旅の記憶 その25

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サンライズの旅
〜 奇跡と感謝 〜


子どもたちを寝台列車に乗せたい!(父ちゃんが乗りたい!!)〜夢を叶えてくれた方々に心から感謝



旅行までの長〜い長〜い日々

【1月下旬】
 前年,北海道旅行の後に「今度は寝台列車だ」と誓ったが,いよいよそれを実行に移そう。ということで,具体的な計画を考える。基本的にサンライズ出雲での往復とし,木次線,たたら製鉄,出雲大社などをプランに組み込もう。
 ということで,こんなプランを立ててみた。
 7月28日 山形発,サンライズ出雲(出雲市行き)で車中泊
 7月29日 米子着,境港で水木しげるロードなどを見物,松江泊
 7月30日 木次線「奥出雲おろち号」に乗車,奥出雲泊
 8月1日 奥出雲観光,出雲大社参拝,サンライズ出雲(東京行き)で車中泊
 8月2日 東京着,山形へ
 プランに合わせて宿も予約。
 ちなみに,片道を飛行機にすることも考えられるのだが,サンライズ出雲は1ヶ月前の発売で,かつ繁忙期の人気列車につき確実に確保できる保証はない(近年特に高い人気らしい)。さらに,寝台列車は天候等による運休の頻度が高いように感じる。したがって,保険的な意味合いで,できる限り往復ともサンライズ出雲前提で企画したのである。そんなわけで,7月までプランの確定はお預け。

【3月下旬】
 年度末,地区(隣組)の役員も交代時期,輪番で新年度は2役を担当することに。大きな行事のひとつとして地区の夏祭りがあるが・・・なんと(むしろ,うっかりしていたのだが)7月28日の開催であった。旅行を理由に夏祭りを手伝わないのは気が引けるので,日程を変更することとした。
 8月1日 山形発,サンライズ出雲(出雲市行き)で車中泊
 8月2日 米子着,境港で水木しげるロードなどを見物,松江泊
 8月3日 木次線「奥出雲おろち号」に乗車,奥出雲泊
 8月4日 奥出雲観光,出雲大社参拝,サンライズ出雲(東京行き)で車中泊
 8月5日 東京着,山形へ
基本的に後ろにずらしただけなのだが,これが結果的に奏功することとなる。

【7月1日】
 いよいよサンライズ出雲の予約=勝負の日。ラウンド1,東京発下り列車の予約である。特に,今回は2室しかないプラチナチケット「サンライズツイン(禁煙)」を狙いたい。朝9:30頃,今泉駅のみどりの窓口にて切符の手配→10時打ちを依頼する。わずかに数の多いシングルツイン・・・なども頭によぎったが,ここはやっぱりサンライズツインを狙おう。若手の駅員さんが窓口の電波時計をにらみながら・・・10時にキーをたたくと,見事サンライズツインをゲット!!!駅員さんと思わず喜び合う。
 ちなみに,我が家は4人家族(おとな2名,こども2名)であるが,こどもは大人と寝台の共用が可能なので,とりあえず1室押さえればOKなのだ。
 駅員さんに,帰りの列車を予約するためにまた来ますと宣言して,ルンルン気分で帰宅する。

【7月3日】
 この日のメインイベントである木次線「奥出雲おろち号」,1週間前の6月26日の早朝にセットした事前予約により無事ゲット。

【7月4日】
 ラウンド2,サンライズ出雲の出雲市発上り列車の予約である。休日勤務の代休を取り,またまた9:30頃に今泉駅へ。この日は前回と別の駅員さんだったが,「話は聞いてますよ」と引き継ぎをしていただいた模様,ありがたい。ただ,1日にサンライズツインをゲットできてしまった(?)ことにより,逆にプレッシャーを感じていらしたようで,少々気の毒な感じであった。
 今回も狙いはサンライズツイン,10時ちょうど,キーをたたくと・・・残念,満席で予約できず。そこで,シングル2室に変更して再度キーをたたくも満室。結局,ノビノビ座席しか空きが無く,寝台はすべて埋まっていた。おそるべし。
 駅員さんの責任は全くないのだが,平謝りされ,むしろ恐縮する。とはいえ,行きは無事ゲットできたわけだし,帰路を新幹線利用にしても旅行自体は成立するし,キャンセルも出るかもしれないし。とりあえずキャンセル待ちの手続きをお願いし,10:10頃今泉駅を後にする。
 10:15分頃,今泉駅から電話が入る。シングル2室に空きが出たとのこと。おそらく,複数の窓口で手配した人の戻り分かな?とりあえず確保してくださいとお願いし,10:25頃,再び今泉駅へ。ありがたいことに隣接したシングル2部屋を予約することができた。

