日本のロックは
「パクリ」で成り立ってるのか?

  さてさて、2回目にしてようやく本題に入れる事を嬉しく思います。(笑)正直、どういう話からしていけばいいか、悩んでいた所でした。そこへ軽いネタフリが!
  ある方の掲示板を訪れた時に、某BUK(爆)の掲示板で、またまた一波乱あったことを知りました。日本のWINO(ワイノー)というバンドについて「パクリ云々」という熱〜い語りが、例によって飛び交っていたそうです。で、賛否を取った所、否の方が大多数だったと。それがそのまま、スーパーカーあたりにまで飛び火してしまうという、大惨事(笑)が起きていたそうです。まぁ、懲りないというか何というか‥‥みんな、争い事が好きなんですねぇ。(笑)という訳で、今回のお題は『日本のロックは「パクリ」で成り立っているのか?』です。いずれこういうお題をやらねばならないと思っていたので、良い機会でしょう。いろいろ考えてみましょう。

  まず日本に限定せずに、ロックそのものについて考えてみましょう。そもそもロックという音楽自体が『パクリ文化』の集大成だと思うのです。ロックンロールも、元を辿ればロカビリーから派生したものだとか、ブルーズの発展型だとか、いろいろ言われていますが、要は先人達がそういう音楽(ロカビリー、ブルーズ、R&B、クラシックetc.)の美味しいところを寄せ集めたのが、ロックンロールの始まりだと考えてみましょう。つまり、その時代時代の美味しいところを吸収して、どんどん成長・発展していった、それが現在のロックだと思うのです。ロックがサブカルチャーだと言われる所以も、このあたりから来てると思うのです。(その時代時代の美味しいところ=その時代を象徴する文化、と置き換えてみましょう)
  そもそも、使われる音符なんて12しかないのです。それをいかに組み合わせるか?がテクニックなのだ、と言ったのはあのX-JAPANのYOSHIKIでした。彼は楽器を使って作曲をしないそうです。つまり譜面の上で作曲すると語った事があります。(そのお陰で、かなり無茶な進行の楽曲が出来上がり、とても苦しんだ、と後にhideはインタヴュー等で語ってましたが;笑)まぁそれはひとつの例ですが、要するに限られた条件の中から新しいものを作りだしたとしても、それには限界がある。それが30年以上も前からあるものだったら、30年後の今、我々はどうやって新しい音楽を作りだせばいいのでしょうか?
  NINE INCH NAILSのトレント・レズナーの言葉だったと思いますが、「僕らのやってる事が新しい、とよくメディアでは取り上げるけど、僕らのやってる事なんて先人達がやってきた偉業をパーツを取り換えて、組建て直す作業みたいなもんなんだよ。古いパーツを組み替えて、さも新しく見せてるだけだよ」というような趣旨の事をインタヴューで言ってましたが、正にその通りだと思います。それを如何に自分流に消化するか、というのもひとつのテクニックだし、わざと「いかにもパクってま〜す」と見せて、先人達への愛情をアピールするのもひとつのテクニック・手段だと思うのです。後は聴き手がどこまでそれを許せるか・解釈できるか、だと思うのですが、如何でしょう?

  話を日本に移します。ロックは日本で生まれたものではありません。つまり、最初からそういう文化はなかったのです。その土壌となるべきものも端からなかったし。それが日本に「輸入」されたのは、明らかにBEATLES以後でしょう。全てはBEATLESから始まった、といっても過言ではありません。それは日本に限らず、全世界中同じだと思います。BEATLESが日本に入って来たのが'63年頃と言われています。そして初来日が'66年。既にこの頃にはグループサウンズは全盛でした。(ってさも見てきたように言うけど、うちの母の話を元に語ってます)60年代後半になると、一般のグループサウンズとは一線を画するバンドも現れます。ジャックスあたりがそうです。彼ら自体もTHE DOORSあたりの影響が見え隠れしますが、それでも日本のロックのはしりとなった存在でしょう。
  70年代に入り、BEATLESの解散と共にいろんなジャンルのロックバンドが欧米から現れます。LED ZEPPELIN, DEEP PURPLE, ELP, CS&N, EAGLES, THE DOOBIE BROTHERS等。若干のタイムラグはありましたが、ここ日本にもそれらのバンドのレコードや情報が入ってくると、それらに影響を受けたバンドも現れるわけです。ロック後進国といわれた日本、こればかりは仕方ありません。
  面白いことに、70年代の幾つかの日本のバンドは海外に出ていき、それなりに評価されています。サディスティック・ミカ・バンドやフラワー・トラベリン・バンドなどがそうです。英国をツアーし、それなりに成功した、という記録が残っています。何故彼らは欧米で評価されたのでしょうか?
  これはまぁいずれここで語りますが、「日本人としてのオリジナリティ」を欧米人が感じた、だからウケたのだ、と言われています。現在のKEMURIだとかHI-STANDARD、少年ナイフが欧米でウケるのも、これら「日本人臭」を欧米人が嗅ぎ取り、そこに惹かれるのだと言われています。(って、本当かどうかは判りませんが)少なくとも、B'zやGLAYではなく、です。この話は今回はここまで。
  80年代に入っても、YMOなどが欧米進出し、それなりの成功をしました。そして、LAメタル・ブームに便乗する形で、多くのジャパニーズ・メタルバンド(略して「ジャパメタ」;笑)が欧米進出を果たしました。先陣を切ってLOUDNESSがアメリカで、それに数年遅れをとってVOW WOWがイギリスでそれなりの成功を果たしました。(チャート上で、という意味で)現在でも日本人が「ビルボード」のアルバムチャートのトップ100で75位より上にいったのはLOUDNESS以外には現れていません。
  その後もANTHEMやEARTHSHAKER, E.Z.O., DEAD END, GASTANKなどが欧米進出・レコードリリースを実現させましたが、アンダーグラウンドでの成功程度でした。E.Z.O.はブレイク前のGUNS N'ROSESと一緒にクラブサーキットに出たり(レコード会社が一緒)、GASTANKがMETALLICAのお気に入りだったりと、その程度の噂が日本に入ってくる程度に留まりました。
  90年代、昔ほど大々的に宣伝をして海外活動をするバンドは減りましたが、欧米進出するバンドの数は明らかに増えています。メジャーなTHE YELLOW MONKEYまで毎年英国をツアーしてます。CDもリリースし、そのプロモーション活動までしています。もうそういう時代なのですね。

