RAGE AGAINST THE MACHINE
「LIVE AT THE GRAND OLYMPIC AUDITORIUM」

●もう一度、ただもう一度観たかったんだ‥‥

  RAGE AGAINST THE MACHINEの、結果としてはラストライヴとなってしまった'99年9月12&13日に行われたロサンゼルス「THE GRAND OLYMPIC AUDITORIUM」での模様を収めたライヴアルバム。あの衝撃的な解散('00年秋にボーカルのザック・デ・ラ・ロッチャ電撃脱退)から丸3年経った今年11月(日本では12月)に発売ということで、その3年の間に彼等を知った、あるいは結局彼等のライヴを体験することが出来なかった人にとっては正に「待望の〜」「衝撃の〜」ライヴ音源ということになるのではないでしょうか?

  日本では初回限定版としてライヴCDにライヴDVD(9/13ラストライヴの模様を完全収録)をセットにした形でリリースされていますが、海外ではCDとDVDは別売りになってます。しかもUSのDVDはリージョンコードの関係で、家庭用DVDプレイヤーでは観れないと思いますので、無くなる前に是非日本限定版をゲットしてもらいたいと思います。

  だってさ、この音源だけを聴いてたら‥‥絶対に絵を見たくなるもの。こんな凄い音を出すバンド、一体どんな風にステージで音を出してるのか、そして客席は一体どうなっているのか‥‥ってさ。少なからず彼等に興味を持っている人、そしてこの音源で初めて彼等の音に触れた人なら絶対にそう思うはず。だけどバンドは既に解散している。もう二度と観れない。ならば‥‥DVDで体感したいですよね?

  まぁ今回はライヴCDの方のレビューってことなので、そちら中心で話を進めていきます。俺がライヴ盤大好きなのは以前から何度も、いろんな所で書いてますが‥‥今回の場合、ライヴ盤としての役割以上に‥‥例えば「ベスト盤」としてのカタログ的役割も大きいし、そして何よりも「ラスト音源」‥‥バンドとしての最後の様子を実況しているという記録的役割も非常に大きい。まぁ純粋なラストライヴはDVDに完全収録されているわけで、このCDの方は2日間同会場で行われたライヴからベストテイクを拾って編集した内容なので(だからセットリスト的にもちょっと変わってくるし)、そういった意味では実況中継というよりも、よりベスト盤的要素が強いように感じられます。選曲にしても各アルバムから非常に良いバランスで演奏されてますし。当時はリリースされていなかったカバー集「RENEGADES」からも入ってるし。セカンド「EVIL EMPIRE」から2曲しか選ばれていないのは、まぁ仕方ないでしょう。このアルバムのみ意外と評価が低いんですよね。俺はこのアルバムから彼等に入っていったわけですが、実際聴く頻度としては実は一番低いし。ある時期からのライヴでも事実、セカンドからは2曲("People Of The Sun""Bulls On Parade")しか演奏してないですしね。出世作ではあるものの、バンド自身もこのアルバムに対してはちょっと‥‥という思いがあったのでしょう。まぁ‥‥そうはいっても他のバンドとは一線を画する、非常に優れたグルーヴィーなアルバムだと思いますけどね。

  所謂『ラップメタル』だとか『ラウドロック』と呼ばれるジャンルの先駆者的存在として語られることが多いレイジですが、その後に登場する他のバンドと比べれば明らかに異質です。それはこのライヴ盤を聴けば更にご理解いただけると思います。ギターにしても音使いが全く違うし、リズムもヘヴィメタルというよりはファンク/ブラックミュージックのそれに近い。LED ZEPPELINDEEP PURPLEが同じようで実は全く異なるタイプのバンドだ、というのと同じだと思うのですよ。例えば‥‥KORNでもいいしlimpbizkitでもいい。そういったバンドを「DEEP PURPLE側」だとすると、レイジは明らかに「ZEP側」の立ち位置にいるバンド。勿論音楽性を指して「パープルみたい」「ZEPみたい」と言ってるんじゃないですよ?(ま、判ってもらえてると思いますが)

  音楽性という意味でなら、レイジって結局思ってる以上に幅が狭い音楽性だったような気がするんですよ。実際にはもっと多彩だったと思うのですが、それが完全に開花する前に空中分解してしまったのかな、と。事実、分裂前後にリリースされたカバー集ではいろんなジャンルのアーティストの曲を取り上げているわけで、そういったものを消化した新しい音楽が今後もっと生まれる可能性があったはずなのに‥‥なんて書いても後の祭りですが、本当にオリジナルアルバム3枚というのは勿体ない。ま、だからこそ伝説になったのかもしれませんが。

  けど‥‥言い方を変えれば、あれが「RAGE AGAINST THE MACHINE」としての限界だったのかも‥‥とも取れるわけで。だからザックはバンドを飛び出してしまったのかもしれないし。う〜ん‥‥既に存在しないバンドに対してああでもない、こうでもないと好き勝手に憶測で書くのはよくないのですが‥‥そうでも思わないと納得できない部分が多いんですよ、あの解散劇には。俺、3年経った今でも納得いってないし。

  更に納得いかない理由に‥‥俺は日本でのラストツアーとなってしまった'00年6月の公演に、チケットを持っていながら行けなかったというのもあるんですが。これがわだかまりの原因になってることは間違いなんですが‥‥まぁ身内の不幸があったのですから仕方ないですけどね(その当時は残念とかいう気持ちは全くなく、深い悲しみに暮れてましたからね)。それから約5ヶ月後ですよ、解散劇は‥‥幸い俺はその前年、'99年7月のフジロックで体験できているので、一度も観たことがないという人からすればマシなんですけどね。それにしても‥‥やっぱり悔やみますよ、そりゃ。

  まぁそんなこともありつつも‥‥このCDを爆音で聴きながら踊ったり暴れたりして、今年1年の嫌な出来事を忘れたいな、と。部屋でチマチマ聴くタイプのバンドじゃないですからね。クラブでもいいし、野外にラジカセ持ってって聴いてもいいし、カーステレオでアホ程デカイ音で聴いてもいいし‥‥誰かと共有したい音ですよね。そうすることでより力強いものを得る。それが彼等最大の魅力だったのではないでしょうか? だからこそ、多くの人にライヴを観て欲しかった‥‥それを是非CDやDVDで疑似体験してみてください。自分の人生観を変えた、大切なバンドですからね。

('03.12.28.)
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Update : 2003.12.29.

【DATA】


[artist] RAGE AGAINST THE MACHINE
[title] LIVE AT THE GRAND OLYMPIC AUDITORIUM
[format] album
[release] 2003.11.(US/UK)/2003.12.(JP)

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