【7月6日】
 金曜日,仕事帰りのラジオで,九州,中国地方で大雨の特別警報のニュースを聞く。今回の旅の経路となる岡山県にも特別警報が発令された。きっと今日はサンライズも運休なのだろうなあ,などと思いながら帰宅。夜のNHKは,大雨関連のニュースで持ちきりだ。大きな被害がなく止みますように・・・。

 しかし,テレビでは岡山,広島の大変な被害が映し出される。伯備線がそばを通る真備町は特に被害が酷いようだ。JR西日本のwebサイトで運行情報を調べると,伯備線で土砂流入との情報。ありゃりゃ〜,1週間ぐらいは運休かな。

【7月8日】
 旅行とは直接関係ないが,ついにスマホ(データ専用)を入手する。ガラケーは残留。最近,出張の度に雨でダイヤが乱れたり,ガラケーでLINEができなくなったりと,さすがに不便を感じるようになったので。

【7月11日】
 JR西日本からショッキングな発表。復旧まで1ヶ月以上を見込む区間に,伯備線,豪渓駅〜上石見駅と木次線,出雲横田駅〜備後落合駅がリストアップされている・・・。このままでは,「サンライズ出雲」にも「奥出雲おろち」にも乗れないのか・・・。せっかく今泉駅の駅員さんががんばってくれたのに,サンライズツインをゲットできたのに,今度こそスイッチバックに乗れると思ったのに,と絶望的な気持ちになる。
 とはいえ,天災だから仕方が無い。サンライズ出雲も100%運休が決まったわけではない。しばらく様子を見るしかない。

【7月14日】
 嫁さんに,それとなく旅行中止をほのめかしたところ,「境港や出雲大社を楽しみにしていたのになあ」と難色。それはごもっともで,サンライズやおろち号「だけ」を楽しみにしているのは一家で父ちゃんだけだからね。
 そんなわけで,代替プランを検討。宿泊を1〜2泊増やした上で,往路にこの春から就航した仙台→出雲の空路を利用,帰りは鳥取から「スーパーはくと」で姫路に出て(因美線も一次運休したが,7月18日に復旧),あとは新幹線を利用。とりあえず旅行は成立する。んでもって,航空券と「はくと」〜「のぞみ」の乗り継ぎ券,追加の宿泊を手配。
 でもなあ,いまいち納得いかないんだよなあ・・・。

【7月18日】
 この日から,東京駅〜岡山駅で「サンライズ出雲」と併結される「サンライズ瀬戸」のみ運転を再開。前後して,「サンライズ出雲」の7月31日発までの運休も発表される。我が家が乗車する8月1日は対象外だが,伯備線の復旧予定はあくまで「8月中旬」のままであり,ほぼ絶望的。しかし,鳥取から「スーパーいなば」と「マリンライナー」を乗り継いで高松に行けば,高松駅から東京駅まで「サンライズ瀬戸」の旅が楽しめるのではないか!っつーか,そこまでして乗りたいのか?はい,乗りたいです。

 ところで,サンライズ瀬戸が運転できるなら,せめて東京駅〜岡山駅間だけでもサンライズ出雲を運転して欲しい(岡山駅〜出雲市駅は部分運休)のだが,車両の運用上,それはかなわない。これは,運用拠点が出雲側にあるからだ。サンライズ瀬戸・出雲用の車両は5編成あり,そのうち毎日4編成が使用される。大雨の前の時点で,東京に2編成,高松に1編成,出雲に2編成が留置されていたはずだが,伯備線の寸断により実質的に出雲の2編成は動けない(伯備線以外に陰陽間の電化路線がない!)状況となり,編成が足りないのだ。東京が拠点だったら・・・と思うが,こればかりは仕方ない。
 ただ,かすかな望みとして,脳内でいろいろ無茶なことを思案してみる。

・出雲の2編成を山陰本線経由で回送する
 これで東京駅〜岡山駅での運転は可能になるはず。でも,都合良く牽引機(ディーゼル機関車)など用意できるのか?より重要な貨物の迂回運行すら始まっていないのに。

・サンライズ編成に電源車をつなぎ,ディーゼル機関車で牽引して山陰本線を迂回運行する
 まずます可能性は低そう。でも,1998年のサンライズ運転開始前に,電源車をつないだ試験を実施していたから,技術的には不可能ではないはず・・・。もっとも,JR西日本は電源車を残していたかな?JR東日本がマニ50(ゆうマニ)とか貸してくれないだろか。

【7月21日】
 福島に買い物ついでに,福島駅のみどりの窓口で「サンライズ瀬戸」のシングルを1枚ゲット。もう1枚ゲットできれば,サンライズに乗れるぞ!!

