望塔へ直結しています。海上展望台の高さが満潮時の水面から8.3mなので連絡橋の高さもそれと同程度。この写真は干潮時の撮影なのでより高く見えます。
海中展望塔の外観形状は、くびれのない円筒形の塔体に八角形の海上展望室を組み合わせたシンプルなデザイン。塔体直径が太めなので安定感があります。
展望塔の入口には係員が常駐していて、観覧券はここでもぎられます。
海中展望塔を訪れるのはここが3ヶ所目ですが、どうやら透視度と水温の表示はどこでも標準装備のようですね。今日はつい1時間ほど前までにわか雨が降っていた影響もあってか透視度はわずか5m。海中の景色はあまり期待しないでおきましょう。
階段の途中に椅子を置けるくらいスペースに余裕がある下り階段。
海面下へと潜る地点にはこんな表示があるのですが、実感させるものはありません。ここに2つ3つ窓を空けて、潮の干満で窓が水没したりしなかったりする様子がわかるようになると面白いと思うのだけれど。
海中展望室は海上展望室と同様に八角形の平面形状をしており、長円形の窓が24ヶ所に設けられています。
海中の見通しは実は5m未満なんじゃないかと思うくらい良くないですが、こればっかりは自然と気象の状況次第なのでしかたがない。
では海上へ戻るとしましょう。階段は二重螺旋構造になっており、下りとの動線分離が図られています。
螺旋階段の内側の壁面には海底からの高さが表示されています。もっとも海上展望室までは16.3mだということをわかっていないと、自分がいま何合目にいるのか見当がつかないわけですが。
かといって残りわずかな段数を今さら示されてもねぇ……。
96段を登りきって海上展望室に到着。海底からの高さは大ざっぱに換算すると5階建ての低層住宅団地に相当するくらいでしょうか。歩いて登るのは若干しんどいけれどエレベーターが必須というわけでもない、そんな高さ。
さらに上、おそらく機械室があるであろう塔頂部へと続くハシゴがかかっていますが、もちろん登ることはできません。少々脅し気味に「この上は高圧電流が流れており危険です」と書かれた札が下がっています。
海上展望室は壁側に長椅子が置かれ、もっぱら休憩スペースとして利用されています。周辺観光地のパンフレットや割引券を多数常備したコーナーもあり。
今日に関しては海上のほうが眺めが良く、紺碧の海と空が美しい。
付近はゴツゴツした岩場なので遊泳はできませんが、干潮時の磯遊びには格好の場所。親子連れや若者たちで賑わっていました。遠方に見えるのは八幡岬や勝浦灯台など。
壁面には海中展望塔が造船所で建造され、完成した状態で海上を曳航し、クレーンで海底に据え付けられるまでを解説するパネルが展示されています。せっかくの貴重な写真もすっかり色あせて見づらいのが残念!
ところで海上展望室の外側テラスには、こんなふうにアームの先から海中にワイヤーを垂らしている部分が数ヶ所あります。これが何なのか気になって帰り際に係のおばちゃんに尋ねてみると、これは魚のエサ箱を吊り下げるもので、朝と昼に餌付けを行っているのだそうです。なるほど、どうりでうまいこと窓際に魚が寄ってくるわけだ。周辺海域は展望塔ができる以前から地元漁協が禁漁区に設定していることも魚が集まる要因でしょう。
調べてみると餌付けは他の海中展望塔でもごくあたりまえに行われているようです。
聞けば次の餌付けタイムは12時半ごろとのことですが、「あー、それだと電車に間に合わないから見られないなぁ」と帰りかけると、じゃあ時間を繰り上げるように餌付けの係に頼んでみましょうかと非常にありがたい申し出。しかしそれでもあまり時間に余裕がないので今回は遠慮して、次来るときのお楽しみにしておきます。
さて、観覧券購入時に企画乗車券を提示してもらえたものはこちら。海中展望塔のイラストをプリントしたほんのり甘いおせんべい2枚。おみやげ売店でも販売しています。
それとハコフグのキャラクターをデザインした非売品の小っちゃな缶バッジ。このハコフグはパンフレットにも描かれており、ポジションとしては勝浦海中公園の公式キャラクターだと思われるのですが、特に名前はついていないようです。
プリントせんべい以外に展望塔に関連したグッズはないものかと売店の商品棚を隅々まで探しましたが見つけることができず、それなら海中公園のグッズで妥協するかと手に取ったキーホルダーを何気なく裏返したら……しっかり展望塔の姿が現れたじゃないですか! よく見つけたぞ、俺。
開園以来一度もデザインを変えていないであろう昭和テイストあふれる包装紙もいい味出してます。
かつうら海中公園

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