  ちょっと前置きが長くなりましたが、ここに名前を挙げた幾つかの日本のバンドは、明らかに欧米の成功したバンドの「パクリ」です。それは間違いありません。でも、ルーツはルーツでしかないのです。THE YELLOW MONKEYがメジャーデビューした頃、よく僕のバンド仲間が「T-REXとかDAVID BOWIEのパクリじゃん!」と嘆いていましたが、今ではどうでしょう? 誰もそんな事言いませんよね? まぁ、イギリスに行ったときには流石に「グラム版CHEAP TRICK」と扱き下ろされたそうですが。(苦笑)
  結局、実績がないから酷評されるのであって、それがもし成功してしまった暁には尊敬の目で見られる。数年前、某RO誌で「一番好きな邦楽アーティスト」のアンケートをとったら、そのイエモンが1位だったそうです。同じ洋楽リスナーに何故イエモンは絶賛され、WINOは酷評されるのか? もうそれは「実績・結果」がものを言うのでしょう。残念ながら、WINOはまだマキシシングル2枚だけです。この春にはフルアルバムがリリースされるそうなので、本当の意味のスタートはこれからなのでしょう。

  にしても‥‥やっぱり何かやり切れない気持ちでいっぱいです。某BUKで邦楽バンドを扱き下ろしてた輩は特殊なのでしょうか? 「パクリ」を認めたくない‥‥そんな純粋な気持ちでいっぱいなのでしょうか? いや、やっぱり「日本人が日本語で洋楽のパクりをやってる」ってのがお気に召さないのでしょう。じゃあOASISは? GUNS N'ROSESは? NIRVANAは?‥‥彼らだって皆、メジャー/マイナーを問わずいろいろな先人達に影響され、現在のスタイルを確立したのです。初めは誰だって『○×みたいな曲を書くぞ!』って憧れからバンド始めるんじゃないですか? 少なくとも僕はそうだったよ。AEROSMITHみたいになりたい、BON JOVIみたいな曲書きたい!って、全てそこから始まってます。ただそれがメジャーデビューしても続いてる、まだスタイルが確立できてない、それだけの話なのです。1stアルバムから自己のスタイルが確立されてるってバンドの方が奇跡なのです。そしてそういう「奇跡的な」バンドに憧れ、新しいバンドが生まれる。所謂「フォロワー」ってやつです。それは至極健康的だと思います。OASISがブレイクし、その後幾つの「OASISみたいな」フォロワーがデビューし、消えていったことか。そう、たまたまそのフォロワーが日本にもいた、それだけの事です。何でそんなことに目くじら立てるのかが不思議で仕方ない。