【7月23日】
 伯備線の復旧予定が「8月上旬」に早まる。8月1日も可能性はゼロでなくなってきた。といっても,上旬っていつまでなんだろうか・・・。出発まであと1週間,そこまで復旧が早まることはあるのかなあ。

【7月27日】
 JR西日本より,「8月1日(水)からの運転再開を目指したいと考えております。」と同時に,サンライズ出雲号の8月1日以降の特急券を7月29日から発売(再開)する旨の告知。おおおお,なななななんと,奇跡が起きた!!
 ただし,「※天候等により,運転再開時期を見直させていただくことがあります。」「詳細につきましては,7月31日(火)に別途お知らせします」ということで,あとは神に祈るしかない・・・。

【7月29日】
 とりあえず,8月1日の完全復旧を見込み,きっぷの最終手配を行う。今回は,レール&レンタカーきっぷを活用。往復の運賃が2割引,つばさの特急料金が1割引だ。今泉駅の駅員さんにも,とりあえずよかったですねと言われ,こちらも改めて感謝する。

【7月31日】
 無事,伯備線が8月1日から通常の本数で運転再開する旨が発表された。良かった良かった。ということで,航空券,スーパーはくと,のぞみ,サンライズ瀬戸,追加の宿泊の予約をキャンセル。キャンセル料,計11,970円也。
 ちなみに,木次線はどうやら復旧しない(このまま廃線なのでは・・・)ようなので,代わりに鳥取砂丘を観光することにした。
 8月1日 山形発,サンライズ出雲(出雲市行き)で車中泊
 8月2日 米子着,境港で水木しげるロードなどを見物,松江泊
 8月3日 鳥取砂丘観光,奥出雲泊
 8月4日 奥出雲観光,出雲大社参拝,サンライズ出雲(東京行き)で車中泊
 8月5日 東京着,山形へ

 ここまでが,出発までの長い長いオハナシ。まずもって,豪雨で被災された方々にお見舞いするとともに,酷暑の中復旧作業にあたってくださった方々にも深く感謝申し上げます。
 毎日一喜一憂する中で,もはや奇跡が起きたとしかいえないような今回の旅行。思い返せば,当初の旅行日程(7月28日〜8月2日)では,片道がアウトだった。その意味では,地区の行事にも感謝感謝か。いろいろなありがたさをかみしめ,旅行を満喫しなければと心から思う。



1日目:夜も暑い東京,そしてサンライズへ

南長井|17:49→(フラワー長井線)→18:19|赤湯|18:27→(つばさ156)→20:48|東京|22:00→(サンライズ出雲)→9:03|米子

 8月1日,夕方の出発。サンライズの発車は22:00で,我が家の子どもたちとしては「超」夜更かしとなるため,昼寝をして夜に備える。早めの夕食をとり,17:30頃に自宅を出発。南長井駅からフラワー長井線と「つばさ」を乗り継ぎ東京へ。デザートに車内販売の「硬い」アイスクリームを奮発する。
 21:00前,東京駅に到着。暑い・・・とにかく暑い。動きたくない,とも言っていられないので,最後の力を振り絞って改札内のニューデイズで飲料と翌日の朝食を買い込む。この後,いつもならばホームでうきうきと列車の入線を待つところだが,暑さと眠さで子どもはくたくた状態。とりあえず椅子のあるところで小休止し,21:30頃,ゆるゆると9番ホームに向かう。そして,21:35頃,サンライズ瀬戸・出雲が併結14両編成で堂々の入線。ああ,間違いなくサンライズの乗れるのだなと感無量,すでに旅行のクライマックスを迎えた気分。
 少し間を置いてドアが開き,いよいよ車内へ。今夜の寝床であるサンライズツインは11号車の1階にあるため,階段を降りて部屋に入る。ツインルームということもあり,さすがに広い。出発前に検札を済ませ,記念写真などを撮っている間に発車時刻が近づく。22:00,定刻どおり東京駅を発車。
 寝台列車ということもあり,後は寝るだけだ。父ちゃんと兄,母ちゃんと弟のペアになってベットに収まり,早速うとうとする。途中,熱海の前でおやすみ放送が入り(ちょっと遅くないか?)目を覚ますも,程なく寝た。


