忌野清志郎「KING」

●日本人なら清志郎聴け!

  次々と新しいバンド/ユニットを組んではアルバム出したり、またはライヴだけだったり、はたまたシングル1枚こっきりだったりと、特にここ4〜5年の忌野清志郎の活動は精力的過ぎ。その間にはデビュー30周年記念のイベントがあったりしたけど、純粋なソロ名義でのアルバムとなると、'99年の「Ruffy Tuffy」以来なんだね(といっても、結局その後はRuffy Tuffyなるバンドが誕生してしまうわけですが)。その間にいろいろ音源は出てたんで全然そんな気はしないし、むしろ全く有り難みは感じないわけだけど‥‥そう思ってこのアルバムをスルーすると、とんでもない目に遭いますよ。

  多分‥‥ここ10年くらい‥‥いや、RCサクセション活動停止後で最も充実した内容を持つ傑作アルバムじゃないですか、これ。清志郎が過去やってきたことの、ある意味集大成と呼べるような『Simple is best』なR&B/ロックンロール・アルバムに仕上がっていて、どれも過去の彼の作品をトレースしたかのような既出感が強いんだけど、だからといって悪いというわけじゃなく、むしろ‥‥だからこそ最高なんじゃないか、と。声を大にして言いたいわけです。

  いきなりソウルフルなスローチューン "Baby 何もかも" からスタート。しかもこの曲が後半、テンポアップして盛り上がっていくという構成。その後、ファンキーだったりブルージーだったりソウルフルだったり。小気味いいロックンロールがあれば、ドス黒くてドロドロした濃さを持つR&Bナンバーあり。清志郎らしい言葉遊び満載の歌詞、何故50越えたオッサンにここまでピュアな歌詞が書けるんだ?と、いつも以上に感動してしまうナンバーの数々。そしてそれらを盛り上げるバックメンバーの面々。お馴染みの三宅伸治をパートナーに向かえ、懐かしい面々から新しい仲間まで、とにかく「くんずほぐれず」なセッションの数々。もうどれも最高なわけ。自宅にMac(マッキントッシュ)を導入したことで、そこでデモテープを作っていった‥‥なんていう「子供が新しいオモチャを手に入れた」ことからスタートした、今回のアルバム・セッション。結局完成したのは、如何にも清志郎らしい生音を大切にした温かみのあるロックンロール・アルバム。そこら中にブラスが入ってたり、ガットギターの音がしたり、生々しいエレキギターのサウンドに鳥肌立てたり、そして迫力があり、時に優しい清志郎の『声』があり‥‥つまり、聴き手が彼に望む要素が、ある1点を除いて全て揃ってるわけ。そりゃ悪いわけがない。

  で、その残る「ある1点」というのが‥‥要するにみんな、心のどこかで「もうあり得ないよな‥‥」とガッカリしながらも、それでも期待してしまうRCサクセションの影‥‥その復活を期待してしまう、と。チャボとの共演でもいいから、って思ってる人は多いと思うけど‥‥果たしてこのアルバムを聴いた後になっても、その言葉を吐くことが出来るかな? いや、俺には出来ないね。このアルバムがあれば、俺はライヴで "雨上がりの夜空に" や "スローバラード" や "トランジスタラジオ" が聴けなくても、全く文句言えないね。それだけの魅力と迫力がパンパンに詰め込まれているもの。そうじゃない?

  俺、今年のフジロックは未だに悩んでるのよ‥‥2日目のグリーンステージ、清志郎。2年前は目の前ほんの数十センチの距離で彼の歌を堪能してしまったから‥‥それを越えることはもうないだろうけど、それでも年に1度は清志郎観ないと納得いかないんだよね。ちなみに去年はフジロックに出なかったから、一度も観れなかったんだよね‥‥あー、そろそろ禁断症状が‥‥

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Update : 2004.7.10.

【DATA】

■FUJI ROCK FESTIVAL 04 出演アーティスト■


[artist] 忌野清志郎
[title] KING
[format] album
[release] 2003.11

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