  これは‥‥ごく一部の洋楽ファンだけだと思いたいけど‥‥「邦楽」「日本のロック」をどこか別のジャンルのロックと思ってるのでしょうね、きっと。みんな僕にとっては同じ「ロック」なのに‥‥『テクノだから嫌い』とか『ヒップホップ寄りになったから嫌い』って次元と一緒ですよ! いろんな所で言わせて貰ってるけど、今現在、英国や米国の音楽シーンより日本の音楽シーン(ロック)の方が面白いですよ、明らかに!
  僕がここ1年位、日本のバンドに入れ込んでるのは、明らかに数年前より面白いから。確かにヴィジュアル系に嫌悪感を示すのも判りますが(あれ程好き/嫌いがハッキリするのも判りやすい)、ヴィジュアル系の中にも面白いバンドは存在します。僕の場合、スーパーカーが切っ掛けだと思います。その後、GRAPEVINEだとかPENPALSやZOOBOMBS, Dragon Ashといった素晴らしいバンドに巡り会えました。明らかに「日本のロック」は確立しつつあります。なのに‥‥聴かず嫌いは損するだけですよ! もっとオープンになりましょうよ! いろんなものに目を向けましょうよ!‥‥って言っても、某BUKの掲示板で宣っていた奴等はここでこんな事言ってるのを知らないのだろうなぁ。(笑)まぁ、世の中「知らなくても幸せ」って事もありますから、ね!(爆)

  『日本のロックは「パクリ」で成り立ってるのか?』‥‥イエス、です。間違いなく。ただ、日本だけでなく、欧米のロックも然り。そもそもロックって「既成概念」をぶち破ってきたから、ここまで成長・発展してきたのだと思うのです。「既成概念」‥‥BEATLESがぶち破り、LED ZEPPELINがぶち破り、U2がぶち破り、OASISがぶち破ってきたから、みんなの目の前に道が開けているのです。OASISは公然とBEATLESやその他の英国古典芸能(笑)を「パクる」ことで「既成概念」をぶち破りました。その結果、BEATLESを引用する事は悪い事ではない、「流行」になってしまったのです。「既成概念」をぶち破ることによって、また新たなスタイルが確立される。ヒップホップは公然と「他人の作った楽曲」をぶち壊し、自分流に組み立て直すという、今までになかった事をしました。それこそ「既成概念」をぶち破ったのです。その結果、ヒップホップは時代の先端とまで言われるようになり、今やひとつの「スタイル」でしかありません。OASISもヒップホップも「パクる」ことで自らのスタイルを確立していったのです。遡ればLED ZEPPELIN。あれ程酷い「パクリ」バンドもいませんよ!(爆)7,8年前にZEPがパクったブルーズナンバーを集めたCDが売られていましたが、もう笑っちゃう位、パクりを越えて「まんまそのまま」な曲もありました。(笑)でも、ZEPは今や伝説ですし、みな彼らをパクってます。結局、もう「オリジナル」は存在しないのです。スタイルが確立されてしまえば、それが「オリジナル」なのです。何でそれを判らない/判ろうとしない「頭の堅い」人達がこんなに沢山いるのでしょうか? 僕はちょっと理解に苦しんでます‥‥

  何だか最後はとっ散らかってしまって、言いたいこと全て言えたのか判りませんが、現時点で言えるのはここまで。後は各々がいろいろと考えてみて下さい。これは「切っ掛け」であり「始まり」でしかないのです。答えは‥‥皆さんひとりひとりが出して下さい。答えは決してひとつではないので。

  結局、僕がこのHPで邦楽アーティストをむきになって取り上げるのは、洋楽オンリーのファンに偏見をなくして欲しいからなのですよ。ミスチルに拘るのも、LUNA SEAで原稿書くのも、チャートを語るのも、「知って欲しい」からなのです。このコーナーの「WHAT IS "JAPANESE ROCK"?」ってタイトルもそこから来てます。以前「日本にはロックは存在しない」と言われたことがありました。その時点では「確かにそうかもしれない。日本のロックは欧米のそれとは別物なのかもしれない」と思いました。けど……釈然としなかったのです。その後、いろいろな方の薦めで沢山のスバらしい「日本のロックバンド」に巡り合い、考えが変わりました。いえ、判ってきたのかもしれません。「明らかに今、ここ日本でロックは成長している」と。



('99.1.6.)


●追記●

  この話題も、何年経っても、いつまで経っても尽きないネタですよね。つうか1年に500万回くらい目にします(笑)。ついこないだもミッシェルのある曲はNIRVANAのパクリだ!って叫んでたお方がいらっしゃいましたが‥‥よその掲示板でですがね。まぁパクリ云々は抜きにして‥‥

  結局、いつまで経っても日本のロックってバカにされ続けるんでしょうかね? いや、これを書いた頃と比べれば、だいぶ良くなっているとは思うんですが。けど、世界で成功した日本のバンドって、これを書いた頃とあまり変わらないよな‥‥是非頑張って欲しいです。ラルクも全米デビューしたことですし(ってこれはまた別の問題があるのだけど)。

  で、ここで話題にしたWINOですが、その後着々と実力をつけていき、つい最近サードアルバムを発売したばかり。既に○×のパクリとは呼べないような、それなりに独特なオリジナリティーを身につけたのではないでしょうか?(そういえば、ビートUKの掲示板もなくなっちゃいましたね? 時の流れを感じるわ‥‥)

('01.6.1)



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