「出雲市」の方向幕を見て涙・・・

サンライズツインへと下る狭い階段

早速転がる子どもたち


2日目:灼熱の境港

東京|22:00→(サンライズ出雲)→9:03|米子|9:44→(境線)→10:25|境港|15:00→(松江境港シャトルバス)→15:56|松江城

 朝6:15頃,おはよう放送で目を覚ます。岡山駅で高松行きのサンライズ瀬戸と出雲市行きのサンライズ出雲を切り離すため,入念に案内される。おかげさまで,こどもたちはすっかり起きてしまった・・・(父ちゃん母ちゃんはもう少し寝ていたかったのだが・・・)。
 岡山駅を8:34に発車し,いよいよ伯備線へ。豪雨の被災地に入っていくが,その光景は想像以上だった。不自然に折れた電柱や基礎部分のみが残ったと思われる建物跡など。復旧したのは線路だけで,周りの街はそのままと行った様相だ。改めて自然災害の怖さと,線路の復旧に尽力された方々の努力を実感する。
 お腹が空いたので朝食にしよう。部屋に籠もっていてもつまらないので,10号車にあるラウンジ(ミニロビー)に出かけ,昨晩購入したおにぎりやサンドイッチなどを食べる。椅子が8脚あるだけの簡素な空間だが,気分転換にはありがたい。朝食を済ませ子どもたちと車内を探検してみると,明らかに使われていない部屋も多い。7月1日に予約した際は満室だったから,旅行の中止や手段の変更などでかなりのキャンセルが出たのだろう。実際,出発前日まで運転が確定しなかったのだから,もったいないけど仕方ない。サンライズ出雲は順調に走行し,9:03に米子駅到着。
 暑い!,米子について第一印象がこれ。まだ9時なのに・・・。車内は空調が効いていて外を意識していなかったが,今は夏,しかも今年は猛暑なのだ。これは厳しい一日になるぞ。

 さて,最初の観光地は境港だ。多少子どものことも考えねばということで,水木しげるロードをたどるのである。都合の良いことに,ゲゲゲの鬼太郎の新シリーズが放送されており,子どもたちも興味を持っている様子だ。
 米子駅から境港駅まで,境線で移動する。この路線ではゲゲゲの鬼太郎のキャラクターがラッピングされた車両が走っており,この日は「ねずみ男」車両が迎えてくれた。外観のみならず,車内の壁や椅子にもねずみ男がちりばめられており,なかなかのできばえだ(えらそう)。海外からの観光客と思われるグループも多く,1両編成の列車は立ち客も多い。10:25,境港駅に到着。
 境港も当然のように暑い。街歩きに備えトイレ休憩などをしていたところ,駅前で鳥取県の観光に関するアンケート調査を受ける。鳥取県への訪問回数や行き先,宿泊地などを尋ねられたが,「今日明日鳥取観光なのに,泊まりは島根(松江)なんですか!?」と驚かれる。確かに,その指摘はごもっともだ。こちらの事情(当初の木次線計画)などをちらっとお話しし,一応のご理解をいただく(?)。

 さて,いよいよ境港の街,水木しげるロードを歩く。道ばたにキャラクターの銅像があり気分を盛り上げてくれるが,いかんせん暑い。ふと,各所にスタンプ台があるのに気づく。どうやらスタンプラリーをやっているようだ。「妖怪スタンプラリー台帳(120円也)」を2冊購入し,さっそくスタンプラリー開始。水木しげる記念館までの道すがら,次々とスタンプ台が現れる。どうやら35カ所もあるようだ。子どもたちは道の前後左右関係なくスタンプを押したそうな様子だが,暑い中あまり歩きたくないので,道の片側ずつでご勘弁いただくこととする。
 水木しげる記念館に到着。時すでに11:30,距離はたいしたことないが,だいぶ長いこと歩いたものだ。父ちゃん母ちゃんにとってはここがメインで,ゆっくり展示を見たいところだが,子どもたちには多少難しい内容だったようで駆け足での見学となった,残念。また今度ゆっくりと訪れたいものだ。
 さて,正午も過ぎたので昼ご飯のお店を探さねばと思っていたところ,魚料理系の客引き(?)のお兄さんがいたので,ダメ元で引っかかってみることにする。親は海鮮丼,子どもたちはお子様セット的な(おにぎり,からあげとか)ものを食す。味オンチゆえ評価は避けるが,食後のかき氷が大変おいしかったことは印象深い。
 さて,13:30,水木しげるロードを駅に向かって戻るが,子どもたちはスタンプラリーの残りとおみやげで頭がいっぱいでなかなか先に進まない。まあ,これが旅行の醍醐味であるが。弟は,プラレールの妖怪列車2輌組を手にし,これじゃないといやだという。普通にお店で買えばもっと安いのになあ別のお土産を勧めてみるが,交渉決裂。まあ,今回鳥取県にはだいぶ「ぶじょほ(=失礼)」している気がするので,気前よく買ってあげることにする。一方の兄ちゃんは,鬼太郎の置物的なお土産を探すが,気に入ったものが見つからない。お土産屋さんは各所にあるが,取り扱っている品物はだいたい一緒のようだ。無理に買わなくても・・・ということで,あとで気に入ったものが見つかってから買うとのこと。えらい。
 あちこちスタンプを押しながら14:25ごろ境港駅に戻ってきた。スタンプラリー,見落としなどもあって完走には数カ所足りないが,この暑さのなか街に戻る気力は無し。申し訳ないがあきらめてくれ(なにやらシールはゲットした模様)。ちなみに,スタンプラリーの台紙(台帳)には様々な妖怪が描かれてあって,これ単体でも子どもたちには良いお土産になった模様。

