建物名称 北海道百年記念塔
所在地 北海道札幌市厚別区
高さ 全高100m 展望室床面高23.5m
竣工 1970(昭和45)年
概要 札幌市・江別市・北広島市にまたがって広がる野幌森林公園の一角に、1968(昭和43)年の北海道開道百年を記念して建てられたのが「北海道百年記念塔」である。全高100mというのはもちろん百年に因んでいる。塔の1階入口に掲げられた「建立記」によれば、「かつて原始の密林を伐り拓き、厳しい風雪に耐え抜いて、本道発展の基礎を築いた多くの先人の」「偉業を長く後世に顕彰し、慰霊の誠を捧げるとともに輝く未来を創造する決意の表徴として」建てられた。
塔の設計は全国からの公募によるもので、299点の応募の中から北海道今金町出身の井口健氏の作品が採用された。外壁は厚さ4.5〜6.0mmの耐候性高張力鋼板で覆われ、鉄骨等も含めた鋼材の総使用量は約1500t。工費は5億円を要した。正面幅は基部が64mに対して頂部では6.78mと、相対する2次曲線によって構成された空を突き刺さんばかりのフォルムは未来への発展性をシンボライズしたものだという。
展望室への入場は無料で、冬期(11月上旬〜4月上旬)は閉鎖される。
TF式分類 亜種(展望室の位置が塔頂部付近ではないため)
登頂日 2001年7月29日
注意事項 建物老朽化のため2014年以降は塔内および周辺が立入禁止になっています。今後の存廃については2018年内にも結論が出る見込みで、解体の可能性も有り得る情勢です。
 2001年7月29日の登頂記録
北海道百年記念塔にはどっしりとした風格が感じられます。それは多分、裾を大きく広げて先を尖らせたシルエットもさることながら、塔全体を覆った赤錆が醸し出しているものでしょう。

森林公園の入口にある案内所の脇から塔まで、一直線に350mの導入路が伸びているのですが、一歩ずつ近づき塔がよく見えてくるにつれ、私はひとつ重大な疑問を抱かざるを得ませんでした。「展望台はどこにあるんだ?」
ちょうど軸にあたる部分の、中ほどからやや下寄りに1ヶ所だけガラス張りの部分があって、そこからエレベーターのドアが見えているのですが、視線をずーっと上の方に転じても窓のようなものはないのです。屋上には鉄柵があるようなのですが、まさかオープンエアの展望台なのかな?

まぁとにかく登ってみましょう。とりあえずエレベーターの見えていた階まで行けば真相がわかるでしょう。入口は左右2ヶ所にあり、したがって階段も左右2ヶ所に設けられています。それにしても狭くて薄暗くて殺風景ですね。ほとんど非常階段のようなもんだ。
各階はガラス窓ではなくて金網とルーバーが張られているので風が通り抜けます。空調なんて気の利いたものはついていないのでガラス張りにされたら真夏は灼熱地獄になるところです。
やっと8階につきました。さっき下から見えたエレベーターがこれ。で、さぁいよいよここから最上部を目指すぞと思ったら、エレベーターが動いてない。注意書きを読むと、保守点検用なので一般の人は利用できませんだと。階段もこれより上へは通じていない。いや、通じているんだけどドアには施錠されている状態です。

要するにここが展望室なのだ、ということを理解するのにちょっと時間がかかったのは、タワーの展望室は最上部にあるものだという先入観がどうしても拭えなかったからなのですが、それにしても100mもの塔を建てておいて展望室が4分の1の高さの所にあるっていうのは釈然としないな。
ちなみに最上階は25階。保守点検っていうけど25階にはなにがあるのでしょうか? アンテナや避雷針の類もないようですが……。

でもまぁ周囲に視界を遮るものがなにもないのでこの高さでも遠くまで見渡すことはできます。といっても西の方角だけですが。両側を階段室に挟まれているので視角は狭いのです。
当然ですが望遠鏡は設置されていません。
裏手の風景、つまり東側も展望できますがご覧のとおり森林しか見えません。野幌森林公園の総面積は2051haで、これは東京で言うと港区の面積に匹敵します。
ついでなので塔の側面でもご覧いただきましょうか。

100mのタワーということで勝手に過大な期待をしていたため完全に肩すかしを食らってしまいましたが、もともとこの塔はモニュメントとしての意味合いが重視されているので、展望室はほんのオマケにしかすぎないのです。

しかし決してムダ足だったわけではありません。この日は同じ森林公園内にある「北海道開拓記念館」と「北海道開拓の村」の観覧が本来の目的だったので、さっさとそちらへ行くことにしたのでした。


建築専門誌「新建築」1968年2月号にはコンペ入選作が掲載されているのだが、それによれば採用案となった井口氏のプランでは22階建ての21階に展望台が設けられることになっていた。同誌71年6月号には塔完成後の記事が出ているが、プランが変更された経緯については言及がない。

TOPページへ