モーニング娘。「女子かしまし物語」

●「笑わせる」と「笑われる」は違うのよ、つんく♂さん

  辻希美加護亜依にとってモーニング娘。在籍時最後の作品となるのが、この通算23作目のシングル「女子かしまし物語」。卒業シングルがメンバー自己紹介的ナンバーというピントのズレ具合がまたつんく♂らしいといえば、確かにそうなんだけど‥‥やっぱり違和感を感じるわけよ、いろんな意味で。

  6分に渡ってメンバー14人個々について歌う、おニャン子クラブでいうところの "会員番号の唄" 的ナンバーという触れ込みだった表題曲 "女子かしまし物語" だけど、ちゃんと歌詞に耳を向けてみるとメチャクチャ違和感を感じるわけですよ。ファンにとっては特にそうなんじゃないですかね? 彼女達のことをよく知らない人からすると「へ〜っ、そうなんだ?」とか信じちゃうかもしれない‥‥ある意味面白いとは思うけど‥‥でも、この2004年の7月に、モーニング娘。に対して興味を持つ人達って、本当に限られた属性の人達だけでしょ? そんな時期にこんな「濃い」曲をぶつけてきて‥‥自棄がまわったか、つんく♂!?とか本気で思えて来た程ですよ。まぁ最初は音の荒いラジオ音源だったので、余計にネガに感じた部分もありますけどね‥‥

  ところがね、その同じ曲をテレビでパフォーマンス付きで観たら‥‥印象がガラリと変わったわけよ。あー、つんく♂や周りのスタッフは本気で『"LOVEマシーン" よ、もう一度』とか思ってるんだな、と感じ取れたわけ。中途半端で豪華だかチープなんだかよく判らない似非ファンク調のバックトラック、所々にモーニング自身や他所のお笑い芸人のネタを仕込んでいる振り付け、そして基本的には同じコード進行の8小節を延々繰り返してるだけのメロディー、メンバーの事を歌ったと見せかけて、実は「一般の女子高生やOLの日常を歌にした」だけの歌詞(最初の紹介文のせいで、聴く前から我々にある種の固定観念を植え付けられてしまったわけですね。でも実際にはそういうことみたいですね)‥‥各小節頭でメンバー14人が代わる代わる紹介されていく(決してソロパートがあるわけではなく、だ)、しかも6分間も‥‥バカバカしさを越えて、思わず感動してしまった。いろんな意味で‥‥いや、ネガな意味で涙が出そうになった、というのが本音かな。あー、もう来るところまで来ちゃったなぁ、本格的末期症状だなこりゃ‥‥って。

  決して悪い曲だとは思いませんよ。けどこの単調なメロディを6分間延々繰り返すのは、今の彼ら/彼女等にとって如何に危険な行為か‥‥テクノや本場モノのファンクバンドならまだしも、今や世間から「モー娘。」ってだけで敬遠されがちの彼女等がこれをすることが如何にリスキーか、そして「すぐに飽きられてしまう」可能性を大いに秘めていることにスタッフは気づいてるんでしょうかね? こういう時期(安倍なつみ卒業後、明らかに失速し続けている中での辻加護の卒業、そして中途半端な時期での石川梨華飯田圭織の卒業発表という、もはやメンバー卒業といった要素でしか話題を集められない時期)だからこそ、もっと慎重に、もっと気合いを入れた展開及びプロモーションが必要なんじゃないかい?と、元ファンとしては本気で心配してしまうわけですよ。

  今年に入ってリリースされた2枚のシングル‥‥ "愛あらば IT'S ALL RIGHT""浪漫 〜MY DEAR BOY" はもっと成功してもおかしくないだけの可能性を秘めた楽曲だったと、今になって思う俺ですが‥‥結局はタイミングだったり、売る側の姿勢だったり、そういった要素が上手く機能しなかったために、ヲタ以外の「市井の方々」の耳には届かなかった、あるいは届いても右から左にスルーしてしまった。勿論、過去の楽曲と比べれば弱くなってるのは事実以外のなにものでもないですけどね。

  カップリング曲にしてもそうですよ。アテネ・オリンピックやそれに出場する日本女子サッカーチームに絡めた(あるいは自分達が参加する女子フットサルに向けて歌った)"がんばれ 日本 サッカー ファイト!" という曲も、決して褒められた楽曲ではないと思うんですよ。ここ数作のカップリング曲が非常に意欲的で、ある面においてはシングルのタイトル曲を越えてしまっていたはずなのに、ここにきて急に‥‥とにかく "女子かしまし物語" にしろこれにしろ、共通して言えるのが「中途半端」ということ。バックトラックも「あと一歩」だし、メロディも「あと一歩」、アレンジも「あと一歩」なら歌詞も「あと一歩」。アイデアだけはいいと思うんだけど‥‥実力/能力がそれについてきてない。枯渇してしまったのか、それとも単に時間が足りないだけなのか‥‥どっちにしろさ‥‥この曲、オリンピックが終わったら聴かないと思うよ。なんかね、勿体ないよ。もっとさ‥‥いや‥‥もういいや‥‥はぁ‥‥

  最後にさ。"女子かしまし物語" での彼女達のパフォーマンスを観て感じたことを。つんく♂さん、今回の振り付けって誰がやってるんですか?? 正直、過去最低だと思います。あのね、「笑わせる」と「笑われる」のは全然違うんですよ? そんなの関西出身のあなたならよくご存知のはずでしょ? 実際、"LOVEマシーン" の時にそんなこと、言ってましたよね? 忘れちゃいましたか?? 今のモーニング娘。からは「笑わせよう」という空気ではなくて、「笑われてる」受け身っぽい空気を感じるんですが‥‥本人達の意気込みとは裏腹にね。

  もうさ‥‥モーニングは、年末まで音源出しちゃだめ! 12月の頭に紅白用に出せばそれでいいよ。それまではつんく♂さん、いろいろネタやアイデアを貯め込んでおいてくださいよ‥‥もう一度、最後にもう一度「最高にカッコいいモーニング娘。」を我々に「これでもかっ!?」って位に見せつけてやってくださいよ。お願いだからさ‥‥

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Update : 2004.7.23.

【DATA】


[artist] モーニング娘。
[title] 女子かしまし物語
[format] ep
[release] 2004.7.

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