 境港に別れを告げ,松江に向かう。鉄ちゃん的には米子経由で行きたいところだが,時間の都合で「松江境港シャトルバス」を利用する。このバスは,江島,大根島を経由して松江市内まで直行してくれる便利なバスだ。15:00,境港駅前を出発。急勾配で知られる江島大橋を越え,中海を眺めつつ・・・などと考えていたが,歩き疲れた家族4人,道中の記憶無し。気がつけばバスは松江の街を走っていた。15:50頃,松江城近くのバス停に着き,少し歩いて今日の宿である「サンラポーむらくも」にチェックイン。お疲れであった。

 本来の計画では,松江城にも登ってみようかと考えていたが・・・暑さの中その余力は無し。涼しい部屋の中でしばしぐだぐだする。父ちゃんは境港で入手したパンフレットなどを寝そべりながら眺めてみると・・・なんだって!!??「山陰満喫パス」なる文言が目に入る。このきっぷ,鳥取,島根県内の周遊区間で,特急自由席まで2日間乗り放題で4,000円という超割安なきっぷ(ただし2人以上での使用が必須)。しかも,「20社寺公式ガイドブック」なるものを参拝先(出雲大社とか)でもらえるとのこと。う〜,割引きっぷは事前に調べたはずだったが,調べ方が不十分だったか・・・。明日の松江〜鳥取間のきっぷは既に入手済み,でも払戻手数料を払ってでも安くなるのでは。早速電卓をはじいてみる。
 当初計画(購入済み)
  (運賃2,270円+料金1,300円)×2(往復)×2.5人=17,840円
 山陰満喫パスを使用
  満喫パス4,000円×2.5+払戻手数料2,640円=12,640円
なんと,5,000円も安いではないか。ケチな父ちゃん,居ても立っても居られず,暑さのなか路線バスに飛び乗って松江駅へ向かい,さっそく山陰満喫パスをゲット。バス代(170円×2)を払ってでも安かった。

 旅館に戻って夕食。親二人と小学生の兄ちゃんは定食的な料理を,幼稚園児の弟はお子様ランチを食べる。兄ちゃん的には昼に続いて弟が食べるお子様ランチがうらやましいようであったが,弟にとっては必ずしもそうでは無かったことが次の日明らかになる。

 


ねずみ男列車

車内では当然(?)のように怠けてます

天敵,猫娘

境港駅前では水木先生がお仕事中

水木しげるロード

スタンプラリーで大盛り上がり


3日目:灼熱の鳥取砂丘

松江|7:58→(スーパーまつかぜ4)→9:27|鳥取|→9:55頃(バス:ループ麒麟獅子)→10:15頃|鳥取砂丘|12:45頃→(バス:ループ麒麟獅子)→12:50頃|鳥取砂丘こどもの国|13:30頃→(バス:ループ麒麟獅子)→14:05頃|鳥取|15:08→(スーパーまつかぜ7)→16:35|松江|17:00頃→(レンタカー)→18:00頃|奥出雲多根自然博物館

 本来,この日はメインイベント!の木次線ツアーのはずだったが,残念ながら復旧せず,代わりに鳥取砂丘に向かうことにする。
 早めの朝食の後旅館を出発し,タクシーで松江駅へ。運転手さんはアマチュア無線が趣味とやらで,山形方面にも知り合いがいるらしい。本当は木次線に乗りたかったけど,復旧する目処はあるんですかね〜,などと話題を振ってみると,「割とすぐ復旧するらしいよ」とのこと。地元では,そんな情報が流れているのだろうか。木次線沿いのおすすめのそば屋を教えてもらいながら,松江駅に到着。それにしても,朝から暑い。
 7:58,スーパーまつかぜ4号で松江駅を出発。簡素な外観のキハ187系だが,振り子式の高性能車両だ。飛ばせるところをガンガン飛ばしながら,9:27,鳥取駅に到着。

 鳥取観光にはバス(ループ麒麟獅子)を利用する。このバスは1回乗車大人300円で,乗り放題の1日券は600円だ。我々は3回乗車の予定だったことから,早速1日券を購入した。ちょっと残念だったのは,1日券に子ども用が無かったこと。半額(300円)の子ども用1日券があるだろうと思い込んでいたが,なかなかうまくいかない。兄ちゃんは都度払い(1回150円)となってしまった。
 最初の観光地は鳥取砂丘,ただでさえ暑い日に照り返し放題の砂丘だから,それはそれは暑い。でも,せっかくだから海岸の小高い丘まで歩いてみよう。(※鳥取砂丘は3回目の訪問だが,1回目は悪天候,2回目は時間の関係で,これまでゆっくり見物したことが無いのであった)水分をとりながら歩みを進めるが,さらさらした砂の上は予想以上に歩きにくい。兄ちゃんはあっという間にへばってしまった。そんなわけで,兄弟のツーショットもだいぶ残念な感じに。最後の力を振り絞って30分の砂丘散歩は終了。
 そうこうしているうちに昼食時,涼しい砂丘会館で親は冷やし中華,子どもはお子様ランチを食べる。ループ麒麟獅子1日券の割引特典で梨のアイスクリームを4個買うが,子どもたちには好みが合わなかったようで残念。
 昼食後,鳥取砂丘にある「砂の美術館」を見物。訪問時は北欧をテーマにした展示であり,懐かしいニルスのふしぎな旅など,砂を固めた大きなオブジェに,ほほうと感心する。売店にて,兄ちゃんが砂を固めた鬼太郎の飾り物を見つけ,これならばと購入する。昨日は良い土産が見つからなかったが,焦らず待っていて良かったね。

 再びバスに乗り,今度は「鳥取砂丘こどもの国」へ。1日に1回ぐらい遊びの時間を入れておかねばという親心(?)だ。わずか40分程度の短時間であったが,モーターカーでレースしたり,アスレチックを登ったり,リフレッシュできたのではないだろうか,暑かったけど。なお,こどもの国は正直短時間の訪問はもったいない感じで,1日かけて楽しんでも良いのだろう(おそらく,その機会は無いだろうが)。
 みたびバスに乗り,鳥取駅に戻る。途中,鳥取空港の近くを走るが,停車は無し。空港にも停まってくれたら・・・と思う。鳥取県には空港が2つあるが,鳥取空港はコナン,米子空港は鬼太郎と漫画押しで,鳥取空港にはコナンのコーナーもあるとのこと。こどもの国も良かったが,空港に立ち寄るのも楽しかったのではないかな,何より涼しそうだし。

 14:05頃鳥取駅に戻り,帰りの特急を待つ。暑い中,荷物が多いのと,手頃なお店も無かったので,早めに改札を通りコンコースの涼しい待合室でおやつタイム。ちょっと飲み物が足りなくなったので,私一人でコンビニに行こうと改札を出ようとした(フリーきっぷなので)ところ,係員さんにちょっと待てと呼び止められる。山陰満喫パスは「二人以上」での使用が要件なので,一人で改札を通ってはいけないのであった。訳を話して一応許しを得るが,気をつけなくてはいけないのだなあ。
 15:08,スーパーまつかぜ7号で鳥取駅を発ち,松江に向かう。ちょうどいいお昼寝タイムで,子どもとともにうとうと。往路と同様にガンガン飛ばし,16:35に松江駅到着。

 ここから宿のある奥出雲町まではレンタカーで移動。今日の車は駅レンタカーで予約したムーヴだ。ウィンカーの使い方に若干戸惑いつつ,今日の宿である「奥出雲多根自然博物館」に到着。旅館としてはおかしな名称だが,「宿泊できるミュージアム」を特徴とする施設なのだ。はじめに検討していた日程では別の旅館を予約していたが,地区行事に伴う日程変更により新たな予約が取れず,代わりにこの「博物館」に泊まることにしたのだ。当初,半信半疑であったが,同年5月にテレビでも取り上げられ,なるほどこれは面白そうと期待に変わっての訪問である。この博物館は基本的に恐竜や化石の博物館で,今回予約した部屋は「恐竜ルーム」,部屋には恐竜の飾り物やぬいぐるみが散りばめられ,子どもたちは大喜びである。ああ良かった良かった。
 ところが・・・夕食の時,雲行きが怪しくなる。次男が夕食にほとんど手をつけないのだ。訳を聞くと,毎食同じような食事で,もう食べたくないとのこと。確かに,前日の昼からお子様ランチの4連続,唐揚げ,ハンバーグ,エビフライ・・・そもそも肉・魚嫌いの次男にとっては苦痛でも仕方ない。せめて今日の昼食をラーメンとかにしておくのだったと,今更ながら後悔する。もっとも,親としてはお肉が大変おいしく,「博物館にしては」との断りが要らないほど充実した夕食であったことは付け加えておきたい。
 夕食後はお風呂,道向かいに町の温泉施設「佐白温泉長者の湯」があり,この旅唯一の温泉にのんびりつかり汗を流す。そして,宿泊者限定「ナイトミュージアム」を楽しむ。夜仕様にライトアップされた博物館を探検気分で巡るもので,子どもたちはヘッドライトや双眼鏡を装着し雰囲気を盛り上げる。兄ちゃんは恐竜の着ぐるみもまとってみるが,サイズがやや合わない(小さかった)ようで残念。さらにクイズラリーも行われており,父ちゃん母ちゃんは大人げなく全問正解を狙い館内を調べ回る(おかげさまで全問正解で記念品をゲット)。多くの家族連れで賑わい,なかなか良い体験ができた。充実した1日であった。

 ところで,この日,木次線が8月8日より運転再開するとの発表があった。沿線市町村の強い働きかけと,信号等の制御の代替ルートを確保できたことが早期再開につながったとのこと。わずかな差で木次線に乗れなかったのは大変残念だが,今後の希望ができたわけで,今度こそ何としても(三度目の正直で)木次線に乗りたいものだ。


今度はコナン列車

鳥取砂丘,長男(赤リュック)の後ろ姿から疲れが見える・・・

見る角度によっては,かなりの傾斜

砂の美術館,これはニルスかな

奥出雲多根自然博物館,ナイトミュージアム

恐竜スーツが小ぶりなのはご愛敬


4日目:灼熱の奥出雲

奥出雲多根自然博物館|9:40頃→(レンタカー)→10:25頃|出雲坂根駅|10:40頃→(レンタカー)→10:45頃|道の駅「奥出雲おろちループ」|11:15頃→11:45頃|亀嵩駅|12:10頃→(レンタカー)→12:50頃|菅谷たたら山内|13:30頃→(レンタカー)→13:40頃|道の駅「たたらば壱番地」|14:25頃→(レンタカー)→15:25頃|出雲市・電鉄出雲市|15:52→(一畑電車)→16:13|出雲大社前|16:59→(一畑電車)→17:22|電鉄出雲市

 山陰観光も最終日,今日も良い天気だ。朝食では一人ずつ釜で炊かれたご飯が出てきた。とても食べきれる量では無かったが,おにぎりにしてくれるとのことで,ありがたく頂戴する。
 さて,元々奥出雲観光として,父ちゃんの仕事である金属(鉄)にからめて「たたら製鉄」関連の見学を予定していたが,木次線に全く触れないのも悔しいので,出雲坂根駅とおろちループを尋ねることとする。
 まずはレンタカーで出雲坂根駅へ。この駅はスイッチバックとして有名な駅だ。通過線の無い,格式高い(?)スイッチバックであり,本来ならば今回の観光の目玉であったはずだ。行き止まり式のホームで列車の往来を思い浮かべたり,駅前の「延命水」を飲んだり,わずかな時間であるが出雲坂根駅を楽しむ。さらに進んで「奥出雲おろちループ」,ループ橋などでほぼ2周回って一気に高度を稼ぎ,道の駅に到着。ここでは谷を挟んで木次線も見える。ああ,あそこからの眺めは絶景だっただろうなあと,改めてがっかり。でも,道の駅で木次線グッズを買っていこう。子どもたちは虫取りにいそしむ,マイペースだ。
 ここまでで意外に時間を要したため,ぼちぼち昼食を取ることに。昨日の反省を踏まえ,そばにしよう。昨日のタクシーで教えてもらったそば屋さんも気になるが,鉄ちゃんとしては亀嵩駅の扇屋そばに行ってみたい。11:45頃に亀嵩駅に着き,駅舎内のお店で出雲そばをいただく。兄弟ともうまそうに食べてくれて,ひと安心だ。

 昼食後,父ちゃんのお楽しみ,雲南市吉田町(旧吉田村)の「菅谷たたら山内」だ。細い山道をくねくねと走り,13:00ちょっと前に到着。このとき,私以外はみんな昼寝モードで,かといってわざわざ起こすのも申し訳なかったため,私一人で見て回る。高台から眺める集落,建物のたたずまい,建物内の涼しさ,普段眺める工場とは違った雰囲気で,ここで鉄が作られるのか,と考えると何とも不思議な気分になる。奥出雲・雲南には他にも鉄関係の見学ポイントはあるのだが,今回は時間の関係で1カ所で終了。
 さて,いよいよ旅も最終盤,道の駅「たたらば壱番地」でしばしお土産&おやつタイム。ところで,この道の駅も旧吉田村にあるが,アニメ「秘密結社 鷹の爪」のキャラクターである「吉田くん」は,ここが出身地とされており,吉田くんのキャラクター看板もちらほら。嫌がらせ的な吉田くん土産を買い求め,とりあえず満足する。道の駅に隣接する雲南吉田ICから松江自動車道に乗り,今度は出雲市へ。途中,山になった着替えとお土産を宅急便で発送し,多少身軽して今夜のサンライズ出雲に備える。

 15:25頃,出雲市駅でレンタカーを返却し,最後の観光地出雲大社へ。時間的にかなり余裕が無いが,せっかく出雲まで来てお参りしないのも罰が当たりそうで(?),弾丸ツアーを敢行。15:52,一畑電車の電鉄出雲市駅を出発。川跡駅までは2100系(元京王5000系)で,窓向きにソファーが配置されたイベント仕様車だ。この日は松江の花火とかで,着物姿の若者も多数乗り込む。川跡駅で乗り換え,出雲大社前駅に16:13到着。ここから早足で出雲大社に向かい,とりあえずお参りをして,またまた早足で出雲大社駅に戻る。このとき16:48,わずか35分の出雲観光。16:59,再び一畑電車に揺られ出雲市に戻る。途中川跡駅までは新鋭7000系,川跡駅からは2100系「ご縁電車・しまねっこ号」であった。また,松江方面へ向かう対向列車はものすごい混雑で,花火の集客力に改めて感心する。そんなこんなで17:22,出雲市駅到着。
 サンライズ出雲までの待ち時間,駅構内の「カフェレストいずも」で夕食。お疲れモードの父ちゃんは○○,母ちゃんはラーメン,弟は○○,そして兄ちゃんはここに来てカツ丼。その食欲に脱帽。しかも,「このカツ丼,とってもおいしい。ヨー○ベ○マル(=弁当)よりもおいしいよ。」とのこと。日々,もう少しちゃんとしたものを食べさせねばと少々反省。誤解の無いようにお伝えしますと,食事は普通においしく,帰宅後に見たネットの評価も上々のようであります。
 


レンタカーで出雲坂根駅に到着

そこに列車はやってこない

スイッチバックの線路を眺めてみる

ジオラマで納得,できるはずも無く
道の駅から出雲坂根駅を見下ろす
木次線の線路を遠巻きに眺めながら, 向こうからこっちを見たかったなぁ,とため息
菅谷たたら山内
建物の中にはたたらの跡が
島根といえば吉田君
電鉄出雲市駅にて,2100系
駆け足の出雲大社参拝
帰りのサンライズは1階シングル


4〜5日目:帰りのサンライズ

出雲市|18:51→(サンライズ出雲)→7:08|東京|8:08→(つばさ127)→10:42|赤湯|10:47→(フラワー長井線)→11:16|南長井

 さて,いよいよサンライズ出雲の出発が迫る。始発駅からの乗車で,のんびり出発の準備をしたいところであるが,入線が出発5分前と大変慌ただしい。ただ,幸いにして部屋が先頭7号車だったため,車両をバックに記念写真を撮り,そそくさと乗り込む。父ちゃんはシャワーカードを求めて3号車に走り,カードを2枚ゲットして戻るやいなや出雲市駅を発車(18:51)。もう少し余裕をもって入線してくれるとうれしいのだが。
 今夜のお部屋は,7号車1階のシングル2室。母ちゃんと弟,父ちゃんと兄の2組に分かれて部屋に入る。1階は荷物置きスペースがやや狭いなあ。父ちゃんと兄弟3人は早速シャワーを浴びるべく3号車に向かう。幸いにして,さほど待つこと無くシャワー室が空いた。お湯は6分間利用できるのだが,全身に軽くお湯をかけ,一度お湯を止めて(この間カウントが中断)から備え付けのボディソープ,シャンプーでわしわし洗い,泡を流してもまだ3分お湯が残っている。もったいないので,無駄に30秒ぐらいお湯を浴び,あっという間にシャワー終了。
 さっぱりとしたところで部屋に戻ると,夕日を浴びながら宍道湖を走っているところだった。湖畔には人影が多く,みんな松江の花火を待っているところかな。車内から花火を見られたら最高だけど,そこまでうまくはいかないようだ。
 米子駅を過ぎ,伯備線に入ったところで子どもたちはお休みの時間。兄弟それぞれ寝かしつけをしながら一緒にうとうとする。サンライズ瀬戸と連結する岡山駅で,意味も無く外の様子をうかがってみたり。岡山発車後にお休み放送が流れ,ついでに私もおやすみなさい。

 朝,熱海を過ぎたあたりで目を覚まし,うつらうつらしていると横浜駅手前でおはよう放送。遅れも無く順調に走行中だ。7:08,定刻に東京駅到着,暑い。1時間のインターバルの後,つばさ,フラワー長井線に乗り継ぎ,お昼前に無事帰宅。この辺になると,正直何も覚えていない。



まとめ

 今回の旅行は,家族旅行としては最も長い行程であったが,それ以上に出発までの時間が長く長く感じられた。なんと言っても,中国・九州地方の豪雨が大きく,改めて被災された方々にお見舞いを申し上げたい。そして,早期の復旧に尽力いただいた皆さんへの感謝も。
 おかげさまで,往復のサンライズ出雲や灼熱の境港,鳥取砂丘,念願の「たたら」など,大変満足できる旅であった。惜しむらくは,再び木次線に乗り損ねたことか。また島根に行く動機(口実?)ができたぞ。でも今度は飛行機かな,やっぱりサンライズかな。




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